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沖縄の国会・首長・議員選挙の行方は? ①

2012-06-02 02:10:13 | 国際・政治

7月21日 琉球新報
参院選:沖縄選挙区開票速報 糸数氏3選確実に
 
第23回参院選は21日、即日開票され、沖縄選挙区は社大党委員長で現職の糸数慶子氏(65)が当選を確実にした。糸数氏は選挙戦で、憲法改正に反対する姿勢を鮮明にし、安倍政権の経済政策を批判。普天間飛行場の返還・移設問題では即時閉鎖などを訴え、自衛隊の与那国島配備についても周辺諸国との緊張を高めるとして反対するなど、沖縄選挙区での「平和の1議席の継続」を強く訴えていた。
 
糸数氏は1947年生まれ、読谷村出身。バスガイドなどを経て、92年の県議選で初当選し、3期務めた。2004年参院沖縄選挙区で初当選。06年の知事選に出馬し、落選。07年参院沖縄選挙区で返り咲きを果たした。 

7月21日 沖縄タイムス
社説:[きょう投開票]政策の違い見極めよう
      
第23回参議院選挙は21日、投開票される。国会のねじれ状態が解消されるかどうかが焦点だ。国会のねじれは解消された方がいいに決まっている、という考え方がある。確かにねじれ国会の下では法律の制定に時間がかかる。参院野党による問責決議戦術などによって国会運営が混乱し、「決められない政治」が続くことが多い。第1次安倍内閣も民主党政権下の野田内閣も「ねじれ国会」に苦しめられた。

ねじれ国会には暴走防止の肯定的な側面もある。憲法で衆院の優越が定められている現行制度の下で、参院に期待されているのは、衆院の行き過ぎや政権運営の問題点をチェックする機能である。与党が少数意見を踏みにじることがないよう監視し、政策本位の自由な議論を戦わす。参院が「良識の府」と呼ばれるのはそのような役割を期待されているからである。ねじれ国会の継続か解消か。その選択をするのは有権者である。

自民党、みんなの党、日本維新の会の「改憲勢力」が3分の2の議席を獲得することができるかどうかも重要な焦点だ。3党は憲法96条を変えて改憲の発議要件を緩和することを主張している。「改憲勢力」が3分の2を獲得することになれば、改憲の機運が急速に高まるのは確実だ。改憲の流れを推し進めるのか反対するのか。その選択をするのは有権者である。

安倍晋三首相は選挙期間中、経済政策「アベノミクス」の成果を訴え続け、原発やTPP(環太平洋連携協定)、社会保障の将来像など、国論を二分するテーマや国民に負担を強いる課題については、議論を避けた。米軍普天間飛行場の辺野古移設に関しても党中央の公約には「辺野古移設の推進」を明記しながら、那覇市での街頭演説では辺野古を口にしなかった。しかし、はっきりしているのは、選挙後、これらの「口に苦い政策」が間違いなく具体化するということである。痛みを伴うこれらの課題をどのように評価し、判断するか。その選択をするのは有権者である。

選挙戦を有利に戦ってきた自民党は、31の改選1人区で全勝する可能性がある、と伝えられている。全勝するかどうかを占う最大の焦点選挙区が沖縄選挙区だ。この現実をどう評価するか。その選択をするのもやはり有権者である。

今度の参院選にはもう一つ、大事な焦点がある。投票率の行方だ。自民党が大勝した昨年12月の衆院選の投票率は59・32%で、過去最低だった。「投票しても何も変わらない」「政治は民意を反映していない」との政治不信が底流にある。ネット選挙は、若者の投票行動にどう影響するのだろうか。若者がワクワクドキドキしながら投票所に足を向けるようになれば、政治は確実に変わる。

7月21日 沖縄タイムス
安倍政権に審判 参院選きょう投開票
      
第2次安倍内閣が発足してから初の大型国政選挙となる第23回参院選は21日、投開票される。参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」の行方が最大の焦点で、22日未明に大勢が判明する見通しだ。与野党は安倍晋三首相(自民党総裁)の経済政策「アベノミクス」や憲法改正、原発再稼働の是非などを対立軸に論戦を展開した。選挙結果は首相の政権運営に大きく影響する。自民、公明両党は非改選を含めた過半数(122議席)確保のため計63議席を勝敗ラインと位置付け、国会審議を主導できる「安定多数」(129議席)も視野に入れる。野党は、与党過半数の阻止を目指す。

沖縄政策の是非 焦点
沖縄選挙区(改選数1)では事実上の一騎打ちとなる、新人で自民党公認の安里政晃氏(45)=公明推薦、現職で社大党委員長の糸数慶子氏(65)=社民、共産、生活、みどり推薦=の両陣営は20日夕、那覇市であった打ち上げ式で「あと一票」と最後までの支持を訴えた。選挙人名簿登録者数約111万人(3日現在)の審判は、安倍政権の沖縄政策の是非について判断が下され、今後の県内政局にも大きな影響を与える。

両候補者は、米軍基地問題、経済振興、福祉や子育て、環太平洋連携協定(TPP)、尖閣問題、日台漁業協定、憲法改正などで互いの政策をぶつけ合う激しい選挙戦を展開してきた。両陣営は投票率を50~60%の間で予測し、当選ラインはともに30万票以上に設定。期日前投票者数は20日までに、前回比33・7%増の15万人を超えた。最後の訴えとなった20日は、両候補とも早朝から各地で街頭演説を展開。打ち上げ式では、ガンバロー三唱の気勢を上げた。安里氏は那覇市のむつみ橋でマイクを握り「子どもたちの未来にしっかりと責任を取る、そんな政治を行いたい。未来を沖縄をつくっていきたい」とかすれた声を振り絞った。糸数氏は那覇市おもろまちの打ち上げ式で「憲法を変え戦争の準備をしようとしている政権に沖縄からノーの声を上げよう」と訴え、拳を振りかざしながら必勝を誓った。また、沖縄選挙区に立候補している幸福実現党公認の新人で党県本部副代表の金城竜郎氏(49)、任意団体国際ガイドクラブ代表で新人の新島メリー氏(67)も各地で最後の演説をした。

沖縄の未来 引っ張る 安里政晃候補
まったくの無名の新人が、3月8日に自民党公認候補として指名いただいた。それ以来、どのような形で知名度を上げていくか、私が思っていることをどのように県民の皆さんにお伝えすればいいのか。まったく分からない手探りの状態でスタートした。でも最終日にこれだけたくさんの皆さんに力を頂き、どうにか現職の背中をつかむことができた。皆さんの思いに報いるのはただ一つ、あすの開票で私が勝ち上がること、それが皆さんへの最大の恩返しだ。

ウチナーンチュが日本の未来を引っ張っていくため、そして何よりも愛する子どもたちが勇気と誇り、夢と希望を持てる世界をつくるため、選挙区は安里、比例は公明党の河野義博さん。この子育て世代の2人に皆さんの夢を、沖縄の、子どもたちの未来を預けていただきたい。

平和守る議席 今こそ 糸数慶子候補
平和の一議席が今こそ求められている。暴走する安倍晋三内閣は憲法を変え、大事な子どもや孫を戦争に行かせる準備をしようとしている。憲法が古くなったから変えるなんてとんでもない。時の権力者が都合よく憲法を変えようとしていることに沖縄からノーという大事な選挙だ。なんとしても平和憲法を守りたい。

離島や農家を切り捨てるTPP、中小零細企業や庶民の暮らしを圧迫するアベノミクスや消費増税に反対する。辺野古の海にも、高江の森にも新しい基地は造らせない。私をもう一度当選させ、オスプレイ配備に反対するオール沖縄の建白書を無視し8月に再配備をする安倍首相に、国会の場で沖縄の声を聞いているかと追及させてほしい。県民は中身の違う公約を掲げつつ、安倍首相に寄りかかる候補者を信用しないだろう。私は県民の心を信じている。

金城竜郎候補 辺野古移設推す
私は沖縄の真実の声を国政へ届ける。まず普天間飛行場の辺野古移設を推進する。基地負担を最大限軽減するため移設先は辺野古しかない。消費税増税の断固阻止と高齢者の生涯現役政策で消費や雇用を増やし、経済成長を実現する。真実の声を託してほしい。

新島メリー候補 9条 世界遺産に
世界が認め誇れる憲法9条と沖縄のやんばるの森と海を世界遺産にすることにより自ずと人を殺さなくて済む世界が確実に作っていけると信じている。嘘と偽りだけの政治の世界にもう見切りを付けよう。私がそのモデルとなるべく国会に出ていくことを決意した。

7月21日 沖縄タイムス
那覇市議選、きょう投開票 議席確定あす未明
      
任期満了に伴う那覇市議会議員選挙が21日、投開票される。定数40議席に対し57人が立候補しており、4期目を迎える翁長雄志市長を支える与党が、引き続き安定多数を維持できるかが最大の焦点。

現在の市議会の与野党構成(欠員1)は与党27議席、野党8議席、中立4議席となっている。立候補者は現職36人、新人18人、元職3人。政党別公認は自民17人、公明7人、共産6人、民主3人、社民3人、社大2人、そうぞう2人。無所属17人のうち自民2人、社大1人が推薦を受けている。投票所は市内54カ所に設置され、投票時間は午前7時~午後8時まで。開票は午後9時10分から那覇市民体育館メーンアリーナで行われる。同選管によると、22日午前2時ごろに議席が確定する予定。前回選挙の1・6倍にあたる4万968人が期日前投票を済ませている。

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7月21日の八重山日報

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7月21日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より

7月20日 沖縄タイムス
社説:[オスプレイ]「追加配備」なぜ語らぬ
      
米海兵隊の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイが、参院選後に普天間飛行場に追加配備される。12機の機体を積み込んだ輸送船がすでに米カリフォルニアを出港し、31日までに山口県の岩国基地に到着する予定である。追加配備の日程に関し日本政府は、参院選の投開票日より早まった場合、選挙情勢に影響を与えかねないとして、米側に配慮を求めたという。姑息(こそく)としかいいようがない。選挙での争点化を避けるやり方は、普天間飛行場移設や憲法改正、環太平洋連携協定(TPP)などにも通じる。

追加配備に対し、仲井真弘多知事は、今月8、9日に外務省や防衛省、官邸を訪ね、追加配備の見直しと分散配置を要請した。県議会は11日、F22戦闘機の配備延長と併せて追加配備に抗議する決議と意見書を採択した。宜野湾市は佐喜真淳市長と市内の各団体代表が23日に、配備計画見直しを求める抗議声明文を発表する。これら地元の反発に対し、国の反応は鈍い。12日の記者会見で仲井真知事は「政府が現場の声に耳を傾けないのは理解できない。県民の意見が通らない」と不快感をあらわにした。各党の参院選公約でも共産党が「オスプレイ配備撤回」、社民党が「オスプレイの低空飛行訓練に反対」と掲げている程度だ。追加配備という沖縄へのさらなる「過重負担」は、全国的には全く関心を呼んでいない。

オスプレイの訓練飛行で日米は、住宅密集地域上空の回避や午後10時以降の飛行制限などを合意しているが、各地でこれを逸脱した飛行が相次いで確認されている。県は昨年、日米合意に違反する飛行が318件あったとして国に調査を求めている。伊江島補助飛行場に隣接する地区の住民らは、騒音被害への補償などを沖縄防衛局に要求。宜野座村城原区の住民らは低空飛行を撮影したDVDなどを在沖米国総領事館に提出し、同区上空での訓練中止を要請している。

飛行に伴う低周波音も住民不安を与えている。低周波音は、不快感を感じたり、睡眠が妨げられたりするなどの影響を及ぼすとされる。琉球大の渡嘉敷健准教授の調査では、普天間第二小学校や名護市の沖縄工業高等専門学校などで防衛省が示した基準値を超える低周波音が測定されている。

こうした過重負担の現実が選挙戦で全く取り上げられないのは、一体どうしたことか。オスプレイの訓練に悩まされる伊江村や宜野座村などの要求にこたえることなく、一方的に追加配備を沖縄に強いるのは、あまりにも理不尽だ。安倍晋三首相は16日、那覇市内での街頭演説で、沖縄の基地負担軽減に触れながら、オスプレイという言葉は口にしなかった。普天間やオスプレイはもはや争点ではない-という見方が与党の中に広がっているようだが、沖縄からすればとんでもない話だ。

7月20日 沖縄タイムス
参院選:当選ライン30万票以上 各陣営予測
      
参院選沖縄選挙区(改選数1)は投開票日となる21日に向け、事実上の一騎打ちとなっている新人で自民党公認の安里政晃氏(45)=公明推薦、現職で社大党委員長の糸数慶子氏(65)=社民、共産、生活、みどり推薦=の両陣営が激しい集票合戦を繰り広げている。各陣営は投票率を50~60%の間で予測。当選ラインはともに30万票以上に設定し、残り1日となった選挙戦でラストスパートをかける。

沖縄タイムスと朝日新聞が16、17の両日に実施した世論調査では選挙に「必ず行く」と答えた人の割合は76%で、「できれば行きたい」と答えた人は16%、計92%の人が何らかの投票意欲を示した。「行かない」と答えた人は6%だった。近年の参院選沖縄選挙区の投票率は2007年4月の補欠選で47・81%の過去最低となり、同年7月の本選は60・32%に上昇したが、10年7月の本選は52・44%に減少した。

今回の選挙で安里陣営は安倍晋三首相を筆頭に閣僚・党三役級が次々に沖縄入りしたことで投票率の上昇を期待するが、「各地域を回ると、今回は盛り上がりがいまひとつと感じる。前回同様か、少し下がるかもしれない」(陣営幹部)との声も挙がっており、陣営全体としては50~60%の間とみている。

糸数陣営は県内全有権者数の4分の1近くを占める那覇で市議選と初めてダブル選挙となるため投票率を押し上げるとの見方があり、幹部は「期待値は55~58%だ。だが、近年は減少傾向のため、実質は前回10年と同様52%程度になる可能性もある」としている。勝敗ラインは投票率にも左右されるが、安里陣営はおおむね25~30万票、糸数陣営は30~32万票と見込んでいる。

7月19日 沖縄タイムス
参院選情勢調査:糸数氏堅調 安里氏追う
      
21日投開票の参院選に向け、沖縄タイムス社は朝日新聞社と合同で16、17の両日、県内の有権者を対象に、電話で終盤情勢調査を実施した。その結果と本紙が取材で得た情報を加味して、総合的に情勢を探ったところ、沖縄選挙区(改選数1)は、現職で社大委員長の糸数慶子氏(65)=社民、共産、生活、みどり推薦=が堅調な戦いぶりでリードを保ち、新人で自民公認の安里政晃氏(45)=公明推薦=が懸命に追い上げている。任意団体国際ガイドクラブ代表で新人の新島メリー氏(67)、幸福実現党公認の新人で党県本部副代表の金城竜郎氏(49)は、引き離されている。ただ、調査時点では依然、約4割の人が態度を明らかにしておらず、情勢が変化する可能性がある。

支持政党別に見ると、糸数氏は所属する社大を固めたほか、推薦する社民、共産支持層の大半に浸透している。最も構成比の多い無党派層からも8割弱の支持を得て、戦いを有利に進めている。安里氏は公明支持層をおおむね固めたが、公認する自民支持層からの支持が7割強にとどまっている。一方、自民支持層の2割が糸数氏を支持している。

地域別では、衆院沖縄選挙区の区割りで見ると、1区、2区、3区で糸数氏が優位に戦いを進めており、保守地盤の4区は互角の情勢となった。糸数氏は特に2区で安里氏を引き離している。男女別では、糸数氏は女性からの支持で大きくリードしており、男性支持でも安里氏を若干、上回っている。安里氏は男性の40代で糸数氏の支持を上回り、男性の50代もほぼ並んでいる。職業別では、糸数氏は回答数が最も多い事務・技術職層の約6割に浸透。2番目に多い製造・サービス従事者層の約5割の支持を得た。安里氏は自営業者層から約5割の支持を受け、糸数氏を上回っている。選挙に必ず行くと答えた人の割合は76%で、できれば行きたいと答えた人は16%。92%の人が何らかの投票意欲を示した。行かないと答えた人は6%。

調査の方法
6日、17日の2日間、県内の有権者を対象に、コンピューターで無作為に作成した番号に電話をかける「朝日RDD」方式で実施した。有効回答は1047人。回答率は56%。

7月18日 沖縄タイムス
社説:[普天間問題]「辺野古」を争点化せよ
      
普天間問題は既に全国レベルの焦点ではなくなっているのではないか。参院選をめぐるメディアや世論の動向を見る限り、シビアな現実と向き合わざるを得ない。とはいえ、普天間問題は解決に向かうどころか、混迷の度を深めている。地元行政や沖縄世論の意向を無視し、政府は米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て作業を着々と進めている。仲井真弘多知事は今月12日の記者会見で、国の埋め立て申請の可否判断を下す時期について「年末から年明けと考えている」との認識を示した。

刻一刻、政府と沖縄の間で緊迫の度合いが増す局面に近づきつつある。にもかかわらず、沖縄が直面する「国策のゆがみ」に全国の関心が向かないのはなぜか。政府が辺野古移設を「既定路線」として扱い、争点化する機運を意図的に封じ込めているからではないか。自民党は参院選公約で「辺野古への移設を推進する」と明記。「県外移設」を掲げる沖縄県連と「ねじれ」が生じている。

公示前日の党首討論会で安倍晋三首相は、自民党本部と沖縄をはじめとする都道府県連の地域版公約の整合について「地域の取り組みを独自に示しているものだ。県連が希望として書いている」との見解を表明。同時に「党本部で出したものが党の公約だ」と断言した。これでは、はなから県連の公約を相手にしない意向を示したのも同然だろう。

安里政晃氏の支援のため16日に来県した安倍首相は、普天間飛行場の「一日も早い移設」を強調したが、「辺野古移設」には言及しなかった。自民党の石破茂幹事長が県内遊説した際も同様だった。記者団に真意を問われた石破氏は「(安里)候補の応援に来ている。まったく違うことを言ってどういうことが起こるのか。選挙のやり方はそういうもの」と述べた。この説明で納得する有権者はどれだけいるだろうか。

安里氏は「地元の理解が得られない移設案の実現は事実上不可能」と主張。政府に対し、県外移設を求める、と訴えている。与党の立場で県民意思の反映を促す意義は小さくない。とはいえ、自民党の西銘恒三郎衆院議員、島尻安伊子参院議員が「県外」の公約を相次いで翻している。安里氏には公約へのこだわりを貫く誠意も問われていることを認識してもらいたい。

安里氏と事実上の一騎打ちを展開する糸数慶子氏は「沖縄には海にも陸にもこれ以上の軍事基地は造らせない」と訴え、「最も危険な普天間飛行場は即時閉鎖し、速やかに返還すべきだ」と唱える。論は明快だ。が、政策実現に向け、国政でどう切り込んでいくのか。具体的な道筋を示してもらいたい。普天間飛行場には8月にもオスプレイが追加配備される見通しだ。政府と沖縄の意識の隔たりは深刻といえる。与野党を問わず、政府の暴走を断つ候補を見極めたい。有権者の感度も試されている。

7月17日 琉球新報
糸数氏先行、安里氏猛追 本紙・共同通信調査

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21日投開票の第23回参院選に向けて、琉球新報社は14日からの3日間、共同通信社と合同で県内有権者を対象に電話世論調査を実施した。その結果に本紙の取材を加味して情勢を探ると、沖縄選挙区(改選数1)は社大党委員長で現職の糸数慶子氏(65)=生活、共産、社民、みどり推薦=が先行し、自民党新人の安里政晃氏(45)=公明推薦=が激しく追い上げる展開が続いている。ただ、3割強が投票する人をまだ決めていないと回答しており、最終盤に向けてこれら浮動票の動向が当落に影響しそうだ。無所属新人の新島メリー氏(67)と幸福実現党新人の金城竜郎氏(49)は支持が広がっていない。
 
参院選への関心度は「大いにある」が31・6%、「少しはある」が42・8%。計74・4%が関心を示しており、2010年の前回参院選の同時期調査の75・8%とほぼ横ばい。関心が「あまりない」(20・3%)、「全くない」(4・6%)は合わせて24・9%だった。

沖縄選挙区で投票する人を「決めている」のは45・4%、「だいたい決めている」の18・9%と合わせて64・3%が既に投票行動を決めている。前回調査より9ポイント高い。「まだ決めていない」は33・7%だった。糸数氏は中部や先島で優位に戦いを進め、南部でも先行。社民、共産支持者の8割以上、民主支持者の6割をまとめる。安里氏は那覇や北部で支持を伸ばし、自民、公明支持者の7割を固めている。比例代表でどの候補や政党に投票するかを「決めている」のは34・8%、「だいたい決めている」が14・2%で49・0%が投票先を決定。「まだ決めていない」は46・6%、「分からない・無回答」が4・3%だった。

調査の方法
14~16日の3日間、全国の有権者を対象に、コンピューターで無作為に電話番号を発生させて電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。電話帳に番号を載せていない人も調査が可能で、性別、年代別など有権者の縮図に合わせた精度の高い調査ができる。無作為に発生させた番号のうち、実際に有権者がいる世帯にかかったのは5万7153件で、このうち4万4335人から回答を得た。県内では836人が回答した。

読み比べてみると、下の徳松信夫氏と八重洋一郎氏、どちらに沖縄の心と見識があるのか?

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7月18日の八重山毎日紙面 西表(竹富町)の方より

 

徳松信男氏は、今年度、教科用図書八重山採択地区協議会委員に学識者として選ばれた人物です。 

今後の八重山教科書の行方を見るには、この方の政治的姿勢に注目しましょう。

7月17日 八重山日報
参院選の争点を 八重山の視点で考える 徳松 信男
 
参院選が7月4日公示され、沖縄選挙区から4人の候補者が立候補している。参院選の争点に関し違いはあるが、八重山について重要なことは、特に八重山振興と尖閣諸島問題である。憲法改正問題は、領土問題やその他の経済問題にも大きな影響はあるが、ここでは尖閣問題を主として考えてみよう。 ひとついえることは、八重山で尖閣問題よりも普天間基地の問題ばかりを叫ぶことは適切ではない。なぜなら、石垣・普天間間は410kmほども離れており、普天間の基地に関する問題より、石垣市域の尖閣問題が、八重山では喫緊の課題である。

尖閣問題に対し、候補者4人のスタンスは異なる。安里氏と金城氏は尖閣の防衛力について訴えている。糸数氏は対話による解決を目指しており、政府は尖閣領有権問題の存在を認め、中国との東シナ海の海洋資源の共同利用の枠組み作りを訴えている。新島氏は、尖閣諸島はどこの国のものでもなく、領有権の主張は人間のおろかさそのものだという訴えである。しかし、尖閣諸島がどこの国にも属さないというのは領土に対する認識をまったく欠いており、政治家としての議論の対象にはならない。糸数氏は「領有権問題の存在を認め、東シナ海を平和の海として海洋資源を公正、かつ持続可能に共同利用する枠組みをつくり、中国との合意達成に努めるべきだ」という。現在中国が一方的に進めている日中中間線付近の東シナ海ガス田開発で日本側の抗議に耳を貸さない中国の姿勢を見ても「東シナ海を平和の海に」という主張はむなしく響く。 

尖閣の領有権問題で話し合いのテーブルに着くということは、中国政府の主張と同じである。つまり、中国との交渉により、日本は尖閣の一部を明け渡すことになりかねず、ひいては東シナ海における日中間の線引きに影響し、非常に多くの権益を失うことにつながるのは間違いない。交渉の妥結は譲歩と妥協の産物であるからだ。さらに、平和憲法を守れば中国は尖閣諸島に侵攻しないとは言っていない。それどことろか、1992年の領海法で、石垣市の一部である尖閣諸島を中国の領土と定めている。中国との合意達成に努めるというが、氏の在職中に尖閣問題に対し、中国との間に何らかの成果 の上がる働きかけをしたのか。平和解決を目指すとあるが、現実に領海侵入を繰り返す中国に対し、一度でも効果的な主張をしたことがあるのか、厳しく問われるべきであろう。防衛のスタンスのない話し合いに成果が期待できるわけがない。何より中国や台湾による尖閣領有の主張は1970年以降であることを忘れてはならない。

憲法改正も、尖閣問題と密接にリンクしている。なぜなら、現行の憲法体制下で、尖閣諸島を有効に守ることができるか否かという点で、安里・金城両氏は憲法改正を主張しているが、96条の改正については時期尚早および反対の姿勢をとっている。現憲法はできて67年にもなる。どの条文についても改正が時期尚早ということはありえない。突っ込んだ議論が必要である。

八重山の振興に対し、糸数氏は具体策がある。たとえば離島を結ぶ航空便の確保と支援を訴えている。また日台漁業協定の見直しやドクターヘリの拡充、産婦人科医や小児科医の確保に力を入れ、親の所得格差による子どもへの教育格差の是正も視野に入れている。安里氏のいう一括交付金を離島振興に活用するという訴えは八重山にとって大いに利点があるが、優先的に活用するための理論的根拠が必要である。金城氏は八重山の経済基盤を固めると訴えるが具体策は乏しい。 なお安里、金城両氏とも日台漁業協定をどうするかについてはあまり関心がないように見えるのは残念である。これは八重山の漁業者にとって死活的に重要な問題であるからである。

普天間基地移設に対しては、辺野古か県外かで意見が分かれている。現状では、本土の自治体に受け入れ可能性はほとんどなく、受け入れさせるための手段を考えねばならないであろう。尖閣の防衛に辺野古移設は必要であるか否かも議論すべきだろう。その場合、辺野古移設にすべきか普天間続行かが論点となる。 最後に、オスプレイの配備に対しては、安全性や性能に関しては統計資料を基に議論を戦わせ、尖閣諸島の有事の際にオスプレイ出動が必要であるか否かまであわせて議論を聞きたい。

 

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7月16日の八重山日報

7月14日 沖縄タイムス
那覇市議選告示 定数40に57人届け出
      
任期満了に伴う那覇市議会議員選挙が14日告示され、定数40議席をめぐり、現職36人、新人18人、元職3人の計57人が届け出た。投開票日は21日。これまで各陣営とも総決起大会や集会を開くなど支持者獲得に奔走しており、県都・那覇を舞台に激戦が展開される。

4期目を迎えた翁長市政を支える市議会与党が引き続き安定多数を維持するかどうかが最大の焦点。同日、届け出を終えた各候補者は、選対事務所などで出発式を開き、早速、街頭で道行く市民らに政策を訴えた。政党別の公認候補者は自民17人、公明7人、共産6人、民主3人、社民3人、社大2人、そうぞう2人。無所属17人のうち、自民2人、社大1人が推薦を受けている。3日時点の選挙人名簿登録者数は25万2586人(男12万48人、女13万2538人)。

7月13日 沖縄タイムス
首相16日来県 17日は先島訪問
      
自民党の安倍晋三総裁(首相)は、参院選沖縄選挙区に出馬した、党公認で新人の安里政晃氏(45)の応援で、16日に来県する方針を固めた。1泊し、17日は宮古、八重山地方を訪れる予定だ。16日は午後からうるま市、沖縄市、那覇市で演説し、夜は宜野湾市で開かれる安里陣営の大会に参加する。先島に関しては台風7号による被害の視察、対策と位置づけ、党総裁ではなく首相として訪問し、災害対応を訴える可能性がある。

首相が選挙応援で来県するのは、島尻安伊子氏が当選した、2007年4月の参院補選以来。今参院選で自民党は全国的に優位に戦いを進めているが、沖縄選挙区は1人区で最も苦戦していると判断。首相自らがテコ入れに乗り出し、経済政策や沖縄振興などを訴えることで選挙運動に弾みをつけたい考えだ。ただ、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設、日台漁業協定、環太平洋連携協定(TPP)参加問題などの政府方針には県内で反発もあり、安里陣営は「首相の来県にはメリット、デメリットの両方がある」(幹部)と慎重な見方もある。

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7月13日の沖縄タイムス

7月13日 琉球新報
社説:参院選 憲法(下)人類の到達点放棄するのか
 
基本的人権の尊重は日本国憲法の三原則の一つだが、自民党の改正憲法草案はこの点に関する重要な変更を含む。参院選はその変更の是非を問うことになろう。草案は何より天賦人権説を否定しているのが特徴だ。生命、自由、幸福追求といった基本的人権は、人類が生まれながらに持つ侵すことのできない権利という概念を、現行憲法は徹底して貫く。だが草案はその「天賦人権説に基づく規定を全面的に見直す」(自民党憲法改正草案Q&A)と宣言する。

13条の変更が典型だ。これら基本的人権の尊重について現行憲法は「公共の福祉」に反しない限り、という条件を掲げるが、草案はこれを「公益及び公の秩序」に反しない限り、と変更した。一見、似たものに見えるが、憲法学の解釈では全くの別物だ。「公共の福祉」であれば、個人の人権を制限できるのは別の個人の人権と衝突する場合のみ、だ。「公益・公の秩序」となれば「国や社会の利益・秩序が、個人の人権より大切」ということになる。
 
21条の、集会・結社など表現の自由も、現行憲法は一切の留保条件なしに保障する。だが草案では「公益・公の秩序」に反しない限り、という条件付きとなる。何が公益で、どんな行動が「秩序を乱す」と判断されるのか。決めるのは国であろう。すると、例えば基地移設反対の県民集会も取り締まりの対象で、政府を批判する論考を書けば投獄される。そんなことも合憲となりかねない。戦前の大日本帝国憲法も「日本臣民ハ法律ニ定メタル場合を除」くなどと、言論の自由に留保条件を付けていた。草案はそれと論理構造がうり二つである。
 
18条「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」も、草案は削除した。これにより徴兵制が可能になるとの解釈が一般的だ。拷問禁止の36条も「絶対に禁止する」から「絶対に」を削った。本則はともかく例外的には拷問も可能と解釈できる。草案は大規模災害や有事の際に内閣が法律と同じ効力の政令を制定できるとする。国会の審議なしに、だ。国民がそれに従う義務も定める。戦前の戒厳令と同じという批判に対し「Q&A」は否定するが、否定の根拠は示していない。天賦人権説という人類の到達点を放棄してよいのか。その是非を徹底して考えたい。

7月12日 琉球新報
社説:憲法(中)参院選 9条の意味 かみしめたい 

戦争の放棄、戦力の不保持を掲げる9条は、近隣諸国への侵略を含め国内外の戦闘でおびただしい数の市民が犠牲となった反省から生まれた。安倍晋三首相をはじめ、すべての政治家は、この歴史的事実と真摯(しんし)に向き合わなければならない。
 
自民党の改憲草案は、現行憲法9条2項の戦力不保持と交戦権否定のくだりを削除し「自衛権の発動を妨げない」と記述し、「国防軍」を保持するとしている。かつて吉田茂首相は国会で、戦争の多くは「自衛の名において戦われた」と指摘し、現行憲法は「自衛の名においても(戦争を)放棄している」と説明した。9条があったので日本は、朝鮮戦争、ベトナム戦争、湾岸戦争、アフガニスタン戦争に参加せず、犠牲者を出さず、他国の人の命を奪うこともなかった。しかし国防軍創設は、自衛という名の下に戦争ができる国になることを意味し、9条の精神を骨抜きにしてしまう。
 
自民党改憲草案の解説資料として作成した「Q&A」は「自衛権には集団的自衛権が含まれる」と明記している。集団的自衛権を行使すれば、米国が一方的に始めた戦争に日本が引きずり込まれてしまう。集団的自衛権は抑止力にならず、日本人がテロの標的になる可能性が高まる。同盟国を守ることは当然の義務だというが、国家の第一の役割は自国民の命と財産を守ることであることを忘れてはならない。
 
草案9条の2は「公の秩序」維持のためにも、国防軍が出動すると定める。すると政府が「公の秩序」を害すると判断すれば、市民運動を鎮圧することもあり得る。沖縄戦の教訓から導き出されたように、軍隊は国家を守る組織であり、決して住民を守らないことを指摘しておきたい。 
国防軍は規律を維持するために市民法とは別の軍法を持つ。機密保持を目的に、国民の知る権利が狭められる恐れもある。戦争や内乱など有事には緊急事態を宣言して内閣に権限を集中させると定めるから、人権保障の制限も可能だ。権力を縛るという憲法本来の役割を失い、国民主権を否定しかねない内容だ。参院選は9条がどうあるべきかを問う選挙でもある。日本の平和のために、その規定の意味を深く吟味し、かみしめたい。

7月11日 琉球新報
社説 参院選・憲法(上)96条改正は変則的だ

安倍晋三首相は1月の衆院本会議で「まずは(憲法)96条改正に取り組む」と明言した。だが今、議論は沈静化した感がある。しかし選挙後再び浮上するであろう。各党は改正の是非を堂々と争点に掲げ、正面から論じるべきだ。
 
96条は憲法改正の手続きを定める。衆参両院の総議員の3分の2以上の賛成、国民投票で過半数の賛成という2段階の手続きが必要と規定する。これに対し、自民党の憲法草案は「衆参両院の総議