創作 嫁姑問題 6 )

2023年07月14日 23時49分39秒 | 創作欄

実家から離れた二人は新婚時代に戻ったように夜の営みに励んだのだ。
そして妻の由紀は妊娠した。
時男は実家から離れてから、ほとんど育った町へ戻っていない。
だが、妻の由紀は妊娠してからしばしば実家へ帰る。
時男は妻を気遣い由紀の実家を訪れた。
だが、時男は実家を素通りした。
「近くまで来て何で、時男は何故、姿を見せないの」時男の母親の澄子は当然、不満を募らせた。
福島県いわき市に生まれ育った澄子は、実は由紀の母親の稲子にひけ目を感じていたのだ。
稲子は蘆屋市育ちのお嬢さんで、宝塚歌劇団に憧れた若き日の時期があり、麗しの人と形容される娘時代があった。
皮肉なことに、由紀は父親似の風貌であった。
「こんな綺麗なお母さんであったら・・・」時男は小学生時代に、授業参加に来る同級生の母親の一人に羨望の目を向けたことがある。
その人は映画女優であり、娘の同級生の玲子は稀に見る美少女で、10歳の時男の初恋の少女であったのだ。

「お前は、由紀の母親に特別な感情を抱いていではないだろうね」由紀の実家へ向かう息子に母親は時には嫌味を言ったのだ。

時男は、母親の嫌味に唖然とするともに、心を見透かすされたような複雑な思いとなる。

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