向田邦子の「眠る盃」を読了。
今朝方まで藤沢周平の「暁のひかり」を読んでいた。よって、寝不足である。
午前中に届いたアマゾンからの宅急便に着物本と、向田とあともう一冊。
さくさくっと着物本を読み、午後は向田に取り掛かる。
今日は夜が長い。
夕飯が早かったのだ。だからそれ以降の時間がたっぷりある。夜長だ、夜長。
ところどころでホロホロと泣きながら、しかも何に泣いているかも良く分からない。
秋のせいかもしれない。くすっと笑い、じぃんと目元が潤みながら向田を読む。
友人にメールで「秋かねぇ?」と尋ねると「めちゃめちゃ、秋だよ」と断言された。
そうか、めちゃめちゃ秋なのか、と繰り返してみる。そういえば、拙宅の階段辺りでどこからともなく金木犀の香りが漂ってきた。そうか、秋なのか。噛み締めながら再び本に目を移した。
不思議なもので、心に残っているはずなのに、読んだ直後に私は彼女の話を忘れてしまう。清涼すぎるのだろうか。(単に若年性痴呆症、という噂もある。)
今度調べてみようとか、食べてみようとか、行ってみようとか。
思っている事はたくさんあるはずなんだのに。
父が相変わらず抜かりなく買ってきてくれたお彼岸のおはぎを食べながら、そうか、秋なのかと当て所もなくつぶやいてみる。
紅い彼岸花の群生が見たいな、とふと思った。