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沖縄八重山「教科書採択問題」アーカイブ 2011 9/22-11/8

2011-09-21 19:57:51 | インポート

11月8日 八重山毎日
教科書問題あす提訴 保護者と市民団体、「全員協議」の有効性問う

八重山地区の公民教科書問題をめぐり、来年4月から4年間で実際に教科書を使う石垣市内の児童生徒の保護者と市民団体が、9月8日の「全員協議」で採択された東京書籍版教科書の無償給付を市教育委員会に求める行政訴訟は9日、那覇地裁に提起される予定だ。全員協議の有効性をめぐっては国と県、3市町で見解が割れており、原告側はこのままでは事態は動かないと判断、司法の場で全員協議の有効性を問う手段に出る。

全員協議は、公民教科書が採択地区内で同一になっていない状況を受け、県の指導・助言のもと開催され、採択地区協議会から答申のあった育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した。いずれも賛成多数だった。これに対し玉津博克石垣市教育長と崎原用能与那国町教育長は、市町教委の合意がなかったとして無効を訴える文書を文科省に送付、同省はこれを基に「協議が整っていない」として無効と判断。一方、県や竹富町教委は「全教育委員によって協議を行うことが議長から提案され、異論はなく、了解された」として有効との見解だ。

裁判は、保護者2人を中心に「住民の視点で教科書をえらぶ会」が原告団を組織して臨む。原告側は全員協議について「多数決に13人中11人が参加したことからして、この全員協議で東京書籍を採択した決議は『協議して同一教科書を採択した』と言えるのは明らか」と無償措置法に基づく協議、地教行法に基づく採択だったと主張している。これを裏付ける根拠の一つとして、市教委が公開した全員協議の音声記録をもとに文書による議事録を作成し、証拠として提出する予定だ。議事録文書の公開請求に対して市教委は「協議の場の位置づけが不明で、事務局の位置づけも定かではない」として作成しておらず、文書が存在しないことを理由に請求を拒否している。採択手続きを問う裁判は全国でも例がないという。原告側は「教科書の内容を争点にするものではない。

行政が行った教科書の採択という手続きが正しく行われたかどうかを裁判所に判断してもらう」と意義を強調。代理人となる井口博弁護士は「もともと違う教科書から、正しい手続きで採択された教科書に変えるもの。9月8日に決まった教科書を無償で下さいというシンプルな裁判だ。違法な状態から子どもたちを救う手段だ」と話している。

11月6日 沖縄タイムス
[教科書問題提訴へ]3教委は最後の努力を

八重山には「やらびぬ どぅ ぴぅとぅぬ しぅなだー みー」ということわざが伝わる。「やらび」とは子ども、「ぴぅとぅ」とは人、「しぅなだー」とは姿という意味だ。子どもの前で、子どもがまねては困るようなことをするな、と「八重山ことわざ事典」の著者宮城信勇さんは大人を戒める。

混迷を極める八重山地区の中学公民教科書採択問題は今週にも裁判に持ち込まれることになりそうだ。子どもが不利益を被る可能性がある。3教委とも成り行きを座視することなく、当事者であることを忘れてはならない。もつれた糸を解きほぐすための話し合いのテーブルを設定するなど最後まで努力を尽くしてもらいたい。

教科書は来年度から4年間、現在の小学5年生から中学2年生まで使用する。対象となる石垣市内の小学生の保護者らが育鵬社版を採択した市教委を相手に、東京書籍版の無償給付を確認する訴訟を那覇地裁に起こす。同じケースの与那国町の保護者らとも連携していく方針だ。

同地区の中学公民教科書選定をめぐる動きを振り返ると、3教委から諮問を受けた八重山採択地区協議会が8月、育鵬社を答申した。石垣市、与那国町両教委は答申通り育鵬社、竹富町教委は東京書籍を選び、採択が異なった。このため9月に開かれた3市町の全教育委員協議で東京書籍を採択した。保護者らの訴えは、全教育委員協議の採択の有効性を確認するものである。

文部科学省と調整しながら指導・助言してきた県教委も全教育委員協議の採択を有効とする。一方、文科省は協議会の答申を有効とし、今月中に一本化できなければ竹富町教委に自費購入を促す。

先月末の衆院文科委員会。質問者が、答申と採択が異なった場合でも無償となっている他県の例を挙げ「同一でないという点では、石垣・与那国も竹富と同じ。竹富だけ無償にならないのはつじつまが合わない」「協議会の答申は現場教師の意見を聞かずに強引に決めた。だから3市町の全教育委員協議で否決された」と中川正春文科相をただした。当然の指摘だ。文科省が答申にすぎない協議会の結論を根拠にするからである。

教科書の無償給付を定めた無償措置法が地区内は同一教科書とし、地方教育行政法は採択権は市町村教委にあるとする。法整備の怠慢を棚に上げ、その矛盾の責任を竹富町教委に負わせる文科省のやり方はやはりおかしい。

「育鵬社ありき」の立場で協議会会長の石垣市教育長が主導して協議会委員の入れ替えなど規約を変更。現場教師の調査員による教科書の順位付けを廃止した。

教科書選定の関係者は自らの「しぅなだー」に対する子どものまなざしに鈍感と言わざるを得ない。訴訟は解決の方法としては最終手段だ。地域を分断しかねない。

3市町教委は打開策を探る責務がある。その努力を惜しんでは、これまで先人が営々と築いてきた八重山の教育に禍根を残すことになる。

11月6日 八重山毎日 

教科書問題 公開された採択協会議録
 
石垣市教育委員会が4日公開した教科用図書八重山採択地区協議会の会議録。8月23日の教科書選定作業の会議録資料はA4判両面書きで28ページに及ぶ。委員の意見が分かれた調査員の順位付け、会議の公開、投票方法、選定結果の公表、委員の氏名公表をめぐる議論と、今問題となっている公民教科書の選定作業の様子を議事録で紹介する。掲載にあたっては文章を一部省略したり、かっこ内で説明を加えたりして文意が通るようにした。3教育長は公開、教育委員3人とPTA代表、学識経験者の計5人は非公開となっている。玉津博克会長(石垣市教育長)は「玉津」、慶田盛安三副会長(竹富町教育長)は「慶田盛」、崎原用能副会長(与那国町教育長)は「崎原」と表記する。

会議録の内容は: 「1106yaeyama.doc」をダウンロード

11月5日 八重山毎日 
教科書問題 PTAが署名活動開始 東京書籍の採択求め

小中学校のPTA代表らで組織する「子どものための教科書を考える保護者の会」が、公民教科書について9月8日の「全員協議」で採択された東京書籍を「同一の教科書」として確認するよう文科省と県に要請するため、保護者らから署名を集める活動を始めた。保護者の会は平良守弘八重山PTA連合会長、宇根信夫竹富町PTA連合会長、稲川宏二与那国小PTA会長、東蔵盛充平真小PTA会長、平良敏一名蔵小中PTA会長、知念秀明海星小PTA会長が共同代表を務める。

署名用紙には東京書籍と育鵬社の内容を項目別の比較表を掲載、「保護者の立場から子どもたちが使う教科書はどちらが望ましいかを判断して下さい」と訴えている。要請では「私たちは、子どもたちの教科書としてふさわしく、教職員も高く評価する東京書籍版教科書を地区内の同一の教科書として確認していただくよう要望する」としている。同会は今月中旬をメドに署名をまとめ、文部大臣と県教育委員長に要望書を提出る、直訴も検討している。

11月5日 八重山毎日
公民、実質審議なく投票 2委員の意見表明のみ、地区協議会の会議録公開 

来年度から4年間使用される中学校教科書を選定した8月23日の教科用図書八重山採択地区協議会の会議録が4日、音声記録とともに公開された。市情報公開条例に基づき本紙が9月20日付で行った請求に、石垣市教育委員会(玉津博克教育長)が公開した。教科書名を伏せたまま議論が行われていたことが正式に確認され、議事日程にある「意見交換」とはほど遠い内容。教科書の中身を比較検討するはずの「協議」から乖離(かいり)している実態が浮き彫りになった。公民分野で発言したのは2委員のみ。投票後に議論になるという本末転倒の事態を招いている。

社会科(地理、歴史、公民)の教科書は3人の調査員(教員)が6月28日から7月29日までに計9回、延べ32時間にわたって調査研究した結果、公民分野は「推薦したい教科書」「特徴・特色の教科書」にいずれにも東京書籍と帝国書院を挙げた。育鵬社は、その他の観点から14点のマイナス評価がついた。協議は、委員2人が教科書名を言わずにどういう観点で選んだかを述べるだけ。その他に意見はなく、審議は6分で終了。投票の結果、育鵬社が8票のうち5票を集めて選定された。

会議録によると、次の分野に移ろうとすると、委員から「育鵬社はマイナスの評価が多いのになぜ選定されたか」と待ったがかかる。玉津会長は「もう投票は終わりました。決めるのは私たちです」と制止するが、なお納得がいかない同委員は食い下がり、しばらく議論が続いた。しかし、結果は決まっている。玉津会長は「蒸し返しになるので、これは取り消してください」と議論に終止符を打った。

協議会は9教科15教科書を選定したが、公民分野だけが調査員の意見を反映しない結果に。玉津会長が繰り返し強調していた「委員の責任と権限」は実質的に同分野で発揮されたことになる。推薦外図書の選定状況を確認しようとする委員に玉津会長は「確認して何をしようとしているのか。確認をしないで下さい」と発言を制止し、「推薦があったかどうかを含めて一切口外しないように」とクギを刺して会議に幕を下ろした。会議録では、委員8人のうち3教育長の氏名のみ公開され、5人の委員は「委員」とだけ記されている。

社説: 納得できぬ文科省対応 教科書問題の本質を見よ 

目に付く沖縄への強硬姿勢

政府は何を考えているのだろうか。教科書問題で何ら瑕疵(かし)のない竹富町に対し、育鵬社公民教科書採択を実質的に迫っている。また地元が反対する米軍普天間基地の辺野古移設に関する環境アセスメント提出を県に通知した。さらにJA沖縄など県内31団体が猛反発するTPP交渉に、十分な論議のないまま参加の動きを示すなど沖縄は大揺れだ。

これらの一連の動きには納得できない。普天間移設に「最低でも県外」と公言したのは鳩山元首相である。その約束を簡単にほごにし、「国益」を大義に辺野古移設を求める。地元・名護市長、県知事が県内移設は困難と再三反対を伝えても、聞く耳を持たない。県が要求した新沖縄振興計画の一括交付金を閣議決定し、アメをちらつかせながら具体的な額は示さず、あたかも辺野古移設次第と言わんばかりである。

さらにTPP交渉参加が、サトウキビを中心に県内経済に多大なダメージを与えることを国は承知しているはずだ。キビ産業の依存度が高い八重山の島々に至っては、砂糖の関税が撤廃されれば破壊的な打撃を受ける。これまでの離島振興策が積み木崩しになりかねない。十分な論議と打開策のないまま事を進める姿勢が、先進国の民主主義国家なのか。

道理通らぬ竹富町教委への対応

教科書問題の強権ぶりも耳を疑う。八重山地区教科書採択協議会答申の育鵬社公民教科書を不採択とし、東京書籍を選んだ竹富町教育委員会に対して中川文科相は、一本化できない場合は「国の(教科書)無償供与対象にならない」と公言した。これには驚いた。竹富町教委は地方教育行政法に沿って東京書籍の教科書を選定したのであり、瑕疵(かし)は全くない。

問題は教科書無償措置法と地方教育措置法の矛盾を知りつつ、これまで放置してきた国にあるはずだ。それを棚にあげ、新しい法が優先するという内閣法制局の解釈は、勝手なご都合主義といえ、道理が通らない。 国に代わって、竹富町が教科書を購入するのは法令上禁止されていないというのもまたおかしい。独自に町民の血税を充てよ、というのは憲法に定めた無償で義務教育を受ける権利にも抵触しかねない。

この問題は何度も指摘しているように、根幹は地区採択協議会の運営手法が正しかったか、否かである。調査員の人事に始まり、調査報告で数多く問題点の挙がった育鵬社公民教科書を、ルールを変えてまで採択したことが批判されているのである。匿名採択で、都合の悪いことはオブラートに包まれたままである。これでは多くの人々の納得を得ることはできない。

県教委の再協議提案認めよ

国は当初、県教委と連携しながら指導を進めていただけに、事情を知らないはずはない。なぜ問題の本質から目をそむけるのか理解できない。文科省と県教育委員会は真っ向から異なった見解を持つ。県教委は育鵬社教科書を不採択とし、東京書籍教科書を採択した3市町教育委員の全員協議は有効とする。先日行われた県教委の報告と教科書選定をめぐる再協議提案を文科省は否定し、逆に今月中の一本化を求めている。法の手順を踏んで教科書を選んだ竹富町教委に、どうして県教委が選定結果を変更するよう指導できるのだろうか。国はまず民意を考えるべきだ。

11月3日 沖縄タイムス
八重山教科書:有償撤回訴え那覇で集会

八重山地区の中学公民教科書が決まっていない問題で、文部科学省の「竹富町は有償」方針の撤回と、東京書籍版を採択した同地区全教育委員協議の尊重を求める集会が2日、那覇市の県民広場で開かれた。沖教組(山本隆司委員長)、県高教組(玉那覇哲委員長)、沖縄平和運動センター(崎山嗣幸議長)の主催で約200人が集まった。

崎山議長は「全教育委員協議は有効」と位置づけた県教育庁見解に基づいた解決を強調。義務教育は無償と定めた憲法26条や教科書無償措置法を侵害する恐れがある状況に、山本委員長は「単に八重山の問題だけではない」と訴えた。玉那覇委員長は「沖縄を差別する基地問題と一緒。民の声を無視し続ける政権に沖縄を語る資格はない」などと政府、国の対応を批判した。

八重山からは4人が参加した。竹富町の中学生が来年度から4年間使用する公民教科書は約140冊、約10万円で、予算負担が少ないとの指摘もあるが、同町職労の登野盛恒雄委員長は「私たちは日本から切り捨てられ、怒りが爆発している。事態の収拾を急ぐあまりの解決策とすれば、到底納得できない」と語気を強めた。

政党関係者からは、町予算で負担するかどうかの問題に矮小(わいしょう)化されることへの懸念や、衆院文部科学委員会の質疑で瑞慶覧長敏議員(民主)が文科省の方針について「一定の方向性が示されたのは、安堵(あんど)している」と一定評価した発言に批判の声が上がった。

11月2日 八重山毎日

県、新たな協議を提案 文科省は従来の見解

八重山地区教科書問題をめぐり、県教育委員会(大城浩教育長)は10月31日、文部科学省との面談で、これまでの指導の一貫性から無償措置法に基づく協議の場の開催を国と県が求めるよう提案した。文科省は八重山採択地区協議会の協議結果を優先する考えに変わりなく、議論は平行線をたどった。

県教委は、教科用図書八重山採択地区協議会の規約に3市町が異なる採択をした場合の決定方法が定められていないことが問題解決を遅らせている原因と指摘。無償措置法の運用の誤りから生じた問題として「県教委と文科省が無償措置法13条4項の協議の開催を求めさえすれば一本化は直ちに可能と考える」と提案した。

県教委は文科省が9月8日まで「協議して一本化せよ」との方針を容認したとして、同方針に基づいて9月8日の「全員協議」の開催を県教委も容認、必要な指導助言を行ったとし、仮に全員協議が無効だとしても「指導の一貫性から次の手続きとしても新たな協議の設定による一本化でなくてはならない」と主張した。
一方、文科省は、協議会の協議結果(答申)に基づいて採択を行った教育委員会(石垣市、与那国町)には無償給付できるが、協議結果に基づかない竹富町教委には無償給付の対象にならないとの見解をあらためて示した。

文部科学省の見解
 ◎地教行法23条6号は、教科書の採択について地方公共団体の教育委員会が行うとされているが、無償措置法第13条4項は同一採択地区内の教科書については採択地区委内の市町村教委が協議して種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないと規定されている。
 ◎したがって、採択地区内の市町教委が協議の結果と異なる教科書を採択した場合について、国の行う教科書の無償給与については無償措置法の趣旨・目的に照らし、文科省としてどのように対応するか判断する必要がある。
 ◎文科省としては県教委に対し、八重山採択地区内の市町教委が規約に従ってまとめられた結果に基づいて、公民についても同一の教科書を採択することを指導するよう求めてきたが、なお同一の教科書を採択するに至っていない。
 ◎現時点の状況では8月23日の八重山採択地区協議会の答申および8月31日の協議会役員会の再協議の結果が「協議の結果」であり、それに基づいて採択を行った教委(石垣市、与那国町)に対しては教科書の無償給与をすることになるものと考える。
 ◎協議の結果と異なる採択をした場合、無償措置法の規定に反することになるが、それをもって採択行為が無効とまでは言えないが、国の無償給与の対象にならない。このため、竹富町については国の無償給与の対象にはならないが、地方公共団体自ら教科書を購入し、生徒に無償で給与することまで、法令上禁止されるものではないと考える。

県教育委員会の見解
 ◎八重山採択地区は協議会を諮問機関と位置づけており、「協議の規約に従ってまとめられた結果」とは教委の採択権を拘束しない答申である。規約は、答申を最終決定(採択)としていない。
 ◎協議会規約は3市町が異なる採択をした場合、最終的に決定する方法を定めていず、そのことが問題の解決を遅らせている。すなわち、特別法と一般法の矛盾から生じた問題ではなく、無償措置法の運

用の誤りから生じた問題。例えば「3市町の教育委員全員の投票で決する」などを定めていれば、現在の混乱は生じなかった。
 ◎3市町教委の異なる採択が生じた場合、一本化を図るための手段としては、新たに協議の場を設定する以外にない。
 ◎文科省が発した「協議会の規約に従ってまとめられた結果を基本に地区内で同一の教科書の採択を促す」とした指導助言が、「県教委が竹富町教委を指導し、竹富町にI社教科書を採択させるべき」と受け止められ、協議の場の設定を困難にしている。
 ◎「協議会の規約に従ってまとめられた結果」に法的拘束力はなく、県教委がその「結果」に従って採択を行うよう1町教育委員会に求めることは無理がある。
 ◎一本化を諮るための手段としては、新たに協議の場を設定する以外になく、その協議の中で、答申および全員協議の有効性を含めて協議し、結論を導き出す以外にはない。そのためには県教委、文科省が3市町教委にあらためて協議を求める必要がある。

11月2日 琉球新報
見解相違 鮮明に 八重山教科書、面談も溝埋まらず      
 
八重山教科書採択問題で県教育委員会の大城浩県教育長らは10月31日の森裕子文部科学副大臣らとの面談で、竹富町は東京書籍版を採択した場合は有償とするとした文科省の方針に異議を唱え、文科省と県の双方で3市町教委に再協議を求める打開案を提示した。しかし、文科省側はかたくなな姿勢を崩さず県提案を拒否。有償方針の矛盾点を指摘する県教委に対し、文科省は従来の法解釈を繰り返すなど、双方の見解の相違はより鮮明になった。
 
県教委と文科省はそれぞれ見解をまとめた文書を交わし、意見を述べ合った。県教委は国会答弁で中川正春文科相が示した「竹富有償」の方針について「拘束力のない答申を守るか否かによって教科書の無償か否かが決まるとする考えは理解しがたい」と文科省の矛盾を突き、県内から憲法違反と指摘する声があることも説明した。
 
一方、文科省は「当該教委が教科書を購入し、児童生徒に無償給与することは法令上禁止されるものではない」「憲法の義務教育の無償の精神を幅広く実現するために無償措置法が定められている」などの法解釈を展開。県の提案を受け入れようとはしなかった。

教科書問題に詳しい琉球大学の高嶋伸欣名誉教授は膠着(こうちゃく)状態の打開につながるとして県提案を評価。一方文科省の主張については「矛盾だらけだ。親に代わって竹富町が購入すれば、義務教育は無償とする憲法26条違反にはならないと文科省は言っているが、竹富町は購入を求めているわけではない」と断じた。

社説 : 八重山教科書 文科省の解釈は身勝手だ      
 
憲法違反の指摘に正面から答えず、小手先の法解釈で問題収拾を図ろうとすること自体、限界がある。 八重山教科書採択問題をめぐる文部科学省の対応のことだ。
 
県教育委員会の大城浩教育長は、森裕子文科副大臣と面談し、竹富町を国の教科書無償給与の対象外とする文科省方針に異議を唱え、一本化に向けた再協議を提案した。だが、文科省は拒否し、今月末までに八重山地区に必要な公民教科書の冊数を報告するよう県に求めた。一本化できない場合、八重山採択地区協議会の答申通り、「新しい教科書をつくる会」系の育鵬社版を採択した石垣市、与那国町は無償とするが、東京書籍版を採択した竹富町に自主購入を促す同省の見解を重ねて示した。問題の本質を糊塗(こと)したまま期限だけを設定しても抜本的解決には程遠いと強く認識すべきだ。
 
憲法26条は無償での義務教育を定めるほか、教科書無償措置法は、無償給付する主体を「国」と定めている。文科省方針は憲法違反かつ無償措置法違反との指摘があるが、文科省はこうした疑義に真摯(しんし)に向き合うことが先決だろう。
 
一連の問題を通して、教科書採択をめぐる法の不備も浮き彫りになった。無償措置法は、地区で同じ教科書への統一を求めるが、同一にならない事態を想定せず、一本化の道筋を示していない。加えて、教科書の採択権は教育委員会にあると規定する地方教育行政法とどちらの法が優先するかが明確でなく、混乱に拍車を掛けている。
 
政府は先月7日の閣議で、無償措置法が地方教育行政法に対し部分的に優先するとの見解を示す答弁書を決定したが、特別法が一般法に優先するとの一般論を述べたにすぎない。無償措置法は無償措置の対象外について規定していない。文科省は今後、こんな手前勝手な解釈で教育行政を進めるのか。
 
繰り返し指摘してきたが、混迷の発端は、八重山採択地区協議会の玉津博克会長(石垣市教育長)が、順位付けの廃止や調査員の独断選定、協議会を非公開とし選定を無記名投票とするなど、不公正な手続きで採択方法を次々と変更したことにあることを忘れてはならない。何よりも文科省は、一本化に向けた道筋を明確に示す義務がある。弥縫(びほう)的な対応では、いずれ教科書採択をめぐる混乱が全国に拡大するのは避けられない

11月2日 沖縄タイムス
八重山教科書:文科相、再協議に難色

中川正春文部科学相は1日の閣議後会見で、八重山地区の中学公民教科書採択問題で、県教育委が次善策として、3市町に対し新たな協議の場を設定するよう国と県で働きかけることを提案したことに対し「一義的には県にさらに努力してもらいたい。文科省が(現地に)行って押し付ける話でもないと思う」と困難視した。

同省は育鵬社版を選んだ地区協議会の答申を有効とし、9月15日に県教委に対し、答申に基づく一本化を図るよう通知。一方で、県教委は10月31日、森裕子副大臣に対し「答申に法的拘束力はない。答申通りに採択するよう竹富町に求めることは、かなりの無理がある」と反論している。

中川氏は会見で11月末までに一本化されなかった場合、答申通りに採択した石垣市と与那国町のみ無償給与となる従来見解を説明。答申と異なる東京書籍版を採択した竹富町が一本化に応じなかった場合、「(一本化の)コンセンサスが出ない場合は弾力的に考える。子どもに支障が及ばないことを前提に、竹富の意向を尊重する配慮ができればと思う」と述べ、同町が自費購入し生徒への無償給与することを認める考えを示した。地方教育行政法と教科書無償措置法の在り方は「二つの法律が重なり合っており、整理する必要がある」と述べた。

11月1日 沖縄タイムス
八重山教科書:竹富教育長「県指導待つ」

八重山地区の教科書問題で31日、県教育委員会の経緯報告を受けた文部科学省が、11月末までに3市町の公民教科書を一本化できない場合、竹富町に有償での教科書購入を促す方針をあらためて示したことを受け、同町の慶田盛安三教育長は「3市町で話し合っても互いに自分の考え方を主張するだけで、平行線に終わる」とし、今後も歩み寄りは困難だとする認識を示した。一方、竹富町だけを有償とする国の方針に、同地区の住民には反発と失望感が広がっている。

慶田盛教育長は、育鵬社版を不採択とした3市町の全教育委員による協議について、「一本化に向け、あれ以上の状況はこの先もつくれないし、石垣と与那国は認めないだろう。(協議を主導した石垣、与那国両市町の)教育委員長も代わり、再協議の可能性はほとんどない」と指摘。「町としては県の指導助言を受けるだけだ」と述べた。石垣市の玉津博克、与那国町の崎原用能両教育長もこれまでの取材に対し、一本化に向けた再協議には応じない姿勢を見せている。

「子どもと教科書を考える地区住民の会」の仲山忠亨共同代表は「なぜ協議会の答申に拘束力があるのか理解できない。教育委員会の採択権を侵す、法律違反だ」と強調する。「3市町でまとまらず、何とかしてまとめようという最大の努力が全委員協議だったのに、国がそれを否定することは考えられない。八重山は一つ。全委員協議を尊重して一つにまとめてほしい」と望んだ。

県の直談判 国応じず 大城教育長 表情厳しく

八重山地区の中学公民教科書採択問題で31日、文部科学省に県教育委員会の考えを伝えた大城浩県教育長。「協議会答申」を有効とする見解を崩さない同省の対応に、「協議会規約でも答申は最終決定ではない。あくまで3教育委への答申で、それが即、(地区としての)結論というのは、あまりに飛躍しすぎる」と強い口調で同省の対応を疑った。

この日の面談は、同省側が現状を聞き取るため、県教委へ報告を求めて実現。面談時間は森裕子副大臣と約30分、山中伸一初等中等教育局長と約1時間の計1時間半余りで、県側は時間のほとんどを費やし全員協議が有効と主張。しかし、同省も見解を譲らず、話し合いは平行線に終わった。

大城教育長は面談後、眉間にしわを寄せた厳しい表情で記者団の前へ。答申通りの採択でないままでは、竹富は無償給与とならないという同省に対し、「(義務教育の無償を規定した)憲法26条との兼ね合いもあり、いかがなものかという気がしないでもない」とチクリ。同省との見解の相違にいら立ちを見せた。

県の見解をまとめた文書では、全員協議が無効だとすれば、県と同省で3市町教育委にあらためて協議を求めるよう協力を求めたが、同省からの明確な回答はゼロ。「今日は互いの立場をあらためて述べた状況。(互いに)近づいたのか…という感じ」と、県教育行政トップによる直談判にも姿勢を崩さない同省との議論を評価しあぐねているようだった。

八重山教科書:識者「文科省はむちゃくちゃ」

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文部科学省の「竹富有償」方針に、琉球大の佐久間正夫教授(教育行政学)は「国が授業料と教科書を負担することが義務教育の原理原則。それを文科省が堂々と覆そうとしている」と憤った。一方、八重山採択地区協議会の規約変更や調査員による順位付けの廃止などを挙げ「画策の中で出てきた答申を有効し、竹富町を有償とする法的な根拠を示していない」と指摘。「法制局と話し合ったと言っているが、義務教育の費用を竹富町が独自に賄うことが本当に審議されたのか。むちゃくちゃだ」と批判し、「教育長の暴走で決まる手法が通れば、今後、本島や全国でも同様のことが起こり得る」と危惧した。

歴史教育者協議会の石山久男・前委員長は「教科書は本来、地域で決めるべきこと。協議会の決定が絶対であるかのような文科相発言は、協議会の決定が教育委員会の決定を拘束しないと認めた文科省の局長の国会答弁とも矛盾している」と指摘する。11月末という一本化の期限設定にも「石垣、与那国市町が態度を硬化させる中、問題解決は容易ではない。法的根拠なく期限を設けるのも不当介入だ」と批判した。

沖教組の山本隆司委員長は「もはや八重山だけの問題ではなく、憲法問題にまで踏み込んでいる。文科省はパンドラの箱を開けてしまった」と同省の対応を疑問視。「義務教育の無償」を前提にした教科書採択制度を挙げ、「竹富の有償化で、当事者の文科省自身が矛盾を起こしている。戦後の教科書制度の在り方が根本から問われている」と指摘した。

文科省と県、見解に相違

文部科学省が31日に示した見解では、八重山採択地区協議会の答申と違う教科書を採択した市町村教育委員会に対し「教科書の無償給与については文科省がどう対応するか判断する」とあらためて示した。その上で、今回は育鵬社を採択した石垣市と与那国町は無償の対象だが、東京書籍を採択した竹富町は無償では給与できないと再度通告。町の自費購入は「法令上禁止されるものではない」とし、町の独自判断を促した。

一方、県教育委員会は「答申に従わないから有償となるのは理解できない」などと反論。さらに一本化が遅れている理由を初めて「3市町教委が協議を行わないこと」と言及。これまで有効性を訴えてきた9月8日の全教育委員協議が「仮に無効だとしても」と踏み込んだ上で、国、県が3市町に「新たな協議の開催を求めさえすれば、一本化はただちに可能」と初めて次善策を示した。

11月1日 琉球新報
八重山教科書 今月中の冊数報告要求 文科副大臣、県教育長に      

県教育委員会の大城浩教育長らは31日、文部科学省で森裕子文科副大臣と面談し、八重山地区教科書採択問題について、竹富町地区を無償措置の対象外とした文科省の方針に異議を唱え、一本化に向け文科省と県教育委員会が3市町教育委員会に再協議の開催を求めるべきだと提案した。これに対し文科省側は「難しい状況だ」と拒否。森副大臣は、無償措置の対象となるのは8月23日の採択地区協議会の答申または同31日の再協議の結果に従い育鵬社版を採択した石垣、与那国地区で、東京書籍版の採択を主張する竹富町は現状のままでは無償措置の対象にはならないとの文科省の方針を重ねて伝え、話し合いは平行線に終わった。文科省は、11月末までに同地区の公民教科書の必要冊数を国に報告するよう求めた。
 
会談後大城教育長は「県としては引き続き3市町が合意形成ができるよう努力していきたい」と述べた。文科省の方針に従わなかった場合、竹富町に教科書が無償措置されないとする国の方針について大城教育長は「憲法26条との兼ね合いもあるので、いかがなものかと思う」と述べた。大城氏は副大臣との面談の席上でも、県内には国の方針は憲法違反だと指摘する声があることを説明した。

会談で、県側は(1)採択地区協議会は諮問機関であり、8月23日の答申や同31日の再協議の結果に各教育委員会の採択権を縛る拘束力はない(2)9月8日の全教育委員による協議は有効―などの県の考えを説明した。県側は今後の対応などをまとめた文書で、文科省が「9月8日までは協議して一本化せよとの方針を容認してきた」とし「指導の一貫性からして、9月8日の協議が無効だとしても、その場合の次の手続きは新たな協議の場の設定による一本化でなければならない」と主張し「無償措置法第13条4項の協議の開催を県と文科省が求めれば一本化は直ちに可能と考える」と再協議の場の設定の必要性を強調した。

10月30日 琉球新報
竹富教科書・無償対象外 「法律違反の脅し」自民も批判   

文部科学省は26日、八重山地区教科書採択問題で、採択地区協議会の8月23日の答申とは異なる教科書採択を主張する竹富町は無償給与の対象にはならないとの方針を示した。国は問題の幕引きを図りたい考えだが、同方針に対し地元沖縄だけでなく、自民党の国会議員からも「国による無償措置を定めた無償措置法を国自ら破るような行為だ」などと批判の声が上がっている。
 
自民党はこれまで、玉津博克石垣市教育長の「改革」を支持する一方、採択地区協議会の答申結果に従わない竹富町を「ごね得だ」などと批判してきた。26日、衆院文科委員会で中川正春文科相が竹富町は無償給与の対象外となる方針を表明すると、下村博文氏(自民)は「大臣の判断は適切だ」と評価した。自民党内からは「文科省としてはぎりぎり限界の判断なのだろう」「もう勝利宣言だ」と文科省を一定程度評価する声が出始め、自民側の文科省への追及はやむとの見方もあった。
 
しかし、これまで玉津氏へ助言をするなど同問題に積極的に関与してきた義家弘介参院議員は「無償措置法は国が無償措置することを定めた法律。法改正もせずに(竹富町が)言うことを聞かないから無償配布はしないというのは完全な法律違反だ」と文科省方針を批判、今後国会や党文科部門会議で文科省を追及していく考えを明らかにした。義家氏は、地方教育行政法49条に基づき文科省は、竹富町に育鵬社版を選定した採択地区協議会の答申に従うよう是正措置を発すべきだと主張している。
 
一連の採択問題の発端の一因となっている無償措置法と地方教育行政法は、所管する文科省が法解釈権を有するとされている。10月7日に閣議決定した政府答弁書では、無償措置法を「教科書用図書の採択の権限の行使について特別の定めをしている」とし、地方教育行政法よりも優先する特別法に当たるとの解釈を示している。それを踏まえ「竹富無償対象外」の方針決定に至った背景について文科省は「各教育委員会の採択権を定めた地方教育行政法があるので、教育委員会の権限までは否定できない。よって竹富町が(東京書籍版を)買うことは否定できない」と教育委員会の採択権への配慮をにおわせる一方で、「無償措置法の趣旨を考慮し、判断した」と説明する。
 
これに対し義家氏は、無償措置法では、どのような場合には無償措置の対象外としてもいいとするなどの規定がないことを指摘し、文科省の方針を「法律違反の脅しでしかない」と批判する。2法の不備で生じた今回の同一地区内採択不統一という事態を、法解釈権で乗り切ろうとする文科省。しかしその解釈自体も法律違反の可能性を指摘され、文科行政のお粗末さがあぶり出されつつある。

10月29日 沖縄タイムス
八重山教科書:無償対象外 来週にも伝達

中川正春文部科学相は28日の閣議後会見で、八重山地区の中学公民教科書採択問題で、育鵬社版を選んだ地区協議会の答申とは異なる東京書籍版を採択した竹富町教育委員会を無償給与の対象としない同省見解を、来週中にも県教育委員会に伝えることを明らかにした。

中川氏は見解について「竹富が答申を受け入れられないなら、地方教育行政法にある市町村教育委員会の採択権を斟酌(しんしゃく)すると、強制的に育鵬社版を使えというわけにはいかない。採択権に基づいて自分たちが決めた教科書を町が負担して子どもたちに実質的に無償給付する方法もある、ということ」と意図を説明した。

教科書採択をめぐっては、国から無償給与を受けるための教科書無償措置法が地区内の同一教科書の選定を定める一方で、地教行法は採択権は市町村にあるとしている。同省は地区協議会の育鵬社版の答申は規約に基づいて出された結論として有効と判断し、答申に沿って採択した石垣、与那国は無償措置法によって無償給与を認めた。同時に、地教行法の採択権を尊重すると、強制的に答申に従わせられないことから、無償ではないものの、竹富が別の教科書を採択することも認めた格好だ。中川氏は2法の併存によって生じた同問題について「何回も起こってはならない。二つの法律をどう見直すか議論しないといけない」とも述べた。

また、同日の参院沖縄北方特別委員会では、山内徳信氏(社民)が竹富が無償給与とならないのは憲法の義務教育規定に反するとし、同省見解の撤回を要請した。森裕子文科副大臣は同省見解を「最終的に費用を負担する文科省として判断した」と説明し、憲法違反にはならないとの考えを示した。一方、県は来週上京し、文科省に9月8日の全教育委員協議の有効性など県の見解をあらためて示すほか、3市町の合意形成に向けた今後の対応について同省と確認する方針だ。

10月29日 琉球新報
教科書無償対象外 「憲法違反に当たらない」森文科副大臣
      
森裕子文科副大臣は、28日の参院沖北委員会で、八重山地区の教科書採択問題について、竹富町が採択地区協議会の8月23日の協議の結果と異なる教科書を採択した場合、無償措置の対象外とするとした文科省の方針について「採択地区内で採択が分かれた場合、どの教育委員会が採択したものを無償措置とするかは、最終的には費用を負担する文科省で判断するもの。憲法違反には当たらない」と述べた。山内徳信委員(社民)への答弁。
 
中川正春文科相は同日午前の閣議後会見で「教科書の無償配布の前提は採択地区内で決めるということだ。一方で、地方教育行政法は教育委員会に最終的な採択権があると決めているので、そこを斟酌(しんしゃく)すると強制的に育鵬社を使えということにはいかない」とし、その上で「その法律に基づけば無償給付を受けとらないということになる」との解釈を示した。中川文科相は、週明けに上京する県教育委員会から現状説明を受けた上で、省の方針を伝える考えを示した。

地元紙は「あきれる」やら、「驚き」と「怒り」一色

10月28日 八重山毎日
「国から見捨てられた」 教科書問題で文科相発言に怒り広がる 

町議会も反発「予算通らない」

来年4月から郡内の中学校で使用される公民教科書で教科用図書八重山採択地区協議会の答申(育鵬社)と異なり、東京書籍を採択した竹富町教育委員会について中川正春文部科学相が無償給付の対象外との文科省見解を示したことに27日、町内の保護者や町議から「ひどい」「竹富町だけ国から見捨てられた」「こんなバカな話があるか」などと抗議の声が広がった。町議会の西大舛高旬議長も「議会に予算が上程されても簡単には通らない」と猛反発した。

前日のニュースで文科相発言を知った竹富町PTA連合会の宇根信夫会長は「ひどい」と嘆き、「子どもたちは無償で義務教育を受ける権利、保護者には受けさせる権利があることを忘れてしまっているのではないか。竹富町教委が悪いような指摘がされているが、竹P連は町教委を信じている。間違っていない」と訴えた。西大舛議長は「憲法問題まで踏み込んだ議論も必要になり、特別委員会を設置しなければならなくなるのではないか」と議会に波及することに不快感を示し、「全国を騒がさせた3市町教委に道義的責任がある。意見をまとめきれなかった責任を取るべきだ」と3市町教委のこれまでの対応に異議をとなえた。

新田長男副議長は「竹富町だけ国から見捨てられた形」と批判、宮良用範氏は「教育行政の中で竹富町だけ有償というバカな話があるか。こんな発言があってはならない」と語気を強めた。東迎一博氏は「国と県の間でもう少し調整してほしかった。教育の機会均等を図る観点からも(大臣発言は)いかがなものか」と疑問を呈した。

大臣あてに抗議声明を出した子どもと教科書を考える八重山地区住民の会共同代表の1人、村田栄正氏は「無償措置法に反する発言で、絶対許せない」と怒り心頭、「竹富町が自前で購入しないことになれば、保護者の個人負担になる。そうなると国は法違反になる」と指摘した。

10月28日 琉球新報
文科相発言に抗議 八重山教科書採択      

子どもと教科書を考える八重山地区住民の会は27日会見し、26日の衆院文部科学委員会で「竹富町は無償給付の対象とならない」と発言した中川正春文部科学相への抗議声明を発表した。27日付で中川文科相に発送し、発言の撤回を求めた。
 
石垣市教育委員会と与那国町教育委員会に対し、9月8日に行われた教育委員全員による協


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