テレビをつけると、こんな真っ昼間っからアニメ。
『25世紀少年』?何だソレ。
こんな時間に地方局で放送してんだから再放送にはまちがいないか。
学校休んで家にひとり。風邪ひいた娘を残して仕事行っちゃうなんてオニだな、うちの親。
にしてもアニメなんて見てる場合じゃないなあ。
黒ずくめの時空警察に追われる25世紀少年は時空をさまよってるらしい。
主人公、昔っぽいけどちょっとカッコイイ。
で、どうやら今回迷い込んだ時代は現代。
冒頭の未来と打って変わって、やけにリアルな地方都市風景じゃん。
追われる少年は、レトロっぽい商店街へ。
スプレーの落書きが目立つシャッター街に響く少年の足音、追う足音。さびれてる感、リアルすぎ!
『仏壇のいわさき』?『靴の天狗屋』?あるある、そーゆーの。
時空警察の放つ光線銃が少年の肩をかすめる。危ない、危ない。
商店街を走り抜けた少年は、角のコンビニを曲がる。
チェーン店のロゴ、そのまんま。スポンサーなのか?
曲がった先には川沿いの線路、古びた駅舎。
「ア・・・」
駅名を見て思わず声をあげた。うちの最寄り駅じゃないの!
さっきの商店街・・・角のコンビニ・・・。まちがいない!あたしの住んでる町だ。
この町をモデルにしたとか、そういうの?いやそれにしてもリアル~!
それに、それに少年はどんどん郊外の住宅地へ・・・あたしの住んでいるほうへ・・・。
エ~!25世紀少年がいくら時空を跳び越える能力があっても、二次元から三次元はダメでしょ!
フィクションからノンフィクション、バーチャルからリアルもダメっしょ!!
少年は近所の公園を走り抜け、うちの路地へ入って・・・ウワッ、うちの門扉を開けて。
ドンドン!
ドンドン!
テレビの画面でも、うちの玄関でも、ドアを叩く同じ音。
「助けて!ボクを救えるのはキミだけなんだ!」切迫した少年の声。
あたしが?どうしてあたしが?
画面に映し出された少年の悲痛な表情。
ええい、救ってやろうじゃないの、25世紀少年!
あたしはドアを一気に開いた。ドアの向こうにはアニメまんまの少年。
「はい、タッチ!!」
言われるまま差し出されるまま、思わず少年とタッチ・・・。
「で、うちの娘はどこ?」
赤くなってヒリヒリする鼻をかみながら見知らぬ少年がテレビを指さす。
画面には、時空警察から逃げ回るアニメ、『25世紀少女』。
(最後まで読んでいただいてありがとうございます。バナーをクリックしていただくと虎犇が喜びます)
25世紀少女が、私のところに来たらどうしよう。
25世紀おばさんとして時空警察型逃げることになるのかな。そうしたら次は矢菱さんのところに行きますね。
みんなでつなごう、25世紀の輪!
25世紀おばさんも思いきり昭和かなあ。25世紀りんさん、ウェルカム!
どんな未来でも、可能です。
だって、ボクら今存在する人類がみんな死んでるんですから。
いやあ、25世紀の鬼ごっこ。
堪能しやした。
ま、いーか、25世紀にしても昭和アニメにしても、二次元やらバーチャルやらにしても、現実逃避になんの変わりもないんだし・・・。