「競輪は要するに順列組合せだろう?」以前、同僚の米さんが言っていた。
当時の上司は「1-4」だけを常に買っていた。
残りの金がなくなり、子どももクリスマスケーキも買ってやくないのか」と絶望的な気持ちとなる。
そして、愛する娘の誕生日に思いが及んだのだ。
「1月4日」生まれ娘の顔が浮かんだのだ。
残りの500円を「1-4」に賭けたのだ。
何と1-4が3万2400円の配当となる。
利根輪太郎は、同じような窮地に立たされ「1-4」を思い出したのだ。
松戸競輪の4コーナースタンドに、ミスター矢島と並んで座っていた。
矢島は4-4 5-5 6-6を買う男だった。
「ミスターゾロ」と競輪仲間は呼ぶ。
「ミスター矢島は]彼が経営する北千住の喫茶店の名前であったのだ。
利根輪太郎はその日に出た、給料袋も残り少なくなってしまっていた。
身重の妻の顔が浮かんだ。
「ここままでは、帰れない。最終レースを外したら群馬の実家へ行くか、母親に金を借りに・・・」そして輪太郎は「1-4に賭けてみたのだ。
5000円を残して、2万円を震える手で「1-4」に!
輪太郎は目まいがしてきたので、場内の売店で日本酒を飲む。
「1-4、1-4、1-4」輪太郎は必死の形相となり絶叫する。
「煩い黙れ!」と傍の競輪ファンから静止される。
そして、奇跡は起ったのである。
1-7-4が何と1-4となる。
格下の4番は成績は悪くファンたちからは全く軽視されていた。
そのため、2車単でも配当は何と4270円であったのだ。
「だから、リンちゃん、競輪やめられないね」ミスターゾロはニヤリとした。
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