がんばれ橋下さん
大阪市の橋下徹市長率いる「大阪維新の会」は5日、次期衆院選の公約にあたる「維新八策」の修正案を公表した。消費税の地方税化などの目玉をそろえたが、具体的な数値や実現時期を示さなかったのは、マニフェスト違反を指摘される民主党を“反面教師”にしたといえそうだ。小沢政局に揺れる永田町を尻目に、橋下氏は着々と衆院選の準備を進めている。
修正案は、公務員の雇用期限を定める有期採用や公立学校教員の非公務員化など、民主党の支持団体である労組に厳しい内容だ。人気芸人の親族による受給問題をきっかけに行政の重要課題に浮上した生活保護では、現物支給や有期制、勤労収入の上積み制を導入し、被保護者の登録医制度や医療扶助の自己負担導入を提案した。
政局の焦点となっている消費税については、地方税化と地方交付税の廃止を改めて盛り込んだ。次期衆院選で争点に掲げる考えだ。この修正案は7日に開かれる維新政治塾の塾生にテキストとして配布し、公約決定までの議論のたたき台とする。
修正案について、みんなの党の渡辺喜美代表は5日のBS11番組で、「ほとんど全部のめる。当初案でも違うところを探すのに苦労した」と絶賛。橋下氏のメル友である民主党の前原誠司政調会長も同日の記者会見で「財源・権限を地方に移すという大きな方向性はわれわれと一致する。1つの意見として参考にしたい」と述べた。
一方で、維新八策では消費増税の是非には触れず、エネルギー政策にある「脱原発依存」に関しても依存度の数値や目標年次を定めなかった。橋下氏は「行政的な工程表なんて政治家は作れない。政治集団の一定の価値観をしっかり提示する」と述べており、今後も数値や工程表は盛り込まない見通しだ。
在阪ジャーナリストは「したたかな橋下氏は、民主党の失敗をよく見て反面教師にしている。民主党は『16・8兆円の無駄削減』や『子ども手当月額2万6000円』と細かい数字をマニフェストに入れたため、これを実現できず『ウソつき』『詐欺』との評判が定着した。そのため橋下氏は方向性や価値観だけを八策に入れた。ただ問題は、維新が議席を取ってもほとんどが素人議員になりそうな点。こればかりは民主党と変わらないかもしれない」と話している。
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