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偽装請負、二重派遣。そして、作業請負。

2006-07-31 11:18:38 | IT
「偽装請負」労働が製造業で横行 実質派遣、簡単にクビ (朝日新聞) - goo ニュース

1985に派遣業法が出来たときIT業界はてんやわんやだったはずだ。
というのもそれまでは実質派遣、二重、三重派遣が業界の常だったから。

IT業界の実態を踏まえたのかどうかは知らないが、
「ソフトウェアの開発」は当初から派遣の対象だった。

どの会社も人不足で、必要人数の変動の激しい大きいソフト開発を
自前で全部抱えるのは無理。
開発期間にあわせて技術者を調達できる方がずっと便利で効率もよい。

派遣受け入れは時代の要請でもあった。
技術者を派遣するのは、ソフト会社の主要業務のひとつだった。

しかし、大きい問題があった。
それは業界の構造である。

もちろん各ソフト会社の直受もあるが、営業力の問題などもあって、
総合電機メーカーが元請として、大規模プロジェクトを受注、
子会社や関連会社、協力会社から人材を調達して開発に当たる。

総合電機メーカーが元請、子会社/関連会社/協力会社が下請け、
下請けの会社はさらに下請け孫請けを使う。

建設業界の構図と似ているかもしれない。

ただ、建築では、配管工が塗装をすることはないでしょうし、
塗装工は鳶の仕事はいないでしょう。
また、とび職が内装工事はしないでしょう。

しかし、ソフト開発では、作業が明確に分担されているわけではなく、
元請も下請けも孫請けも渾然一体となって仕事をするのだ。

下請けであるソフト(派遣)会社の多くは、既に多くの派遣受け入れをしていたが、
法によればこれらの技術者を今までの客先に派遣することは出来ない、
二重派遣になるから。

二重派遣にならないためにはどうするか、
それは実に簡単、「請負」にすれば良い。

口で言うのは簡単だ。
派遣は作業結果に責任を持たなくてよい。
如何に多くの優秀な技術者を抱えるかが勝負だ。

請負はそうは行かない。
まず、大前提として成果、結果に責任が生じる。
作業指示、監督責任も生じる。労務管理ももちろん責任を持ってやる。
技術者の教育育成も下請けがやる。
しかも、ソフトウェアの外注は出す方にとっても簡単ではない。

既に実質派遣で多くの人材を受け入れて、
労務管理も含めてやっていた元請にとっては
従来どおり作業が出来るよう、
実質派遣は派遣受け入れにするほうが理にかなっている。

しかし、問題は、派遣が出来ない下請け会社があること。
つまり元請が受け入れていた技術者の中には孫請けの人間がいること。

下請けは孫請けから派遣受け入れは出来るが、
そうすると元請は、その(孫請けの)技術者を派遣受け入れできない。

そこで、元請は、考えました。
そして生まれたのが
「作業請負」
(会社によって呼び名は違うかも)

ソフトウェア開発を請け負う、といえば、
何をいつまでにいくらで開発するかを決めるものだと思うが、
「作業請負」では、
具体的にどんなソフトウェアを開発するかは決めず、
ソフトウェア開発という作業自体を請け負うのだ。

これで派遣の問題がクリアーされ、
数年は(いや、もっとか)同じような形態の作業が続いたはずだ。

しかし、よく考えてみると派遣ですら「専門性の高い技術者」を派遣する
のであって、まったく知識のない新人を派遣することはちょっとおかしい。

それなのに、せいぜい入社時社員教育を受けた程度の新人に
ソフト開発作業を請負させるなんてどう考えても無理がある。
元請の開発技法に慣れるという名目で初歩の開発教育すら元請がやっている。

管理監督は下請けの責任だが、
元請と同じ島に並んで座り、
元請の先輩の指導を受け、
元請と同じ行動を取っていて、
下請けに監督が出来るものでしょうか。

どんどん本当の請負化が進み、
グレーな請負契約は減っているとは思うが、
「作業請負」は残っているようにも聞く。

必ずしも簡単に首を切ったりはしていないし、
派遣労働者が一方的に不利ということもないと思うが、
本当に厳格に法を適用したら、摘発企業続出ではないか。

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