最新記事は: 普天間の辺野古への移設を許すな!②
http://blog.goo.ne.jp/teyata/d/20130301
12月27日 琉球新報
辺野古移設を推進 菅官房長官と小野寺防衛相
安倍新内閣発足を受けた初閣議後の記者会見で、菅義偉官房長官と小野寺五典防衛相は27日未明、米軍普天間飛行場返還・移設問題で名護市辺野古移設を推進する姿勢を明確にした。
安倍晋三首相が21日に「名護市辺野古へ移設する方向で、地元の理解を得るため努力する」と述べたことに関し、菅氏は「総理の言われた通り、できる限り県民に理解してもらう方向で進めたい」と述べ、内閣の考えとして辺野古移設を進める方針を明確にした。
一方、普天間代替基地建設に向けた辺野古沖の埋め立て承認申請を行うかについて、菅氏は「できるだけ地元の皆さんの理解を得られる努力をしながら、考えていきたい」と述べ、県や名護市、県民の理解を得ることに努めつつ、申請時期を模索する姿勢を示した。小野寺五典新防衛相は普天間飛行場の辺野古移設について、「普天間の固定化は絶対にあってはならない。抑止力を維持し、沖縄の皆さんが早期の負担軽減が実感できるよう努力し、丁寧に説明する」と述べた。埋め立て申請については「時期は決まっていない」とした。
12月26日 沖縄タイムス
自然保護協会、アセス報告書「問題多い」
日本自然保護協会など11団体は25日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)評価書の補正のための有識者研究会が出した最終報告書について、「科学的・論理的に問題ある部分が多い」と指摘する意見書を防衛省に提出した。
同日、衆議院議員会館で会見した同協会理学博士(海洋環境学)の安部真理子さんらは、埋め立て土砂の調達先に具体的な明記がないことや、サンゴ類の台風接近時の影響の詳細が別添で示されていない点などを指摘。サンゴや海草の種類を考慮せず被度の確保のみの視点に偏っており、科学性に欠けるとした。
同研究会が最終報告を出した11日の翌週の18日に沖縄防衛局が補正評価書を県に提出した点についても「同時進行で行われたものとみられ、独立した機関としては機能していない」と提出の経緯にも疑問を呈した。沖縄防衛局が出した補正評価書にも同様の問題点があるとみており、あらためて意見を出すことを検討している。
12月22日 琉球新報
普天間移設 安倍氏「辺野古に」、仲井真知事「県外変えない」
自民党の安倍晋三総裁は21日、山口県庁で記者会見し、米軍普天間飛行場移設問題に関し「名護市辺野古に移設する方向で地元の理解を得るため努力したい」と述べ、日米合意に沿った県内移設実現を目指す考えを示した。自民党は衆院選公約で移設先を明記せず、県内の同党候補は全員が「県外移設」を主張して小選挙区か比例代表で当選。衆院選直後の「県内」表明は、反発を招きそうだ。
安倍氏は会見で、かつての安倍政権でも辺野古移設を推進した経緯を説明。「民主党政権の迷走で、沖縄の皆さんの気持ちが裏切られた」と強調した。同時に「沖縄の負担軽減と抑止力の維持という中で、各地域にも(負担を)お願いし米軍再編を進めていく」と述べ、基地負担の分かち合いを訴えた。
普天間飛行場に関して自民党は衆院選向けの政策集で「固定化に対する沖縄の懸念を払拭(ふっしょく)し、新たな負担を被る関係自治体に特別な配慮・施策を講じる」としたものの、具体的な移設先には触れなかった。石破茂幹事長はこれに関連して20日、仲井真弘多県知事との会談で「党県連や県とよく相談して進めたい」と地元の意向を踏まえて対応する方針を強調した。
安倍総裁の発言について仲井真知事は「(県外移設を主張する)自民党県連とも違うのに、県連と調整もしないでどうやって地元の理解を得るのか」と疑問を呈し、「私は、辺野古は事実上不可能だから県外移設を求めるという主張は変えない。私は県民党だから」と述べ、県外移設要求の姿勢は変えないと明言した。
自民党県連の照屋守之幹事長は「まだ政権に就かない段階で、そのような発言をするのは理解ができない」「沖縄の実情が分かっていないのではないか」と述べ、安倍総裁の発言に強い不快感を示した。照屋幹事長は衆院選の結果に触れ「(県内では)自民候補全員が、普天間の県外移設の実現を県民に約束して、当選することができた。辺野古移設に反対し、県外移設を求めるのは沖縄の民意だ」と指摘。「総裁は沖縄の実情がよく分からないのではないか。県連は、県外移設実現のため、県選出・出身国会議員と連携を取り、党本部に説明、協議をして再検討してもらう」と話した。
12月22日 沖縄タイムス
県関係議員、困惑や反発 安倍氏発言
自民党の安倍晋三総裁の発言に、県関係の自民党国会議員からは「党内論議もしていないのに」と困惑や懸念の声が上がった。他党の議員は一斉に反発するとともに、県関係の自民議員の対応を注視するとした。
国場幸之助衆院議員(自民)は「新たに沖縄から選出された自民の4氏と意見交換もしていない段階であり、理解できない。沖縄側との合意形成が遠のくばかりだ」と懸念した。
照屋寛徳衆院議員(社民)は「驚きはない。化けの皮がはがれたかという感じだ」と一蹴。「自民は政権公約で移設先をあいまいにしたが、辺野古で間違いない。強引に進めても県民の激しい反撃に遭う」と警告した。
比嘉奈津美衆院議員(自民)は「私は県外移設を掲げて選挙戦を勝ち抜いたし、党本部に県外を訴えていく気持ちは変わらない。党内で議論して方針を定めてほしい」と要望した。
西銘恒三郎衆院議員(自民)は「党内での話し合いもしておらず、総裁が発言した状況もよく分からないのでコメントは差し控えたい」と述べるにとどめた。
赤嶺政賢衆院議員(共産)は「辺野古新基地建設はダメだという沖縄の総意を何ら斟酌(しんしゃく)せず、既定路線のように押しつけるのは、米国におもねる最低の外交だ」と批判した。
宮崎政久衆院議員(自民)は「総裁の発言を直接聞いていないが、自分は県外移設を公約に掲げて負託を受けた。相手が誰であろうが県民の意思を伝えて実現する」と決意を示した。
玉城デニー衆院議員(未来)は「県選出の自民議員の対応に県民が注目するだろう。県外を訴えた政治信条を貫けるかどうか。党本部とねじれている課題をあらためて露呈した」と述べた。
島尻安伊子参院議員(自民)は「まだ党内議論はしていない。県選出の自民議員は県外移設を訴えており、沖縄の立場を党内で主張する」と自民の衆院4氏と連携する考えを強調した。
山内徳信参院議員(社民)は「沖縄で当選した自民議員が県外と言っている中、辺野古移設を進めるのは沖縄差別。体を張って阻止する」と怒りを示した。
糸数慶子参院議員(無所属)は「安倍氏はまだ首相になってもおらず、とんでもない」と憤る。「来年の訪米で辺野古移設を約束してくるつもりなんだろう」と先行きを案じた。
12月22日 沖縄タイムス
普天間、辺野古に 安倍氏が表明
自民党の安倍晋三総裁は21日、山口県庁で記者会見し、米軍普天間飛行場の移設問題に関し「名護市辺野古に移設する方向で地元の理解を得るため努力したい」と述べ、日米合意に沿った県内移設実現を目指す考えを示した。衆院選挙期間中に辺野古移設への具体的な発言はなく、言及したのは選挙後初めて。これに対して県は、辺野古移設へ向けた埋め立て承認申請の可能性が現実味を帯びてきたことに、警戒心を強めている。自民党は衆院選公約で普天間飛行場の移設先を明記せず、県内の同党候補は4人全員が県外・国外移設を訴えて当選した。衆院選直後の「県内」表明に、地元の反発は必至だ。
安倍氏は、かつての自身の政権でも辺野古移設を推進した経緯を説明。「民主党政権の迷走で、沖縄の皆さんの気持ちが裏切られた」と強調した。その上で「まだ政権に戻ってないので詳細なことは分からないが、基本的に辺野古に移設していくという方向で地元の理解を得るために努力していきたい」と述べた。
県の又吉進知事公室長は「従来の基本姿勢を述べただけで驚くに当たらない」と冷静に受け止めた。ただ、次期首相が確実の同氏があらためて辺野古を強調したことで、早期の埋め立て申請の可能性が現実味を帯びてきたことには「(仮に)そんな乱暴なことをしたら、県民の反発を招き移設計画自体が終わるだろう」と強く反発。「知事の県外移設方針に変わりはない。安倍氏も首相としての手腕と度量を県民のために発揮してほしい」と県外移設に取り組むよう求めた。
普天間飛行場に関して、自民党は衆院選向けの政策集で「固定化に対する沖縄の懸念を払拭(ふっしょく)し、新たな負担を被る関係自治体に特別な配慮・施策を講じる」としたものの、具体的な移設先には触れなかった。
石破茂幹事長はこれに関連して20日、仲井真弘多知事との会談で「党県連や県とよく相談して進めたい」と地元の意向を踏まえて対応する方針を強調。仲井真知事は21日の会見で「滑走路が既にある飛行場を見つけて、そこへ持って行くことが当然」と述べていた。
12月22日の沖縄タイムス
12月22日 沖縄タイムス
名護、憤りと落胆 市民投票15年の日に
自民党の安倍晋三総裁が「辺野古移設」の方針を示した21日は、くしくも普天間飛行場の代替施設建設の是非を問う名護市民投票から15年の節目だった。「反対」の投票結果は政治的に覆され、市民の対立を生んだ。移設に反対する市長の存在、県外移設を求める県民世論の高まりをよそに、次期首相から再び発せられた「辺野古」。当時、市民投票に関わった人の中には憤りや落胆、苦悩が交錯する。
1997年12月21日、海上ヘリ基地建設の是非を問う市民投票は「反対」が過半数を占めた。しかし、当時の比嘉鉄也市長は投票結果に反して建設容認を表明し、辞任した。名護市辺野古、豊原、久志で移設反対の住民でつくる「命を守る会」代表の西川征夫さん(68)は「この15年、地元は移設の是非をめぐりぎくしゃくし、国策に振り回されてきた」と話す。
当時、ヘリ基地反対協議会の代表だった宮城康博さん(53)は、「県外」を公約に掲げて当選した県選出議員に「住民に約束したことを覆すことはやめて」とくぎを刺す。ヘリポートいらない市民の会」を立ち上げた輿石正さん(66)は「今回の発言は、日米同盟維持のメッセージ、次の名護市長選への挑戦状」と受け止める。だが「15年かけてノーと言える市長が出てきた。孤立させないよう支えたい」と決意を固める。
条件付きで移設を容認する辺野古区代替施設安全協議会の許田正武代表理事は、賛否で揺れ続けてきた土地で「国は理解を得た上で進めてほしい」と思い続けてきた。民主党政権での混乱で容認のハードルは高くなったとし、「首相は沖縄に何度も足を運んで誠意を見せ、説得し、納得させる必要がある」と訴えた。
よく見えてきた! 普天間の代替どころか、辺野古の施設は日米両軍が使用。
12月21日の沖縄タイムス
仲井真知事、埋め立て申請「地元理解で判断」と。 埋め立て許可を出すためにも名護市長選挙では反対派に勝たねばと言っているに等しい。
12月21日 沖縄タイムス
知事、埋め立て申請「地元理解で判断」
仲井真弘多知事は21日午前の定例記者会見で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた埋め立て承認申請について「公有水面埋め立て法の要件を満たしているかで判断する」とし、要件の中には「(移設の是非をめぐる)地元の理解は当然入っている」との認識を示した。
「地元の理解」の意味については「第一に名護市民の考えだろう」とした上で、「(県外・国外移設を求めた)2年前の県民大会に全市町村が集まったので、県全体の意向が『地元の理解』を総括している」とも述べた。
2014年1月にも予定される名護市長選の結果を埋め立て承認申請の判断材料にするか―との問いに対し「今のところ視野に入れていない」と言及。「防衛省がいつ申請を出すのか、出さないのか分からない」と述べた。
12月21日 沖縄タイムス
辺野古埋め立て申請、防衛省が業務委託
防衛省が、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う公有水面埋め立て承認申請に必要な設計などの資料作成業務を約1400万円で民間業者に委託していたことが20日、分かった。委託期間は今年9月4日~来年3月29日まで。業者側は資料をまだ同省へ提出しておらず、申請に向けた準備は整っていないが、同省は環境影響評価(アセスメント)の評価書を補正していた早い段階から申請を見据えていたことになる。
防衛省筋は「(委託期限の)3月より前に資料が作成される場合もある」としている。武田博史沖縄防衛局長は20日の定例記者会見で申請時期に関し「相応の作業を要するものがある。年内提出は物理的に難しい」と述べた。一方、武田氏は辺野古移設に伴うアセスにかかった総額が63億600万円に上ることを明らかにした。
2006年度から始まったアセスは辺野古周辺での現況調査に約33億円、08年度に追加調査で約20億円を費やしたが、移設先見直しに着手した民主党政権誕生後はアセス手続きが一時中断され10、11両年度は支出ゼロだった。そのほか07年度約6億6千万円、09年度約1億3千万円、12年度約1億6千万円武田氏は県への埋め立て申請方法について、補正後のアセス評価書と同様、必要書類を担当部署へ手渡す考えを示した。補正評価書は21日にもホームページに掲載するとした。
12月21日 琉球新報
辺野古埋め立て、年内申請は困難
沖縄防衛局の武田博史局長は20日の定例記者懇談会で、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた、県への埋め立て承認申請について「新政権の判断の下、対応を行っていく」との方針を示した。年内の提出については「物理的に困難」と述べた。移設に向けた環境影響評価(アセスメント)で、本年度までにかかった費用は約63億600万円と説明した。
公有水面埋立法に基づく埋め立て承認申請について、武田局長は、準備を進めているが設計概要や図書の作成などに関する作業が残っているとし「終了のめどは現時点で決まっていない」とした。同アセスの補正評価書の公告・縦覧は嘉手納町の防衛局や同局那覇防衛事務所などで来週始まる見込み。また、21日にも同局のホームページに掲載される。
示されたアセスの費用は作業開始の2006年度から本年度までの環境影響評価業務や環境現況調査、資料作成業務などの費用としている。ただ、同アセス関連事業は86億円超に上るとの指摘もあり、防衛局が、同アセスに関連するとみなさない事業を除いている可能性もある。同アセス関連事業をめぐっては今年1月、受注企業へ防衛省OBが相次いで再就職していたことが判明するなど、天下りの問題が表面化した。入札で「プロポーザル方式」や随意契約を採り、落札率は高止まりしている。
12月20日 沖縄タイムス
社説:[アセス補正書提出]これでは制度が揺らぐ
これがまともなアセスといえるだろうか。問題だらけ不備だらけのアセスが堂々とまかり通り、それに基づいて埋め立て申請が行われるなら、日本の環境影響評価(アセスメント)制度に前例のない汚点を残すことになるだろう。
沖縄防衛局は18日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向け、昨年、県に提出した環境アセス評価書を手直しした補正文書を県に提出した。2007年8月から始まったアセス手続きは、補正評価書の公告・縦覧(1カ月)を経て終了することになる。
手続き上の焦点は、国がいつ、どのような形で、辺野古沖の公有水面埋め立てを申請するかという点に移るが、評価書の補正によって問題点がすべてクリアされたわけではない。補正評価書によると、オスプレイを含む航空機騒音の予測値が全15地点で補正前の数値を上回った。「ウミガメの上陸に適さない」としていたキャンプ・シュワブ地区の海岸は「毎年上陸、産卵が見られる」と修正している。「影響が小さい」「影響がほとんどない」などと指摘していたあの評価書は一体、何だったのか。
埋め立て申請をうんぬんする前に新政権がやるべきことは、アセスの全過程をもう一度検証し、問題点を洗い直すこと。米国家環境政策法に基づいて実施される米国でのアセスと今回の国内法に基づくアセスとを比較検討し、「二重基準」の実態を明らかにすること、である。
アセス手続きは、方法書-準備書-評価書の手順を踏むが、今回、沖縄防衛局は、アセスの最終段階である評価書の中に初めて、オスプレイ配備の事実を盛り込んだ。オスプレイの基地を造るというのに、オスプレイの配備を「秘匿」していたわけだ。北部訓練場での訓練排気が動植物に与える影響についても評価書では、まったく予測していなかった。飛行場の訓練計画や飛行ルートについても「米軍の運用につき把握できない」との理由で、記述されていなかった。アセス評価書に対し、仲井真弘多知事が提出した疑問点は579件に及ぶ。知事意見を検討するため防衛省が設置した有識者検討会も「抽象的表現が多い」として見直しを求める最終報告書を防衛省に提出した。知事意見や検討会の最終報告書をもとに評価書を補正したのが今回提出した文書である。
補正評価書は、代替施設建設に伴うジュゴンの絶滅リスクを依然として低く見積もっている。低周波音についても調査していない。補正後も依然として問題点は多い。大規模な米軍施設建設を目的とした辺野古アセスは、一般公共事業のアセスと違って、軍事的要請が優先される上に、基地の機密性の壁に阻まれ、アセス制度の基礎となる情報公開も不十分だった。オスプレイ配備を「秘匿」して住民を欺くようなアセスが果たしてアセスといえるのか。
12月20日 琉球新報
社説:辺野古補正評価書 政治的正当性欠いている
行政機関とは思えない姑息(こそく)さが際立つ。国民に不信任を突き付けられたばかりの政権による行為の正当性に重大な疑念が浮かぶ。米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向け、沖縄防衛局が突如、補正した環境影響評価書を県に提出した。衆院選の2日後、電話で突然連絡し、5分後に約20人の防衛局職員が県の担当課に押し寄せて評価書を置いていった。今後は、仲井真弘多知事に対する公有水面の埋め立て申請の提出に焦点は移る。沖縄の民意は県内移設拒否で一層強固になっており、翻意させることは困難だ。
仲井真知事は政権交代が不可避だった衆院選をにらみ、自民党を主軸とする政権に交代した後も県外移設要求を転換させることはないと再三言い切ってきた。提出が既成事実化され、移設をごり押しする根拠とすることは許されない。自公連立政権が辺野古移設を推進すれば、沖縄の民意と正面衝突する局面が来るだろう。仲井真知事は「どうして民主党政権が今の段階で送ってくるのか」と疑念を呈したが、提出の問題性を端的に突いている。
衆院選の自民党大勝を受けた安倍新政権は26日に発足する。自民党の政権公約は、県外移設を求める沖縄の候補者に配慮し、辺野古移設に一切言及していなかった。沖縄で当選した自民4氏の意向も踏まえ、新政権の軸足を定める協議は尽くされていない。政権交代を待たず、民主党政権が駆け込みで補正評価書を提出することは、法的に許容されても、政治的正当性が著しく欠けている。
森本敏防衛相と気脈を通じ、自民党内に現政権下で厄介な手続きを済ませてほしいという深謀があるなら、民意無視という点において民主党政権と地続きになる。補正評価書は、地元の反発を呼んだ「(移設に際し)環境保全上、特段の支障はない」との文言を削除し、「最大限の環境保全措置を講じる」との表記に改めた。
仲井真知事が「環境保全は不可能」と指摘したことを踏まえ、環境保全に支障はないと高をくくることができなくなったことの表れだ。だが、環境を守る実効性は総じて担保されておらず、新基地建設にお墨付きを与える“出来レース”に変わりはない。沖縄社会に背を向けた補正評価書は、政治、環境保全の両面で信頼に足るものではない。
12月20日 沖縄タイムス
「一から出直せ」辺野古アセス補正に批判続々
航空機騒音 補正前後の比較
米軍普天間飛行場の移設に向け、沖縄防衛局が突然、県などに提出した環境影響評価(アセスメント)の補正評価書。一夜明けた19日になって、新たな環境保全策など内容の一部を説明した。専門家は「移設ありきでは保全はない」と断じ、「一から出直しを」と求めた。
「移植先の環境かく乱」サンゴ
評価書は、代替施設建設工事でサンゴの生息域約7ヘクタールが埋められるとしていた。今回、過去の白化現象まではサンゴが生息していた海域を、回復の可能性がある海域(生息ポテンシャル域)として新たに計算し、約30ヘクタールが消失するとした。
埋められるサンゴの対策としては、初めて移植を挙げた。日本自然保護協会の理学博士(海洋環境学)、安部真理子さんは「移植先の魚類や貝類の事情も考えず、迷惑な話。環境がかく乱される可能性が大きい。サンゴしか目に入っていないのではないか」と疑問を投げ掛ける。
代替施設の護岸に凸凹を付けてサンゴを着生しやすくする、海水の汚濁防止幕を追加するなどの対策についても、「やらないよりまし、という程度のお粗末なもので保全措置とは呼べない。直接埋められないサンゴにも影響が出るだろう」と懸念した。
藻場造成「技術まだ」海草類
辺野古沖には、県内最大規模の海草藻場が広がるが、埋め立てで消失する面積は海草で約78ヘクタール。評価書が示した保全策は、知事意見で「不確実性の程度が大きい」と指摘されていた。補正では、環境保全策について、海草類が覆っている面積が少ない場所や、穏やかな海域へ移植し、藻場を造成するなど、できる限り実施するとしている。移植では、泡瀬干潟の埋め立て事業に伴う実績を参考にすることも挙げた。
泡瀬干潟を守る連絡会の小橋川共男共同代表は「移植した新たな場所で根を伸ばし、拡大することはなかった」と泡瀬の例を指摘。「海草の移植技術は確立されておらず、移植は成功しない」と強調また、生育状況の事後モニタリングの結果を保全策に反映するとしているが、「単に心証をよくしようとしているだけのごまかしだ」と批判した。
辺野古漁港W値71・3騒音
オスプレイを含めた航空機騒音は、場周経路(飛行ルート)から外れる飛行のばらつきや、ホバリング(空中停止)やエンジン調整音も新たに反映させて再予測した結果、全15測定地点で補正前のW値(うるささ指数)を上回った。最も高いのは辺野古漁港の71・3で補正前より2・1上昇。国は環境基準で住居専用地域は70以下と定めているが、防衛局は「漁港に集落はなく、問題はない」とした。ほかの14地点は70以下だった。
ホバリングは1日当たりの回数0・85回、継続時間は300秒で計算。米側がデータを提供しない分は自衛隊機で換算。エンジン調整音は普天間飛行場での実測値を用い、継続時間は約60秒と設定した。一方、離陸を伴わないエンジンテスト音は、普天間で頻繁に確認されているが、補正で反映しなかった。防衛省によると、W値の算出法を定めた同省の通達では考慮しなくてもよいと解釈されるという。
毎年上陸「矛盾だ」ウミガメ
辺野古崎周辺では、ウミガメの上陸、産卵、ふ化が確認されている。にもかかわらず評価書は「上陸には好適ではない」と判断。知事意見は異議を唱えたが、今回も結論は変わらなかった。ただ、2009~11年度の調査で、毎年上陸や産卵を確認したことは記述した。調査内容はすでに報道で明らかになっており、評価書の段階で盛り込まなかった防衛局の対応に批判が集まっていた。
世界自然保護基金(WWF)ジャパン南西諸島担当の権田雅之さんは「『上陸に好適ではない』と言いながら毎年確認され、矛盾した内容」と指摘する。代わりの産卵場所として砂浜を整備することも初めて表明された。防衛局は「具体的にはこれから」と説明する。権田さんは「急ぎすぎで、有効かどうか非常に不安。いま一度立ち戻って、慎重に工事計画や規模、内容を検討すべきだ」と求めた。
工事音で絶滅危惧ジュゴン
ジュゴンについては、知事意見に応え、統計学的に絶滅の可能性を探った。100年後の確率を算出し、代替施設建設の有無で「有意差はない」と結論付けた。ただ、計算の基になったのは、えさになる海草藻場の面積だけ。ジュゴンネットワーク沖縄の細川太郎事務局次長は「ジュゴンは漁業の圧力や人間の活動が多い所にはすめないからこそ、生息地が限られている。えさ場があるから大丈夫というのは不誠実であり、机上の議論だ」と批判した。
鳴き声を探知して工事船との衝突を避ける「ジュゴン監視・警戒システム」の導入も示されたが、細川さんは「人間中心の発想」と退ける。「確かなことは、ジュゴンが名護市東海岸を利用していて、工事の音などで追い出されれば絶滅する危険があることだ」と訴えた。
12月20日 琉球新報
辺野古移設アセス 県、補正書受理
県は19日、沖縄防衛局が提出していた、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)を補正した評価書を受理した。18日の提出を受けて形式審査を終えた。防衛局は同日、補正評価書について担当者らが報道陣に説明した。評価書の総合評価にあった「事業実施に際し、環境保全上、特段の支障は生じない」との表現を削除、579件に上る知事意見を勘案した上で「事業者の実行可能な範囲で最大限の環境保全措置を講じる」としているが、実効性は不透明だ。公告・縦覧は場所を調整中だと説明、県知事への埋め立て承認申請の時期については言及しなかった。
全ての知事意見に事業者の対応方法が述べられたが、飛行場運用では米軍に裁量が委ねられ、騒音などの住民負担軽減への保全措置ははっきりしない。埋め立て土砂用に「沖縄、九州、瀬戸内から調達する」とした、砕石場で生じる岩ずり約1640万立方メートルについては具体的な採取地や土量などを明確にしなかった。運搬方法について担当者は「全て海域から輸送する」と説明した。
補正の概要からは、防衛省の2009年度~11年度の環境現況調査により、埋め立て区域とその周辺で絶滅危惧種のウミガメの上陸・産卵が毎年確認されたことが明らかになった。また、絶滅危惧種ジュゴンの野生絶滅のリスクに対する事業実施による影響はほとんどないと結論付けた。環境保全措置としては、「砂浜消失の代償として、他の砂浜におけるウミガメ類の上陸・産卵に適した環境整備」「海草藻場消失の代償として、移植や生育基盤の環境改善」「工事用船舶との衝突防止のためのジュゴン監視・警戒システムの構築」「消失するサンゴの移植」などを盛り込んだ。航空機騒音は、新たに辺野古漁港でうるささ指数(W値)が71・3に達し、環境基準を超えた。W値は全15地点で評価書を上回った。
米軍機の飛行経路については代替基地から別の基地への施設間移動についても予測試算したが、米軍から正確な飛行経路を聞いた上での試算ではないことを明らかにした。航空機の運航に伴い発生する低周波音については、オスプレイやCH53大型輸送ヘリに加え、AH1攻撃ヘリとUH1汎用(はんよう)ヘリの飛行予測を行い、両機種ともに予測地点で基準値(閾値(いきち))を上回ることが明らかになった。
12月20日 沖縄タイムス
辺野古アセス補正「環境支障なし」削除、県は補正評価書を受理
沖縄防衛局は19日、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の補正後の評価書について記者団に説明した。事業実施の総合評価で「環境保全上、特段の支障はない」とした補正前の文言を削除し、「環境保全への配慮は適正」という表現に変えた。代替施設建設が環境に影響を与えることを事実上認めた。有識者研究会(中村由行座長)の提言を踏まえた対応。県は19日、補正評価書を形式審査し、内容に不備がなかったとして18日付で受理した。
騒音に対する評価では、離陸を伴わない地上での「エンジンテスト」の音は予測に反映していないことが判明した。普天間飛行場では長時間鳴り響くのが再三確認されているが、防衛局は騒音値を出す計算式にエンジンテストは含まれないとした。再予測の結果、全15測定地点で補正前のW値(うるささ指数)を上回った。基地間移動の騒音ではオスプレイの飛行を反映。1日当たり21・24回、高度千フィートで飛行する設定で67・3デシベルになると初めて盛り込んだ。
代替施設建設中や完成後の一定期間、環境への影響を把握するため、県の指針に基づく「事後調査」は補正前の44項目から60項目に増加。事業者が自主的に行う「環境監視調査」は五つ増えて12項目とし、監視体制を強化する。
環境保全策は新たに、(1)ジュゴンの鳴き声を探知する監視・警戒システムを構築(2)消失するサンゴの移植(3)ウミガメの上陸・産卵用に代わりの砂浜を整備-などを追加した。低周波音の影響は明確な環境基準がなく、個人差や建物の状態による違い、科学的に未知な側面があると引き続き評価は示さず、「予測の不確実性を考慮し、法令に基づく事後調査を実施する」と付け加えた。防衛局は「厳しい知事意見を踏まえ、できる限り解析や保全策を追加した」と述べた。
12月19日 琉球新報
政権交代前に強行、補正評価書提出、防衛相、発言一変
沖縄防衛局が18日、米軍普天間飛行場の県内移設に向けた環境影響評価(アセスメント)の補正書を、県の虚を突く形で提出した。森本敏防衛相は同日午前中の記者会見で「まだ(補正の)作業中で見通しはつかない」と述べ、県への提出は先との見通しを示していた。“不意打ち”を食らわす提出に加え、衆院選で惨敗し、国民から不信任を突き付けられた民主党政権の駆け込み提出に「どさくさに紛れた提出だ」と、県民から怒りの声が上がる。普天間飛行場への垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの強行配備に続き、突然の評価書劇に県と政府との溝は広がる一方だ。
5分前に連絡
午後3時30分すぎ、沖縄防衛局の職員約20人が、約7千ページに上る補正された評価書24部を段ボールごと、県庁に運び込んだ。県に提出を伝える電話があったのはわずか5分前だった。「混乱を避けるためだ」防衛省幹部はこう説明する。昨年末に評価書を県に提出した際、県庁入り口に陣取った移設反対派の住民らの阻止行動で、提出を阻まれた混乱を挙げた。
防衛省は有識者が知事意見を踏まえて補正すべき点を提言した11日の最終報告提出を受け、先週末までに補正された評価書の印刷を終え、提出準備を整え、時期をうかがっていた。政府関係者は「今週、提出するとは聞いていた。だが、今日出すことを初めから、決めていたのではなく