
登山を始めたのは50歳代中頃だ。会社勤めで趣味に熱中するものもなかった時、退職後の自分は毎日家に閉じこもってぶらぶらするのかな、とぼんやり考えていた。趣味と体力作りを兼ねて、何かをしようと考えていた時、TVで放送されていた日本100名山に惹かれた。深田久弥の著書に掲載された山々を登り、日本百名山それぞれの山を紹介した番組だ。これだ、と思い挑戦する事を決めた。自分の周辺を見回すと、結構、登山経験がある友人もいたため、情報を仕入れながら登山を始めることにした。

知らないとは恐ろしいもので登山を始めて直ぐに1人で出かけた山が常念岳だった。標高2857mの高山に体力も付いていない、装備も中途半端、地図読みもろくにできない60歳間近の男が登るのは無謀でしかない。本人はハイキングにでも向かうくらいの軽い気持ちだった。まあ、当然、強力なしっぺ返しと死の恐怖を味わって帰路につくことになる。

ルート選定でとんでもない登山路を選んでしまったと気づくのが遅かった。常念岳への日帰りルートは一ノ沢ルート、三股ルートで東京方面からだと三股ルートが最短になる。短い=急登、1500m以上の高低差があり体力を奪う。長い急登、その後の岩稜地帯でルートを間違う。やっと山頂に到着、休む間もなく下山。水場が無いため脱水気味に。前常念をすぎた岩稜地帯でルート間違いに気づかず下降し、崖際に追い込まれる。ルートに戻るために岩場を登り直すがルート見つからず。1時間ほど行ったり来たりを繰り返す。やっと登山道に戻る。もうダメかと思った時の恐怖は忘れられない。やっとの思い出で三股登山口に戻ってきた。足がパンパンで帰路の車の運転は足が攣り痙攣し出したため途中で休憩しながらやっと帰宅した。
ある意味で山の怖さを教えてくれた山。以降、装備、ルート、体力などを見直し、時間があれば近くの山で基礎体力をつけた。基礎を身につけ、段階的に山登りを進めたことで、それからの楽しい山登りに役立つ事になった。
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