植田が17日後の午後の練習後に強化部に直談判して、「是非熊本に行かせて欲しい」と言ったという。故郷の熊本のためなら何でもしたいという必死の
思いがあったのだろう。クラブ側も安全第一にということで了承し、植田の心意気に同意した小笠原、西、鈴木優磨、久保田、垣田の六人で17日中に成田
空港から福岡入りし、現地でレンタカー三台を借りて、救援物質を詰め込んで陸路で熊本入りしたという。
18日は菊池郡大津町の大津中学校などを訪れて現地を励ましたらしい。何という素早い行動力だろうか!「熊本のためにできることなら何でもやりたい」
と心で思っていてもなかなかここまで素早く行動できるものではない。「何でも協力するから言ってくれ」と行動を共にした小笠原他の五人も立派という他は
ない。サッカー選手がサッカーがうまいことは大切だが、まず何よりもこの日本社会の中で生活している社会人である、という自覚がなくてはこういう行動は
取れない。たくさんの人が困って苦しんでいる時にチームの何人かの選手がこうやって社会に貢献できる、という鹿島アントラーズというチームはやはり他
のクラブとは違う。ただ、サッカーが強ければいいというものではない。まずは個々の人間の集まりとして尊敬されなければ、真の王者とは言えない。そうい
う自覚とプライドを個々の選手が持っていることが、鹿島アントラーズの底力なのだ。
他のチームのことは言ってもしょうがないが、浦和レッズや川崎フロンターレの選手にこんな素早い行動が取れるだろうか?アントラーズは確かに被災
地の東北出身の選手が多いし、九州の選手も多い。移籍してしまったが、本山や山村、豊川もそうだし、赤崎も鹿児島である。アントラーズの主力は東北
と九州で出来ているといっていいほどだ。中央から離れたローカルな地方の出身者が多いのだ。ローカルがローカルの苦しみを思う。今回の植田ら六人
の熱い行動はそう言っていいだろう。サッカー選手が黙ってやるべき行動を実行してみせる。素晴らしいではないか!これはなかなかできないことであ
る。それができる鹿島アントラーズというチームは単にJリーグで最多の優勝を誇るだけではなく、やはり特別なチームであるという誇りを持っていいのだ
ろう。
これはマスコミが作った物語に乗せられた美談ではなく、アントラーズの選手個人が自発的に作り出した美談であり、我々としても誇らしく思う。今日の
練習にはもう参加しているようだが、コンディションを崩すことなく、次の柏レイソル戦は是非勝利してもらいたいものだ。
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