隣家の行水を屋根から覗いてしまった漫画サザエさんの波平は、久米の仙人よろしく屋根から転落。
波平は台風接近で屋根に登ってそれに備えようとしていたのだ。
「波平の胸中には、恥ずかしさ、情けなさ、怪我のつらさなど、さまざまな思いが渦巻いていたことだろう。」
「サザエさんをさがして」、朝日新聞2024-8-24より
小林伸行氏による同記事によると、昭和38年には、2037万7千戸のうち、浴槽のある家は約59%、昭和43年でも約66%に過ぎなかったらしい。
日本人は、まだ、けっこう行水や銭湯を利用していたのだ。
下宿の大学生なども銭湯に行っていたのだ。そういえば、神田川などの歌があったが、これは冬の銭湯の情景が歌詞に織り込まれていたな。
先の漫画は、昭和29年8月24日のものというから、もちろん、ふつうの家庭での夏の行水は日常のものだった。
茨城県の日立の画家、広原長七郎さんの優れたデッサンにも父親の行水を背中から描いた作品があった。