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ジェイン・オースティンの読書会 

2025年03月24日 09時53分11秒 | 社会・文化・政治・経済

(著), Karen Joy Fowler (原名), 中野 康司 (翻訳)

6人の仲間がオースティンの作品で毎月読書会を開く。個性的な参加者たちが小説を読み進める中で、それぞれの身にもドラマティックな出来事が――。
 
離婚歴6回のバーナデットは、愛犬を失った友人のジョスリンを励まそうと、"ジェイン・オースティンの読書会"を企画する。
彼女は「オースティンは、人生の最高の解毒剤だ」と常々考えていたからだ。
ジョスリンの親友シルヴィアも、ちょうど夫から「他に好きな人ができた」と告げられ、窮地に陥っていた。しかし、オースティンの長編小説は6冊あるため、メンバーもあと3人必要だ。
まずは、趣味の合わない夫より、教え子にときめいているフランス語教師のプルーディー。
そして、恋多きシルヴィアの娘、アレグラ。最後は唯一の男性にしてオースティン初体験の青年、グリッグ。メンバーも揃い、ようやく読書会が始まるが、それぞれの想いが絡み合い、思わぬ結末にたどり着いていく。
 
この小説は、読書会に集った現代アメリカの男女6人の半生と、お互いが出会ってからの出来事が描かれている。その合間に、登場人物それぞれのオースティン小説への思いや批評が語られていく。
 ただし、オースティンの小説について直接言及されている箇所は、小説全体の分量からすればあまり多くはない。
どんな批評があるのだろう、どんなパロディがあるのだろう、どんなふうにオースティン小説をもとにした物語の趣向がこらされているのだろう、と期待をしていると肩透かしをくう。
これは、基本的には、(オースティンが19世紀イギリスのミドルクラスばかりを描いたように)現代アメリカのミドルクラスを描いた小説なのだ。そして、時おりセリフであったりシチュエーションであったりで、ふわっとオースティン的ムードが漂っては消えていく。
 多分、著者は現代アメリカを題材に(翻案ではない)オースティンのような小説を描こうとしたのだろう。それがどこまで成功しているかはともかくとして、小説好きならば、読書会のメンバーたちが、好きな小説に文句をつけられるとムッとしたり、思い入れている登場人物のことを想像してみたり、時には小説を心の支えにしてみたり、というところには共感できると思う。


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