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STAP細胞 新型万能細胞を開発した小保方晴子さん

2014-01-30 14:37:49 | 科学

「間違い」と言われ夜通し泣き、デート中も研究忘れず…常識破りの新型万能細胞を開発した小保方晴子さん

 「誰も信じてくれなかったことが、何よりも大変だった」。従来の常識を打ち破る革新的な万能細胞「STAP細胞」を開発した理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー…(30)は、成功までの道のりをこう振り返った。

 STAP細胞が打ち破った常識は「動物細胞でも外的刺激で初期化した」「あまりに簡単すぎる技術で実現」など数多い。学位を取得して2年目の若き女性研究者が挙げた成果というのも、その一つだ。

 これほど常識破りだったため、昨年春、世界的に権威ある英科学誌ネイチャーに投稿した際は、「過去何百年の生物細胞学の歴史を愚弄していると酷評され、掲載を却下された」。

 だが、「STAP細胞は必ず人の役に立つ技術だ」との信念を貫いて膨大なデータを集め、今回は掲載にこぎつけた。「何度もやめようと思ったけれど、あと1日だけ頑張ろうと続けてきて、いつの間にか今日に至った」と話す。

 昭和58年、千葉県松戸市で生まれた。高校時代にたまたま手に取った科学雑誌の特集記事で「社会に貢献できる」と再生医療に強い興味を持ち、研究者への道を選んだ

 早稲田大大学院を平成20年に修了後、米ハーバード大医学部に留学。担当教官との議論から始めた実験で、動物細胞を外部刺激で初期化できるのではないかという感触を初めて得た。

 しかし、当時の実験データだけでは証明することができず、周りの研究者からは「きっと間違いだ」と言われた。くやしくて、泣き明かした夜は数知れないという。5年越しの努力で、ついに立証にこぎ着けた。

 STAP細胞の再生医療への応用については、「特定の一つの応用に限るのではなく、数十年後とか100年後の人類社会の貢献を意識して研究を進めたい」と将来を見据える。

 「お風呂のときもデートでも四六時中、研究のことを考えていた」というほどの研究の虫。実験で着るのは白衣ではなく、祖母からもらったかっぽう着だ。「おばあちゃんに応援されているような気がするから」と語る。

 実験室の壁はピンク色に塗り替えた。机にはキャラクターが並び「女子」の側面をのぞかせる。研究室にはペットのスッポン。「この子が来てから実験が軌道に乗ったので幸運の亀なんです」と笑顔を見せた。


不確定性原理に欠陥…「小澤の不等式」光で証明

2013-07-18 16:30:30 | 科学

不確定性原理に欠陥…「小澤の不等式」光で証明

電子の振る舞いなどミクロの世界を説明し、現代物理学の根幹とされる「不確定性原理」の数式に問題があることを示した理論が正しいことを、光を使った一般的な実験で証明したと、東北大と名古屋大の研究チームが17日、発表した。
 
名大の小澤正直教授が提唱した理論で、「小澤の不等式」と呼ばれる。現在のスーパーコンピューターよりはるかに高速な「量子コンピューター」の開発などに役立つとして期待されている
 
 ミクロの世界では、電子などの小さな粒子の位置を正確に測ろうとすると、粒子の質量と速度をかけた「運動量」が正確に測れなくなる。不確定性原理と呼ばれ、「ハイゼンベルクの不等式」という数式で表されるが、小澤教授は2003年、この不等式が成り立たない場合があることを数学を使って指摘した。小澤の不等式はこれまで中性子を使うなど特殊な方法で実証されてきた。今回、光を使った精密な実験で、ハイゼンベルクの不等式が成り立たない場合でも、小澤の不等式は成り立つことを確認したという。
 

  • 1974年 東京工業大学理学部情報科学科卒業
  • 1976年 東京工業大学理工学研究科情報科学専攻修士課程修了 (この間、吉田夏彦研究室にも出入りし、科学哲学も学ぶ)
  • 1979年 東京工業大学理工学研究科情報科学専攻博士課程修了 東京工業大学 理学博士 「Contributions to the mathematical foundations of quantum information theory and stationary processes(量子情報理論と定常過程論の数学的基礎に関する研究) 」
  • 1979年 東京工業大学講師
  • 1985年 名古屋大学講師
  • 1986年 名古屋大学助教授
  • 1995年 名古屋大学教授
  • 2001年 東北大学教授(大学院情報科学研究科)
  • 2008年 名古屋大学教授(大学院情報科学研究科)

ノーベル経済学受賞者が教える結婚相手を決める理論

2012-10-17 16:01:01 | 科学

【AFP=時事】「独身者の最適なパートナー選び」は2012年のノーベル経済学賞受賞者、米カリフォルニア大学ロサンゼルス校(University of California Los Angeles、UCLA)のロイド・シャプレー(Lloyd Shapley)名誉教授(89)とハーバード大学(Harvard University)のアルビン・ロス(Alvin Roth)教授(60)の研究テーマの1つだ。
 
ノーベル経済学賞、米国の2氏に(10月15日)
 
 経済学者であり数学者のシャプレー氏は、1960年代にハーバード大の同僚のデビッド・ゲール(David Gale)氏と共に、需要と供給の最適化を抽象的な理論上で分析した。この理論には「安定マッチング問題」として知られる実践的応用があった。
 
 ノーベル経済学賞の選考機関、スウェーデン王立科学アカデミー(Royal Swedish Academy of Sciences)によれば、シャプレー氏とゲール氏は「この理論の例証の一つに結婚を用い」、男女10人ずつを各自の好みを尊重しながら最適に組み合わせる方法を示そうとした。
 
 その代わりに「受入保留」(deferred acceptance)として知られる理論のおかげで、各々にとっての利益が最善となるカップルができた。
 
■最も良い結婚相手を決めるには
 
 まず第1ラウンドで、男性全員が自分が最も妻にしたいと思う女性にプロポーズする。複数の男性からプロポーズを受けた女性は、そのうち1人の男性のプロポーズを受け入れる。1人の男性からだけプロポーズされた女性もそのプロポーズを受け入れる。誰からもプロポーズされなかった女性は次のラウンドを待つ。
 
 次に第1希望の女性にプロポーズを断られた男性たちが第2ラウンドへ進み、第2希望の女性にプロポーズする。第1ラウンドですでに他の男性のプロポーズを受け入れている女性も、独身として第2希望の女性に含めることができる。
 
 こうして男性たちの希望リストが最後の女性に至るまで、この手順を繰り返す。途中、女性のほうは前のラウンドでプロポーズを受け入れていても、次のラウンドでプロポーズしてきた男性のほうが自分にとって好ましければ、前の婚約を解消できる。最終的に全員がパートナーを獲得する。
 
 スウェーデン王立科学アカデミーは、シャプレー氏とゲール氏によって、この演算手順(アルゴリズム)が常に安定した組み合わせ(マッチング)をもたらすことが数学的に証明されたとしている。
 
 ただし、このアルゴリズムは平等性の問題を解決しない。男性側がプロポーズしていった場合には、女性よりも男性にとってより好ましい結果となり、女性の側からプロポーズしていった場合にはその逆になるからだ。
 
 純粋に理論的なこのアルゴリズムは経済学の学生たちにとって古典的な存在となった。しかし、王立科学アカデミーによれば「実世界での妥当性が認識されたのはもっと後」であり、この理論を実践応用し、臓器移植での提供者と患者の組み合わせや、医学実習生と研修先の病院の組み合わせなどに適用したのが、今回のもう1人のノーベル経済学賞受賞者、アルビン・ロス氏だった。【翻訳編集】 AFPBB News


ラクイラ地震予知失敗専門家らに禁錮4年求刑

2012-09-26 09:08:55 | 科学

日本でも気象庁の責任を追及すべきだ。

【ジュネーブ時事】2009年4月に死者309人を出したイタリア中部ラクイラ地震で、発生を予知できず住民に警告しなかったとして過失致死罪で起訴された専門家ら7人に対する裁判があり、検察側は25日、7人それぞれに禁錮4年を求刑した。地元紙によると判決は来月23日までに言い渡される見通し。
 訴えられたのは、地震予知や被害評価を行う学識経験者ら当時の政府委員会メンバーら7人。ラクイラで頻発していた微震の分析を地震発生の6日前に実施しながら、大地震になる可能性が低いと結論付けたことで、甚大な被害が出る事態になったとして昨年5月に起訴された。 


トリウム熔融塩炉は未来の原発か?

2012-05-07 16:53:50 | 科学
オークリッジ国立研究所で1960年代に実際に稼働していた「熔融塩炉(MSR:Molten Salt Reactor)」が、ここ10年ほど大きな注目を集めるようになってきました。また、トリウム燃料の可能性も近年盛んに語られていますが、いわゆる「トリウム熔融塩炉」がいまこうして注目される理由は何なのでしょう?

世界における原子力発電の問題は何よりもまず、燃料として用いたプルトニウムの処理処分です。アメリカを中心に日本も、高速増殖炉によってその燃料を再利用できるようにすることをもくろんできたわけですが、これが開発開始から50年近く経ってもめどが見えない。そこでトリウム熔融塩炉が注目されるわけです。というのもトリウムは放射性物質なのですが、自ら核分裂は起こしません。そこでトリウム(Th232)からウラン233を生み出す必要があるのですが、その火種としてプルトニウムを使用することで、プルトニウムを消滅させることができるのです。

──トリウム熔融塩炉を使用すれば、プルトニウムを燃やしながら新たなエネルギーを生み出すことができる、ということですか?

そうです。現状における原発の計画は、軽水炉から出るプルトニウムを高速増殖炉で再処理して再び使うという「ウランープルトニウム・サイクル」を前提としたものですが、それがうまくできないことによって、プルトニウムの処理処分の問題が大きくなり続けています。加えて、核拡散の問題もあります。ところが「トリウムーウラン・サイクル」ですと、処理の問題も、核拡散の問題も解決できるのです。

──核兵器に転用できないということですか?

不可能ではありませんが、トリウムからはごく少量のプルトニウムしか生まれません。加えて、トリウムからウラン233とともに生成されるウラン232は強いガンマ線が発生しますから、検知が容易だということも兵器利用の抑止という観点からはメリットです。

──トリウムは世界中で採れるのでしょうか?

世界中のほとんどの国で採掘できます。残念ながら日本では採れませんが、実はトリウムは、電気自動車やハイテク機器に欠かせないレアアースに含まれているもので、現在世界中で発掘されているレアアースの副産物としてすでに年間1万トンほどが採掘されています。けれども放射性物質ですから処分に困ってるわけですね。それを利用できるとなると燃料問題はおよそ片付いてしまいます。というのも、年間1万トンのトリウムで100万kWeの原子力発電所を1万基稼働できてしまうからです。

──安全性はどうでしょう?

トリウム熔融塩炉というのは、LiF-BeF2というフッ化物熔融塩に、親物質としてのトリウムと、核分裂性物質のウランまたはプルトニウムを混合し、それを液体燃料として用いるものです。つまり燃料が液体で、それ自体がすでに溶けているわけですからメルトダウンという状況が起きません。また熔融塩は、沸点が1,500°Cという高温で、かつ化学的には空気と反応したりすることがありません。これはどういうことかというと、水の場合、温度を上げようとすると圧力をかけないといけませんけれど、そういった操作なしに簡単に扱えるんですね。だから炉心の外壁にしたって、軽水炉のように分厚いものである必要がないですし、福島のように水蒸気や水素が容器や格納室にたまって爆発するようなことがないのです。

──とはいえ、福島のようにすべての電力系が失われたら、やはり危険ですよね?

もちろん危険ではあります。液体燃料とはいえそれ自体は放射線を出していますから。ただ、爆発要因はありませんから、セシウムなどの放射性物質が空気中に飛散するといった状況は起こりません。燃料の温度が上がりすぎて、かりに容器を溶かして外に流れ出しても一定期間で放熱をし終えると固体となって固まります。その間、なんらかの方法で冷却する必要はあるでしょうけれど、オークリッジではプールのようなものの中に自動的に燃料が流れ込むようなことを考えていたようです。

──トリウムを固体燃料として現状の軽水炉で使用する、という可能性はありませんか?

トリウムに関する国際会議で、フランスのアレバ社の担当が言ってましたけれど、トリウムを軽水炉で利用するメリットはあまりないんです。というのも、固体のトリウムは再処理をしてウラン233を取り出すのが難しいんですね。つまり増殖することができないんです。ですから、トリウムをただ燃やすだけになってしまいますし、併用するウラン燃料からは新たなプルトニウムも発生しますから問題の解決にはなりません。熔融塩炉で液体として利用すれば増殖が可能で、かつプルトニウムも燃やすことができる。トリウムを利用するなら、熔融塩炉がいちばん理にかなったやり方です。

──なぜ、これほどいいことずくめの技術が、日の目を見なかったのでしょう?

それが核兵器に使えないからですよ(笑)。と、もうひとつあるとすれば、熔融塩っていうのは化学の範疇なんですよ。そもそも軽水炉を含めた原子力発電所っていうのは、一種の「化学プラント」であって、本当は電気屋さんではなく、化学の専門家が扱うべきなんです。それはワインバーグもウィグナーも言っていたことで、日本でいち早くトリウム熔融塩炉の可能性に気づいた古川和男先生も言っていたことです。古川先生は1960年代からナトリウムの世界的な権威だったわけです。その人から見ると、ナトリウムを利用した高速増殖炉はきっと危なくて仕方のないものに見えていたはずで、一方、不活性な熔融塩がよさそうだというのは直観でわかっていたんですね。だから先生は、オークリッジの熔融塩実験炉を見て「自分の直観は正しかった」と思って帰ってこられたわけです。

──古川先生は原子力研究所で高速増殖炉の研究をされていたんですよね?

そうです。ただ、軽水炉と高速増殖炉は国の既定路線ですから、ある時期からはだいぶ煙たがられていたみたいですね。それと違うもののほうが優れていると考える人は、あまりありがたくなかったんじゃないでしょうか。

──吉岡先生はなぜ熔融塩炉に?

わたしは70年代に原子力の世界に入りましたが、当時は高速増殖炉に夢がもたれていた時代で、わたしもそうだったんです。以後、高速増殖炉を少し手がけた後、主に軽水炉の設計をやってきたわけですが、90年代初頭に、高速増殖炉はなんでこんなに長く研究をやってるのに結果が出ないんだ、そもそも無理があるんじゃないのか、と思うようになったんです。そのころ古川先生の研究に出合って、自分でも計算してみたら、これは正しいなと思えたんです。

──ところで、本誌でワインバーグ博士を取り上げることに驚かれてましたね(笑)。

スティーブ・ジョブズならともかく(笑)、ワインバーグ博士の記事をつくると聞いて驚きました。ふたりの共通点を挙げるとするなら、未来を見据えた天才だということでしょうか。ワインバーグは軽水炉の発明者でした。世界の原発の生みの親と言えるでしょう。その彼が、軽水炉の危険性やプルトニウム問題を50年前に指摘し、安全でプルトニウム問題もないトリウム熔融塩炉を推進したわけです。

──日本でトリウム熔融塩炉が、実現する可能性はありますか?

古川先生に初めてお会いしたときに言われたのは、日本は問題じゃないということなんです。つまり日本は人口がこれからどんどん減っていきますが、世界はそうじゃない、ということです。アジア、アフリカといった地域の人たちの生活レヴェルが上がっていったときにどう電力を供給するか、これを考えるのが先進国としての日本人の務めだと、こう言われたんです。世界を考えなさいと。ですから、わたしも原発の未来に関する議論においては日本のことはあまり考えてません。

──日本の原発業界は世界の状況はあまり考えてこなかった、ということになりますか?

ええ。日本の原子力産業っていうのは、結局、日本国内の需要だけで成り立っている極めて内向きなもので、いまになって輸出だなんて言って四苦八苦してますけれども、いままで海外に出たことなんかないわけですから、それも当たり前です。熔融塩炉に関して言うと、日本には熔融塩の研究者は他国と比べるとたくさんいますし、黒鉛の専門メーカーもある。そのほか鉄鋼技術や高温融体の研究なども進んでいます。つまり日本がリードできる要素技術はもっているわけですし、それを新しい産業へと発展できるんです。中国が開発に乗り出すというのなら、日本の技術力を生かすいい機会だと思いますよ。本当は原子力研究所などがやるべきなんですが、高速増殖炉と軽水炉の路線が法律で決められちゃってますからね。

──福島の事故は、世界に脱原発の動きを促した、というようなことはないんですか?

残念ながら、その方向は難しいでしょう。80億とも90億とも言われる膨大な人口増加によるエネルギー需要を賄うための現実的な方策としては、原子力以外にいま有効な手だてはありませんから、その研究・開発を止めるという選択肢はありません。もちろん並行してさまざまな研究も行うべきだと思いますが、福島が与えた教訓を生かしながら、そういう世界全体の動きについていく以外の道はないように思います。