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美術の学芸ノート

中村彝などを中心に近代日本美術、印象派などの西洋美術の他、独言やメモなど。現在、「はてなブログ」に引越し中。

辻永の「サンジェルマンの春」(茨城県近代美術館蔵蔵)とシスレー

2024-05-01 09:58:36 | 日本美術

 茨城県近代美術館に、辻永が描いた「サンジェルマンの春」という作品がある。以下は、この作品が同館に展示されている頃、2作品の比較上興味深いシスレー作品のリンク先をかつて2019年2月Twitterに示したことがある。タイトルもそっくりだ。

 シスレーの下記のリンクに見られる作品は、辻永の作品よりもかなり遠景のテラス(高台)から橋の方を眺めた構図のパノラミックな作品で、画家の立っている視点は全く同一とは言えないかもしれないが、これによって、辻が描いた作品の「サンジェルマン」とは《サン・ジェルマン ・アン ・レー》だと分かる。

https://art.thewalters.org/detail/17847/the-terrace-at-saint-germain-spring/

 「サン・ジェルマン・ アン・ レーは人口4万人ほどの町だが、ドビュッシーはここの生まれ。オルガン奏者のマリー・ クレール ・アランも。モーリス・ ドニもゆかりの画家。

 サッカーファンには知られた町らしいが、辻永の「サンジェルマンの春」の「サンジェルマン」も実はサン・ジェルマン・ アン ・レーのことだ。

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"雨柱"を描いた小堀進の水彩画「霞ヶ浦」(1957)

2023-08-08 22:40:45 | 日本美術
 小堀進は優れた水彩画家である。その筆さばきは、常にスピード感と力強さ、軽快感と爽快さを持っている。殆んどためらいを感じさせないその職人技巧が作品を鑑賞する者にいつも新鮮な感情を呼び起こす。

 小堀が描いた「霞ヶ浦」と題された作品は複数ある。が、きわめて大胆に"雨柱"または"雨脚"と言われる気象現象を画面空間に投げ入れた1957年の作品が特に面白い。

 この雨柱、または雨脚というのは、稀に見られる気象現象を示す言葉である。が、この現象を実際の風景の中で見たことがある人なら、小堀がここで描ているテーマが劇的な雲と光の変化であり、そのモティーフの一つがまさに雨柱だということがよく分かるであろう。

 すなわち「霞ヶ浦」の画面中央下部やや右側のグレーの雲からやや斜めに垂れ下がる筆跡が見える。これが遠方に見える雨柱である。また、画面左方でも垂直方向に刷毛を走らせているようにも見えるのも、より近景に見える雨柱(雨脚)の表現だろう。

 画面中央上方には白く光る雲に青空がぽっかり現れており、画面をダイナミックに支配する大きく横に流れるグレーの雲と劇的な対比をなす。雨柱が見えるような気象は瞬時に変化するのだ。

 大空の雲と光の大胆、時には繊細な変化こそ、小堀がいつも見ていた芸術上の主要な舞台空間だ。

(著作権法の関係でこの作品の画像を示せないのだが、これはこの画家の代表的な作品でもあるので、ネット上で画像検索すれば容易に出てくるかもしれない。)

 残念ながらこの作品は、小堀の水彩画を多数所蔵する茨城県近代美術館のコレクションにはまだ含まれていない。
 かつて所有者が手放さなかったのかもしれないが、もし、私に作品を選ぶ権利があるなら、何としてもそのコレクションに加えたい一点である。

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川瀬巴水と日立

2023-02-13 18:19:19 | 日本美術
 2023-1-20の朝日新聞の地方版に「版画家・川瀬巴水の旅路を本に 日立拠点の愛好会」の記事が載っていた。概ね以下のような内容。

・川瀬巴水とその時代を知る会
・キリスト教大学文学部の染谷智幸教授を中心に活動
・柏市のギャラリーを営む鈴木昇氏も
・シオン学園の学内に4点の作品がある
・金郷村という作品があり、助川桂子さんら会員がモティーフの場所を特定した
・「川瀬巴水探索」(文学通信刊)という本が出版された
・会は河原子海岸、五浦海岸、平潟港を訪ね歩いた

 そう言えば、私も3~40年ほど前に日立市内のある簡易食堂で川瀬巴水の版画が店内に掛けられているのを見たことがあった。その時、店主と巴水について言葉を交わしたことがあったが、どんなことを話したかは覚えがない。

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梅津時比古の「音のかなたへ」より

2021-09-25 17:21:00 | 日本美術
2021-9-25の毎日新聞記事に吉村利美のことが書いてある。吉村、茨城県生まれ、弘前市などで陶芸を続け2016年に亡くなった…
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宿の忘れ物から江戸時代の使用者を特定

2019-08-02 16:03:00 | 日本美術
2019年7月26日の毎日新聞に載った記事から。
昔の著名人物が宿に泊まり、その時忘れ物をした。
新聞では新選組の土方歳三らの例。
木製の煙管が忘れられた。そこには付箋が結わえられ、発見場所、日付などが記入。
宿には大福帳も残っていた。
こんな風にして、昔の使用者が特定できることがあるのだな。
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