中村彝のこの俊子像は、1953年に東京国立近代美術館のある展覧会に出品されたのを最後に、その後、いかなる中村彝の主だった展覧会にも姿を現していない。秘蔵されたままなのか?
横須賀市が彝の俊子像を収蔵したのは、当時、茨城県の公立美術館で仕事をしていた私から見ると、とても羨むべきことだったが、それでも個人蔵の優れた作品が公立の美術館に収蔵されたのは、とても良かった。
だから、ここに白黒図版に掲げた作品も公立、または私立の美術館に直ちに収蔵されるべきだというわけではない。
ただ、この作品は、ここに掲げた図版で見る限り、既にかなり傷んででいるようにも見える。
優れた修復家によって、修復が必要な作品かも知れない。
もし、未だ何も修復されていないとすれば、どうなっているのだろう。
非常に気掛かりだ。美術作品は、優れているものなら、美術館への寄託という手もある。
この作品は、きちんとした、画像記録も残すに値する作品だと思う。
この作品の寄託を受け入れる美術館も、あるだろう。
この作品は、今、どこにあるのだろう。秘蔵されたままなのか?