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★ ヤマネコでもわかる「竹富町教育委員会是正要求問題」 井口博弁護士が、わかりやすく書きました。

2014-03-17 02:21:51 | インポート

 

井口博弁護士が、わかりやすく書きました:

ヤマネコでもわかる「竹富町教育委員会是正要求問題」(その1)

Q 10月18日、下村文科大臣は県教委に対して、竹富町教委への是正要求をするよう指示しました。どうしてこの問題が出てきたのですか。   

平成23年8月23日、八重山採択地区協議会が中学公民の教科書に育鵬社版を選定し答申したのですが、文科省は、この答申が教科書無償措置法にいう協議であると強引に解釈し、竹富町教委に対し育鵬社版を採択させようとして行政的措置をとったのです。

Q なぜ協議会は育鵬社版を答申したのですか。   

協議会の前に現場の先生である調査員から、育鵬社版は、沖縄の米軍基地に関する記述が全くない、自衛隊による軍事抑止力を強調し、憲法9条を改正する方向へ誘導するような内容で、あたかも徴兵制が当然のような内容である、などきわめて問題点が多いとの報告があったのですが、育鵬社版を支持する石垣市の玉津教育長らが強引に規約改正や委員の差し替えを 行った結果、このような現場の先生の意見を無視して、議論のないまま育鵬社版が選定され答
申されたのです。

Q 協議会で玉津教育長はどういうことをしたのですか。   

自民党の義家議員(当時)からのFAXを示すなどして強引に協議を進めました。

Q そんなことをするのは教育委員の政治的中立に違反しないのですか。   

明らかに違反します。

Q 玉津教育長はどうして育鵬社版を強引に選定しようとしたのですか。

8月の協議会のあと、玉津教育長が育鵬社版を支持する人物と座談会をしていることからして、玉津教育長が育鵬社版を支持する勢力とつながっていたのではないかと疑われています。

Q 竹富町教委は答申にしたがわず、東京書籍版を採択したということですが、そのようなことはできるのですか。   

当然できます。教育委員会は地方教育行政法により採択権限があり、これは文科大臣でもくつがえせません。

Q 協議会の答申にしたがわなくてもよいのですか。   

協議会の規約第9条5項は「採択地区教育委員会の決定が協議会の答申内容と異なる場合は、沖縄県教育委員会の指導・助言を受け、役員会で再協議することができる。」とあり、答申にしたがわない採決が想定されています。答申に拘束力があればこのような規定はいりません。

Q 答申に拘束力はないのですね。   

はい、そのことは明らかです。このことは玉津教育長も認めているのです。

Q そうすると、協議会の答申があっても、教科書無償措置法でいう同一の教科書は採択されなかったということですね。   

そのとおりです。

Q 無償措置法と地教行法の優劣関係はあるのですか。   

地教行法での採択権限は無償措置法によっても否定されるものではないので、無償措置法は特別法ではなく、優位に立つものでもありません。教育委員会が、無償措置法の同一の教科書が決まっている場合に、別の教科書を採択したときは、その採択は有効ですが、無償給与の対象にはならないということになります。

Q だいたい文科省が地教行法と無償措置法で今回のようなことが起こることを放置していたのではないのですか。  

そのとおりです。無償措置法で共同採択制度をとっているのはできるだけ検定教科書を統一しようという意図があるので放置していたのです。

Q 文科大臣は教科書採択について法改正を言っていますがどういうことですか。   

教育委員会の採択権限をはく奪はしなくても無償措置法で協議会を制度化しその協議会の結果に拘束されるという法律を作ると思います。

Q 共同採択制度をやめるのではないかともいわれていますがどうですか。   

いや、戦後ずっと学校採択制度が実施され、その後、共同採択となりました。文科省は、小さな教委の「反乱」をこわがっていますので、共同採択制度はやめず、逆に大規模にするでしょう。行く末は戦前の国定教科書です。自民党はことし6月、「教科書法」の提言をしています。また政府は教育委員会を首長の下に従属させる教育委員会制度の改定も提案しています。

Q 竹富町教委が協議会の答申と異なる採択をしたので、8月の段階では同一の教科書は採択されていないこととなり、振り出しにもどったのですね。   

そのとおりです。

Q そのあとどうなったのですか。   

県教委は、当然ながら、無償措置法にいう同一の教科書が採択されていないと判断して、3教育委員会に再協議をするよう求め、9月8日に3教育委員会の全13名の全教育委員が協議した結果、東京書籍が採択されました。

Q そうすると東京書籍版が無償措置法の同一の教科書ということになるわけですね。   

そうです。ですから文科省は、東京書籍版を無償給与すべきなのです。

Q 仮に9月8日の全員協議で東京書籍版が採択されていないとするとどうなりますか。   

仮にそうであっても、8月の協議会のあと、同一の教科書は採択されていないことになりますので、いまも無償給与する教科書は決まっていませんので、協議を継続しなければなりません。

Q では文科省が育鵬社版を無償給与することは許されるのですか。   

無償措置法に反し違法です。

Q ということは文科大臣自らが違法なことをしているのですね。   

そのとおりです。自分が違法なことをしているのに、正しいことをしている竹富町教委を無法者よばわりしたのです。

Q 名誉毀損ではないですか。   

そのとおりです。下村文科大臣に損害賠償を請求してもよいくらいです。

Q それに、文科大臣は、竹富町教委を無法者というのではなく、石垣市教委、与那国教委を無法者というべきですね。

そもそも文科大臣が、法治国家であることを忘れています。

Q 10月18日に文科大臣は竹富町教委に是正要求したのですね。   

いいえ、文科大臣は是正要求をしたのではありません。あくまで県教委に対し、竹富町教委に是正要求するよう「指示」したのです。新聞の見出しで、「文科大臣が是正要求」というのは誤りです。是正要求と指示は全く違います。よく注意してください。

Q 是正要求と指示はどう違うのですか。   

是正要求というのは直接、竹富教委に是正措置を求めることですが、指示は、直接求めるのではなく、あくまでも、是正措置をするよう県教委に指し示しただけにすぎません。ですから指示はこわがることはありません。ただ県が文科省のいいなりになって竹富町教委に向きを変えてきたときはそうはいきません。しかしそのときに闘う本当の相手は文科省です。

Q 文科省は県教委に指示して是正要求をやらせるということですか。   

そうです。文科省は、外から県教委に「けんかしろ!」と言って、沖縄県と竹富町をけんかさせようとしているのです。

Q なぜ文科省はリングに上がって堂々と是正要求しないのですか。   

自分からは法的にできないので、県教委にやらせようとしているのです。

Q いじめ防止を言っている文科大臣が竹富町をいじめているのではないですか。   

そのとおりです。自分の強い立場を利用して弱い者いじめをしているのです。

Q もし県教委が文科省の指示にしたがわなかったらどうなりますか。   

是正要求と違い、指示の場合、文科省には県教委に指示を直接強制する権限はありません。ですから、県教委が慎重に検討しますとか言ってこのままずっとブラ下げておけば文科大臣は手段に困ります。

Q 文科大臣は「訴訟するぞ」と言っておどしているのですが、竹富町に訴訟できるのですか。   

竹富町にも教委に対しても訴訟はできません。訴訟についても、文科省は、沖縄県教委に対して、竹富町教委に訴訟しろと指示できるだけで、文科大臣が直接竹富町教委に対して訴訟はできないのです。

Q ここでも文科大臣は、けんかさせようとしているのですか。   

そのとおりです。県に訴訟をさせて竹富町と仲たがいさせようとしているのです。

Q 県教委がほかに文科大臣の指示に従わない方法はありますか。   

国と県の争いを審議する国地方係争処理委員会がありますが、竹富町教委が参加しないので文科省と県教委のなれ合いになる可能性があります。

Q 県教委が、こわくなって文科大臣の指示のとおりに是正要求をしたらどうなりますか。   

竹富町教委は何もこわがることはありません。県の是正要求に対しては、同一の教科書が採択されていないというのなら、同一の教科書採択に向けての協議を継続する努力を継続すれば、是正要求に対して必要な措置をとっているということになります。

Q 有志が教科書を購入していることはどうですか。   

もちろん続ける必要があります。このことによって無償給与が実現していることになり生徒に不利益がないことが竹富町教委の東京書籍版採択の適法性の根拠のひとつとなっています。

Q 有志は国にかわって教科書代を立て替え払いしていることになりませんか。   

東京書籍版が無償給与の対象であるということになるとそのとおりです。

Q いま竹富町教育委員会はどうしたらいいのですか。   

違法なのは文科省ですから自説を変えず堂々としておればよいのです。ガリレオのように、「それでも地球は回っている」です。そして県教委に対してはとにかく文科省の圧力に負けずに 指示をはねかえして沖縄のこどもたちのために共闘しようと要請することです。

Q 竹富町民はどうしたらいいのですか。   

しっかり竹富町教育委員会を支援すること、弱い者いじめをする文科省に抗議することです。そして、石垣市、与那国町で教育委員会の育鵬社版の採択を取り消させようとしている人たちと共闘することです。   

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ヤマネコでもわかる竹富町教育委員会是正要求問題(その2)
                        

Q12月19日、文科大臣が、教科書採択問題について、竹富町教育委員  会に対して直接、是正要求をすることを検討していると報道されましたが、この直接の是正要求というのはどういうことですか。
 
これは、10月18日に文科大臣が県教委に是正要求の「指示」をしたものの、県教委がその指示になかなか従わないので、直接、竹富町教委に是正要求しようというものです。

Q 文科大臣が、一町教委に直接、是正要求するなどということをしていいのですか。
     
文科大臣が軽々にこのようなことをしてはいけないのです。憲法92条は、地方自治の本旨、つまり、地域のことは地域住民が自らの意思によって自らの責任において決めることを保障していますから、国の地方公共団体への介入はごく限定的でなくてはならないのです。

Q 町教委に是正要求するかどうかは、まず、県教委に任せるべきではないのですか。
    
そうです。そもそも、文科省は、県教委にそのように求めたのです。県教委がそれを受けて慎重に検討しているのに、それを無視して、県教委を飛び越えて介入するなどというのは、県教委だけでなく、県民をもないがしろにするものです。

Q 今回、文科大臣は、どういう規定を使おうとしているのですか。
    
県教委への是正要求の「指示」は、地方自治法245条の5第2項ですが、今回は、245条の5第4項です。第4項は、第2項の要件である「法令の規定に違反」か、「著しく適正を欠き、明らかに公益を害していると認めるとき」に加えて、さらに、「緊急を要するとき、その他特に必要があるとき」に、文科大臣が、直接、町教委に是正要求ができるとしています。

Q 今回、この要件にあてはまるのですか。
    
文科省は、この要件にあてはまると強引に解釈しようとしていますが、客観的にはこの要件には該当しません。そもそも、竹富町は自らの権限で、東京書籍版を採択しており、また、無 償措置法上、育鵬社版を同一の教科書とした「協議」は存在していませんので、法令違反は何もありません。また、竹富町の中学生は、東京書籍版の教科書の配付を受けて、必要な教育を受けていますから、適正も欠いていませんし、公益も害していません。ですから、そもそも、第2項にいう「法令の規定に違反」も、「著しく適正を欠き明らかに公益を害していると認めるとき」にあたらないのです。県教委が、文科大臣から指示を受けても、「文科大臣、ちょっと待ってくださいよ。」と是正要求を止めているのは、法的には全く正しいのです。

Q では、「緊急を要する」とか、「特に必要がある」ものでもないというわけですね。
    
そのとおりです。この要件は、教委が生徒に教科書を配らないとか、実際の教育活動において生徒の教育に大変な支障があって、どうしても放置できないという、真にやむをえないと客観的に認定されたときだけに使えるごくごく限定的なものなのです。

Q 文科大臣は、この是正要求を安易に使ってはいけないのですね。
    
そのとおりです。この是正要求の規定ができるときに、衆議院と参議院で、この是正要求について、国は、地方公共団体の自主性を尊重し、限定的、抑制的に発動することという附帯決議がされています。文科大臣はこのような国民代表の声も無視しているのです。

Q 文科大臣は、詳しい説明もないまま、次から次へと強権を発動しています。
    
まさにそれが問題なのです。文科大臣は、東京でああするこうするなどと一方的に言うのではなく、竹富町に来て、町民にきちんと説明責任をはたすべきでしょう。そういうこともせず、東京にいて、一方的に育鵬社版にせよと強権を発動しても、町民、県民の理解は絶対に得られません。教育は理解からはじまるのです。どうしても育鵬社版にしたなら、文科大臣が竹富町に来て住民説明会を開くくらいの努力をすべきでしょう。

Q 県民や町民はどうしたらよいのでしょうか。
    
文科大臣の強権的な介入に負けることなくがんばっている県教委や町教委をしっかり応援して、国の行き過ぎた介入をみんなの力ではねのけていくことです。

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