先日、「進行基準が日本のIT産業の“ガラパゴス化”を止める」と題した
日経ITProの記事への反論をシリーズで載せました。
結論から言えば、ITProの記事にある工事進行基準にしたから、
きちんとした要件定義、仕様の確定、精度の高い見積原価になると言う
論旨の展開は信じられません。
そりゃ、見積もりも適当、どんぶりでスタートし、
原価管理もいい加減にやっているところは、よくなるかもしれません。
しかし、ちゃんとしたSIERやシステム開発会社は、
もともと、工事進行基準によらずとも、
要件定義、仕様確定、原価見積をきちんとやるだけでなく、
作業中の進捗管理、原価管理をきちんとやっています。
さらに工事進行基準に潜む、利益先出し、赤字隠ぺい的性質を明らかにし、
そして税務当局が税金を取るための仕組みではないかとの疑念を提示しました。
では、企業側、先の記述でいえばSIERやシステム開発会社だが、
彼らにとってメリットは無いのでしょうか。
この点、疑問に思ったので、
あるIT系企業のシステム部長にインタビューしてみました。
匿名を条件にその人が明らかにしてくれたことは、
メリットはズバリ「売上が立つ」ことに尽きる、ということでした。
売上をどの時点で立てるかと言うのは、会社経理だけでなく、
現業の損益部門にとっても非常に重要です。
システム開発が終了してから、その代金が入金されるまでには、
いくつかの段階と言うかイベントがあります。
製造/テスト完了、社内検査合格、出荷、納品、顧客検収合格、請求、入金。
(この順に発生するとは限りません、また、仮納品とか顧客試用などのことも)
どの時点で売り上げるのか、
経理事務的に決まるのか、商法上規定があるのかよく知りませんが、
いずれにしても、システムが完成して製造部門の手を離れた後になります。
ところが、工事進行基準の記事で書いたように、
システム開発が何期にもまたがる場合、
そういう場合ほど、受注金額も高くなるわけですが、
完成まで一切売り上げが立たない、と言うことになると、
部門の業績に多大な影響が出るわけです。
受注がたくさんあって、仕事も順調にこなしているのに、
部門損益は赤字になることも十分あり得ます。
仕掛残がいくらあっても、予算を達成するだけの売り上げがあれば、
何も問題もありません。
むしろ仕掛残は、翌期の業績に「+」に働くので、
大きな仕掛残を持っている方が業績管理上良いとも言えます。
部門の経営と言うか運営と言うか、その点でも、
多くの仕掛を抱えることは、多くの受注済み物件を抱えていることで、
むしろいいことだとも考えられます。
しかし、売り上げ未達の場合はどうでしょう。
いわゆる減収減益によって利益を圧迫するだけでなく、
一般費、事業部費、本社費、等々間接費の部門賦課が回収できず、
減収以上の減益になります。
(売りが半分だと利益が半分ではなく、もっと悪いということ)
つまり、損益達成のためには、
多少無理しても売上げを立てた方がいい、と言うことになります。
そして、工事進行基準はこの考えに即した方法だ、と言うことなのです。
これでも「ガラパゴスからの脱却」になるのでしょうか。
日経ITProの記事への反論をシリーズで載せました。
結論から言えば、ITProの記事にある工事進行基準にしたから、
きちんとした要件定義、仕様の確定、精度の高い見積原価になると言う
論旨の展開は信じられません。
そりゃ、見積もりも適当、どんぶりでスタートし、
原価管理もいい加減にやっているところは、よくなるかもしれません。
しかし、ちゃんとしたSIERやシステム開発会社は、
もともと、工事進行基準によらずとも、
要件定義、仕様確定、原価見積をきちんとやるだけでなく、
作業中の進捗管理、原価管理をきちんとやっています。
さらに工事進行基準に潜む、利益先出し、赤字隠ぺい的性質を明らかにし、
そして税務当局が税金を取るための仕組みではないかとの疑念を提示しました。
では、企業側、先の記述でいえばSIERやシステム開発会社だが、
彼らにとってメリットは無いのでしょうか。
この点、疑問に思ったので、
あるIT系企業のシステム部長にインタビューしてみました。
匿名を条件にその人が明らかにしてくれたことは、
メリットはズバリ「売上が立つ」ことに尽きる、ということでした。
売上をどの時点で立てるかと言うのは、会社経理だけでなく、
現業の損益部門にとっても非常に重要です。
システム開発が終了してから、その代金が入金されるまでには、
いくつかの段階と言うかイベントがあります。
製造/テスト完了、社内検査合格、出荷、納品、顧客検収合格、請求、入金。
(この順に発生するとは限りません、また、仮納品とか顧客試用などのことも)
どの時点で売り上げるのか、
経理事務的に決まるのか、商法上規定があるのかよく知りませんが、
いずれにしても、システムが完成して製造部門の手を離れた後になります。
ところが、工事進行基準の記事で書いたように、
システム開発が何期にもまたがる場合、
そういう場合ほど、受注金額も高くなるわけですが、
完成まで一切売り上げが立たない、と言うことになると、
部門の業績に多大な影響が出るわけです。
受注がたくさんあって、仕事も順調にこなしているのに、
部門損益は赤字になることも十分あり得ます。
仕掛残がいくらあっても、予算を達成するだけの売り上げがあれば、
何も問題もありません。
むしろ仕掛残は、翌期の業績に「+」に働くので、
大きな仕掛残を持っている方が業績管理上良いとも言えます。
部門の経営と言うか運営と言うか、その点でも、
多くの仕掛を抱えることは、多くの受注済み物件を抱えていることで、
むしろいいことだとも考えられます。
しかし、売り上げ未達の場合はどうでしょう。
いわゆる減収減益によって利益を圧迫するだけでなく、
一般費、事業部費、本社費、等々間接費の部門賦課が回収できず、
減収以上の減益になります。
(売りが半分だと利益が半分ではなく、もっと悪いということ)
つまり、損益達成のためには、
多少無理しても売上げを立てた方がいい、と言うことになります。
そして、工事進行基準はこの考えに即した方法だ、と言うことなのです。
これでも「ガラパゴスからの脱却」になるのでしょうか。
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