公共施設の更新問題 先例地・秦野市に学ぶ 伊賀市で職員研修会
伊賀市は5月1日、同市上野丸之内のハイトピア伊賀で公共施設マネジメントについての職員研修会を開いた。午前と午後の2回に各課から2人以上の計約170人が参加した。
同市が誕生して今年で10年目。市町村合併で引き継いだ数多くの公共施設が更新時期を迎える前に、類似・余裕施設を整理して総量を縮減していく市の方針に対し、職員の認識を深めてもらおうと実施した。
講師を務めたのは、神奈川県秦野市の志村高史・公共施設再配置推進課長。同市は人口約17万人で、東京から約60キロ、横浜から約40キロの位置にあり、全国の自治体でもいち早く公共施設の更新問題に取り組んでいる。
同問題について、志村さんは都市化や経済成長とともに集中的な施設整備が進み、今後一斉に改修や建て替えなどの更新時期を迎えると説明。高齢化と生産年齢人口(15歳以上60歳未満)の減少が進展する現状に対し、対策に取り組まなければ財政悪化から必要性の高い公共施設まで維持管理できなくなる恐れがあると指摘した。
伊賀市については、主要施設の現状をまとめた公共施設白書から学校や庁舎、公民館、体育館、図書館といった"ハコモノ"の整備が1960年代から70年代の経済成長時と90年代の景気対策時、2000年半ばの合併特例債時の「3つの山」があり、更新問題が繰り返し長く続くと分析。このパターンは「安易な長寿命化に頼ろうとすれば、後世代の負担を重くすることにつながる」と警鐘を鳴らした。
更新問題の解決に向けたアドバイスでは
①新規のハコモノは原則建設しない。建設する場合は更新施設と同面積(コスト)分を取り止める
②現有施設の更新は機能維持を図りながら優先順位をつけて大幅に圧縮する
③優先度の低いハコモノは全て統廃合の対象にする
④ハコモノは一元的なマネジメントをする、という4点を基本方針に据えて公共施設の再配置を進めるべきだとした。
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