「平和と人権」 「八重山」 情報 PT.1 アーカイブ

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沖縄・八重山から アーカイブ③ 2011 8月10日より

2011-09-21 21:09:52 | インポート

9月27日 沖縄タイムス
泡瀬監視委 工事月内再開に意欲

中断している泡瀬沖合埋め立て事業(東部海浜開発事業)の環境計画に関する第1回中城湾港泡瀬地区環境監視委員会(委員長・上原方成琉大名誉教授)が26日、那覇市内で開かれ、2011年度計画を審議した。沖縄総合事務局開発建設部の小野正博港湾空港指導官は「意見を基に修正すべきところがあれば計画に反映させる。早ければ9月末にも工事に着手したい」と再開に意欲を示した。

委員会には17人の委員(代理含む)のほか沖縄総合事務局、県の職員が出席。約30人が傍聴した。
一部の委員が環境調査の不備などを理由に工事中止を求めた。総合事務局は同委は多数決などで総意を集約する場ではないと説明したが、上原委員長は委員会後の会見で「(審議結果は)当然。満足している」と述べ、全体としておおむね了承したとの認識を示した。

沖縄総合事務局は11年度調査の方針に、干潟の水質や生物の生息状況に関し、第2区域への調査地点の追加などを提案。10年度実施調査の報告では、調査項目の全てで工事中断前と比べて大きな変化はなかったとした。前回までの委員1人が今回委嘱されなかった理由として「(委嘱しなかった人物は)泡瀬第2次訴訟の原告団であり、事業主と利害関係者に当たるということでご遠慮いただいた」と説明した。県の担当者も工事再開に向けて工事契約を進めているとした。第2回委員会は年度末に開かれる予定。

開発委員が辞任を表明

26日に開かれた泡瀬沖合埋め立て事業の中城湾港泡瀬地区環境監視委員会終了後、開発法子委員(日本自然保護協会事務局長)は県庁で会見し、委員会運営が「事業推進ありきだ」とし、委員を辞任する意向を表明した。

開発委員は26日の委員会について、科学的な根拠が置き去りのまま議論が進み「形骸化している」と批判。「(事業者が)委員会には自然保護団体も入っていた、と後でアリバイづくりに使われるのはまっぴらだ」と訴えた。

泡瀬干潟を守る連絡会も抗議声明を発表。「委員会は解散して事業者の意向に左右されない第三者の委員会を設置すべきだ」と指摘し「少なくとも第2次泡瀬訴訟結審まで工事を中断すべきだ」と訴えた。

9月21日 沖縄タイムス

米紙(NYTimes)電子版に「辺野古反対」意見広告

米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に反対する県内外の市民団体などは21~24日にかけて、米ニューヨーク・タイムズ紙のウェブ版に意見広告を出す。辺野古反対のほか同飛行場の即時閉鎖、海兵隊の沖縄からの撤退などを訴える。

今回は野田佳彦首相の訪米に合わせて、市民のメッセージとして米側に発信することが狙い。ウェブ版にある2カ所の意見広告のバナー(画像)をクリックすれば見ることができる。

アドレスはhttp://www.nytimes.com/pages/world/index.html

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広告全8ページ ダウンロード:  「ny_times_ad_0921.pdf」をダウンロード

9月23日 八重山毎日
自衛隊誘致、来月末に住民説明会開く 与那国町議会

9月定例与那国町議会(前西原武三議長)の一般質問最終日は22日、前日から続く糸数健一と嵩西茂則、崎元俊男、田里千代基の4氏が質問した。

嵩西、崎元、田里氏の3氏がただした自衛隊誘致問題で、マスコミで報道されている部隊設置場所の事実確認したのに対し外間町長は「防衛省からの場所の話は一切ない。来年度の予算要求のなかで場所が決まってくると思うので、10月末には住民説明会を開き、住民の意向を聞きたい」と答弁した。
 
先日、与那国改革会議からの誘致決議の撤回と誘致活動の中止要請に対する考えについて外間町長は「謙虚に受け止めているが、時期遅しと考える。私の手を離れた」と述べた。崎元氏と田里氏がただした住民説明会の開催と住民投票の実施については「住民投票はしない。自衛隊誘致を争点とした町長選、議員選の結果が民意と考える」と否定した。
 
自衛隊が入った場合に危惧(きぐ)される米軍との共同使用について外間町長は「県民の1人として米軍に対してはあくまでも反対だ。掃海艇の入港時にも反対している。米軍がくる時には拳を上げて反対する」と、米軍の使用には断固反対する考えを示した。

9月21日 八重山毎日
陸自誘致の決議撤回を 与那国改革会議、町と町議会に要請
誘致活動の中止も求める

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外間守吉町長に与那国町への自衛隊誘致決議の撤回と誘致活動の中止を求める

与那国改革会議の崎原正吉議長ら

与那国への自衛隊誘致に反対している与那国改革会議の崎原正吉議長ら20人余が20日午前、町役場を訪れ、外間守吉町長と前西原武三町議会議長に町内外2331人分の署名を添え、町への自衛隊誘致決議の撤回と誘致活動の中止を要請した。要請に外間町長は「すでにスイッチが入っており、後戻りできない」と誘致活動の中止に難色を示した。前西原議長は「要請を真摯(しんし)に受け止め、議会としての態度を表明したい」と述べた。同会議は、前回の誘致署名の賛同者26人分の署名撤回も提出した。

改革会議は、昨年11月から町への自衛隊誘致決議の撤回と誘致活動の中止を求め署名活動を展開。町在住556人と島外1775人の計2331人の署名を集めた。要請では「556人の署名が示す通り、町民の決意と民意は自衛隊誘致ではなく、自衛隊誘致決議の撤回と誘致活動の中止であることは明白」として、速やかな誘致決議の撤回と誘致活動の中止を求めた。
 
改革会議の崎原議長は「与那国には賛成、反対がある。町内で大いに議論すべきだ」と述べ、町民への十分な説明と、住民投票での判断を要望。参加者から「自衛隊がここにあるということは、米軍も使用することにつながる」などの反対意見が上がった。
 
外間町長は「すでにスイッチが入っており、後戻りできない。来月後半に用地選定で住民説明会を開く。米軍の使用については反対だ」と述べた。

議会への提案については「自衛隊誘致に賛成している立場であり、提案できない」と否定。これに崎原議長が「町民の意見であり、町長には(議会に)提案する義務がある」と激しく抗議した。
 
自衛隊誘致をめぐっては、与那国防衛協会(金城信浩会長)が2008年9月に町民514人分の署名を添えて町議会に誘致を要請。町議会が賛成多数で決議。外間町長と議長連名で国に誘致を要請。国は昨年12月に閣議決定した新防衛大綱、5年間の中期防で「南西地域の島しょ部に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を新設し、配置する」と明記。15年度までに同町に100人規模の沿岸監視部隊を配置する方針を示している。

9月21日 琉球新報
自衛隊誘致中止訴え 与那国改革会議    

与那国島への自衛隊配備に反対する与那国改革会議(崎原正吉議長)は20日、自衛隊誘致に反対する町民556人分の署名を外間守吉与那国町長と前西原武三同町議会議長に提出し、誘致活動の中止を要請した。同町が自衛隊誘致活動を行うきっかけとなった誘致賛成署名514人を上回っている。
 
外間町長は「来月には(防衛省の)次年度概算要求も出るので後戻りはできない。誘致活動は3年前から始めており、もう遅い」と誘致姿勢を崩さない考え。10月末にも住民説明会を行い理解を求める予定だ。
 
要請書は「町民の決意と民意は自衛隊誘致ではなく自衛隊誘致決議の撤回と誘致活動中止であることは明白」と指摘。外間町長や町議会が防衛相に誘致反対を表明することを求めた。町民556人分の署名のほか、町外1775人の署名と誘致賛成署名を撤回する26人分の意思表示書面も提出した。町内の女性団体「与那国島の明るい未来を願うイソバの会」も誘致撤回を求める要請書を外間町長に渡した。

9月18日 沖縄タイムス
対馬丸記念館 寄付減り修繕ままならず

子供ら1476人が犠牲になった学童疎開船「対馬丸」の悲劇を後世に伝えようと2004年に開館した対馬丸記念館(那覇市)の運営に黄信号がともっている。事業活動費(運営費)の大半を占める寄付金収入が景気低迷の影響を受けピーク時の3分の1に落ち込み、映像機器や施設のメンテナンスにも影響が出ている。同館は「戦争に巻き込まれた子供たちのためつくられた日本で唯一の平和記念館の灯を消すことはできない」(高良政勝館長)と県に支援を求めている。(知念清張)

常設展示や光熱費などに充てる事業活動費の大半を占める寄付金はピーク時の08年度1566万円から09年度1060万円、10年度551万円と激減。遺族らでつくる対馬丸記念会会員の会費111万円や入館料収入443万円などを合わせた昨年度の事業活動収入は1154万円で25万円の赤字に転落した。

語り部の証言映像など、悲惨な体験を分かりやすく伝える3台の映像機器のうち1台は故障。「イヤホンも頻繁に壊れ、映像機器の修理に10万円近くかかる」ため修理のめどがたっていない。また、台風で強い風雨に見舞われると事務所の壁などから水が染み出す。「プロジェクターの電照やエレベーター管理費など今後施設維持にかかる費用は増える一方」だという。

開館当時101枚だった学童の遺影も274枚に増えた。遺族から寄せられる小さく傷みの激しい写真を修復し、パネル展示するためには1枚7千円から1万円ほどかかる。「収集写真が増えるほど運営が厳しさを増す」皮肉な状況だ。戦時中の状況を説明できる学芸員も、配置できない。国は企画展などに年間1100万円を補助している。だが、国からの補助金は使途が限定され、運営費には使えない。那覇市も固定資産税など約130万円を免除するなどしているが、県からの支援はない。

高良館長は県と県議会に陳情書を提出。「不安定な寄付に頼るのは今後の運営を考えた場合極めて厳しい」として、「未来を担う子供たちに平和の種をまき、育むための施設。戦時下で県は学童疎開を強力に推進した。原点に返り、県も戦後処理の一つとして、協力してほしい」と県に運営費の補助を訴えている。

対馬丸記念館 

那覇から九州へ向かった学童疎開船「対馬丸」が1944年8月22日、米潜水艦に鹿児島県悪石島沖で撃沈された悲劇を後世に伝えるため2004年に国が建設費約2億4千万円、展示経費6000万円を支出して開館。年間入場者は1万3594人(2010年度)で増加傾向にある。県は国による慰謝事業として実施されていることや県議会の同意がない限り、財政支援は厳しいとの姿勢を示している。

9月18日 琉球新報
07 年6月米掃海艦与那国寄港 外務省職員が支援      

内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米公電で、2007年6月に在日米海軍の掃海艦が与那国町祖納港へ初寄港した際、外務省職員が「陰で熱心に活動した」と自ら発言し、舞台裏で積極的に寄港を支援していたことが示された。
 
同公電では同港寄港の際、米海軍が台湾有事を想定し港利用の情報収集をしていたことが14日までに明らかになっている。ケビン・メア在沖米総領事(当時)の公電によると、掃海艦の寄港に合わせ、外務省日米地位協定室の伊沢修室長(当時)と沖縄事務所の倉光秀彰副所長(同)らが与那国入りし寄港を支援した。寄港に反対する人々が掃海艦への接近制限地点を自由に越えたことを問題視している。
 
伊沢氏がメア氏に「より良い接近制限を提供するために県港湾課や県警と連携し(自分たちが)陰で熱心に活動した」と報告し、さらに、接近制限や群衆整理を担当する組織や責任の所在が非常にあいまいだったと述べたと伝えている。また、伊沢氏が東京に戻り寄港について麻生太郎首相(当時)に報告すると述べたとしている。
 
その後、外務省などでどのような対策が練られたか不明だが、09年4月に米海軍掃海艦が石垣港へ入港したとき、入港に抗議する市民らが港のゲートを封鎖し、外務省などから圧力を受けた警察官や市港湾課職員が、市民らにゲート封鎖の解除を要請。メア氏や掃海艦艦長らが八重山署員の護衛で市民の座り込みを強行突破した。メア氏は与那国寄港についての公電で「米海軍の寄港前に外務省の担当者がいたのは初めてだった」「地元の人々との連携に大きな力添えになった」などと外務省の対応を評価した。

4年前メア米総領事が進言 「ウィキリークス」が公開した「極秘」公電が明らかにした事は

「与那国」から始まる自衛隊の八重山配備は「尖閣などの離島防衛」や「防災拠点づくり」などの為では無く、あくまで「台湾海峡有事に対応」などの米軍極東戦略の一環。

9月16日 沖縄タイムス
[与那国・掃海拠点]どこが負担軽減なのか
日米両政府が口を開けば繰り返す沖縄の負担軽減は、どこに行ったのか。

在沖米総領事館が国境の島、与那国島を台湾海峡有事の際に中国の機雷を除去する掃海活動の拠点となり得る、と分析していたことが内部告発サイト「ウィキリークス」で明らかになった。

米海軍の掃海艦2隻が2007年6月に同島・祖納港に初めて寄港した際、当時のケビン・メア総領事が「極秘」公電で、米本国に進言していた。県が自粛を求め、外間守吉町長が反対を表明していたが、激しい抗議の中、入港を強行した。

米海軍は寄港目的を「乗組員の休養と友好親善」と通知していたが、公電では祖納港は「十分な深さがあり、4隻の掃海艦を同時に入れることができる」と見立てている。2千メートルの滑走路を持つ与那国空港との一体的な利用にも触れている。台湾海峡有事を念頭に、与那国島の軍事的価値を調べ上げていたのである。

メア氏も「入港でいろんな情報が入る。水深が正しいかなどを確認する」などと調査を否定していなかった。掃海艦はその後、09年4月に石垣港、10年9月に平良港に入港し、既成事実を積み上げた。同じような調査が行われたとみられ、南西諸島を拠点化する意図がうかがえる。昨年12月に閣議決定された新たな「防衛計画の大綱」でも南西諸島の防衛強化を打ち出している。陸上自衛隊の配備が計画され、日米の軌を一にする動きである。

沖縄の負担軽減は日米両政府の重要な政策課題だったはずだが、米軍も自衛隊も逆行するばかりだ。呪文のように唱えるだけで実効性が伴わない。出てくるのは自衛隊配備であり、掃海活動の拠点化である。異様というしかない。

国境の島の可能性は住民レベルの民間外交にあるとして、観光、経済交流を模索している与那国花蓮縣交流発展協会(安里與助理事長)によると、実際にマイナスの影響が出ているという。陸自の配備計画が浮上してから、与那国島に進出するのはリスクが高いと台湾側の民間団体からホテルやショッピングセンターへの投資に二の足を踏むという声が直接、同協会に寄せられているという。経済交流の観点からは、陸自の配備は衣の下から鎧(よろい)が見えるようなものであり、周辺地域の軍事的緊張感を高めるだけだ。陸自の配備と経済交流は、両立し得ないと言わざるを得ない。

日米両政府は国境の島を軍事要塞(ようさい)化し、冷戦時代に逆戻りさせるつもりなのか。
海洋権益の拡大に固執する中国に自制を求めるのは当然だが、軍事力で相手を封じ込めようとすれば、軍拡競争という安全保障のジレンマに陥る。慎重な対応が必要だ。

地域振興のために自衛隊誘致の姿勢を示している町や誘致派住民は、米軍については認めないと強調するが、平和な共存関係があってこその経済交流である。軍事的対立の構図をつくらない外交努力が求められる。

9月16日 琉球新報
メア氏与那国発言 総領事は背広を着た軍人か
      
「善き隣人」を掲げるその国は沖縄の民に公然とうそをつき、国益と軍事を最優先して恥じないようだ。内部告発サイト「ウィキリークス」が公開した米公電により、国境の島を舞台に米軍と在沖米総領事館の裏面が暴かれた。
 
在日米海軍は2007年6月、県や与那国町の反対を押し切り、掃海艦2隻を与那国町の祖納港に県内民間港で初めて寄港させた。その際、台湾海峡有事の際の利用を想定し、港をつぶさに調べ上げていた。米海軍は「友好親善と乗員の休養」を寄港目的としていたが、真の狙いは軍事利用そのものだった。
 
それを証明したのは、当時のケビン・メア在沖米総領事が本国に打った公電だ。メア氏は「海峡有事の際に、対機雷作戦の拠点になり得る」と極秘に報告していた。さらに、祖納港の深さを挙げ、「掃海艦4隻を一度に収容できる」「与那国空港を利用し、ヘリコプターを掃海艦支援に使えば、台湾に最も近い日本の前線領土として拠点になり得る」としていた。
 
中国と台湾が紛争に突入したことを想定し、米軍は中国軍が洋上に機雷を敷設することを脅威と見なしている。寄港への抗議の声を過小評価しつつ、町民があずかり知らないところで軍事要塞(ようさい)化を図る驚くべき認識だ。民意を無視した米軍の掃海拠点化は許されない。
 
在沖米総領事館は国務省の出先機関である。米国や米軍基地に対する沖縄の世論を適切に把握し、本国に伝える役回りがある。だが、メア氏の公電は、「総領事は背広を着た軍人なのか」という疑念を深めた。県民に背を向け、米国の国益を追い求める総領事館の一断面を浮かび上がらせた。
 
「沖縄はゆすりの名人」とした蔑視発言で国務省を追われたメア氏特有の問題でなく、米国の沖縄社会に対する向き合い方を投影していると見るべきであろう。在沖総領事館にシビリアンはいるのか。米政府関係者は問題の深刻さを自覚すべきだ。
 
外交努力によって紛争を未然に防ぐことを後回しにし、島民生活の命綱である港を軍事拠点化しようとする無神経さにあきれる。自衛隊配備は容認している外間守吉与那国町長は「米軍は依然として占領意識を持っている。とんでもない」と憤りを隠さない。友好親善を名目にした米軍艦寄港や米軍機の民間空港使用も軍事目的と見なした方が妥当だろう。

9月15日 沖縄タイムス
メア前総領事、与那国の掃海拠点化進言

2007年6月に米海軍の掃海艦2隻が県内民間港として復帰後初めて与那国島の祖納港に寄港した際、在沖米総領事館が「与那国は台湾海峡有事の際に掃海拠点となりうる」として、有事の際の同港利用検討を本国政府に促していたことが分かった。内部告発サイト「ウィキリークス」がこのほど公開した同総領事館発の同年6月27日付「極秘」公電に記載されていた。

この公電の中で、当時のケビン・メア総領事は、掃海艦「ガーディアン」と「パトリオット」の祖納港寄港は「作戦上、重要な意義がある」と指摘。島民が1700人で補給面での支援は最小限にとどまるだろうとする一方、祖納港は「掃海艦の安全な入港に十分な深さがあり、おそらくは4隻の掃海艦を同時に港に入れることができるだろう」とした。

また、2マイル(約3・2キロ)以内に2千メートルの滑走路を持つ与那国空港があり、「もしヘリコプターが掃海艦の支援でこの空港を利用すれば、台湾に最も近い前方の日本領として、台湾海峡有事の際には掃海活動の拠点となりうると予想できる」としている。

公電ではまた、入港時に外務省の担当者が初めて姿をみせ、入港に抗議する住民らが岸壁そばに集まり接岸を2時間も遅らせたのを目の当たりにしたことで「外務省にとってよい事例研究になっただろう」とも指摘。 日本の民間港や空港を米軍が使用する際にこうしたことが起きないよう、日本政府が立ち入り管理を効果的に行う必要があるともした。

米シンクタンク、ランド研究所のロジャー・クリフ上級政治研究員はことし1月、米議会の米中経済安全保障再検討委員会で、中国軍が機雷や対艦ミサイルなどで米空母の無力化を図る可能性があると証言するなど、機雷は米軍が台湾海峡有事に対応する上で脅威の一つとされる。台湾海峡有事での米軍による与那国の掃海拠点化は、中国の機雷を除去し米艦隊の自由な作戦行動を確保すると同時に、大型艦の入港が可能とされる石垣港も含め先島諸島全体を前方展開拠点として活用しようとの意図がありそうだ。

9月16日 沖縄タイムス
泡瀬埋め立て 29日にも再開

工事が中断している沖縄市の泡瀬沖合埋め立て事業(東部海浜開発事業)で、沖縄総合事務局が早ければ29日にも工事を再開する方針であることが15日、分かった。9月中の再開を目指している同局は、26日の環境監視委員会の審査を経て、工事に着手する見通し。護岸工事や新港地区泊地の浚渫(しゅんせつ)および埋め立て工事から着手するとみられる。

同事業は2009年10月、福岡高裁那覇支部が「経済的合理性は認められない」とする司法判断を下し、工事が中断している。沖縄市は10年、埋め立ての面積を半減した新土地利用計画を策定。県は11年7月、国などが提出した埋め立て変更を許可、承認した。

守る会 中止求め声明,全国にカンパ呼び掛け

泡瀬干潟を守る連絡会とラムサール・ネットワーク日本は15日、県庁で会見し、工事再開が予定されている泡瀬沖合埋め立て事業(東部海浜開発事業)の中止を求める声明を発表し、声明に賛同する団体、個人やカンパを全国的に呼び掛けた。同連絡会の小橋川共男共同代表は「埋め立て再開が迫っている。県民、全国民の世論で同事業の問題点を訴え、無駄な事業の中止を求めていく」と述べた。

声明文では、同事業は沖縄市の新たな土地利用計画において経済的合理性が認められないと指摘。無駄な公共事業によって国際的にも貴重な自然環境を破壊することは断じて許されないと訴えている。

同連絡会は声明文への賛同をメールかファクスで原則30日まで受け付ける。声明文と賛同者の氏名を国、県、沖縄市、全国会議員、全政党、全県議会議員などに届け、事業中止を訴える。

同連絡会は、ファクス098(939)5622、メールアドレスはsave_awasehigata@yahoo.co.jp
詳しくはブログ、http://saveawasehigata.ti-da.net/
カンパの振込先は郵便振替、口座番号01760―2―41902、前川盛治。

9月15日 沖縄タイムス
泡瀬干潟の藻場 工事中断後回復せず

沖縄市泡瀬干潟で2006年から国などが本格的に始めた埋め立て工事の影響で海草の藻場が激減し、09年の工事中断後も回復していないとの調査結果を、環境保護団体「日本自然保護協会」が14日、発表した。9月中にも工事が再開される可能性があるといい、同協会は断念を求めている。

泡瀬干潟では貝など多くの新種が見つかり、埋め立て予定地で大規模なサンゴ群集も確認。藻場は魚介類の生息や産卵など豊かな生態系を支えているという。

同協会は毎年、泡瀬干潟で藻場を調査。06年の埋め立て工事開始後、周辺では海草が激減し、一部ではほぼ消失、残った場所でも海草の種類が減った。09年の工事中断後も海草は回復せず、今年7月の調査でも状況は変わっていなかったとした。埋め立て地周辺のサンゴも調査し、毎年減少傾向にあると指摘。160の調査地点におけるサンゴの割合を比較すると、05年に約59%だった数値が10年には約27%まで減少したという。11年の調査は約42%に回復したが同協会は「09年の工事中断によるものと予想されるが、再開されれば再びサンゴは減ってしまう」と懸念する。

同協会の開発法子事務局長は「工事で土砂が流れ込み、海草が埋もれ、水が濁り光合成ができなくなった。海草が安定して生育できない」と説明。海草の激減は環境影響評価で予測しておらず、国などは埋め立てではなく台風の影響だと主張しているという。

沖縄には原子炉が無いと言うが、ホワイトビーチには原潜が寄港, 過去に放射能漏れを起こしていた。また核廃棄物処分場 沖縄にも可能性が。そして八重山の近くの台湾には原発と核廃棄物貯蔵所が。これでも安全?

台湾南東沖の蘭嶼島には核廃棄物の貯蔵所、ここが津波(1771津波明和の大津波が有り)の被害を受けることがあれば大量の核廃棄物が黒潮に乗って沖縄の沿岸ははおろか日本に運ばれる恐れがあります。 又台湾北部には第1と第2原発が有り、そこから八重山諸島は200km前後しか離れていません。

9月15日 琉球新報
核廃棄物処分場 沖縄も可能性 琉球フォーラムで吉岡斉・九大副学長      

会員制の講演会組織「琉球フォーラム」(主宰・富田詢一琉球新報社長)の9月例会が14日、那覇市のザ・ナハテラスで開かれ、九州大学副学長の吉岡斉(ひとし)氏が「日本の原子力・エネルギー政策の歴史と未来」の演題で講演した。吉岡氏は、以前に徳之島が核廃棄物処分場整備の候補地に挙がったことに触れ「沖縄に(核廃棄物処分場整備の話が)来る可能性もある」と警鐘を鳴らし、「原子力政策には沖縄も注意してほしい」と呼び掛けた。
 
吉岡氏は和歌山大学助教授などを経て現職。科学技術史、科学技術の社会学および科学技術政策が専門で、1997年から内閣府原子力委員会専門委員など歴任し、原発の拡大に批判的な立場から、国の原発政策への提言取りまとめに加わってきた。現在は首相官邸の福島原発事故調査・検証委員会委員を務める。
 
吉岡氏は原発問題について、原発がある台湾や中国と沖縄の距離が、チェルノブイリ原発事故後に被害を受けたドイツよりも近いことから「(近隣での)事故も想定される。沖縄も原子力問題とは無縁ではない」と指摘した。
 
原発にかかる経費は、最終的に火力発電とほぼ同等とした上で、原発推進の背景には「政府からの優遇措置があるからだ」と強調。「この措置をなくせば、脱原発を声高に叫ばなくても自然に原発はなくなる」と述べた。原発によるエネルギー供給率は「実際は全体の7%にすぎない」として、日本のエネルギー消費が頭打ちになっていることや省エネ傾向にあることから「自然に減る」と分析した。再生可能エネルギーの可能性については「沖縄がグリーンエコノミーの推進を真剣に検討することも必要だ」と指摘した。

9月11日 琉球新報
原潜 事前公表中止のまま 9・11テロから10年    
 
2001年9月11日の米中枢同時テロ以降、米海軍ホワイトビーチへの米原子力潜水艦の寄港情報について、報道機関への事前公表が取りやめとなって10年が経過するが、現在も解除されていない。差し迫ったテロの危険性も不明確なまま、特別な措置が続いている。一方、08年に米原潜がホワイトビーチで放射能漏れを起こしていたことが判明。情報統制が住民の安全を脅かす状況だ。
 
同時テロの発生直後に米政府が「原潜がテロ対象となる恐れがある」として日本政府に対応を要請。米原潜が日本国内に寄港する際の事前公表が中止となっていた。
外務省の要請を受けた県は、01年11月から報道機関に対する寄港情報の事前公表をやめていた。県はこれまで、県軍用地転用促進・基地問題協議会(軍転協)として外務省に公開解除を要請したが、外務省側は米側が求めているとし解除に至っていない。
 
原潜のホワイトビーチ寄港は01年の12回(12隻)から、07年24回(24隻)、08年41回(41隻)、09年32回(32隻)、10年31回(31隻)と大幅に増加。08年に米海軍ロサンゼルス級原潜「ヒューストン」(グアム基地所属、6082トン)が06年6月から08年7月の約2年間に原子炉冷却水漏れを起こしたが、ホワイトビーチにも5回寄港し放射能漏れを起こしていたことが判明した。

事前の寄港情報も含め、一般市民への迅速でより詳細な情報提供が求められている。県は現在、事前情報を関係自治体には通知し、出入港時などの放射能測定結果を報道機関に公表している

9月7日 琉球新報
愛国心より平和・人権 教科書問題世論調査      

八重山地区教科書問題を受け、琉球新報社が6日までに同地区住民を対象に行った世論調査では、公民などの社会科教科書で大切にしてほしいことについて「平和教育」が約半数を占めた。一方、「新しい歴史教科書をつくる会」が重視する「愛国心」や「領土問題」は1割未満にとどまった。教科書問題への関心は全体的に高いが20代、30代の若い世代の関心は薄かった。八重山地域の課題では4割が「地域活性化」を選択し「領土防衛」は約1割。与那国島への自衛隊配備は反対が6割を占め、賛成の3割に「つくる会」系教科書の採択賛成の傾向がみられた。

八重山の重要課題
 
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「八重山地区の課題で何が重要か」という設問で最も多かったのは「地域経済の活性化・景気対策」の43%。次いで「子育て支援や福祉の充実」の29・7%と、住民の72・7%が景気や福祉といった生活に直結する身近な問題を解決すべき課題と捉えている。「尖閣諸島をはじめとする領土防衛」は11・7%にとどまった。「周辺国との経済交流」は9・7%、「その他」は6%。
 
世代別では30代の50%、40代の55・6%、50代の44・9%が「地域経済の活性化・景気対策」と回答。子育て世代とみられる20代の40・9%、30代の30%が「子育て支援や福祉の充実」と答えており、ほかの世代より比率が高くなっている。「尖閣諸島をはじめとする領土防衛」と答えた人が最も多かったのが20代の22・7%だった。70代も19%に達した。
 
地域別では「地域経済の活性化・景気対策」と答えた人は石垣市が41・3%だったのに対し、竹富町は53・8%、与那国町は53・3%と10ポイント以上上回った。一方、「子育て支援や福祉の充実」と答えた人は石垣市は30・5%だったが、竹富町は23・1%、与那国町は26・7%にとどまっている。
 
「尖閣諸島をはじめとする領土防衛」と選んだ人は石垣市11・2%、竹富町15・4%、与那国町13・3%で地域に大きな差はなかった。

自衛隊、与那国配備6割反対 教科書問題世論調査      

教科書問題で琉球新報社が石垣市、竹富町、与那国町の

住民を対象に実施した世論

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調査の中で「与那国に自衛隊を配備することについてどう思うか」と尋ねたのに対し、「絶対に反対」が36・3%、「どちらかといえば反対」が24%で合わせて60・3%が自衛隊配備に反対の意思を示した。「大いに賛成」は9%、「どちらかといえば賛成」は20%と賛成の意思を示したのは全体の29%にとどまり、配備に反対する人を大幅に下回った。「何とも言えない」は10・7%だった。
 
地域別にみると石垣市は自衛隊配備に反対する人が59・4%、賛成が30・9%。竹富町で反対61・5%、賛成19・2%だった。配備が計画されている与那国町で反対が73・3%に上り、賛成13・3%を大きく上回っている。
 
全年齢層でも配備反対は賛成を上回っている。その中で50代の42%、60代の44・7%、70代の43・1%が「絶対に反対」と答え、高年齢者層が自衛隊の与那国配備に反対する傾向が強い。それに対し、30代の30%、40代の31・1%が「どちらかといえば賛成」と答えており、高年齢層に比べ自衛隊配備を容認する傾向が見られる。

9月4日 八重山毎日
自衛隊配備反対署名550人 与那国改革会が要請へ

八重山への自衛隊配備を許さない学習交流会(主催・沖縄県統一連)は3日夕、石垣市健康福祉センターであった。沿岸監視部隊の配備が具体化しつつある与那国町の崎元俊男町議(与那国改革会)は「住民を無視したやり方だ」と批判、「賛成派の514人を上回る550人の反対署名が集まっている。近く町や県、防衛省に配備撤回を訴えたい」と報告した。

学習会は新垣繁信代表のあいさつに続き、小泉親司氏(日本平和委員会理事)が情勢報告を行い、先島配備の根拠となっている中国脅威論について「軍備増強を正当化する以外の何物でもなく、意図的なものだ」、災害救助にも「草の根の消防や消防団を強化すべきだ」と指摘し、地域経済活性化にも「細る見返り、残る基地の危険にならないか」と懸念を示した。
 
小泉氏は「自衛隊の配備問題はアメリカの戦略に基づくもの。八重山諸島への配備は日本防衛のためでなく、アメリカの対中国の軍事戦略の片棒を担ぐものだ」と批判した。地元からは崎元氏のほか津嘉山彦氏(平和憲法を考える西表住民の会)、宮里勝氏(八重山地区労)、大浜敏夫氏(子どもと教科書を考える八重山地区住民の会)も報告、「昨年3月の市長選以降右傾化している。軍事化するために必要な教育の問題まで出てきている」と不安をあらわにした。

9月2日 石垣で総合防災訓練 自衛隊は陸海空から計約730人が参加、輸送艦やヘリコプター、航空機などの機材を投入

仲井真弘多知事・中山石垣市長らが防災訓練への自衛隊の大掛かりな参加をお膳立て。

「たのもしい」自衛隊の姿をことさらにアピール、参加した離島の消防団などの移動にも「速くて便利な」自衛隊の輸送ヘリで送迎大サービス、これでフアンが大増加! 「将来自衛隊が駐留すれば急患輸送にも大いに利用できますよ」。

なぜ「防災」のために自衛隊の八重山への配備が必要なのでしよう? もちろん主たる目的は「日米同盟」の軍事戦略の遂行のために。 沖縄の基地負担を軽減と言いながら実は沖縄の基地を増やそうとしています!

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沖縄・八重山から アーカイブ② 2011 4月14日より

2011-09-21 21:08:57 | インポート

7月26日 八重山毎日
自衛隊に抗議と歓迎 防災訓練調査で石垣空港と港を使用

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調査を目的に石垣空港に着陸した自衛隊ヘリ。平和・労働団体が抗議した=24日午前10時すぎ

自衛隊のヘリコプターが24日に石垣空港、掃海艇が25日に石垣港を使用した。自衛隊沖縄地方協力本部石垣出張所などによると、いずれも9月の県防災訓練に向けた偵察、調査が目的。ヘリでは同出張所主催の体験搭乗も2回行われ、約50人が参加した。労組や平和団体が2日間にわたって抗議する一方、八重山防衛協会らが歓迎と誘致を訴えた。

石垣空港には陸上自衛隊第15旅団のヘリ「CH-47」が午前10時ごろ着陸。隊員ら20人が下りた後、八重山防衛協会を通して募った約50人の市民が約20分間、体験搭乗した。

石垣港には同日午後5時ごろ、海上自衛隊第46掃海隊の掃海艇「あおしま」が午後5時に入港。隊員ら44人が乗り込んでおり、調査を行った後、27日午前8時に出港する予定。

入港に際しては、平和憲法を守る八重山連絡協議会(仲山忠亨会長)のメンバー30人余が抗議。八重山防衛協会(三木巌会長)、幸福実現党八重山市部(砂川政信支部長)の30人余が歓迎。「自衛隊の配備に反対」「石垣島に配備は必要だ」などとシュプレヒコールで応酬した。

抗議集会で長浜信夫市議は「市民を2分し、火種をまき散らす行為だ」と抗議、前津究市議が「災害救助でイメージアップを図り、誘致を進めるもくろみだ」と警戒感を強めた。これに対し砂川支部長は「戦後66年がたって時代も人も変わった。憲法9条で国は守れない」、砥板芳行市議も「議論があって当然だ。配備については市民と幅広く議論する環境づくりが必要だ」と反論した。

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調査を目的に石垣港に入港した掃海艇。防衛協会など右翼団体が歓迎

民主党岡田幹事長らが八重山工作まず「飴」を撒きに

7月19日 八重山毎日

岡田幹事長らが与那国視察 町と漁協、JAが13項目要請

17日夕、与那国入りした民主党沖縄協議会の岡田克也座長(党幹事長)らメンバー8人は18日、与那国町(外間守吉町長)や町漁協、JA与那国支店関係者らと会談。それぞれから要請を受けたほか、同町住民との意見交換会に臨み、約1時間、じかに町民から意見を聞いた。長命草加工工場や泡盛工場、海底遺跡なども視察し、同日夕、空路与那国を離れた。岡田氏の与那国訪問は今回が初めて。

岡田氏らは午前10時30分に町役場を訪問。外間守吉町長が(1)沖縄振興一括交付金(仮称)の創設(2)航空運賃低減化(離島居住者交通特別対策事業)(3)離島過疎地域医療支援制度創設(4)教育環境格差是正(5)生活港湾環境整備(6)次世代情報化社会基盤整備の6項目を要請した。町からの要請を受け岡田氏は「人口が減ることなく自立して生活できる環境を整えることがいかに重要かを改めて実感した。与那国町は離島の離島で、国境に接した島。特別な考えを持たないといけない」と述べ、党として最大限、後押しする考えを示した。次年度から導入を検討している一括交付金については「沖縄を先行モデルとして将来的には全国で実施したい。沖縄を制度設計のモデルとして党内でしっかり議論したい」と述べた。

与那国町漁協は中島勝治組合長が(1)航空運賃の低減(2)外国漁船被害救済事業の継続を要請。このほかに、石垣向けジェット機の時間が午後に変更になった関係で、本土に出荷するカジキの輸送に影響が出ている実情も訴えた。
 
JAとの意見交換では、JA与那国支店(大道保夫支店長)が(1)含みつ製糖工場の「含みつ糖生産条件不利補正対策交付金」の継続助成(2)農業用水源の確保(3)TPP不参加の明言など5項目を要請。このうちTPPについて岡田氏は「頭から反対ではなく、しっかり論議することが大事」との考えを示した。 参加した農家からは、面整備の遅れから国営のかんがい排水事業が導入できず、農業用水が不足していることなどを訴えた。

7月18日 八重山毎日

岡田幹事長が実現に意欲 沖縄振興一括交付金 八重山視察で見解示す

民主党沖縄協議会の座長を務める岡田克也幹事長は17日、八重山視察のため来島し、中山義隆石垣市長、川満栄長竹富町長と意見交換した。同協議会が政府に創設を要請している2012年度以降の沖縄振興一括交付金(仮称)について岡田幹事長は「ぜひ実現したい」と意欲をみせ、「(8月末の)概算要求の中で姿が見えてくるだろう」との見通しを示した。一方、「市町村にとっても自由度の高い制度設計が必要」として、予算配分の仕組みについては県と十分協議する必要があると強調した。

同協議会は、内閣府沖縄担当部局が計上する補助金・交付金と国直轄事業について使途を限定せず県の自由度が高い一括交付金とするよう提言、12年度概算要求に反映させることを求めている。

岡田幹事長は意見交換会の中で「国の関与が薄くなり、県の力が強くなるという心配があると思う。一括交付金になると、国に対するこまごまとした要請は必要がなくなる」と述べ、県と市町村との配分協議が重要になるとの認識を示した。

川満町長は「心配しているところだが、県には話し合いの場を設置してほしいと考えている。知事は公約に離島の振興なくして沖縄の発展はないと公言しており、公約を守ってもらえるよう強く訴えていく」と述べ、中山市長は「まだ協議していないが、できるだけ早めに詰めたいと考えている」と話した。

岡田幹事長は視察後、記者団に「市町村にとって使い勝手の悪いものにならないよう、自由度を上げる制度設計にしなければならないと改めて感じた」と語り、「県と協議会をつくって市町村の意見を反映させることが大事だ」と述べた。県も、予算配分を話し合う市町村との協議の場を設置する考えを示している。

7月16日 八重山毎日署名記事
与那国町の自衛隊誘致 経済効果か島の平穏か,

住民の意見対立、困難な合意形成

自衛隊を誘致している与那国町(外間守吉町長)は、防衛省の協力を得て12日夜、久部良多目的集会施設で「住民説明会」を開いた。防衛省職員が同町に配置を検討している沿岸監視部隊の概要や今後の予定などを説明した。しかし、参加した住民からは誘致に反対する意見が相次いだ。2012年度概算要求のなかで配置場所が示される見通しだが、根強い反対があるなか、住民の合意形成が焦点となりそうだ。(下野宏一記者)

自衛隊誘致
同町の自衛隊誘致の発端は、歯止めがかからない人口減少に危機感を感じた与那国防衛協会(金城信浩会長)が 08年9月、町民514人分の署名を添えて町議会に誘致を要請したのが始まり。町議会は賛成多数で誘致を決議。外間町長と議長連名で国に誘致を要請した。

沿岸監視部隊の新設、配置
町からの部隊誘致の要請を受け、国は昨年12月に閣議決定した新防衛大綱、5年間の中期防(11~15年度)で「南西地域の島しょ部に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を新設し、配置する」と明記。先島諸島の防衛上の空白を埋めるのが狙いだ。
 

具体的な配置場所こそ明らかにしていないが、同町で空自の電波環境技術調査、陸自のインフラや自然環境などの調査が行われており、12年度概算要求のなかで配置場所が正式に示される見通し。防衛省によると、部隊の主要施設は勤務庁舎や保管庫、家族宿舎、隊員の居住施設など。これらの建設に加え、隊員とその家族の日々の消費効果が見込まれ、外間町長は「100人規模の部隊がくればこの島が潤うのは確実」と期待する。これに対し反対派は「有事の際に狙われる可能性がある」「島が分断される」「経済効果も公平に分配されない」と指摘。与那国改革会議(崎原正吉議長)は、3年前の賛成署名を上回る署名数で近々、町議会と町長に誘致決議と要請の撤回を求める方針だ。

住民合意形成
同会議では誘致に対する民意を問う手段として住民投票の実施を求めるが、外間町長は「住民投票の考えはない」と断言。自衛隊誘致が争点となった先の町長選と町議選の結果で民意が集約された、との見解を示す。8月から始まる12年度概算要求作業で部隊配置場所が示される。賛否両論があるなか、住民の合意形成が最大の焦点となる。

7月13日  琉球新報

与那国「経済効果のため」 自衛隊誘致、住民説明会

自衛隊の誘致活動を進めている与那国町は12日、誘致活動に関する住民向け説明会を同町久部良の多目的集会施設で開いた。同町議会が2008年9月に誘致決議を行って以来、町主催の住民向け説明会が開かれるのは初めて。
 
説明会には防衛省の堀地徹防衛計画課長らも出席し、政府が10年12月に閣議決定した防衛計画の大綱と中期防衛力整備計画(中期防)の内容を説明。南西諸島の防衛力充実のために与那国島への自衛隊配備が必要だと訴えた。
 
自衛隊誘致をめぐっては町議会の誘致決議後、外間守吉町長が09年6月に防衛大臣に要請。政府は防衛大綱などに自衛隊の先島配備を記し、5年以内に与那国島へ約100人の沿岸監視部隊を設置すると決めた。外間町長は「自衛隊が配備されることになれば経済効果はもちろん、島がにぎやかになることは確実だ。自衛隊を配備することで隣国との関係がぎくしゃくするとの声もあるが、誘致活動を通して公式、非公式にもそのような話は出なかった」と述べ、理解を求めた。
 
説明会には住民約80人が出席。「住民のコンセンサスが得られていない」などと反対する意見が出たという。自衛隊配備に反対する与那国改革会議の崎原正吉議長は「町はこれまで説明会を開かずに誘致活動を進めてきた。きちんと賛否を問うべきだ」と住民投票の実施を求める考えだ。

7月13日  八重山毎日

沿岸監視部隊の概要示す 陸自配備で説明会 反対意見相次ぐ

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与那国町への自衛隊誘致に反対する与那国改革会議の崎原正吉議長

南西地域の防衛体制の充実などに係る与那国町民説明会(主催・与那国町)が12日午後6時から、久部良地区多目的集会施設で開かれた。町内での説明会は初めて。説明会では、防衛省関係者が新防衛大綱で打ち出した南西諸島の防衛力強化に向けた沿岸監視部隊の配置作業と今後の予定などを説明した。会場には住民約100人が参加。「説明会は住民の同意を得たうえで行うべきだ」などと自衛隊誘致に反対する意見が相次いだ。賛成意見はなかった。

与那国町は2008年9月に与那国防衛協会(金城信浩会長)から町民514人分の署名を添えた要請を受け、町議会で誘致を決議。09年に当時の浜田靖一防衛大臣、10年は北澤俊美防衛大臣に自衛隊誘致を要請している。国は昨年12月に閣議決定した新防衛大綱で「自衛隊配備の空白地帯となっている島しょ部に必要最小限の部隊を新たに配置する」と明記。5年間の中期防(11~15年度)で「南西地域の島しょ部に陸上自衛隊の沿岸監視部隊を新設し、配置する」と、南西諸島の防衛力強化を打ち出し、同町で今年4月に航空自衛隊が移動警戒レーダーの運用に備えた電波環境技術調査を実施。7月までに陸上自衛隊がインフラ等の調査を実施している。

説明会では、防衛省防衛政策局の掘地徹防衛計画課長が新防衛大綱や中期防における先島諸島への部隊配置、沿岸監視部隊配置に係る現在の作業状況と今後の予定。同省陸上幕僚監部の梅田将一等陸佐が沿岸監視部隊の概要を説明した。南西諸島への沿岸監視部隊については、与那国町に配置できるかどうか、電波調査やインフラ等の調査を実施していることを示し、「調査結果を踏まえ、場所や具体的な規模を決定し、予算要求をしたうえで2015年度までに配置する」とした。同部隊の任務として「沿岸を航行する船舶や航空機、通信、電波の監視」と説明。沿岸レーダー装置等を装備、勤務庁舎、家族宿舎、隊員居住施設などの施設が必要で、100人規模の北海道標津の部隊では、施設用地で約10ヘクタールを使用していることを紹介した。

説明会の冒頭、外間守吉町長は「自衛隊が常駐する地域では、隊員が地域に積極的に参加しており、少なくとも地域に混乱を招く組織ではないと実感した。町に経済的な効果もある」と述べ、理解を求めた。質疑応答では、与那国改革会議の崎原正吉議長が「説明会は住民の同意を得たうえで実施すべきだ。誘致は住民投票で決めるべきだ」と誘致に反対意見を述べたほか、「宮古のレーダーでこれまで問題なかったのにどうして今、与那国なのか」「自衛隊を与那国に誘致した場合、有事の際は住民が戦闘に巻き込まれる」「誘致することで島が分断される」「直前の防災放送だけでは知らない人もたくさんいる」など、自衛隊誘致に反対する意見が相次いだ。

7月12日 琉球新報

普天間で平行線 超党派議連、知事と懇談

前原誠司前外相らを代表幹事とする超党派の議員連盟「新世紀の安全保障体制を確立する議員の会」は10日夜、那覇市内で仲井真弘多知事らと懇談した。懇談で前原氏らは普天間飛行場の名護市辺野古への移設を決めた日米合意を進める立場だと述べ、仲井真知事は「(県外移設を求める)姿勢は変わらない」と述べたという。
 
議員団が海兵隊の抑止力は沖縄に必要だという考えを示したことに仲井真知事は懇談後、「そういうことは沖縄に説明に来るより沖縄以外のほかの県の人に言った方がいい。沖縄の人はいろんな議論があるのをよく知っている」と述べ、県が米軍基地の必要性自体に疑問を持っていることを強調した。会談には前原氏、中谷元・元防衛相ら7人が出席。県側は上原良幸、与世田兼稔両副知事、又吉進知事公室長が出席した。 

前原らは宮古の下地島空港でもこんな策動を!!

前原氏らは同日、下地島空港を視察し、下地敏彦市長と面談。下地市長は「下地島空港を有効利用するために国際的な緊急援助のストックヤード(一時保管所)としての活用を提案している。国際貢献ができる拠点にしたい」とあいさつ。面談後、下地市長は「議員団から災害拠点の要望は『与野党超えて支援する態勢を取りたい』などの意見があった」と述べ、拠点整備に賛意が得られたとした。一方「自衛隊が入ってくるのは県民感情が許さないと思う。公設民営が望ましい」と意向を伝えた。

7月6日 八重山毎日

掃海艇2隻入港、今年に入って2度目 F15機事故で緊急出港

海上自衛隊第46掃海隊(宇都宮俊哉司令)=うるま市=の掃海艇「あおしま」「ししじま」の2隻(いずれも510トン)が5日午前9時ごろ、石垣港に入港した。市港湾課に提出された使用許可申請によると、9月の県総合防災訓練に向けた港湾調査が目的。7日に出港する計画だったが、航空自衛隊那覇基地所属のF15J戦闘機が消息を絶ったとの情報を受け、同日正午までに緊急出港した。

 
南西諸島への防衛強化が盛り込まれた新防衛大綱が決定された12月以降、自衛隊艦船の入港は2月の掃海艇2隻、3月のイージス艦に続き3度目。港湾課によると、46掃海隊から5日午前8時入港、7日午前8時出港の計画で6月27日に入港許可申請を受け、同月29日に許可した。第46掃海隊は2月の入港で災害派遣に備えた港湾調査を行っているが、今回の目的について宇都宮司令は「津波の視点に立って足りないところを追加調査したい」と説明した。

計86人が乗り込んだ掃海艇2隻は午前9時ごろに入港。調査の準備に入ったが、戦闘機事故を受け急きょ日程を変更、乗組員が慌ただしく準備に取りかかり、正午までには2隻とも石垣港を離れた。自衛隊関係者は「今回は調査ができなかったので、再度入港するのではないか」との見方を示した。中山義隆市長は同日午前、出港前の記者懇談会で「通常の自衛隊の活動は協力していく。今回の入港は9月の防災訓練の現地調査となっており、反対する理由はない」と述べた。

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掃海艇入港で反対、賛成が対峙 シュプレヒコールで応酬

海自の掃海艇2隻が5日午前9時ごろ入港した石垣港は、反対・歓迎双方の人たちが対峙(たいじ)する格好となった。混乱はなかったが、一部で「何言っているんだよ」と感情的になる場面も。自衛隊の先島配備問題をめぐり、市民間の火種になりかねない事態を予見させた。

八重山地区労働組合協議会(波照間忠議長)は同日午前7時45分から、抗議集会を実施。約35人が集まった。集会では「自衛隊配備の着実な足固め。世論封じ込めの宣撫(せんぶ)工作だ。自衛隊にノーを突きつけよう」「新防衛大綱の既成事実化だ。この島に軍事基地はいらない」と声を上げた。
 
これに対し、幸福実現党八重山支部(砂川政信支部長)、八重山防衛協会(三木巌会長)は午前9時の入港までにメンバー約40人が駆けつけた。「震災復興活動ありがとう」「心のこもっった災害派遣活動ありがとう」「東日本大震災の復興活動お疲れさま 歓迎 自衛隊の皆さま」などと書いた横断幕4枚を掲げ、国旗の小旗を振って歓迎した。

「防災」の名のもとに「南西諸島の災害救援??拠点の設置」・下地島想定

6月21日 琉球新報

2プラス2 南西諸島を災害拠点 下地島想定

外務、防衛担当閣僚による日米安全保障協議委員会(2プラス2)が21日夜(現地時間同日午前)、米ワシントンの国務省で開かれる。日米同盟の深化に向けた「共通戦略目標」を取りまとめる。日本側からは下地島を想定した南西諸島にアジア太平洋地域の災害救援のための活動拠点を設置することを提案する方針だ。日本側から北沢俊美防衛相、松本剛明外相、米側からクリントン国務長官、ゲーツ国防長官が出席する。2プラス2開催は、2007年5月以来4年ぶりで、民主党政権になって初めて。
 
普天間飛行場の移設問題は、06年の在日米軍再編のロードマップ(行程表)に明記した14年までの移設完了は断念するが、名護市辺野古にV字形滑走路の代替施設を整備することで合意する。
 
同盟深化に向けては、東日本大震災への日米共同対応の経験やアジアの安全保障環境の変化を受け、日米同盟を地域全体の「公共財」と位置付け、災害や有事へ迅速に対応できる戦略などを協議する。北沢防衛相が6月4日にシンガポールで開催された「アジア安全保障会議」で表明した南西諸島の災害救援拠点の設置も2プラス2で表明される見通し。
 
米国入りした北沢防衛相は、普天間飛行場の移設に関し「自民党中心の内閣が先導してきたが、二大政党のもう一方の民主党内閣で行い、日本の政治勢力の大半がコミットすることで、歴史的な意味がある」と強調。災害拠点については「無人機、ロボットの継続的な運用は自衛隊のような組織でなければ維持できない」と述べ、あらためて設置に意欲を見せた。
 
日本側は武器輸出三原則で歯止めがかけられている戦闘機などの共同開発・生産への参加についても検討姿勢を打ち出す。在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)で、米軍関連施設で自然エネルギーを活用したインフラ整備を進めていくことも確認される見通しだ。
 
これに先立ち北沢防衛相は20日夜(現地時間同日午前)、ワシントン郊外のアーリントン国立墓地で無名戦士の墓に献花し、核や生物・化学など大量破壊兵器からの防衛を任務とする国防脅威削減局(DTRA)を視察した。

6月21日 沖縄タイムス

「南西諸島に災害拠点」防衛相表明へ

北沢俊美防衛相は19日夕(日本時間20日午前)、訪問先の米ワシントンで記者団と懇談し、日米の外務・防衛担当閣僚による安全保障協議委員会(2プラス2)で、東日本大震災の経験を教訓に、南西諸島を災害救援のためのロジスティックハブ(国際物流拠点)として整備する方針を打ち出すことを明らかにした。

北沢氏は「震災を一つの契機にして、南西諸島に災害対応の国際的なものを作ることを表明したい」と説明。「無人機やロボットの訓練基地を整備し、日本だけでなく東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国にも開放したい」と述べた。

諸外国と連携した拠点化で大災害への即応体制が期待できるとし、「(技術立国とされる)日本のような国でも無人機やロボットはなかなか継続的に維持できなかった反省からすれば、自衛隊のような組織でなければできない訓練ができるのでないか」とした。

北沢氏は下地島(宮古島市)を念頭に、同方針を今月4日にシンガポールで行ったアジア安全保障会議でも表明している。

今回の2プラス2の位置付けは「今までは自民党政権で継続してきたが、政権交代後初めて二大政党のもう一つの民主党で開くことは、日本の政治勢力の大半が(安全保障協議に)コミットすることになり、非常に歴史的な意味がある」と強調した。

2プラス2では、米軍基地内に再生可能エネルギーの導入を目指す「緑の同盟」構想の推進を日米間で確認することも明らかにした。

一方、八重山各地では慰霊の日(6月23日)を前に、「慰霊行事」や「平和教育」が行われています

6月21日 八重山毎日

学童に平和への誓い 波照間小中校が合同慰霊祭

波照間小中学校(仲底善章校長)は20日、学童慰霊の碑前で合同慰霊祭を行った。
 
学童慰霊の碑は第二次世界大戦中に西表島の南風見田の浜に強制疎開させられ、マラリアの犠牲となった学童66人の霊を慰めるために南風見田の浜を望む場所に建てられている。

子どもたちは慰霊碑に献花、黙とうをささげた後、小学生は詩「いのち」、中学生は自ら創作した「平和の詩」を朗読した。また、学級ごとに「平和の誓い」を発表。「ありがとうをたくさん言う」「毎日を一生懸命生きる」「命は宝」など、平和について真剣に考えた様子がうかがえた。
 
中学生のリコーダーの演奏で小学生が「星になったこどもたち」を合唱。南風見田の浜に届くよう、大きな声で歌った。仲底校長は「これからの時代は地球上すべてのものが共生できるよう、私たち人間が努力しなければならない」と訴えた。

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6月5日 八重山毎日

戦争マラリアを後世に 巡回紙芝居始まる 児童ら命の尊さ実感

「慰霊の日」に向けて郡内各学校で平和学習が行われているが、八重山戦争マラリアを語り継ぐ会(玉城功一会長)は、13日から各校で八重山戦争マラリアを描いた紙芝居をスタートさせた。戦争体験者の高齢化が進み、語り手が少なくなっていることから、学校現場でも平和学習に苦慮している状況もあり、同会では昨年10月に行った朗読劇「ハテルマ・ハテルマ」に続いて、慰霊の日までに小中高校11校で紙芝居を披露する。

平和学習で使われる紙芝居「ぬちどぅたから みつふおばぁーの話」は、戦争マラリアで家族16人を亡くした波照間島の故・大泊ミツフさんの体験を基に劇作家・演出家の栗原省氏=和歌山県=が制作した。
 
14日朝は登野城小学校の6学年3クラスで紙芝居が行われ、河口儀子、仲吉委子、宮良たい子さんが戦時中の登野城校区内の様子や戦争マラリアについて説明しながら、紙芝居を披露した。子どもたちは真剣な様子で見入り、山城利公君は「紙芝居を見て戦争がどれだけ恐ろしいものか知ることができた」、新本当周君は「登野城でもマラリアで多くの人が亡くなり、戦争マラリアの怖さが分かった」と感想を話した。

読み手の河口さんは「子どもたちとの距離が近く、しっかりと命の大切さを受け取ってもらったと思えた。こんなにも真剣に見てもらい、戦争の悲惨さを語り継いでいくことの大切さを実感した」と喜んだ。仲吉さんも「紙芝居はあくまでも平和の大切さを知ってもらうための手段の一つだ。子どもたちの心をどうやってとらえ、命の大切さを伝えていけるかが課題であり、草の根的な活動を続けていくことが大切だと思う」と語った。
 
玉城会長は「戦争体験の文章を読むだけでなく、いろいろと工夫して、子どもたちの心に戦争の実態を伝えていきたい」と述べ、戦争マラリアを語り継いでいく手法を今後も模索していくという。

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6月1日 琉球新報

オスプレイ配備、防衛相すでに仲井真知事に伝達 先月、非公開会談で      

            やはり、仲井真さんは知っていたんだ!

北沢俊美防衛相が5月7日の仲井真弘多県知事との非公開の会談で、普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの配備について、米側が近く正式表明するとの見通しを伝えていたことが31日、分かった。複数の政府関係者が明らかにした。北沢氏は31日の参院外交防衛委員会で知事への伝達を否定したが、「いずれ米側から通報が来る可能性は非常に高い」と述べ、近く地元に安全性などについて説明する考えを示した。危険性が指摘されるオスプレイの配備を非公開の場だけで収めようとした政府や県の姿勢が問われそうだ。

米海兵隊は普天間飛行場のCH46中型輸送ヘリコプターの後継として、2012年10月からオスプレイを随時配備していくことを公表している。一方、日本政府は「正式な通報は受けていない」として、地元への説明を避けてきた。
 
北沢氏は7日の知事との公開での会談前に、非公開で約10分間、オスプレイ配備に向けた米側の動向を説明。オスプレイに対する反発や不安を念頭に、騒音や安全性に配慮するよう米側に要請する意向も示したという。仲井真知事は31日、非公式でオスプレイの配備が説明されたかについて「覚えていない。非公式の話はオープンにできるものだろうか」と述べ、明言を避けた。

下地島に「災害??」拠点 防相会見、米軍と合同訓練も      

北沢俊美防衛相は31日の記者会見で、下地島空港など南西諸島を災害時の国際拠点とする方針を明らかにした。災害対応ロボットや援助物資の備蓄、多国間の共同訓練などを実施する構想。原子力発電所事故などで活動する無人航空機を自衛隊に装備する方針も示した。東日本大震災では無人偵察機や陸上部隊など自衛隊と米軍が共同で対応に当たっており、下地島空港でも合同訓練が検討されるとみられる。同空港は1971年の「屋良覚書」で軍事利用を否定しており、地元の反発を招きそうだ。
 
北沢氏は災害時拠点について「周辺国にも、災害支援ができる態勢を構築したい、と申し上げたい」と述べ、国際協力の一環として拠点を整備する考えを示した。国際拠点の構想は6月上旬にシンガポールで開催されるシャングリラ対話(アジア安全保障会議)で表明する方針。

国際拠点は県側が新たな沖縄振興で提言した「アジア・太平洋地域の災害援助拠点の形成による国際貢献」に対応した形で、北沢氏は5月23日の沖縄政策協議会の基地負担軽減部会でも下地島空港を活用する案を提示していた。一方、県は「あくまで国際的な援助拠点だ」とし、軍事目的の利用は想定していないとの見解を示している。

北沢氏は会見で、東日本大震災で福島第1原発の原子炉建屋内部の撮影に米国の小型無人航空機などが使われたことを踏まえ、「ロボット大国だと言われながら、実際は米国のものを使用した。自衛隊が装備して、支援ができるようになればいい」と述べた。

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「屋良覚書」で軍事利用が否定されている(た?)下地島空港

新刊書籍紹介

本土の人間は知らないが、沖縄の人はみんな知っていること - 沖縄・米軍基地観光ガイド

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沖縄・八重山から アーカイブ① 2011 2月24日より

2011-09-21 21:08:02 | インポート

4月18日 今、八重山『与那国島・西表島』では

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  与那国島の風景 

2011 0325 八重山毎日新聞より
与那国町議会一般質問 住民投票の実施否定、自衛隊誘致で外間町長

3月定例与那国町議会(前西原武三議長)は24日から2日間の日程で一般質問に入った。初日は、田里千代基、崎元俊男の2氏が質問した。

自衛隊誘致について崎元氏が「与那国の将来を左右する大問題」として住民投票の実施を求めたのに対し外間町長は「実施すると島を二分することになりかねない」と、住民投票の実施を否定した。

同氏は与那国防衛協会が08年9月議会に提出した自衛隊誘致を求める500人余の署名の信ぴょう性を指摘し「閲覧させてほしい」と求めたのに対し外間守吉町長は「人数を確認し、その日のうちに袋に入れ封印した。プライバシーの問題もあるが、防衛協会の同意があれば見てもらっても問題ないと思う」と答弁した。

住民への説明会開催について町長は「4月に島しょ防衛に関する調査費が執行される。この調査費が執行される段階で町としてのメニューも示し、町民に説明できると思う。夏ごろまでには開けると思う」とした。

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*与那国島自衛隊誘致への経緯 過去の八重山毎日新聞より

外間町長は2005年に尾辻吉兼・前町長が急逝し、その後継として町長選に立候補し当選した。2004年、平成の大合併の際に、与那国町では石垣市、竹富町との1市2町の合併話が進んでいたが、尾辻前町長は、結論を住民投票で決めるとした。住民投票は中学生も参加して行われ、「合併反対」となった。与那国島は終戦直後には台湾や香港などとの“密貿易”で人口は1万2000あったが、その後、過疎化が進み、1960年には6000人になり、私が初めて島を訪れた1973年には2,300人台にまで落ち込んでいた。今年3月1日現在では1625人にまで下がり、1600人を下回るのは時間の問題とみられている。

尾辻前町長は、過疎化が進む与那国島の活性化をめざし、住民投票の結果を受けて、「自治・自立・共生」による「与那国町自立ビジョン」を琉球大学の教授や島出身の吉本政矩元沖縄県副知事らの協力を得て、町民参加で策定した。このビジョンに基づいて、台湾・花蓮市との人やモノの交流を柱にした「国境交流特区」を政府に申請してきたが、政府はことごとく却下してきた。その途上で尾辻氏は急逝したのである。外間氏は尾辻氏とは小・中学校の同級生で、町長のブレーンでもあったことから、尾辻氏が目指して動き出した方針を継ぐとして後継町長となった。

台湾との国境交流特区は認められなかったが、町職員の田里氏を花蓮市に派遣して与那国町花蓮駐在事務所を開設、台湾の民間航空をチャーターして両市町の交流を進めてきた。台湾の人たちは与那国島への関心も大きく、台湾のリゾートとして期待され、与那国へのリゾート開発の投資話もきたりしたが、両者の思惑が折り合うまでにはいっていない。

そんななかで島の人口減が急速に進みだした。小泉元首相の三位一体改革で、町の財政も苦しくなった。人口減に歯止めをかけ、島を活性化するには働き口が増えなければならないのだが、島に仕事はない。これまでは道路整備、圃場の土地改良、空港の滑走路延長など、公共事業に頼ってきただけに、それらがなくなった島には働き口がないのである。

また、島には中学校までしかなく、子供たちは中学を卒業するとほとんど全員が高校進学のために石垣島や那覇に行ってしまう。親は島でのサトウキビ農業では仕送りもできないから、親も一緒に島を出るという事態も年々増えてきた。「自立ビジョン策定」の過程で、琉球大学が与那国島に試験的な“高校”を試みてもよいという方向が出たのだが、与那国町はその申請さえしていない。私は過疎化の最も大きな理由は働き口がないということに加え、島に高校がないことだと考えてきた。そのために多少調べてもみた。中学教員は高校の授業を教える資格もある。また高校教師OBを活用することもよい。足りない授業は石垣か那覇の高校で夏休みなどに集中的にスクーリングすることもよいだろう。こういう知恵を活用して、島に変則的であっても高校ができれば島を出る人は減るのではないかと思うのだが。親も子供が高校へ行きたいと言えば、行かせないわけにはいかないだろう。だが、島に高校ができれば、親の経済的負担が軽減され、そこへ行く子供は多いと思われるのだ。台湾との交流を考えて、島の高校では中国語を教えたり、県外でも募集するなどすれば、逆に人口減の歯止めに寄与することにもなるだろう。中学を出て島外に出た子供はほぼ100%戻ってはこない。島に高校がないから過疎化が進んでいるのだ。

これに加えて、近年は老人が島を出て行っているのである。かつては子供たちが出て行くのは仕方がないが、老人は島に残って島で人生を終えるのが一般的だった。ところがここ数年、老人までもが島を出てしまうのだ。なぜこうなったのかを訊いてみると、介護保険のせいだという。介護保険は強制であるから、住民は保険料を払っているのだが、島では十分な介護を受けられないからなのだ。「月桃の里」という特養施設はあるが、そこに入所するほどではない老人が、在宅サービスを受けようとしても受けられないのだ。保険料を払った老人にしてみれば、せっかく払ったのだから、それに見合う介護サービスを受けたいと思うのは当然である。それが受けられないなら、子供たちがいる石垣島や本島に移って、そこでサービスを受けたいということになるのだ。これは深刻な問題だ。介護保険制度が辺境の離島の実情に合っていないのだ。 こういう人口減の理由をきちんと調べ、問題を分析して活性化を図る方策を進めてほしいのだが、どうやらこれまでのところ、そういうことがなされてはいないようだ。

そういう中で、昨年秋の町議会で「自衛隊誘致」が決議された。町議6人のうち5人が賛成したという。外間町長は「町議会の決議は尊重しなければならない」との考えで“誘致”に動いたのだろう。だが、ここで少し立ち止まってもう一歩考えを深めてもよかったのではないだろうか。自衛隊誘致が本当に島の活性化の起爆剤になるのだろうか、と。1昨年、米軍艦船が突如与那国島に寄港した時、外間町長は寄港に反対して、外務省に抗議をした。その大きな理由は、米軍艦船の寄港というような、島民の政治的な意見の対立を起こすようなことはしないでほしいということだった。「与那国島自立ビジョン」を作って島民一丸となって自立をめざして進もうとしている時に、島民の対立を煽るようなことはすべきでないという考え方には、私も同感であった。とすれば「自衛隊誘致」も島民の対立を激しくするものであるだろう。対立が激しくなっても、それを上回るメリットが島にあるだろうか。そこを考えてみる必要がある。

6月30日に町長と町議会議長が上京して浜田防衛相に「誘致」を陳情し、それに応えて7月8日に浜田防衛相が与那国島を訪問した。そして、数十人規模の自衛隊を常駐させる方向で次期防衛大綱に組み入れる意向を示したという。実戦の訓練や演習をするほどの土地がないことから、配備される可能性があるのは実戦部隊ではなく、レーダー観測など情報部隊のようだ。

この程度の規模の隊員が派遣されても、島が活性化するほどの働き口が増えるとは思われない。多少に補助金が町に入る程度だろう。それに加えて、これまで続けてきた台湾との交流を考えると、台湾の人には与那国への自衛隊の誘致はよい効果を及ぼさないとも思われる。自衛隊の配備は台湾を敵視しているとも見ることができるからだ。台湾から見れば「与那国町は交流と自衛隊配備の二股をかけていたのか」と見えるからだ。地方自治体は政府とは別の存在であるはずだ。政府が与那国島に自衛隊を配備したいと言うのであれば、それは政府のすることだからとして、別のこととしてみなすことはできる。国防は政府の専管事項であるからだ。

これに対して自治体は、地域の民生が専管事項である。そのために地理的に近い台湾と与那国が交流を深め、それによって地域の活性化を進めるのは大事なことだ。私は与那国町がそういう方向でこの数年進めてきたことを地方自治体の在り方として素晴らしいことだと思い、敬意を抱いて見てきた。辺境の島がそのような活動を進めるのは、日本では他にないことでもある。その成果として花蓮市と与那国町は1昨年「災害相互援助協定」を結んでいる。日本の地方自治体が外国の地方自治体と直接、このような協定を結ぶというのは例のないことだ。与那国町はこの点でむしろ日本の自治体の最先端を進んでいるとも言えるのだ。そういう与那国島が進めてきたことを後戻りさせないようにしてほしいものだと願っている。

政府は日本最西端に位置する沖縄県の与那国島に陸上自衛隊の部隊を配置する方針を決めた。実現すれば、沖縄で本島以外へ陸上部隊を配置するのは初めてとなる。付近を航行する船舶の監視を行うとともに、離島防衛の意思を明確にするのが目的で、軍事力を増強し東シナ海での活動を活発化させる中国に対抗し、南西諸島の防衛力を強化する狙いがある。

配置する部隊は、レーダーなどで船舶の航行情報を収集する沿岸監視隊となる見通しで、規模は数十人。防衛省は、那覇市に司令部を置く陸自第1混成団(約1800人)を今年度末までに約300人増強し旅団に格上げし、その後、旅団から与那国島に部隊を新たに置き、レーダーサイトも設置する。

実戦部隊の配置は、島内に演習を行える十分な土地がないことや、中国、台湾を刺激しないよう配慮した結果、見送る方針だ。ただ、与那国島には2000メートルの滑走路を持つ与那国空港があるため、将来的には有事の際に陸自部隊の来援を受け入れたり、海自の哨戒機P3Cを配備したりすることもありそうだ。

自衛隊誘致で島の真の活性化ができるかと言えば、疑問を感じざるを得ない。基地ができることによって国からの交付金が町財政を一定程度潤すことはあるだろうが、レーダー基地の設置と数十人規模の配置であれば島民の働く機会が増えるわけではないと思われる。今、島民に必要なのは働く機会であるし、そのことによって島の将来への希望をもたらすことだ。それをもたらしてくれるのは、自衛隊のような島民の意見を分裂させる危惧のあるものではないだろう。島民全員が島の発展のために協力し合えるものであってほしい。

参考資料 防衛大綱pdfファイル 「bouei.pdf」をダウンロード

中期防衛力整備計画pdfファイル 「cyuuki.pdf」をダウンロード

誘致反対派の町議会議員 崎元俊男さんの沖縄琉球崎元酒造所を紹介します。
与那国島名産のアルコール度数60度の花酒など、通信販売もしています。

http://www.sakimotoshuzo.com/

西表島では自衛隊の艦艇がしきりと来ています

福島の放射能は北極→シベリア→中国→韓国などを経由してこちらにも来ているようです。

3月5日 八重山毎日

「今度は護衛艦が石垣港入港、掃海艇も白浜、久部良に寄港」 

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石垣へ入港する掃海艇

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石垣島へ上陸する150名の自衛官

3月3日 八重山毎日
今度は護衛艦が入港 きょう石垣港

乗組員、休養で上陸
掃海艇も白浜、久部良に寄港 海上自衛隊の護衛艦(イージス艦)1隻と掃海艇2隻が1日から5日にかけ相次いで八重山諸島の港を利用する予定のあることが2日、分かった。護衛艦は3日、石垣島沖合の港湾区域内に入港し、乗組員が作業艇で上陸する。中山義隆市長は2日、「協力できるところは協力する」と従来の見解を示した。掃海艇は石垣港に寄港したばかりの2隻で、1日から3日まで西表白浜港に寄港した後、3日から5日まで与那国久部良港に寄る予定だ。複数の自衛艦が同時期に相次いで入出港するのはかつて例がないとみられ、平和団体などは反発を強めている。

 市などによると、護衛艦は海上自衛隊第3護衛隊群(京都府舞鶴市)の「あたご」(7750トン、全長165メートル、乗組員250人)で、イージス装置1式や高性能20ミリ機関砲2基などを装備。隊員の休養と災害派遣時に備えた港湾調査が目的という。
 3日午前8時に石垣港沖合約2キロの港湾区域内(検疫錨地)に入港し、乗組員180人が作業艇で浜崎船だまりに接岸、上陸する予定。4日午前8時に出港する。

 掃海艇は海上自衛隊沖縄基地隊・第46掃海隊(うるま市勝連)の「あおしま」「ししじま」(いずれも510トン、定員45人)。同隊によると、白浜港では1日午後1時入港、3日午前8時出港、久部良漁港では3日午後1時入港、5日午前8時出港を計画している。
 川満栄長竹富町長は「自衛隊の配備は竹富町にふさわしくないので反対するが、存在自体は認めており、入港の経験は万が一のときにスムーズにいく」と容認する立場をとっている。

 掃海艇は2月19日から2泊3日、災害派遣時に備えた港湾調査と一般公開による広報活動を目的に石垣港に入港したばかり。白浜、久部良にも同様の目的で寄港するが、今回は護衛艦も加わって3隻が八重山の海に姿を現すことになる。護衛艦との関連性について沖縄基地隊広報は「まったく別。関係はない」と否定した。
 護衛艦は2004年9月、県総合防災訓練で入港したが、06年5月には拒否された経緯がある。

3月4日 八重山毎日
イージス艦が石垣沖に入港 海上自衛隊乗組員150人上陸
佐世保総監も来島、市長と面談
掃海艇は白浜~与那国寄港

海上自衛隊第3護衛隊群=京都府舞鶴市=所属のイージス艦(護衛艦)「あたご」(7750トン、全長165メートル、乗組員250人)が3日午前8時ごろ、石垣港の港湾区域内(検疫錨地)に入港した。入港目的は「乗組員の休養と災害派遣時に備えた港湾調査」という。護衛艦から乗組員約150人が小型船で浜崎船だまりに接岸、上陸した。護衛艦の入港に合わせ、母港の佐世保地方隊からトップの加藤耕司総監も来島していることが分かった。加藤総監は中山義隆市長と面談し、護衛艦を出迎えた。

 先月19日の海上自衛隊沖縄基地隊・第46掃海隊の掃海艇2隻に続き2カ月連続の入港となる。護衛艦は、イージス装置1式や高性能20ミリ機関砲2基などを装備。4日午前8時に出港する。
 護衛艦は同日早朝、崎枝方面から港湾区域内の検疫錨地に入り、石垣島沖合約2キロの海上で投錨、停泊した。このあと、作業艇2隻が3回にわたり、私服姿の乗組員を浜崎船だまりから上陸させた。この間、接岸場所では平和団体の集会が開かれ、プラカードやシュプレヒコールなどで抗議の意志を表した。

 加藤総監は同日午前9時半から中山市長や伊良皆高信議長を相次いで訪ねた。この後、小型船から護衛艦に乗り込み、伊良皆議長や八重山防衛協会の三木巌会長ら役員と会食した。
 中山市長は面談について「加藤総監からは入港の協力にお礼をいただいた。通常の表敬の範囲内と認識する」と述べた。
 一方、海自沖縄基地隊・第46掃海隊の掃海艇2隻「あおしま」「ししじま」は3日、西表島白浜港を出港し、与那国島久部良漁港に寄港した。港湾調査と広報活動(一般公開)が目的という。

2月20日 八重山毎日
石垣港、海自掃海艇2隻が入港 平和団体ら「自衛隊いらない」と抗議

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石垣へ入港する掃海艇

海上自衛隊沖縄基地隊の第46掃海隊(宇都宮俊哉司令)は19日午前、「あおしま」「ししじま」(いずれも510トン、定員45人)の掃海艇2隻を石垣港に入港させた。21日午前9時まで停泊し、災害派遣に備えた港湾調査や広報活動のための一般公開を行う。港湾管理者の中山義隆石垣市長は「通常の自衛隊活動の範囲内」として入港を認めたが、平和団体や労組のメンバー約50人は「先島に自衛隊はいらない」などとシュプレヒコールを繰り返し、掃海艇の入港に抗議した。

石垣市はこれまで、海艇や護衛艦など軍事に結びつく船舶の入港を認めてこなかったが、中山市長は取材に「目的が災害時における利用のための港湾調査だったので認めるべきだと判断した。選挙のときにも話しているが、通常の自衛隊の活動の中での寄港については認めていく」との方針を示した。宇都宮司令は「感謝している。事前の準備をさせてもらい感激している」と話した。

掃海艇2隻は同日午前9時ごろ、平和団体がシュプレヒコールを繰り返す中、入港した。2隻に計約80人が乗り込んでいる。
 

八重山防衛協会(三木巌会長)など自衛隊の協力3団体の10数人が特別公開に招かれ、うち伊良皆高信議長や砥板芳行市議ら8人が昼食会にも出席した。掃海艇は20日に一般公開を行い、21日午前9時に出港する予定だ。

2月18日 八重山毎日

海自掃海艇2隻が入港へ 港湾調査で19日から3日間

中山市長「問題ない」と許可

海上自衛隊沖縄基地隊第46掃海隊=うるま市勝連=の掃海艇2隻が19日から3日間、石垣港に寄港を予定していることが17日、分かった。同隊からの岸壁使用許可申請に対し、港湾管理者の中山義隆市長が認め、港湾課が14日の庁議で報告した。大浜長照前市長時代は不発弾処理や災害救助などに利用される船舶以外の入港を認めてこなかったが、今回の掃海艇の“受け入れ”は市政交代を象徴する一コマとなりそうだ。新防衛大綱で南西諸島への自衛隊配備計画が打ち出された直後の入港に平和団体などは「防衛大綱を前提にした動きではないか」と警戒を強めている。

同隊からは2月14日付で港湾課に申請書が届いた。同課や自衛隊沖縄地方協力本部石垣出張所などによると、入港する掃海艇は「ししじま」(510トン、定員45人)と「あおしま」(同)。20ミリ機関砲と掃海装置一式を備えている。不発弾処置や災害派遣時の入港に備えた港湾調査と、海上自衛隊に対する理解を深めるための一般公開が目的。19日午前9時に入港し、21日午前9時に出港する。

これまで石垣市には1998年に掃海艇2隻、2002年に海洋観測船、03年に掃海艇2隻、05年に護衛艦2隻、07年に水中処分母船の入港打診があったが、当時の大浜市長は海洋観測船と水中処分母船を認め、軍事に結びつく掃海艇や護衛艦については拒否した。うち05年の護衛艦は1隻が観音堂沖で停泊し、小型ボートで石垣島に上陸して休養をとったこともある。

中山市長は17日、出張先の那覇市で八重山毎日新聞社の取材に対し、「寄港の目的は災害時のための調査でもあるので大きな問題はないのではないか。9月には石垣市で県の総合防災訓練もあり、その際に自衛隊の船が入港することもあるだろう」と話した。
一方、八重山地区労働組合協議会の波照間忠議長は「防衛大綱や国民保護計画などの動きを考えると、目にみえて自衛隊配備が本格的になってきたと実感する。今後もどんどん入ってくるのではないかと危惧(きぐ)する」と懸念し、港湾労働者の立場からも「荷役作業にも少なからず影響するので好ましくない」と指摘した。

3月24日 八重山毎日  八重洋一郎

ある高校生の質問。「東北地方には約百年前にも大津波が襲ったと…

ある高校生の質問。「東北地方には約百年前にも大津波が襲ったと伝えられているし、その後も何度か災難に遭っている。どうして安全な別の所へ移ってしまわないか」。答え「いや、人間には墳墓の地というのがあるのだ。その土地で生まれ生き死ぬ。そこはその人の生きる根拠地だからそこで起こるさまざまなことはそのままその人の人生の内容となる。だから今度の地震津波でも運命として受け取ることができる。そしてその土地で生き続けることによって運命を乗り越え、新しい運命を切り開こうとする勇気もわいてくるのだ。人生至るところに青山あり、どこに行ってもそこが青山(墳墓)であるという言葉もあるが、それは現実から逃げるという発想ではなく世界へ挑戦するということなのだ」。こんな会話をして2、3日後、新聞を読むと津波で流された町の町長が「古里へ帰ってもう一度町をつくろう」と呼びかけている記事があり深く感動した。実はわれわれ八重山人は皆あの明和八年大津波の生き残りなのだ。私の祖先はその時、土砂の中から掘り出されたという。その祖先が掘り出されなければ今の私は存在しないという不思議な事実がある。生き残った者はあらゆる困難をしのいでまた根拠地をつくりあげるのだ。東北の人々は必ずやそれを成し遂げると思う.。

とってもすばらしい教訓であり、被災された方々への励ましになるのかなと思い転載しました。 原発も軍事基地も無い平和な町が復興されますように祈ります。

2月27日 八重山毎日
「軍事的合理性はない」自衛隊の先島配備 前内閣官房副長官補の柳澤氏

抑止力に疑問示す

2004年から09年まで内閣官房副長官補として安全保障を担当した柳澤協二氏(64)が26日までに、八重山毎日新聞社の電話インタビューに応じた。昨年12月に閣議決定された新たな防衛計画大綱は、存在自体を抑止力とした「基盤的防衛力整備構想」から、部隊運用を重視した「動的防衛力」に転換、南西諸島の防衛を重視する内容となっているが、柳澤氏は「そもそも何を抑止するのか」と疑問を投げかけ、先島など島しょ部への部隊配置についても「軍事的な合理性はない」との見解を示した。

防衛大綱や中期防衛力整備計画(中期防)は南西諸島への部隊配備を明記し、防衛省が2011年度予算案で3000万円の調査費を計上している。沖縄防衛局は与那国、石垣、宮古島の1町2市の首長に説明し、先島地域で「新年度のできるだけ早い時期に調査する」との方針を示している。
 

柳澤氏は新防衛大綱について「コンセプトは動的抑止と思うが、そもそも動的抑止に疑問をもっている」とした上で、中国の南西諸島を侵略することを前提にした動的抑止に「ほんとにそういう意図があるのか。中国にしてみれば先島を軍事的に占領する意味はない。ほんとに戦争をする気になれば、米軍施設にミサイルを撃ち込むだけで十分だ。そういうことを考えると、島しょ防衛にどれくらい蓋然(がいぜん)性があるのか」と疑問符をつけた。

自衛隊の先島配備については「生き残り策ではないか」との見方も示し、「私は意味がないと思う。外交的には相手(中国)の外交措置や緊張を高めるというデメリットもある」と指摘した。与那国島への沿岸監視部隊の配置についても「情報的にどれだけプラスかよく分からない。P3C(海上自衛隊の哨戒機)が一日一回飛んでおり、海上保安庁もパトロールをしている。置いた部隊をどう使うのか分からない。そこは説明する必要がある」と注文をつけた。

2月24日 八重山毎日
陸自の先島配備で調査 沖縄防衛局

「新年度の早い時期に」 与那国、石垣などに説明 
島しょ防衛強化、現実に

新たな防衛大綱・中期防衛力整備計画(中期防)で陸上自衛隊の部隊配備が検討されている与那国町、石垣市、宮古島市に対し、沖縄防衛局は大綱・計画の説明とともに部隊配備に向けた調査の意向を伝えていたことが23日までに分かった。職員が直接、説明した。防衛省は2011年度予算案で調査費3000万円を計上している。防衛局は八重山毎日新聞社の取材に「平成23年度の可能な限り早い時期に(調査を)着手する」と答えた。今後、八重山での自衛隊配備が現実味を帯びてくる。賛否をめぐって激しい議論が起きそうだ。

防衛大綱や中期防は南西諸島の島しょ部での対応能力の強化を明記、「必要最小限の部隊を新たに配置する」としている。与那国島への沿岸監視部隊の配置、石垣島と宮古島には実動部隊の配備が検討されている。

先島での調査について防衛局は「部隊配置等に向けた具体的な調査になる」とし、内容については「先島諸島の全般的な状況やインフラ整備の状況等を調査する」と説明した。 与那国町によると、4月以降にレーダーを積んだ車両を持ち込んで、電波環境などの調査をするという。防衛局や両首長らによると、防衛局は1月6日と2月21日に中山義隆石垣市長、2月10日に外間守吉与那国町長、同月21日に下地敏彦宮古島市長、同月22日に与那国町職員にそれぞれ説明した。

中山市長は「石垣島で調査するという話は聞いていないが、調査するなら事前に連絡してもらいたい。部隊配置が決まったわけではないので調査に反対するつもりはない」と受け入れる方針を示した。自衛隊誘致を明言している外間町長は「粛々と受け入れのための環境づくりをしたい」と歓迎、「(自衛隊の配備が)具体的になってきたので、新年度に入って住民説明会を開催したい」と話している。


沖縄八重山「教科書採択問題」アーカイブ 2011 9/22-11/8

2011-09-21 19:57:51 | インポート

11月8日 八重山毎日
教科書問題あす提訴 保護者と市民団体、「全員協議」の有効性問う

八重山地区の公民教科書問題をめぐり、来年4月から4年間で実際に教科書を使う石垣市内の児童生徒の保護者と市民団体が、9月8日の「全員協議」で採択された東京書籍版教科書の無償給付を市教育委員会に求める行政訴訟は9日、那覇地裁に提起される予定だ。全員協議の有効性をめぐっては国と県、3市町で見解が割れており、原告側はこのままでは事態は動かないと判断、司法の場で全員協議の有効性を問う手段に出る。

全員協議は、公民教科書が採択地区内で同一になっていない状況を受け、県の指導・助言のもと開催され、採択地区協議会から答申のあった育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した。いずれも賛成多数だった。これに対し玉津博克石垣市教育長と崎原用能与那国町教育長は、市町教委の合意がなかったとして無効を訴える文書を文科省に送付、同省はこれを基に「協議が整っていない」として無効と判断。一方、県や竹富町教委は「全教育委員によって協議を行うことが議長から提案され、異論はなく、了解された」として有効との見解だ。

裁判は、保護者2人を中心に「住民の視点で教科書をえらぶ会」が原告団を組織して臨む。原告側は全員協議について「多数決に13人中11人が参加したことからして、この全員協議で東京書籍を採択した決議は『協議して同一教科書を採択した』と言えるのは明らか」と無償措置法に基づく協議、地教行法に基づく採択だったと主張している。これを裏付ける根拠の一つとして、市教委が公開した全員協議の音声記録をもとに文書による議事録を作成し、証拠として提出する予定だ。議事録文書の公開請求に対して市教委は「協議の場の位置づけが不明で、事務局の位置づけも定かではない」として作成しておらず、文書が存在しないことを理由に請求を拒否している。採択手続きを問う裁判は全国でも例がないという。原告側は「教科書の内容を争点にするものではない。

行政が行った教科書の採択という手続きが正しく行われたかどうかを裁判所に判断してもらう」と意義を強調。代理人となる井口博弁護士は「もともと違う教科書から、正しい手続きで採択された教科書に変えるもの。9月8日に決まった教科書を無償で下さいというシンプルな裁判だ。違法な状態から子どもたちを救う手段だ」と話している。

11月6日 沖縄タイムス
[教科書問題提訴へ]3教委は最後の努力を

八重山には「やらびぬ どぅ ぴぅとぅぬ しぅなだー みー」ということわざが伝わる。「やらび」とは子ども、「ぴぅとぅ」とは人、「しぅなだー」とは姿という意味だ。子どもの前で、子どもがまねては困るようなことをするな、と「八重山ことわざ事典」の著者宮城信勇さんは大人を戒める。

混迷を極める八重山地区の中学公民教科書採択問題は今週にも裁判に持ち込まれることになりそうだ。子どもが不利益を被る可能性がある。3教委とも成り行きを座視することなく、当事者であることを忘れてはならない。もつれた糸を解きほぐすための話し合いのテーブルを設定するなど最後まで努力を尽くしてもらいたい。

教科書は来年度から4年間、現在の小学5年生から中学2年生まで使用する。対象となる石垣市内の小学生の保護者らが育鵬社版を採択した市教委を相手に、東京書籍版の無償給付を確認する訴訟を那覇地裁に起こす。同じケースの与那国町の保護者らとも連携していく方針だ。

同地区の中学公民教科書選定をめぐる動きを振り返ると、3教委から諮問を受けた八重山採択地区協議会が8月、育鵬社を答申した。石垣市、与那国町両教委は答申通り育鵬社、竹富町教委は東京書籍を選び、採択が異なった。このため9月に開かれた3市町の全教育委員協議で東京書籍を採択した。保護者らの訴えは、全教育委員協議の採択の有効性を確認するものである。

文部科学省と調整しながら指導・助言してきた県教委も全教育委員協議の採択を有効とする。一方、文科省は協議会の答申を有効とし、今月中に一本化できなければ竹富町教委に自費購入を促す。

先月末の衆院文科委員会。質問者が、答申と採択が異なった場合でも無償となっている他県の例を挙げ「同一でないという点では、石垣・与那国も竹富と同じ。竹富だけ無償にならないのはつじつまが合わない」「協議会の答申は現場教師の意見を聞かずに強引に決めた。だから3市町の全教育委員協議で否決された」と中川正春文科相をただした。当然の指摘だ。文科省が答申にすぎない協議会の結論を根拠にするからである。

教科書の無償給付を定めた無償措置法が地区内は同一教科書とし、地方教育行政法は採択権は市町村教委にあるとする。法整備の怠慢を棚に上げ、その矛盾の責任を竹富町教委に負わせる文科省のやり方はやはりおかしい。

「育鵬社ありき」の立場で協議会会長の石垣市教育長が主導して協議会委員の入れ替えなど規約を変更。現場教師の調査員による教科書の順位付けを廃止した。

教科書選定の関係者は自らの「しぅなだー」に対する子どものまなざしに鈍感と言わざるを得ない。訴訟は解決の方法としては最終手段だ。地域を分断しかねない。

3市町教委は打開策を探る責務がある。その努力を惜しんでは、これまで先人が営々と築いてきた八重山の教育に禍根を残すことになる。

11月6日 八重山毎日 

教科書問題 公開された採択協会議録
 
石垣市教育委員会が4日公開した教科用図書八重山採択地区協議会の会議録。8月23日の教科書選定作業の会議録資料はA4判両面書きで28ページに及ぶ。委員の意見が分かれた調査員の順位付け、会議の公開、投票方法、選定結果の公表、委員の氏名公表をめぐる議論と、今問題となっている公民教科書の選定作業の様子を議事録で紹介する。掲載にあたっては文章を一部省略したり、かっこ内で説明を加えたりして文意が通るようにした。3教育長は公開、教育委員3人とPTA代表、学識経験者の計5人は非公開となっている。玉津博克会長(石垣市教育長)は「玉津」、慶田盛安三副会長(竹富町教育長)は「慶田盛」、崎原用能副会長(与那国町教育長)は「崎原」と表記する。

会議録の内容は: 「1106yaeyama.doc」をダウンロード

11月5日 八重山毎日 
教科書問題 PTAが署名活動開始 東京書籍の採択求め

小中学校のPTA代表らで組織する「子どものための教科書を考える保護者の会」が、公民教科書について9月8日の「全員協議」で採択された東京書籍を「同一の教科書」として確認するよう文科省と県に要請するため、保護者らから署名を集める活動を始めた。保護者の会は平良守弘八重山PTA連合会長、宇根信夫竹富町PTA連合会長、稲川宏二与那国小PTA会長、東蔵盛充平真小PTA会長、平良敏一名蔵小中PTA会長、知念秀明海星小PTA会長が共同代表を務める。

署名用紙には東京書籍と育鵬社の内容を項目別の比較表を掲載、「保護者の立場から子どもたちが使う教科書はどちらが望ましいかを判断して下さい」と訴えている。要請では「私たちは、子どもたちの教科書としてふさわしく、教職員も高く評価する東京書籍版教科書を地区内の同一の教科書として確認していただくよう要望する」としている。同会は今月中旬をメドに署名をまとめ、文部大臣と県教育委員長に要望書を提出る、直訴も検討している。

11月5日 八重山毎日
公民、実質審議なく投票 2委員の意見表明のみ、地区協議会の会議録公開 

来年度から4年間使用される中学校教科書を選定した8月23日の教科用図書八重山採択地区協議会の会議録が4日、音声記録とともに公開された。市情報公開条例に基づき本紙が9月20日付で行った請求に、石垣市教育委員会(玉津博克教育長)が公開した。教科書名を伏せたまま議論が行われていたことが正式に確認され、議事日程にある「意見交換」とはほど遠い内容。教科書の中身を比較検討するはずの「協議」から乖離(かいり)している実態が浮き彫りになった。公民分野で発言したのは2委員のみ。投票後に議論になるという本末転倒の事態を招いている。

社会科(地理、歴史、公民)の教科書は3人の調査員(教員)が6月28日から7月29日までに計9回、延べ32時間にわたって調査研究した結果、公民分野は「推薦したい教科書」「特徴・特色の教科書」にいずれにも東京書籍と帝国書院を挙げた。育鵬社は、その他の観点から14点のマイナス評価がついた。協議は、委員2人が教科書名を言わずにどういう観点で選んだかを述べるだけ。その他に意見はなく、審議は6分で終了。投票の結果、育鵬社が8票のうち5票を集めて選定された。

会議録によると、次の分野に移ろうとすると、委員から「育鵬社はマイナスの評価が多いのになぜ選定されたか」と待ったがかかる。玉津会長は「もう投票は終わりました。決めるのは私たちです」と制止するが、なお納得がいかない同委員は食い下がり、しばらく議論が続いた。しかし、結果は決まっている。玉津会長は「蒸し返しになるので、これは取り消してください」と議論に終止符を打った。

協議会は9教科15教科書を選定したが、公民分野だけが調査員の意見を反映しない結果に。玉津会長が繰り返し強調していた「委員の責任と権限」は実質的に同分野で発揮されたことになる。推薦外図書の選定状況を確認しようとする委員に玉津会長は「確認して何をしようとしているのか。確認をしないで下さい」と発言を制止し、「推薦があったかどうかを含めて一切口外しないように」とクギを刺して会議に幕を下ろした。会議録では、委員8人のうち3教育長の氏名のみ公開され、5人の委員は「委員」とだけ記されている。

社説: 納得できぬ文科省対応 教科書問題の本質を見よ 

目に付く沖縄への強硬姿勢

政府は何を考えているのだろうか。教科書問題で何ら瑕疵(かし)のない竹富町に対し、育鵬社公民教科書採択を実質的に迫っている。また地元が反対する米軍普天間基地の辺野古移設に関する環境アセスメント提出を県に通知した。さらにJA沖縄など県内31団体が猛反発するTPP交渉に、十分な論議のないまま参加の動きを示すなど沖縄は大揺れだ。

これらの一連の動きには納得できない。普天間移設に「最低でも県外」と公言したのは鳩山元首相である。その約束を簡単にほごにし、「国益」を大義に辺野古移設を求める。地元・名護市長、県知事が県内移設は困難と再三反対を伝えても、聞く耳を持たない。県が要求した新沖縄振興計画の一括交付金を閣議決定し、アメをちらつかせながら具体的な額は示さず、あたかも辺野古移設次第と言わんばかりである。

さらにTPP交渉参加が、サトウキビを中心に県内経済に多大なダメージを与えることを国は承知しているはずだ。キビ産業の依存度が高い八重山の島々に至っては、砂糖の関税が撤廃されれば破壊的な打撃を受ける。これまでの離島振興策が積み木崩しになりかねない。十分な論議と打開策のないまま事を進める姿勢が、先進国の民主主義国家なのか。

道理通らぬ竹富町教委への対応

教科書問題の強権ぶりも耳を疑う。八重山地区教科書採択協議会答申の育鵬社公民教科書を不採択とし、東京書籍を選んだ竹富町教育委員会に対して中川文科相は、一本化できない場合は「国の(教科書)無償供与対象にならない」と公言した。これには驚いた。竹富町教委は地方教育行政法に沿って東京書籍の教科書を選定したのであり、瑕疵(かし)は全くない。

問題は教科書無償措置法と地方教育措置法の矛盾を知りつつ、これまで放置してきた国にあるはずだ。それを棚にあげ、新しい法が優先するという内閣法制局の解釈は、勝手なご都合主義といえ、道理が通らない。 国に代わって、竹富町が教科書を購入するのは法令上禁止されていないというのもまたおかしい。独自に町民の血税を充てよ、というのは憲法に定めた無償で義務教育を受ける権利にも抵触しかねない。

この問題は何度も指摘しているように、根幹は地区採択協議会の運営手法が正しかったか、否かである。調査員の人事に始まり、調査報告で数多く問題点の挙がった育鵬社公民教科書を、ルールを変えてまで採択したことが批判されているのである。匿名採択で、都合の悪いことはオブラートに包まれたままである。これでは多くの人々の納得を得ることはできない。

県教委の再協議提案認めよ

国は当初、県教委と連携しながら指導を進めていただけに、事情を知らないはずはない。なぜ問題の本質から目をそむけるのか理解できない。文科省と県教育委員会は真っ向から異なった見解を持つ。県教委は育鵬社教科書を不採択とし、東京書籍教科書を採択した3市町教育委員の全員協議は有効とする。先日行われた県教委の報告と教科書選定をめぐる再協議提案を文科省は否定し、逆に今月中の一本化を求めている。法の手順を踏んで教科書を選んだ竹富町教委に、どうして県教委が選定結果を変更するよう指導できるのだろうか。国はまず民意を考えるべきだ。

11月3日 沖縄タイムス
八重山教科書:有償撤回訴え那覇で集会

八重山地区の中学公民教科書が決まっていない問題で、文部科学省の「竹富町は有償」方針の撤回と、東京書籍版を採択した同地区全教育委員協議の尊重を求める集会が2日、那覇市の県民広場で開かれた。沖教組(山本隆司委員長)、県高教組(玉那覇哲委員長)、沖縄平和運動センター(崎山嗣幸議長)の主催で約200人が集まった。

崎山議長は「全教育委員協議は有効」と位置づけた県教育庁見解に基づいた解決を強調。義務教育は無償と定めた憲法26条や教科書無償措置法を侵害する恐れがある状況に、山本委員長は「単に八重山の問題だけではない」と訴えた。玉那覇委員長は「沖縄を差別する基地問題と一緒。民の声を無視し続ける政権に沖縄を語る資格はない」などと政府、国の対応を批判した。

八重山からは4人が参加した。竹富町の中学生が来年度から4年間使用する公民教科書は約140冊、約10万円で、予算負担が少ないとの指摘もあるが、同町職労の登野盛恒雄委員長は「私たちは日本から切り捨てられ、怒りが爆発している。事態の収拾を急ぐあまりの解決策とすれば、到底納得できない」と語気を強めた。

政党関係者からは、町予算で負担するかどうかの問題に矮小(わいしょう)化されることへの懸念や、衆院文部科学委員会の質疑で瑞慶覧長敏議員(民主)が文科省の方針について「一定の方向性が示されたのは、安堵(あんど)している」と一定評価した発言に批判の声が上がった。

11月2日 八重山毎日

県、新たな協議を提案 文科省は従来の見解

八重山地区教科書問題をめぐり、県教育委員会(大城浩教育長)は10月31日、文部科学省との面談で、これまでの指導の一貫性から無償措置法に基づく協議の場の開催を国と県が求めるよう提案した。文科省は八重山採択地区協議会の協議結果を優先する考えに変わりなく、議論は平行線をたどった。

県教委は、教科用図書八重山採択地区協議会の規約に3市町が異なる採択をした場合の決定方法が定められていないことが問題解決を遅らせている原因と指摘。無償措置法の運用の誤りから生じた問題として「県教委と文科省が無償措置法13条4項の協議の開催を求めさえすれば一本化は直ちに可能と考える」と提案した。

県教委は文科省が9月8日まで「協議して一本化せよ」との方針を容認したとして、同方針に基づいて9月8日の「全員協議」の開催を県教委も容認、必要な指導助言を行ったとし、仮に全員協議が無効だとしても「指導の一貫性から次の手続きとしても新たな協議の設定による一本化でなくてはならない」と主張した。
一方、文科省は、協議会の協議結果(答申)に基づいて採択を行った教育委員会(石垣市、与那国町)には無償給付できるが、協議結果に基づかない竹富町教委には無償給付の対象にならないとの見解をあらためて示した。

文部科学省の見解
 ◎地教行法23条6号は、教科書の採択について地方公共団体の教育委員会が行うとされているが、無償措置法第13条4項は同一採択地区内の教科書については採択地区委内の市町村教委が協議して種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないと規定されている。
 ◎したがって、採択地区内の市町教委が協議の結果と異なる教科書を採択した場合について、国の行う教科書の無償給与については無償措置法の趣旨・目的に照らし、文科省としてどのように対応するか判断する必要がある。
 ◎文科省としては県教委に対し、八重山採択地区内の市町教委が規約に従ってまとめられた結果に基づいて、公民についても同一の教科書を採択することを指導するよう求めてきたが、なお同一の教科書を採択するに至っていない。
 ◎現時点の状況では8月23日の八重山採択地区協議会の答申および8月31日の協議会役員会の再協議の結果が「協議の結果」であり、それに基づいて採択を行った教委(石垣市、与那国町)に対しては教科書の無償給与をすることになるものと考える。
 ◎協議の結果と異なる採択をした場合、無償措置法の規定に反することになるが、それをもって採択行為が無効とまでは言えないが、国の無償給与の対象にならない。このため、竹富町については国の無償給与の対象にはならないが、地方公共団体自ら教科書を購入し、生徒に無償で給与することまで、法令上禁止されるものではないと考える。

県教育委員会の見解
 ◎八重山採択地区は協議会を諮問機関と位置づけており、「協議の規約に従ってまとめられた結果」とは教委の採択権を拘束しない答申である。規約は、答申を最終決定(採択)としていない。
 ◎協議会規約は3市町が異なる採択をした場合、最終的に決定する方法を定めていず、そのことが問題の解決を遅らせている。すなわち、特別法と一般法の矛盾から生じた問題ではなく、無償措置法の運

用の誤りから生じた問題。例えば「3市町の教育委員全員の投票で決する」などを定めていれば、現在の混乱は生じなかった。
 ◎3市町教委の異なる採択が生じた場合、一本化を図るための手段としては、新たに協議の場を設定する以外にない。
 ◎文科省が発した「協議会の規約に従ってまとめられた結果を基本に地区内で同一の教科書の採択を促す」とした指導助言が、「県教委が竹富町教委を指導し、竹富町にI社教科書を採択させるべき」と受け止められ、協議の場の設定を困難にしている。
 ◎「協議会の規約に従ってまとめられた結果」に法的拘束力はなく、県教委がその「結果」に従って採択を行うよう1町教育委員会に求めることは無理がある。
 ◎一本化を諮るための手段としては、新たに協議の場を設定する以外になく、その協議の中で、答申および全員協議の有効性を含めて協議し、結論を導き出す以外にはない。そのためには県教委、文科省が3市町教委にあらためて協議を求める必要がある。

11月2日 琉球新報
見解相違 鮮明に 八重山教科書、面談も溝埋まらず      
 
八重山教科書採択問題で県教育委員会の大城浩県教育長らは10月31日の森裕子文部科学副大臣らとの面談で、竹富町は東京書籍版を採択した場合は有償とするとした文科省の方針に異議を唱え、文科省と県の双方で3市町教委に再協議を求める打開案を提示した。しかし、文科省側はかたくなな姿勢を崩さず県提案を拒否。有償方針の矛盾点を指摘する県教委に対し、文科省は従来の法解釈を繰り返すなど、双方の見解の相違はより鮮明になった。
 
県教委と文科省はそれぞれ見解をまとめた文書を交わし、意見を述べ合った。県教委は国会答弁で中川正春文科相が示した「竹富有償」の方針について「拘束力のない答申を守るか否かによって教科書の無償か否かが決まるとする考えは理解しがたい」と文科省の矛盾を突き、県内から憲法違反と指摘する声があることも説明した。
 
一方、文科省は「当該教委が教科書を購入し、児童生徒に無償給与することは法令上禁止されるものではない」「憲法の義務教育の無償の精神を幅広く実現するために無償措置法が定められている」などの法解釈を展開。県の提案を受け入れようとはしなかった。

教科書問題に詳しい琉球大学の高嶋伸欣名誉教授は膠着(こうちゃく)状態の打開につながるとして県提案を評価。一方文科省の主張については「矛盾だらけだ。親に代わって竹富町が購入すれば、義務教育は無償とする憲法26条違反にはならないと文科省は言っているが、竹富町は購入を求めているわけではない」と断じた。

社説 : 八重山教科書 文科省の解釈は身勝手だ      
 
憲法違反の指摘に正面から答えず、小手先の法解釈で問題収拾を図ろうとすること自体、限界がある。 八重山教科書採択問題をめぐる文部科学省の対応のことだ。
 
県教育委員会の大城浩教育長は、森裕子文科副大臣と面談し、竹富町を国の教科書無償給与の対象外とする文科省方針に異議を唱え、一本化に向けた再協議を提案した。だが、文科省は拒否し、今月末までに八重山地区に必要な公民教科書の冊数を報告するよう県に求めた。一本化できない場合、八重山採択地区協議会の答申通り、「新しい教科書をつくる会」系の育鵬社版を採択した石垣市、与那国町は無償とするが、東京書籍版を採択した竹富町に自主購入を促す同省の見解を重ねて示した。問題の本質を糊塗(こと)したまま期限だけを設定しても抜本的解決には程遠いと強く認識すべきだ。
 
憲法26条は無償での義務教育を定めるほか、教科書無償措置法は、無償給付する主体を「国」と定めている。文科省方針は憲法違反かつ無償措置法違反との指摘があるが、文科省はこうした疑義に真摯(しんし)に向き合うことが先決だろう。
 
一連の問題を通して、教科書採択をめぐる法の不備も浮き彫りになった。無償措置法は、地区で同じ教科書への統一を求めるが、同一にならない事態を想定せず、一本化の道筋を示していない。加えて、教科書の採択権は教育委員会にあると規定する地方教育行政法とどちらの法が優先するかが明確でなく、混乱に拍車を掛けている。
 
政府は先月7日の閣議で、無償措置法が地方教育行政法に対し部分的に優先するとの見解を示す答弁書を決定したが、特別法が一般法に優先するとの一般論を述べたにすぎない。無償措置法は無償措置の対象外について規定していない。文科省は今後、こんな手前勝手な解釈で教育行政を進めるのか。
 
繰り返し指摘してきたが、混迷の発端は、八重山採択地区協議会の玉津博克会長(石垣市教育長)が、順位付けの廃止や調査員の独断選定、協議会を非公開とし選定を無記名投票とするなど、不公正な手続きで採択方法を次々と変更したことにあることを忘れてはならない。何よりも文科省は、一本化に向けた道筋を明確に示す義務がある。弥縫(びほう)的な対応では、いずれ教科書採択をめぐる混乱が全国に拡大するのは避けられない

11月2日 沖縄タイムス
八重山教科書:文科相、再協議に難色

中川正春文部科学相は1日の閣議後会見で、八重山地区の中学公民教科書採択問題で、県教育委が次善策として、3市町に対し新たな協議の場を設定するよう国と県で働きかけることを提案したことに対し「一義的には県にさらに努力してもらいたい。文科省が(現地に)行って押し付ける話でもないと思う」と困難視した。

同省は育鵬社版を選んだ地区協議会の答申を有効とし、9月15日に県教委に対し、答申に基づく一本化を図るよう通知。一方で、県教委は10月31日、森裕子副大臣に対し「答申に法的拘束力はない。答申通りに採択するよう竹富町に求めることは、かなりの無理がある」と反論している。

中川氏は会見で11月末までに一本化されなかった場合、答申通りに採択した石垣市と与那国町のみ無償給与となる従来見解を説明。答申と異なる東京書籍版を採択した竹富町が一本化に応じなかった場合、「(一本化の)コンセンサスが出ない場合は弾力的に考える。子どもに支障が及ばないことを前提に、竹富の意向を尊重する配慮ができればと思う」と述べ、同町が自費購入し生徒への無償給与することを認める考えを示した。地方教育行政法と教科書無償措置法の在り方は「二つの法律が重なり合っており、整理する必要がある」と述べた。

11月1日 沖縄タイムス
八重山教科書:竹富教育長「県指導待つ」

八重山地区の教科書問題で31日、県教育委員会の経緯報告を受けた文部科学省が、11月末までに3市町の公民教科書を一本化できない場合、竹富町に有償での教科書購入を促す方針をあらためて示したことを受け、同町の慶田盛安三教育長は「3市町で話し合っても互いに自分の考え方を主張するだけで、平行線に終わる」とし、今後も歩み寄りは困難だとする認識を示した。一方、竹富町だけを有償とする国の方針に、同地区の住民には反発と失望感が広がっている。

慶田盛教育長は、育鵬社版を不採択とした3市町の全教育委員による協議について、「一本化に向け、あれ以上の状況はこの先もつくれないし、石垣と与那国は認めないだろう。(協議を主導した石垣、与那国両市町の)教育委員長も代わり、再協議の可能性はほとんどない」と指摘。「町としては県の指導助言を受けるだけだ」と述べた。石垣市の玉津博克、与那国町の崎原用能両教育長もこれまでの取材に対し、一本化に向けた再協議には応じない姿勢を見せている。

「子どもと教科書を考える地区住民の会」の仲山忠亨共同代表は「なぜ協議会の答申に拘束力があるのか理解できない。教育委員会の採択権を侵す、法律違反だ」と強調する。「3市町でまとまらず、何とかしてまとめようという最大の努力が全委員協議だったのに、国がそれを否定することは考えられない。八重山は一つ。全委員協議を尊重して一つにまとめてほしい」と望んだ。

県の直談判 国応じず 大城教育長 表情厳しく

八重山地区の中学公民教科書採択問題で31日、文部科学省に県教育委員会の考えを伝えた大城浩県教育長。「協議会答申」を有効とする見解を崩さない同省の対応に、「協議会規約でも答申は最終決定ではない。あくまで3教育委への答申で、それが即、(地区としての)結論というのは、あまりに飛躍しすぎる」と強い口調で同省の対応を疑った。

この日の面談は、同省側が現状を聞き取るため、県教委へ報告を求めて実現。面談時間は森裕子副大臣と約30分、山中伸一初等中等教育局長と約1時間の計1時間半余りで、県側は時間のほとんどを費やし全員協議が有効と主張。しかし、同省も見解を譲らず、話し合いは平行線に終わった。

大城教育長は面談後、眉間にしわを寄せた厳しい表情で記者団の前へ。答申通りの採択でないままでは、竹富は無償給与とならないという同省に対し、「(義務教育の無償を規定した)憲法26条との兼ね合いもあり、いかがなものかという気がしないでもない」とチクリ。同省との見解の相違にいら立ちを見せた。

県の見解をまとめた文書では、全員協議が無効だとすれば、県と同省で3市町教育委にあらためて協議を求めるよう協力を求めたが、同省からの明確な回答はゼロ。「今日は互いの立場をあらためて述べた状況。(互いに)近づいたのか…という感じ」と、県教育行政トップによる直談判にも姿勢を崩さない同省との議論を評価しあぐねているようだった。

八重山教科書:識者「文科省はむちゃくちゃ」

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文部科学省の「竹富有償」方針に、琉球大の佐久間正夫教授(教育行政学)は「国が授業料と教科書を負担することが義務教育の原理原則。それを文科省が堂々と覆そうとしている」と憤った。一方、八重山採択地区協議会の規約変更や調査員による順位付けの廃止などを挙げ「画策の中で出てきた答申を有効し、竹富町を有償とする法的な根拠を示していない」と指摘。「法制局と話し合ったと言っているが、義務教育の費用を竹富町が独自に賄うことが本当に審議されたのか。むちゃくちゃだ」と批判し、「教育長の暴走で決まる手法が通れば、今後、本島や全国でも同様のことが起こり得る」と危惧した。

歴史教育者協議会の石山久男・前委員長は「教科書は本来、地域で決めるべきこと。協議会の決定が絶対であるかのような文科相発言は、協議会の決定が教育委員会の決定を拘束しないと認めた文科省の局長の国会答弁とも矛盾している」と指摘する。11月末という一本化の期限設定にも「石垣、与那国市町が態度を硬化させる中、問題解決は容易ではない。法的根拠なく期限を設けるのも不当介入だ」と批判した。

沖教組の山本隆司委員長は「もはや八重山だけの問題ではなく、憲法問題にまで踏み込んでいる。文科省はパンドラの箱を開けてしまった」と同省の対応を疑問視。「義務教育の無償」を前提にした教科書採択制度を挙げ、「竹富の有償化で、当事者の文科省自身が矛盾を起こしている。戦後の教科書制度の在り方が根本から問われている」と指摘した。

文科省と県、見解に相違

文部科学省が31日に示した見解では、八重山採択地区協議会の答申と違う教科書を採択した市町村教育委員会に対し「教科書の無償給与については文科省がどう対応するか判断する」とあらためて示した。その上で、今回は育鵬社を採択した石垣市と与那国町は無償の対象だが、東京書籍を採択した竹富町は無償では給与できないと再度通告。町の自費購入は「法令上禁止されるものではない」とし、町の独自判断を促した。

一方、県教育委員会は「答申に従わないから有償となるのは理解できない」などと反論。さらに一本化が遅れている理由を初めて「3市町教委が協議を行わないこと」と言及。これまで有効性を訴えてきた9月8日の全教育委員協議が「仮に無効だとしても」と踏み込んだ上で、国、県が3市町に「新たな協議の開催を求めさえすれば、一本化はただちに可能」と初めて次善策を示した。

11月1日 琉球新報
八重山教科書 今月中の冊数報告要求 文科副大臣、県教育長に      

県教育委員会の大城浩教育長らは31日、文部科学省で森裕子文科副大臣と面談し、八重山地区教科書採択問題について、竹富町地区を無償措置の対象外とした文科省の方針に異議を唱え、一本化に向け文科省と県教育委員会が3市町教育委員会に再協議の開催を求めるべきだと提案した。これに対し文科省側は「難しい状況だ」と拒否。森副大臣は、無償措置の対象となるのは8月23日の採択地区協議会の答申または同31日の再協議の結果に従い育鵬社版を採択した石垣、与那国地区で、東京書籍版の採択を主張する竹富町は現状のままでは無償措置の対象にはならないとの文科省の方針を重ねて伝え、話し合いは平行線に終わった。文科省は、11月末までに同地区の公民教科書の必要冊数を国に報告するよう求めた。
 
会談後大城教育長は「県としては引き続き3市町が合意形成ができるよう努力していきたい」と述べた。文科省の方針に従わなかった場合、竹富町に教科書が無償措置されないとする国の方針について大城教育長は「憲法26条との兼ね合いもあるので、いかがなものかと思う」と述べた。大城氏は副大臣との面談の席上でも、県内には国の方針は憲法違反だと指摘する声があることを説明した。

会談で、県側は(1)採択地区協議会は諮問機関であり、8月23日の答申や同31日の再協議の結果に各教育委員会の採択権を縛る拘束力はない(2)9月8日の全教育委員による協議は有効―などの県の考えを説明した。県側は今後の対応などをまとめた文書で、文科省が「9月8日までは協議して一本化せよとの方針を容認してきた」とし「指導の一貫性からして、9月8日の協議が無効だとしても、その場合の次の手続きは新たな協議の場の設定による一本化でなければならない」と主張し「無償措置法第13条4項の協議の開催を県と文科省が求めれば一本化は直ちに可能と考える」と再協議の場の設定の必要性を強調した。

10月30日 琉球新報
竹富教科書・無償対象外 「法律違反の脅し」自民も批判   

文部科学省は26日、八重山地区教科書採択問題で、採択地区協議会の8月23日の答申とは異なる教科書採択を主張する竹富町は無償給与の対象にはならないとの方針を示した。国は問題の幕引きを図りたい考えだが、同方針に対し地元沖縄だけでなく、自民党の国会議員からも「国による無償措置を定めた無償措置法を国自ら破るような行為だ」などと批判の声が上がっている。
 
自民党はこれまで、玉津博克石垣市教育長の「改革」を支持する一方、採択地区協議会の答申結果に従わない竹富町を「ごね得だ」などと批判してきた。26日、衆院文科委員会で中川正春文科相が竹富町は無償給与の対象外となる方針を表明すると、下村博文氏(自民)は「大臣の判断は適切だ」と評価した。自民党内からは「文科省としてはぎりぎり限界の判断なのだろう」「もう勝利宣言だ」と文科省を一定程度評価する声が出始め、自民側の文科省への追及はやむとの見方もあった。
 
しかし、これまで玉津氏へ助言をするなど同問題に積極的に関与してきた義家弘介参院議員は「無償措置法は国が無償措置することを定めた法律。法改正もせずに(竹富町が)言うことを聞かないから無償配布はしないというのは完全な法律違反だ」と文科省方針を批判、今後国会や党文科部門会議で文科省を追及していく考えを明らかにした。義家氏は、地方教育行政法49条に基づき文科省は、竹富町に育鵬社版を選定した採択地区協議会の答申に従うよう是正措置を発すべきだと主張している。
 
一連の採択問題の発端の一因となっている無償措置法と地方教育行政法は、所管する文科省が法解釈権を有するとされている。10月7日に閣議決定した政府答弁書では、無償措置法を「教科書用図書の採択の権限の行使について特別の定めをしている」とし、地方教育行政法よりも優先する特別法に当たるとの解釈を示している。それを踏まえ「竹富無償対象外」の方針決定に至った背景について文科省は「各教育委員会の採択権を定めた地方教育行政法があるので、教育委員会の権限までは否定できない。よって竹富町が(東京書籍版を)買うことは否定できない」と教育委員会の採択権への配慮をにおわせる一方で、「無償措置法の趣旨を考慮し、判断した」と説明する。
 
これに対し義家氏は、無償措置法では、どのような場合には無償措置の対象外としてもいいとするなどの規定がないことを指摘し、文科省の方針を「法律違反の脅しでしかない」と批判する。2法の不備で生じた今回の同一地区内採択不統一という事態を、法解釈権で乗り切ろうとする文科省。しかしその解釈自体も法律違反の可能性を指摘され、文科行政のお粗末さがあぶり出されつつある。

10月29日 沖縄タイムス
八重山教科書:無償対象外 来週にも伝達

中川正春文部科学相は28日の閣議後会見で、八重山地区の中学公民教科書採択問題で、育鵬社版を選んだ地区協議会の答申とは異なる東京書籍版を採択した竹富町教育委員会を無償給与の対象としない同省見解を、来週中にも県教育委員会に伝えることを明らかにした。

中川氏は見解について「竹富が答申を受け入れられないなら、地方教育行政法にある市町村教育委員会の採択権を斟酌(しんしゃく)すると、強制的に育鵬社版を使えというわけにはいかない。採択権に基づいて自分たちが決めた教科書を町が負担して子どもたちに実質的に無償給付する方法もある、ということ」と意図を説明した。

教科書採択をめぐっては、国から無償給与を受けるための教科書無償措置法が地区内の同一教科書の選定を定める一方で、地教行法は採択権は市町村にあるとしている。同省は地区協議会の育鵬社版の答申は規約に基づいて出された結論として有効と判断し、答申に沿って採択した石垣、与那国は無償措置法によって無償給与を認めた。同時に、地教行法の採択権を尊重すると、強制的に答申に従わせられないことから、無償ではないものの、竹富が別の教科書を採択することも認めた格好だ。中川氏は2法の併存によって生じた同問題について「何回も起こってはならない。二つの法律をどう見直すか議論しないといけない」とも述べた。

また、同日の参院沖縄北方特別委員会では、山内徳信氏(社民)が竹富が無償給与とならないのは憲法の義務教育規定に反するとし、同省見解の撤回を要請した。森裕子文科副大臣は同省見解を「最終的に費用を負担する文科省として判断した」と説明し、憲法違反にはならないとの考えを示した。一方、県は来週上京し、文科省に9月8日の全教育委員協議の有効性など県の見解をあらためて示すほか、3市町の合意形成に向けた今後の対応について同省と確認する方針だ。

10月29日 琉球新報
教科書無償対象外 「憲法違反に当たらない」森文科副大臣
      
森裕子文科副大臣は、28日の参院沖北委員会で、八重山地区の教科書採択問題について、竹富町が採択地区協議会の8月23日の協議の結果と異なる教科書を採択した場合、無償措置の対象外とするとした文科省の方針について「採択地区内で採択が分かれた場合、どの教育委員会が採択したものを無償措置とするかは、最終的には費用を負担する文科省で判断するもの。憲法違反には当たらない」と述べた。山内徳信委員(社民)への答弁。
 
中川正春文科相は同日午前の閣議後会見で「教科書の無償配布の前提は採択地区内で決めるということだ。一方で、地方教育行政法は教育委員会に最終的な採択権があると決めているので、そこを斟酌(しんしゃく)すると強制的に育鵬社を使えということにはいかない」とし、その上で「その法律に基づけば無償給付を受けとらないということになる」との解釈を示した。中川文科相は、週明けに上京する県教育委員会から現状説明を受けた上で、省の方針を伝える考えを示した。

地元紙は「あきれる」やら、「驚き」と「怒り」一色

10月28日 八重山毎日
「国から見捨てられた」 教科書問題で文科相発言に怒り広がる 

町議会も反発「予算通らない」

来年4月から郡内の中学校で使用される公民教科書で教科用図書八重山採択地区協議会の答申(育鵬社)と異なり、東京書籍を採択した竹富町教育委員会について中川正春文部科学相が無償給付の対象外との文科省見解を示したことに27日、町内の保護者や町議から「ひどい」「竹富町だけ国から見捨てられた」「こんなバカな話があるか」などと抗議の声が広がった。町議会の西大舛高旬議長も「議会に予算が上程されても簡単には通らない」と猛反発した。

前日のニュースで文科相発言を知った竹富町PTA連合会の宇根信夫会長は「ひどい」と嘆き、「子どもたちは無償で義務教育を受ける権利、保護者には受けさせる権利があることを忘れてしまっているのではないか。竹富町教委が悪いような指摘がされているが、竹P連は町教委を信じている。間違っていない」と訴えた。西大舛議長は「憲法問題まで踏み込んだ議論も必要になり、特別委員会を設置しなければならなくなるのではないか」と議会に波及することに不快感を示し、「全国を騒がさせた3市町教委に道義的責任がある。意見をまとめきれなかった責任を取るべきだ」と3市町教委のこれまでの対応に異議をとなえた。

新田長男副議長は「竹富町だけ国から見捨てられた形」と批判、宮良用範氏は「教育行政の中で竹富町だけ有償というバカな話があるか。こんな発言があってはならない」と語気を強めた。東迎一博氏は「国と県の間でもう少し調整してほしかった。教育の機会均等を図る観点からも(大臣発言は)いかがなものか」と疑問を呈した。

大臣あてに抗議声明を出した子どもと教科書を考える八重山地区住民の会共同代表の1人、村田栄正氏は「無償措置法に反する発言で、絶対許せない」と怒り心頭、「竹富町が自前で購入しないことになれば、保護者の個人負担になる。そうなると国は法違反になる」と指摘した。

10月28日 琉球新報
文科相発言に抗議 八重山教科書採択      

子どもと教科書を考える八重山地区住民の会は27日会見し、26日の衆院文部科学委員会で「竹富町は無償給付の対象とならない」と発言した中川正春文部科学相への抗議声明を発表した。27日付で中川文科相に発送し、発言の撤回を求めた。
 
石垣市教育委員会と与那国町教育委員会に対し、9月8日に行われた教育委員全員による協


沖縄八重山「教科書採択問題」アーカイブ 2011 9/1-9/21

2011-09-21 19:52:11 | インポート

9月21日 沖縄タイムス
県教委、八重山公民除き教科書冊数を報告

県教育委員会(中野吉三郎委員長)は、来春から中学校で使用する教科書の需要数について、同一教科書となっていない八重山地区の公民教科書(約600人分)を除く県内全地区、全教科の冊数を、15日付で文部科学省に報告した。

八重山地区の公民教科書をめぐっては、石垣市と与那国町が育鵬社版、竹富町が東京書籍版を採択。その後、3市町の全教育委員による協議で東京書籍を採択したが、協議の有効性をめぐり、3市町関係者や文科省、県教委で見解が異なり20日現在、需要冊数を報告できていない。「教科書の発行に関する臨時措置法」では各都道府県は同省に対し、16日までに教科書の需要数を報告することが記されている。八重山のケースのように期限を過ぎて報告がないのは初めてという。

八重山地区では20日現在、教科書無償措置法が求める1地区同一教科書に向けた一本化のめどは立っておらず、県教委が再度3市町教委に一本化を図るよう求めている。一方、県内他地区の公民教科書採択状況は、国頭地区=日本文教出版、中頭=教育出版、那覇=帝国書院、島尻=東京書籍、宮古=帝国書院となっている。

八重山教科書:国の判断「統制の始まり」

「軽率だ」「良識ある判断を」―。八重山の中学校公民教科書採択問題をめぐり中川正春文科相が20日、一本化協議に向け「私たちも判断する」と発言したことに、地元八重山や県内外の関係者から困惑と不信の声が噴出した。大臣の発言に、話し合いを続けてきた八重山の人々は「協議は整っているとの認識。われわれの採決を尊重してほしい」と訴えた。

「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」の仲山忠亨共同代表は「全教育委員での協議を尊重する以外に解決法はないのに、文科省は軽率すぎないか。これまでの過程を精査したのか疑問だ」と困惑の表情。沖教組八重山支部の上原邦夫支部長も「法律を守るべき行政官庁が法を犯そうとしている。同省の〃判断”が通れば、教育統制の始まりになる。戦前の『国定教科書』同様になってしまう」と危ぶむ。

「判断」の内容や方法を疑問視する琉球大学の高嶋伸欣名誉教授は「現地でまとめられない、との結論をなぜ早急に出すのか。判断次第では、教育委員会の採択権を奪う行為にもなる」と懸念する。山口剛史琉球大准教授は「選定から採択に至るプロセスでの法の不備を精査してほしい」と語り、国は県をバックアップするべきだとした。

前歴史教育者協議会委員長の石山久男さんは「なぜ今、言う必要があるのか。上で決めれば、今までの議論を無視することになる」と不信感を示す。一方、子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長は「『教育に支障のない』(中川相)判断を考えれば、(東京書籍を採択した)全教育委員での結論になるはずだ」と語った。

「全委員協議結果の尊重を」 石垣で住民集会

八重山地区の教科書採択問題をめぐり、「9・8採択教科書を子どもたちの手に!」住民集会(主催・同実行委員会)が20日夜、石垣市健康福祉センターで開かれた。教育関係者や保護者ら350人が、3市町の全教育委員が育鵬社版の不採択を決議した協議結果の尊重と、中川正春文科相による「協議は整っていない」発言の撤回、国に教科書無償措置法の再検証を求める決議案を承認した。

中学生の子どもがいる松川英樹さん(39)は「協議会の議事録など、何ひとつ公的な情報を得ていない。子どものことを考えるのであれば、一日も早く情報公開し、よりよい教科書を選んでほしい」と望んだ。同問題の住民集会は3度目。

つくる会と教育長接触か?

集会で登壇した仲山忠克弁護士が、与那国町の崎原用能教育長が国、県に送った要請文を作成する中で、「新しい歴史教科書をつくる会」関係者が文面を手直しした痕跡のある文書を示した。

文書は崎原教育長が文部科学省、県教委に対し、3市町の全教育委員が「つくる会」系の育鵬社版教科書の不採択を決議した協議の無効性を主張したもの。文書には添削の跡があり、「崎原様 ありがとうございました。直しは念のためです」の一文も。文の末尾には「藤岡」と書かれていた。仲山弁護士は「藤岡」は「つくる会」の元会長、藤岡信勝氏であると指摘し、「崎原教育長は藤岡氏の指示を受けて国に訴えている。教科書選定で特定団体と結び付いている」と批判した。

崎原教育長と藤岡氏は同日までに本紙取材に対し、いずれも「そのような事実はない」と否定した。

八重山教科書:再協議不調なら国が見解

中川正春文部科学相は20日の記者会見で、八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)で2012年度から使う中学公民教科書採択問題をめぐり「現地での再協議でまとめるのが難しいなら、法律の基準や趣旨に基づいて私たちも判断する」として、国が見解を示す可能性を示唆した。

中川文科相は「子どもの教育に支障が出ない形で収めたい」とした上で「現地のルールの運用で、どのプロセスが正当だったのかも分析したい」と述べた。再協議の期限については「はっきりさせなければいけない時期に来ている。もう少し詳しく現地の状況を分析、整理して、期限を決めたい」としたが、明確な時期は明言しなかった。

同地区の採択地区協議会は8月に育鵬社版の教科書を選定し3市町の教育委員会に答申したが、竹富町教委が反発して東京書籍版の採択を決定。文科省は県教委に9月16日までに採択結果を報告するよう求めたが、まとまらない状態が続いている。

3者協議での一本化目指す 県義務教育課長

県教育庁義務教育課の狩俣智課長は「どういう状況で(中川文科相に対する)質問がなされ、実際にどう答えたのか、全体的な流れが見えないとコメントできない」とした。その上で、「県の立場としてはまず石垣市、竹富町、与那国町の3者による協議を大事にしたい。協議による一本化を目指すのが、県の一貫した立場だ」と強調した。

9月21日 八重山毎日
東京書籍の採択尊重を 20団体が文科省に要望決議

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「9・8採択教科書を子どもたちの手に!」住民集会

八重山地区の公民教科書の採択問題で、東京書籍を採択、育鵬社を不採択とした8日の3市町教育委員の協議に関し、「9・8採択教科書を子どもたちの手に!」住民集会(主催・同実行委)が20日夜、石垣市健康福祉センターで開かれた。約350人が参加した集会は、文科省に対し、採択結果の尊重と教科書無償措置法の再検証を要望することなどを決議した。

決議文は、文科省と県教委、3市町教委に宛てたもの。東京書籍の採択を要望し、県教委の今後の対応については、文科省の不当な介入に屈することなく、速やかに手続きを開始するよう求めている。同実行委は、20団体で構成。集会では、実行委員長の仲山忠亨氏があいさつし、琉球大学名誉教授の高嶋伸欣氏が「教科書無償措置法と地方教育行政法が矛盾している状況を文科省が露呈してしまった」とこれまでを振り返った。

法的立場から見解を述べたゆい法律事務所の仲山忠克弁護士は文科省の立場に関し、「指導援助しかできない。採択権は各教育委員にしかなく、採択権の侵害」と強調。続けて経過報告、実行委構成団体の代表や保護者が意見を述べた。この中では、協議会の教科書選定の情報公開を求める声があった。与那国保護者の会からは「自衛隊誘致問題から声が上げにくい状況で、子どもの存在が忘れられており残念。あきらめずに頑張ろう」と書面が寄せられた。最後は、決議を承認し、ガンバロウを三唱した。

八重山毎日 記者席: 対立案件に事欠かず 

26日から始まる石垣市議会9月定例会一般質問は、19人中13人が教科書採択問題を取り上げることになった。昨年の施政方針盗用問題に始まり、市議選収支報告書問題ときて今度は教科書問題。市議会は対立案件に事欠かず、ちまたでは3点セットとやゆする声も出始めている。

与那国改革会議が20日午前、町と町議会に「町への自衛隊誘致決議の撤回と誘致活動の中止」を要請した。町在住者556人を含む2331人分の署名を添えて要請したが、町議会の前西原武三議長は、署名の取り扱いについて「公開して良いか、非公開にして封印するのか」を同会議側に確認。最終的に議長判断とされたが、個人情報だけに判断が分かれるところだろう。

八重山毎日 社説:竹富町教委に瑕疵はない 文科省は一本化の道筋示せ

混迷きわめる教科書問題

教科書選定問題は解決の糸口が見いだせず、混迷を極めている。育鵬社公民教科書を不採択とし、東京書籍を採択した今月8日の3市町教育委員会全委員協議を中川文科相が「協議は整っていない」とし、地区採択協議会のルールに沿った教科書一本化を求めたからだ。
 
文科省指導は、協議会答申と異なる教科書を採択した竹富町教委に再考を促すような印象を与えたが、これは後日、文科相自ら否定している。教育行政法で教科書の採択権は教育委員会にある。竹富町教委の決定は誰も覆すことはできない。その変更を強要するなら、越権行為で脱法行為にあたる。竹教委に何の瑕疵(かし)もなく、臆(おく)することは全くない。

全教育委員による協議は、県教委が文科省担当課と連絡を取りながら進めていたものだ。これを突然「はしごを外された」と困惑する県教委の声が状況を如実に物語っていよう。全教育委員で結論が出たあと、政党が素早く動いたのも異様だ。自民党本部は玉津会長を呼び、担当者を同席させて事情を聴取した。政治的介入が透けて見える。

あいまいな「指導」

教科書無償措置法は、複数の市町村で構成される採択地区で科目ごとに同一の教科書を採用すると定めている。一方で地方教育行政法は市町村教委が教科書の採択権限を持つと規定する。

この2つの法律で、異なった採択が行われることは十分に予想されたものだ。文科相もこの法律の矛盾を認め、混乱の要因としている。しかしそれは検討事項と言うだけで、対応する姿勢は見せない。あくまでも国は「想定外」の結果として地元解決を求めるだけで、あいまいな指導に終始している。実に無責任である。

この問題は地元で解決できないために県教委が助言し、8日に3市町教育委員会が開かれた。その結果について県教委は「協議の場として成立しており、採決の状況も有効と考えている」と国と異なった見解を持つ。その状況下で振り出しに戻して県、市町村に一本化のボールを投げても混乱するばかりで、現状だと解決は決して見いだせない。法に抵触した状況が延々と続くだけだ。
 
全委員会協議の無効の理由のひとつに国は玉津教育長の無効申し立てを挙げているが、その公印をめぐって3教委委員長が異議を申し立てている。一本化を求めるなら、国は具体的に地元の指摘に答え、解決のための道筋を示さなければならないし、その義務と責任がある。

採択協のルールは是か
 
こじれた教科書採択問題の最大の問題は、八重山地区協議会の進め方が妥当だったか、否かである。調査員の選定、長時間かけた調査員の報告書が公民教科書で取り上げられず、むしろマイナス点の多かった育鵬社教科書をあえて選定した強引な手法が批判されているのである。
 
思想信条は自由だが、押しつけであってはならない。選定理由について十分に説明責任を果たさず、「委員の権限と責任で選んだ」と繰り返すだけでは、誰も納得できるものではない。公言していた議事録の公開すらいまだ行われず、不信感をさらに高めている。「なぜこの時期に教科書問題なのか」。多くの郡民が思う。県内で今年、教科書選定をめぐって混乱しているのは八重山だけ。主役であるはずの子どもたちに対する視点に欠け、政治色の強い教育行政に対する不信感で郡内は閉塞(へいそく)感に包まれている。これだけ混乱した状況に陥らせることが教育改革なのか、理解できない。教育に求められるのは中立性で、保革政権交代があっても歴代首長が踏み入れなかった領域である。これでは決して良い教育効果はでない。

9月21日 琉球新報
合意なければ国判断 八重山教科書      
 
八重山教科書採択問題で中川正春文部科学相は20日、閣議後の会見で、採択地区協議会内で一本化することが望ましいが「どうしても難しいという形になれば、それぞれかかる法律の趣旨に基づいて私たちも判断していく」と述べ、地元で合意形成ができない場合、教科書採択に関する法律に基づき国としての判断を示す考えを初めて表明した。
 
文科省初等中等教育局教科書課は、地方教育行政法の規定通り採択権が各教育委員会にあるとの考えは変わらないと説明。その上で「教科書無償措置法では採択地区内では同一のものを採択するのが前提。それができない場合、同法をどう適用するのか検討する」としている。
 
中川文科相は今後の対応について「これまでの例もあるので、法の趣旨や沖縄で作っているルールの運用、実際に行われた結果、どこのプロセスが正当なのかを分析し、総合的に判断したい」と述べ、教科書選定・採択に至る協議の有効性についても検証する方針を示した。
 
県教育庁は16日の記者会見で、8日の全員協議による東京書籍の採択について「協議の場は有効だ」との認識を堅持。一方、文科省は15日に県教育委員会に協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づき、3市町教育委員会が同一の教科書を採択するよう指導を求める通知を出している。

9月18日 琉球新報
八重山教科書「委員長連名文書は無効」 石垣・与那国教育長、県と文科省に送付      
 
八重山地区の公民教科書採択をめぐる問題で、石垣市の玉津博克教育長と与那国町の崎原用能教育長は17日までに、3市町の教育委員長が連名で8日の全員協議を有効だと認めるよう求めた要請書について「無効」と訴える文書を、文部科学省と県教育委員会に送付した。
 
崎原教育長の文書では、3教育委員長の文書について「教育委員会の決議を経ておらず、法的根拠はない」と記述。8日の全員協議を「(同日、3教委に分かれて行った)臨時教育委員会で全員一致の合意を条件に協議すると決議したが決議事項は無視された」とし、無効としている。
 
石垣市、竹富町、与那国町の教育委員長は15日、8日の全員協議を有効と認めるよう求める要請書を連名で文科省と県教委に送付していた。この要請書に関して、それぞれの教委は委員会を開いていなかった。
 
一方、石垣、与那国の教育長が送付した8日の全員協議が無効と主張する9日付の文書は、いずれも教育委員会の決議を経ていない。今回の文書についても、与那国町教委の決議は経ておらず、石垣市教委の決議があったかは不明。

9月17日 八重山毎日
県、同一教科書採択を助言 教科書問題
県教育長が会見、文科省通知に「さまざまな解釈できる」

八重山地区の中学校公民教科書問題で大城浩県教育長は16日、県庁で記者会見し、文科省の15日付通知で「八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果」に基づいて3市町が同一の教科書を採択するよう指導を求められたことについて「さまざまな解釈ができる」と明言を避けた。今後の対応についても「3市町教育委員会に対し、同一の教科書が採択されるよう文科省と調整しながら助言していきたい」と述べるにとどめた。文科省の見解や通知で振り出しに戻った感のある教科書採択問題は、県教委も解決の糸口を見いだせないでいる。

一方、16日が期限となっている県教委から文科省への教科書需要数の報告について大城教育長は「八重山採択地区の中学校社会科公民分野を除いた、県全体の需要数報告を9月15日付で終えた」と報告。公民分野については「同一教科書が採択され次第、早急に報告するよう求めている」と3市町教委に通知していることを明らかにした。文科省に対しても「特段の配慮」を要請している。

文科相が13日、8日の協議について「協議が整っていない」と発言したことについて大城教育長は「これまでも文科省の指導・助言を受けてきた。私たちとしても8日の協議について最終意思決定機関であるというとらえ方をしてきたので、いささか困惑している」と戸惑いを隠さなかった。また、文科省通知の解釈についても「8月23日の採択協議会、同月31日の役員会、9月8日の全教育委員協議のどの結果を指すのか、文科省に確認しているところ」と述べるにとどまった。

今回の問題で同一の教科書を求める教科書無償化措置法と、採択権を市町村教委に置く地方教育行政法が対立する格好となったが、大城教育長は「二つの法律はどちらが優先されるものではなく、二つの法律を踏まえた教科書採択を行わなければならない」と指摘、「われわれは二つの法律をしっかり守る立場にある。一本化することが大前提なので、引き続き3市町の教育委員会に努力をお願いしていく」と述べた。

教科書問題 具体策見えず、落胆と戸惑いが交錯

八重山地区の中学校公民教科書問題で文科省が県に出した通知と、大城浩県教育長が当面の対応方針を示した会見の内容は、いずれも具体性に乏しく、解決策を見いだすにはほど遠い内容だった。地元からは「どうしてよいか分からない」「ぶり返しになるのか」と落胆と戸惑いの声が漏れた。

文科省通知で混
 
「八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づいて、採択地区内で同一の教科書を関係市町村教育委員会で採択を行うよう指導を」。15日、県教育委員会に届いた文科省通知。崎原用能与那国町教育長らは「われわれの意思が通った」と喜んだが、「もっと具体的に」と注文をつけていた。
 
通知には「答申に基づいて」との文言はなく、内容があいまい。「答申」と書けば、答申に拘束性を認め、地方教育行政法に基づく市町村の採択権を侵害するおそれがあったからだとみられる。16日に報告期限を控え、自民党などの圧力に備えた議員対策との見方も浮上した。

県教委は16日の会見に至っても「文科省に確認しているところ」と解釈に頭を悩ませ、地元も「どの結果を意味するのか」(慶田盛安三竹教育長)と首をかしげるなど、通知に振り回された2日間だった。

期待感
 
県教委の会見に慶田盛教育長は「一連の流れを把握しているので、ある程度期待はしていたが…」と声を落とした。文科相が13日、「協議は整っていない」と発言したことで事実上、協議結果は有効性を失った。しかし、文科省の通知、県教委の会見はいずれも、協議を整えるための解決策を示せなかった。竹盛洋一竹富町教育委員長は「再び招集しても無理、ぶり返しになる」と途方に暮れる。一方、崎原教育長は「通知通り、竹富町に答申通りの採択を指導しないとおかしい」と声を荒らげる。

手詰まり

竹富町教委が答申とは違う採択をしたのは、協議会の選定に対する疑念が背景にある。役員会でも決裂し、竹教委は再度協議会の開催を要請したが、玉津博克会長(石垣市教育長)は8月31日付で業務が終了したとして拒否した。これを受けて開催した8日の全教育委員協議でも決定方法に議論は終始した。

竹盛委員長は「調査員の推薦に挙がっていない育鵬社はなぜ選定されたのか、まったく分からない。協議会の議事録を公開し、県はそれを検証してもらいたい」と訴える。崎原教育長は「文科省は県にさじを投げた。県は各委員会にさじを投げた。あとは3委員長が考えることじゃないか」と突き放す一方、「一本化は育鵬社しかない」と譲らない。玉津博克石垣市教育長も「通知は答申のことを言っている」と同様だ。

5人の委員全員の一致で東京書籍を採択した竹富町も意思は曲げないつもり。慶田盛教育長は「一本化は厳しい。こういったことは今後も起こりえる。県には採択地区(八重山3市町)の見直しも考えてもらいたい」と提起する

9月17日 沖縄タイムス
八重山教科書問題 3委員長の要請は重い
ボールは再び地元に投げ返された。

八重山地区の中学公民教科書採択問題で大城浩県教育長は16日記者会見し、石垣、竹富、与那国3市町の教育委員長に、同一教科書を採択するようあらためて要請したことを明らかにした。

一本化のための協議が不調に終わり、3市町教育委員会の全員協議の結果も文科相から「協議が整っていない」と突き返され、万策尽きたところで、県がどのような打開策を示すか注目されたが、結論は、差し戻し。一本化に向けあらためて協議してほしい、というにべもないものだった。しかし、そのことをもって県教育庁を責めるのは無理がある。

地方教育行政組織運営法によると、教科書の採択権限は市町村教育委員会にある。文科省や県教育庁が市町村教委から勝手に採択権を奪い取るようなことはできない。その一方で、教科用図書無償措置法は、八重山採択地区のように地区内に複数の市町村が存在する場合、同一の教科書を採択しなければならない、と定めている。

今回のケースでは、諮問機関である八重山採択地区協議会の答申に対し、石垣・与那国2市町と竹富町が異なる教科書を採択し、協議も不調に終わった。八重山採択地区のような混乱を、現行法は想定していない。今回の混乱は、制度の不備を放置してきたために生じたものであり、早急な見直しが必要だ。

振り出しに戻ったことで、地元八重山には期待を裏切られた失望感や、解決策の見いだせない焦燥感が急速に広がっている。3市町教委による8日の臨時会議の結果について中川正春文科相が「協議は整っていない」と判断したのは、石垣、与那国両教育長から異議申し立てがあったからだ。しかし、3市町の教育委員長は、臨時会議における協議結果の有効性を訴える文書を連名で文科省と県教育庁に送った。

臨時会議での全教育委員による協議で、同一教科書の採択が行われた、というのが県教育庁の見解だ。3市町の教育委員長が連名で有効性を主張したことは、この方向での解決以外に道がないとの姿勢を示したものである。その場合に問題になるのは、2教育長による異議申し立ての法的組織的な性格だ。果たして彼らはどのような議を経て、異議申し立てに及んだのだろうか。石垣市教育長らが文科省に提出した異議申し立ての文書について3教育委員長は「教育委員会の議を経ておらず、公務文書としての機能を有していない」と指摘している。

繰り返すが、教科書の採択権限は教育委員会にある。教育委員会を代表するのは、教育長ではなく教育委員長である。石垣、竹富、与那国3教育委員長の、連名による要請は極めて重い。これを無視してはどのような解決も不可能だ。 

県教委「全員協議は有効」 文科省と相違

八重山地区の中学校公民教科書の採択問題で、県教育庁の大城浩教育長は16日、県庁で会見し、石垣市、竹富町、与那国町の3教育委員会に対し、同一教科書が採択されるよう引き続き助言を続ける考えを明らかにした。一方、大城教育長は同地区全教育委員による協議と、同協議で採択した内容は「有効」だとする県教委の見解をあらためて表明。協議が「整っていない」とする中川正春文部科学相ら文科省見解との相違が鮮明となった。同地区3教委は依然一本化に向けて歩み寄る姿勢を見せておらず、公民教科書の採択をめぐる問題は混迷を極めている。

大城教育長は8日の全13教育委員協議について「オブザーバーとして参加した職員から協議の場として成立したと聞いている。採択は有効だと捉えている」と明言した。

一方で、文科省から「協議は整っていない」とする疑問が出たため、3市町教委に対し「同一の教科書を速やかに報告してほしい」との文書を15日付で送付したと述べた。同地区協議会の答申重視を示唆した文科省の通知と異なり、教科書採択の一本化を求める内容となっている。

一本化に向けた具体策については「県は教科書無償措置法と地方教育行政法を両立させ、文科省と調整しながら助言する」としたが、助言の具体的な内容については明らかにしなかった。ただ、「8日の協議が有効か無効かについては、3市町の教育委員会が判断すること」と、3教委の役割を重視する考えを示した。

他方、石垣市と与那国町の両教育長が文科省宛ての文書で「協議は無効」と訴えたことについて、同席した狩俣智義務教育課長は「文科省の見解に大きく影響した」との認識を示した上で、「教科書に関することは教育委員会の専決事項なので不適切だ」と指摘。大城教育長も「教育委員会の一義的責任は教育委員長にある」と述べ、両教育長の訴えを疑問視した。

9月17日 琉球新報
県教育庁、3教委に一本化指導 八重山教科書   

八重山地区における公民教科書採択をめぐる問題で県教育庁の大城浩教育長は16日、県庁で会見し、15日の文部科学省の通知を受けて同日、石垣市、竹富町、与那国町の教育委員会に対して同一教科書を採択するよう指導したことを明らかにした。大城県教育長は「3市町で協議して採択されるよう引き続き助言していく」と述べ、再協議の可能性を示唆した。大城県教育長は、8日の八重山3市町の教育委員による全員協議について「協議の場としては成立している」との認識もあらためて示した。
 
県教育庁義務教育課は、今回の指導の意図について「8日の協議が有効かどうかを3市町の教育委員会で検証してほしい」と説明し、当該3教委での解決を求めている。しかし、3教委の教育長は「何をしていいのか分からない」と困惑しており、一本化への道筋は不透明なままだ。
 
8日の全員協議の有効性について県教育庁義務教育課の狩俣智課長は「当事者の3教委が判断すべきであるという認識を持っている」と強調。石垣市の玉津博克教育長と与那国町の崎原用能教育長が同協議を無効だと訴えた文書について「教科書に関することは教育委員会事項。不適切と理解している」との認識を示した。

文科省への教科書必要冊数の報告期限である16日を前に県教育庁は15日、八重山地区の公民教科書を除いた全県の必要冊数を文科省に報告した。

社説 文科省通知 越権行為も甚だしい/沖縄の自治力を示そう 
 
地方教育行政への国による介入であり、重大な問題をはらむ。八重山教科書問題をめぐる文部科学省の15日の通知のことである。
 
通知は事実上、竹富町教育委員会に採択教科書の変更を求めているとも受け取れる。判断変更を求めるのなら、国による介入以外の何物でもない。この介入が許されるのならば、地方教育行政法は無きに等しい。自治の精神に真っ向から対立する行為だ。文科省には、事の重大性をよく認識してもらいたい。

翻った態度
 
経過を振り返る。石垣・竹富・与那国3市町の教育委員会の諮問機関・八重山採択地区協議会(玉津博克会長)は8月23日、公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を選び、3市町教委に答申した。玉津会長が選定手法を大幅変更した上での選定だった。その一つ「順位付け廃止」は、「『1種絞り込み』を禁じた県教委の通知に違反している」というのが廃止の理由だったが、協議会で、従来も1種絞り込みは行われていないと反論が出ると、玉津氏は「ノーコメント」と説明を避けた。教科書を読み込んで推薦する調査員は、協議会の規定で「役員会で選任」となっていたが、役員会を経ず玉津氏が独断で選定した。その後、石垣・与那国両市町教委は答申通り採択したが、竹富町教委は育鵬社版を不採択とし東京書籍版を選んだ。このため、3市町教委は9月8日に地区内全教育委員による協議を行い、育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した。
 
この間、県教育庁は文科省の助言を基に協議の進め方などを3市町教委に助言してきた。だが13日になって文科省が態度を翻す。中川正春大臣は8日の採択について「協議が整っていない」との認識を示し、森裕子副大臣は「文科省が認めているのは8月23日の答申」と述べた。文科省はさらに、県教育庁に対し、採択地区協議会の「結果に基づき」、同一の教科書を採択するよう3市町への指導を求めた。8日の結果は認めず、23日の結果を有効として一本化を求めるのだから、事実上、育鵬社版採択を求めるに等しい。
 
地方教育行政法は教科書採択権が市町村教委にあると定める。竹富町教委の決定はそれに基づく。一方、地区内の教科書一本化を求める教科書無償措置法はあくまで国の財政措置の要件を定める法だ。それを基に、国が竹富町教委に判断を変えろと求めるのは、越権も甚だしい。そもそも、教科書に関する「執行権」を法が明記している市町村教委の判断より、「答申」する諮問機関にすぎない採択地区協の判断を優先すべきだという根拠は何なのか。理解に苦しむ。

国と地方は対等
 
2000年の地方自治法改正で、国と地方自治体の関係は対等ということになった。国の通知などは、単なる技術的助言という位置付けだ。市町村教委が採択する教科書をめぐり、国が、特定の教科書を選定しなければ補助負担金を支出しない、というのであれば、改正地方自治法の精神に反する。県教育庁は、国地方係争処理委員会に持ち込んで争っていい。
 
文科省がこうした論点を把握していないとは思えない。通知が県教育庁の「指導を求める」内容で、自ら「指導」していないのはそのためだ。8日の採択について「整っていない」との表現にとどめ、「無効」としていないのも、市町村教委の判断の重さを知るからだろう。今後、自治を阻害しない判断をするよう期待したい。
 
県教育庁は16日、あらためて3市町教委に一本化を求めた。8日の協議は有効という認識だが、文科省の通知を受け、もう一度、3市町教育委員による協議が行われる見通しだ。文科省の不当とも思える通知にめげず、あくまで合議で一本化を目指す姿勢は高く評価したい。
 
現在、3市町教委の間はもとより、石垣、与那国両市町教委の内部でも意見が割れている。一連の問題は、地方教育行政法と教科書無償措置法の矛盾を明るみに出した。県教育庁も3市町教委も、法の不備を乗り越えて粘り強い議論、「熟議」を展開し、一本化を成し遂げ、沖縄の自治能力の高さを示してほしい。

9月16日 琉球新報

八重山教科書 県、3市町教委に同一教科書採択を助言      
 
八重山地区における公民教科書採択をめぐる問題で県教育庁は16日、県庁で記者会見を行った。大城浩教育長は15日の文科省の通知を受けて同日、石垣市、竹富町、与那国町の教育委員会に対して同一教科書が採択されるよう助言したことを明らかにし「3市町で協議して採択されるよう引き続き助言していく」と述べた。

八重山教科書 中川文科相、「協議会ルールで結論を」    

中川正春文科大臣は16日午前の閣議後会見で、八重山地区教科書採択問題で、文科省が昨日県教育委員会に指導通知を出したことについて「協議会のルールに基づき早く結論を出してほしいということだ」と述べた。
 
県内など一部で育鵬社版採択への圧力との見方が出ていることについて中川氏は「そういうことではない」と否定した。中川氏は同一採択を定めた無償措置法と教育委員会の採択権利を定めた地教行法の矛盾について「それが今回の混乱のひとつの原因だ」との認識を示し、採択のあり方の改革を検討する考えを示した。

「つくる会」系の採択指導 文科省、県教委に通知      

八重山教科書採択問題で文部科学省は15日、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づき、3市町教育委員会が同一の教科書を採択するよう指導を求める通知を県教育委員会に出した。

教科書の必要冊数の報告期限である16日までに結論を出すよう求めている。同協議会は先月23日、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社公民教科書を選定・答申しており、文科省の通知は事実上、竹富町教育委員会に育鵬社版の採択を求める内容だ。
 

15日に会見した森裕子文科副大臣は「現時点で文科省が認めているのは8月23日の答申だ」と述べ、育鵬社版の採択を求めた。併せて今回の教科書問題を通じ関連法の不備も指摘されていることから、今後の教科書採択の在り方を検証する考えも示した。
 
県教育庁は、育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した今月8日の八重山3市町教育委員による全体協議は有効との立場を保っており、文科省とは見解を異にしている。同庁は16日に会見し、文科省通知に対する見解を明らかにする。
 
全員協議による東京書籍の採択について、中川正春文科相は13日の会見で「残念だが協議は整っていないと考えざるを得ない」と述べ、全員協議は不成立との認識を示している。森副大臣も15日の会見で「全員協議はどこにも規約がない協議会だ。3教育委員会の合意の上で設置されたとは確認できない」と述べ、8日の採択結果は無効との認識を表明した。

文科省指導 公正中立疑わせる異様さ      
生かじりの対応で、文部科学省は話をこじらせたいのか。
 
八重山地域の公民教科書採択をめぐる問題で、文科省は事実上「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版で一本化するよう、県教育委員会を指導した。同地区の教育委員全員が参加した協議で決めた東京書籍版ではなく、下部組織の八重山採択地区協議会の答申を支持する内容だ。
 
混乱の発端は、同地区協議会の玉津博克会長が、これまでの採択方法を次々と変更したことにある。
地区協議会を非公開とし、選定は無記名投票。公民教科書は、実質協議なしで調査員から推薦のなかった「つくる会」系に決めた。
 
果たして公正中立といえるだろうか。民主主義を装いながら、都合のいい結論を導くためにルールを勝手に変えるやり方ではないか。民主主義をなし崩しにしかねない選定方法が、地域に混乱をもたらした。事態収拾のため、県は文科省と調整しながら、一本化作業を進めてきた。
 
問題がもつれた背景に、教科書採択の根拠となる法令の不明確さが指摘されている。教科書無償措置法は「同じ採択地区では協議の上、種目ごとに同一の教科書を採択しなければならない」と定めるが、同一にならない事態を想定せず、一本化の方法に触れていない。
 
一方、地方教育行政法は、教科書の採択権は教育委員会にあると定めている。どちらの法が優先か示されていないから混乱する。法の不備を放置してきた文科省の責任は重い。不作為の果てに、最終期限を持ち出し、教科書無償措置法を盾に「つくる会」系で一本化するよう迫っている。一本化の過程で「つくる会」系の教科書を推す国会議員グループの動きが表面化した。教科書選定は特定の政治勢力に左右されず中立を貫くのが原則だ。
 
琉球新報が石垣、竹富、与那国3市町の住民を対象に実施した世論調査によると、「つくる会」系教科書の採択に反対する人は61・3%。賛成の22%を大きく上回っている。異例づくめの地区協議会の選定を不問に付した文科省の指導は公正中立とは言い難く、民意の支持を得られるとは思えない。子どもの教育を第一に考えるなら、問題含みの決定を追認するのではなく、公正中立な決定方法による選定でなければ禍根を残す

9月16日 沖縄タイムス
八重山教科書:文科省、教科書一本化指導

八重山地区の中学公民教科書の採択問題をめぐり、文部科学省は15日、県教育委員会に対し、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づき3地区教育委員会で同一の教科書を採択するよう指導し、必要な教科書数を16日までに同省に報告するよう通知した。県教委は同日午後に対応方針を明らかにする予定だが、決着は見通せない状況だ。

森裕子文科副大臣は15日、通知について記者会見し、「現時点で協議会の規約に基づいて正式に決定された答申は一つ」と述べ、通知の「協議会の規約に従ってまとめられた結果」とは、現時点で8月23日に同協議会が育鵬社版を選んだ答申を指す、との見解を示した。通知の理由について森副大臣は、同省が教科書発行者に発注する手続きの中で、各都道府県教委による教科書数の報告期限が、臨時措置法で16日と定められているためだと説明した。

これに対し、県教委側は「(3市町教委の全教育委員でまとめた協議結果が)われわれの採択であると認識している」との見解を示している。全教育委員は8日に東京書籍版を採択した。森副大臣の見解と県教委側の現状認識には隔たりがある。県教委は16日、文科省に通知の解釈について問い合わせる考えだ。大城浩教育長は15日、報道陣に対し「さまざまな対応が迫られている。会見で報告したい」と答えるにとどめた。

同省政務三役の1人は「期限前日に文科省として報告するよう伝えた。それ以上でも以下でもない」とし、県教委に対する法的強制力や、通知に応じなかった場合の罰則はないとの見方を示した。また同省は県の報告が16日を過ぎても、教科書の無償給付は可能としている。

育鵬社はかつて「新しい歴史教科書をつくる会」と協力した扶桑社(東京)の教科書を継承する子会社。同社の公民教科書をめぐっては、沖縄の米軍基地負担に関する記述が少ないなどとして地元教員から懸念する声が出ていた。

八重山教科書:3教育委員長「協議有効」

八重山地区の中学校公民教科書の採択問題で、育鵬社版を不採択とした3市町の教育委員による協議を国が無効視していることを受け、同地区の3教育委員長が連名で16日、協議の有効性を訴える要請文を文部科学省と県教委に送付する。

石垣市の仲本英立、竹富町の竹盛洋一、与那国町の入慶田本朝政の3委員長が15日までに決定した。仲本委員長は「協議が有効だったということをアピールしたい」と述べた。

要請文では8日の同協議を「臨時教育委員会」と位置付け、公民教科書は採決の結果、東京書籍版を採択したと明記。3市町の統一教科書であることを認めるよう要望している。

一方、同市の玉津博克、与那国町の崎原用能両教育長がそれぞれ9日までに国と県へ送付した、協議の無効を訴える文書は「教育委員会の議を経ておらず、公務文書としての機能を有しない」と指摘している。要請文は竹富町教委から送付される。宛先は文部科学省教科書課課長と県の大城浩教育長。

八重山教科書:文科省通知 あいまい表現に混乱

“結果”とは、何を指すのか―。八重山地区の中学公民教科書採択問題で、15日に文部科学省から届いた「通知」の意図をめぐり、県教育委員会や八重山の関係者に困惑が広がっている。。約3時間も県教委の一室にこもった担当者らは、「(文科省の)真意が分からない」と首をかしげる。地元八重山も「採択権は委員会にあるのに」と同省の真意を測りかねている。

県教委の大城浩教育長と担当者らは通知を受けた同日午後3時ごろから会議室で協議に入った。夕方近くまで慌ただしく職員らが出入りした。廊下で報道陣に囲まれた県の大城教育長は「さまざまな対応が迫られている。対応は16日の会見を持って皆さんに伝えたい。すべてを報告します」と硬い表情で話した。

竹富町の竹盛洋一教育委員長は「八重山採択地区協議会には教科書を読んでいない委員もいた。(通知は)何が言いたいのか、よく分からない」。石垣市の仲本英立教育委員長は「採択権は委員会にある。国は中立・公平といいながら越権だ」と懸念した。他方、育鵬社版を採択した与那国町の崎原用能教育長は「当然の話。文科省は正しい指導をした」と喜ぶ。協議会会長の玉津博克石垣市教育長はコメントを避けた。

国会では県選出、出身議員が正午から初の会合を持った。特定の教科書を後押しする政治介入との指摘を警戒し、会合の名目は「情報交換」。出欠も取らず、県東京事務所の職員の入室も認めなかった。会合では「13人全員による協議が無効とする文部科学省の根拠について確認すべきだ」との意見が上がった。

瑞慶覧長敏衆院議員(民主)は会合終了後に同省に直行し、森裕子副大臣と面会。「石垣、与那国の両教育長は協議無効を主張するが、両市町の教育委員長は協議を認めている」と指摘、森氏は「分かりました」と述べるにとどめた。
国会議員8人中、下地幹郎衆院議員(国民新)は別日程、島尻安伊子参院議員(自民)は本会議出席を理由に参加していない。

9月15日 沖