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沖縄八重山「教科書採択問題」アーカイブ 2011 9/1-9/21

2011-09-21 19:52:11 | インポート

9月21日 沖縄タイムス
県教委、八重山公民除き教科書冊数を報告

県教育委員会(中野吉三郎委員長)は、来春から中学校で使用する教科書の需要数について、同一教科書となっていない八重山地区の公民教科書(約600人分)を除く県内全地区、全教科の冊数を、15日付で文部科学省に報告した。

八重山地区の公民教科書をめぐっては、石垣市と与那国町が育鵬社版、竹富町が東京書籍版を採択。その後、3市町の全教育委員による協議で東京書籍を採択したが、協議の有効性をめぐり、3市町関係者や文科省、県教委で見解が異なり20日現在、需要冊数を報告できていない。「教科書の発行に関する臨時措置法」では各都道府県は同省に対し、16日までに教科書の需要数を報告することが記されている。八重山のケースのように期限を過ぎて報告がないのは初めてという。

八重山地区では20日現在、教科書無償措置法が求める1地区同一教科書に向けた一本化のめどは立っておらず、県教委が再度3市町教委に一本化を図るよう求めている。一方、県内他地区の公民教科書採択状況は、国頭地区=日本文教出版、中頭=教育出版、那覇=帝国書院、島尻=東京書籍、宮古=帝国書院となっている。

八重山教科書:国の判断「統制の始まり」

「軽率だ」「良識ある判断を」―。八重山の中学校公民教科書採択問題をめぐり中川正春文科相が20日、一本化協議に向け「私たちも判断する」と発言したことに、地元八重山や県内外の関係者から困惑と不信の声が噴出した。大臣の発言に、話し合いを続けてきた八重山の人々は「協議は整っているとの認識。われわれの採決を尊重してほしい」と訴えた。

「子どもと教科書を考える八重山地区住民の会」の仲山忠亨共同代表は「全教育委員での協議を尊重する以外に解決法はないのに、文科省は軽率すぎないか。これまでの過程を精査したのか疑問だ」と困惑の表情。沖教組八重山支部の上原邦夫支部長も「法律を守るべき行政官庁が法を犯そうとしている。同省の〃判断”が通れば、教育統制の始まりになる。戦前の『国定教科書』同様になってしまう」と危ぶむ。

「判断」の内容や方法を疑問視する琉球大学の高嶋伸欣名誉教授は「現地でまとめられない、との結論をなぜ早急に出すのか。判断次第では、教育委員会の採択権を奪う行為にもなる」と懸念する。山口剛史琉球大准教授は「選定から採択に至るプロセスでの法の不備を精査してほしい」と語り、国は県をバックアップするべきだとした。

前歴史教育者協議会委員長の石山久男さんは「なぜ今、言う必要があるのか。上で決めれば、今までの議論を無視することになる」と不信感を示す。一方、子どもと教科書全国ネット21の俵義文事務局長は「『教育に支障のない』(中川相)判断を考えれば、(東京書籍を採択した)全教育委員での結論になるはずだ」と語った。

「全委員協議結果の尊重を」 石垣で住民集会

八重山地区の教科書採択問題をめぐり、「9・8採択教科書を子どもたちの手に!」住民集会(主催・同実行委員会)が20日夜、石垣市健康福祉センターで開かれた。教育関係者や保護者ら350人が、3市町の全教育委員が育鵬社版の不採択を決議した協議結果の尊重と、中川正春文科相による「協議は整っていない」発言の撤回、国に教科書無償措置法の再検証を求める決議案を承認した。

中学生の子どもがいる松川英樹さん(39)は「協議会の議事録など、何ひとつ公的な情報を得ていない。子どものことを考えるのであれば、一日も早く情報公開し、よりよい教科書を選んでほしい」と望んだ。同問題の住民集会は3度目。

つくる会と教育長接触か?

集会で登壇した仲山忠克弁護士が、与那国町の崎原用能教育長が国、県に送った要請文を作成する中で、「新しい歴史教科書をつくる会」関係者が文面を手直しした痕跡のある文書を示した。

文書は崎原教育長が文部科学省、県教委に対し、3市町の全教育委員が「つくる会」系の育鵬社版教科書の不採択を決議した協議の無効性を主張したもの。文書には添削の跡があり、「崎原様 ありがとうございました。直しは念のためです」の一文も。文の末尾には「藤岡」と書かれていた。仲山弁護士は「藤岡」は「つくる会」の元会長、藤岡信勝氏であると指摘し、「崎原教育長は藤岡氏の指示を受けて国に訴えている。教科書選定で特定団体と結び付いている」と批判した。

崎原教育長と藤岡氏は同日までに本紙取材に対し、いずれも「そのような事実はない」と否定した。

八重山教科書:再協議不調なら国が見解

中川正春文部科学相は20日の記者会見で、八重山地区(石垣市、竹富町、与那国町)で2012年度から使う中学公民教科書採択問題をめぐり「現地での再協議でまとめるのが難しいなら、法律の基準や趣旨に基づいて私たちも判断する」として、国が見解を示す可能性を示唆した。

中川文科相は「子どもの教育に支障が出ない形で収めたい」とした上で「現地のルールの運用で、どのプロセスが正当だったのかも分析したい」と述べた。再協議の期限については「はっきりさせなければいけない時期に来ている。もう少し詳しく現地の状況を分析、整理して、期限を決めたい」としたが、明確な時期は明言しなかった。

同地区の採択地区協議会は8月に育鵬社版の教科書を選定し3市町の教育委員会に答申したが、竹富町教委が反発して東京書籍版の採択を決定。文科省は県教委に9月16日までに採択結果を報告するよう求めたが、まとまらない状態が続いている。

3者協議での一本化目指す 県義務教育課長

県教育庁義務教育課の狩俣智課長は「どういう状況で(中川文科相に対する)質問がなされ、実際にどう答えたのか、全体的な流れが見えないとコメントできない」とした。その上で、「県の立場としてはまず石垣市、竹富町、与那国町の3者による協議を大事にしたい。協議による一本化を目指すのが、県の一貫した立場だ」と強調した。

9月21日 八重山毎日
東京書籍の採択尊重を 20団体が文科省に要望決議

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「9・8採択教科書を子どもたちの手に!」住民集会

八重山地区の公民教科書の採択問題で、東京書籍を採択、育鵬社を不採択とした8日の3市町教育委員の協議に関し、「9・8採択教科書を子どもたちの手に!」住民集会(主催・同実行委)が20日夜、石垣市健康福祉センターで開かれた。約350人が参加した集会は、文科省に対し、採択結果の尊重と教科書無償措置法の再検証を要望することなどを決議した。

決議文は、文科省と県教委、3市町教委に宛てたもの。東京書籍の採択を要望し、県教委の今後の対応については、文科省の不当な介入に屈することなく、速やかに手続きを開始するよう求めている。同実行委は、20団体で構成。集会では、実行委員長の仲山忠亨氏があいさつし、琉球大学名誉教授の高嶋伸欣氏が「教科書無償措置法と地方教育行政法が矛盾している状況を文科省が露呈してしまった」とこれまでを振り返った。

法的立場から見解を述べたゆい法律事務所の仲山忠克弁護士は文科省の立場に関し、「指導援助しかできない。採択権は各教育委員にしかなく、採択権の侵害」と強調。続けて経過報告、実行委構成団体の代表や保護者が意見を述べた。この中では、協議会の教科書選定の情報公開を求める声があった。与那国保護者の会からは「自衛隊誘致問題から声が上げにくい状況で、子どもの存在が忘れられており残念。あきらめずに頑張ろう」と書面が寄せられた。最後は、決議を承認し、ガンバロウを三唱した。

八重山毎日 記者席: 対立案件に事欠かず 

26日から始まる石垣市議会9月定例会一般質問は、19人中13人が教科書採択問題を取り上げることになった。昨年の施政方針盗用問題に始まり、市議選収支報告書問題ときて今度は教科書問題。市議会は対立案件に事欠かず、ちまたでは3点セットとやゆする声も出始めている。

与那国改革会議が20日午前、町と町議会に「町への自衛隊誘致決議の撤回と誘致活動の中止」を要請した。町在住者556人を含む2331人分の署名を添えて要請したが、町議会の前西原武三議長は、署名の取り扱いについて「公開して良いか、非公開にして封印するのか」を同会議側に確認。最終的に議長判断とされたが、個人情報だけに判断が分かれるところだろう。

八重山毎日 社説:竹富町教委に瑕疵はない 文科省は一本化の道筋示せ

混迷きわめる教科書問題

教科書選定問題は解決の糸口が見いだせず、混迷を極めている。育鵬社公民教科書を不採択とし、東京書籍を採択した今月8日の3市町教育委員会全委員協議を中川文科相が「協議は整っていない」とし、地区採択協議会のルールに沿った教科書一本化を求めたからだ。
 
文科省指導は、協議会答申と異なる教科書を採択した竹富町教委に再考を促すような印象を与えたが、これは後日、文科相自ら否定している。教育行政法で教科書の採択権は教育委員会にある。竹富町教委の決定は誰も覆すことはできない。その変更を強要するなら、越権行為で脱法行為にあたる。竹教委に何の瑕疵(かし)もなく、臆(おく)することは全くない。

全教育委員による協議は、県教委が文科省担当課と連絡を取りながら進めていたものだ。これを突然「はしごを外された」と困惑する県教委の声が状況を如実に物語っていよう。全教育委員で結論が出たあと、政党が素早く動いたのも異様だ。自民党本部は玉津会長を呼び、担当者を同席させて事情を聴取した。政治的介入が透けて見える。

あいまいな「指導」

教科書無償措置法は、複数の市町村で構成される採択地区で科目ごとに同一の教科書を採用すると定めている。一方で地方教育行政法は市町村教委が教科書の採択権限を持つと規定する。

この2つの法律で、異なった採択が行われることは十分に予想されたものだ。文科相もこの法律の矛盾を認め、混乱の要因としている。しかしそれは検討事項と言うだけで、対応する姿勢は見せない。あくまでも国は「想定外」の結果として地元解決を求めるだけで、あいまいな指導に終始している。実に無責任である。

この問題は地元で解決できないために県教委が助言し、8日に3市町教育委員会が開かれた。その結果について県教委は「協議の場として成立しており、採決の状況も有効と考えている」と国と異なった見解を持つ。その状況下で振り出しに戻して県、市町村に一本化のボールを投げても混乱するばかりで、現状だと解決は決して見いだせない。法に抵触した状況が延々と続くだけだ。
 
全委員会協議の無効の理由のひとつに国は玉津教育長の無効申し立てを挙げているが、その公印をめぐって3教委委員長が異議を申し立てている。一本化を求めるなら、国は具体的に地元の指摘に答え、解決のための道筋を示さなければならないし、その義務と責任がある。

採択協のルールは是か
 
こじれた教科書採択問題の最大の問題は、八重山地区協議会の進め方が妥当だったか、否かである。調査員の選定、長時間かけた調査員の報告書が公民教科書で取り上げられず、むしろマイナス点の多かった育鵬社教科書をあえて選定した強引な手法が批判されているのである。
 
思想信条は自由だが、押しつけであってはならない。選定理由について十分に説明責任を果たさず、「委員の権限と責任で選んだ」と繰り返すだけでは、誰も納得できるものではない。公言していた議事録の公開すらいまだ行われず、不信感をさらに高めている。「なぜこの時期に教科書問題なのか」。多くの郡民が思う。県内で今年、教科書選定をめぐって混乱しているのは八重山だけ。主役であるはずの子どもたちに対する視点に欠け、政治色の強い教育行政に対する不信感で郡内は閉塞(へいそく)感に包まれている。これだけ混乱した状況に陥らせることが教育改革なのか、理解できない。教育に求められるのは中立性で、保革政権交代があっても歴代首長が踏み入れなかった領域である。これでは決して良い教育効果はでない。

9月21日 琉球新報
合意なければ国判断 八重山教科書      
 
八重山教科書採択問題で中川正春文部科学相は20日、閣議後の会見で、採択地区協議会内で一本化することが望ましいが「どうしても難しいという形になれば、それぞれかかる法律の趣旨に基づいて私たちも判断していく」と述べ、地元で合意形成ができない場合、教科書採択に関する法律に基づき国としての判断を示す考えを初めて表明した。
 
文科省初等中等教育局教科書課は、地方教育行政法の規定通り採択権が各教育委員会にあるとの考えは変わらないと説明。その上で「教科書無償措置法では採択地区内では同一のものを採択するのが前提。それができない場合、同法をどう適用するのか検討する」としている。
 
中川文科相は今後の対応について「これまでの例もあるので、法の趣旨や沖縄で作っているルールの運用、実際に行われた結果、どこのプロセスが正当なのかを分析し、総合的に判断したい」と述べ、教科書選定・採択に至る協議の有効性についても検証する方針を示した。
 
県教育庁は16日の記者会見で、8日の全員協議による東京書籍の採択について「協議の場は有効だ」との認識を堅持。一方、文科省は15日に県教育委員会に協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づき、3市町教育委員会が同一の教科書を採択するよう指導を求める通知を出している。

9月18日 琉球新報
八重山教科書「委員長連名文書は無効」 石垣・与那国教育長、県と文科省に送付      
 
八重山地区の公民教科書採択をめぐる問題で、石垣市の玉津博克教育長と与那国町の崎原用能教育長は17日までに、3市町の教育委員長が連名で8日の全員協議を有効だと認めるよう求めた要請書について「無効」と訴える文書を、文部科学省と県教育委員会に送付した。
 
崎原教育長の文書では、3教育委員長の文書について「教育委員会の決議を経ておらず、法的根拠はない」と記述。8日の全員協議を「(同日、3教委に分かれて行った)臨時教育委員会で全員一致の合意を条件に協議すると決議したが決議事項は無視された」とし、無効としている。
 
石垣市、竹富町、与那国町の教育委員長は15日、8日の全員協議を有効と認めるよう求める要請書を連名で文科省と県教委に送付していた。この要請書に関して、それぞれの教委は委員会を開いていなかった。
 
一方、石垣、与那国の教育長が送付した8日の全員協議が無効と主張する9日付の文書は、いずれも教育委員会の決議を経ていない。今回の文書についても、与那国町教委の決議は経ておらず、石垣市教委の決議があったかは不明。

9月17日 八重山毎日
県、同一教科書採択を助言 教科書問題
県教育長が会見、文科省通知に「さまざまな解釈できる」

八重山地区の中学校公民教科書問題で大城浩県教育長は16日、県庁で記者会見し、文科省の15日付通知で「八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果」に基づいて3市町が同一の教科書を採択するよう指導を求められたことについて「さまざまな解釈ができる」と明言を避けた。今後の対応についても「3市町教育委員会に対し、同一の教科書が採択されるよう文科省と調整しながら助言していきたい」と述べるにとどめた。文科省の見解や通知で振り出しに戻った感のある教科書採択問題は、県教委も解決の糸口を見いだせないでいる。

一方、16日が期限となっている県教委から文科省への教科書需要数の報告について大城教育長は「八重山採択地区の中学校社会科公民分野を除いた、県全体の需要数報告を9月15日付で終えた」と報告。公民分野については「同一教科書が採択され次第、早急に報告するよう求めている」と3市町教委に通知していることを明らかにした。文科省に対しても「特段の配慮」を要請している。

文科相が13日、8日の協議について「協議が整っていない」と発言したことについて大城教育長は「これまでも文科省の指導・助言を受けてきた。私たちとしても8日の協議について最終意思決定機関であるというとらえ方をしてきたので、いささか困惑している」と戸惑いを隠さなかった。また、文科省通知の解釈についても「8月23日の採択協議会、同月31日の役員会、9月8日の全教育委員協議のどの結果を指すのか、文科省に確認しているところ」と述べるにとどまった。

今回の問題で同一の教科書を求める教科書無償化措置法と、採択権を市町村教委に置く地方教育行政法が対立する格好となったが、大城教育長は「二つの法律はどちらが優先されるものではなく、二つの法律を踏まえた教科書採択を行わなければならない」と指摘、「われわれは二つの法律をしっかり守る立場にある。一本化することが大前提なので、引き続き3市町の教育委員会に努力をお願いしていく」と述べた。

教科書問題 具体策見えず、落胆と戸惑いが交錯

八重山地区の中学校公民教科書問題で文科省が県に出した通知と、大城浩県教育長が当面の対応方針を示した会見の内容は、いずれも具体性に乏しく、解決策を見いだすにはほど遠い内容だった。地元からは「どうしてよいか分からない」「ぶり返しになるのか」と落胆と戸惑いの声が漏れた。

文科省通知で混
 
「八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づいて、採択地区内で同一の教科書を関係市町村教育委員会で採択を行うよう指導を」。15日、県教育委員会に届いた文科省通知。崎原用能与那国町教育長らは「われわれの意思が通った」と喜んだが、「もっと具体的に」と注文をつけていた。
 
通知には「答申に基づいて」との文言はなく、内容があいまい。「答申」と書けば、答申に拘束性を認め、地方教育行政法に基づく市町村の採択権を侵害するおそれがあったからだとみられる。16日に報告期限を控え、自民党などの圧力に備えた議員対策との見方も浮上した。

県教委は16日の会見に至っても「文科省に確認しているところ」と解釈に頭を悩ませ、地元も「どの結果を意味するのか」(慶田盛安三竹教育長)と首をかしげるなど、通知に振り回された2日間だった。

期待感
 
県教委の会見に慶田盛教育長は「一連の流れを把握しているので、ある程度期待はしていたが…」と声を落とした。文科相が13日、「協議は整っていない」と発言したことで事実上、協議結果は有効性を失った。しかし、文科省の通知、県教委の会見はいずれも、協議を整えるための解決策を示せなかった。竹盛洋一竹富町教育委員長は「再び招集しても無理、ぶり返しになる」と途方に暮れる。一方、崎原教育長は「通知通り、竹富町に答申通りの採択を指導しないとおかしい」と声を荒らげる。

手詰まり

竹富町教委が答申とは違う採択をしたのは、協議会の選定に対する疑念が背景にある。役員会でも決裂し、竹教委は再度協議会の開催を要請したが、玉津博克会長(石垣市教育長)は8月31日付で業務が終了したとして拒否した。これを受けて開催した8日の全教育委員協議でも決定方法に議論は終始した。

竹盛委員長は「調査員の推薦に挙がっていない育鵬社はなぜ選定されたのか、まったく分からない。協議会の議事録を公開し、県はそれを検証してもらいたい」と訴える。崎原教育長は「文科省は県にさじを投げた。県は各委員会にさじを投げた。あとは3委員長が考えることじゃないか」と突き放す一方、「一本化は育鵬社しかない」と譲らない。玉津博克石垣市教育長も「通知は答申のことを言っている」と同様だ。

5人の委員全員の一致で東京書籍を採択した竹富町も意思は曲げないつもり。慶田盛教育長は「一本化は厳しい。こういったことは今後も起こりえる。県には採択地区(八重山3市町)の見直しも考えてもらいたい」と提起する

9月17日 沖縄タイムス
八重山教科書問題 3委員長の要請は重い
ボールは再び地元に投げ返された。

八重山地区の中学公民教科書採択問題で大城浩県教育長は16日記者会見し、石垣、竹富、与那国3市町の教育委員長に、同一教科書を採択するようあらためて要請したことを明らかにした。

一本化のための協議が不調に終わり、3市町教育委員会の全員協議の結果も文科相から「協議が整っていない」と突き返され、万策尽きたところで、県がどのような打開策を示すか注目されたが、結論は、差し戻し。一本化に向けあらためて協議してほしい、というにべもないものだった。しかし、そのことをもって県教育庁を責めるのは無理がある。

地方教育行政組織運営法によると、教科書の採択権限は市町村教育委員会にある。文科省や県教育庁が市町村教委から勝手に採択権を奪い取るようなことはできない。その一方で、教科用図書無償措置法は、八重山採択地区のように地区内に複数の市町村が存在する場合、同一の教科書を採択しなければならない、と定めている。

今回のケースでは、諮問機関である八重山採択地区協議会の答申に対し、石垣・与那国2市町と竹富町が異なる教科書を採択し、協議も不調に終わった。八重山採択地区のような混乱を、現行法は想定していない。今回の混乱は、制度の不備を放置してきたために生じたものであり、早急な見直しが必要だ。

振り出しに戻ったことで、地元八重山には期待を裏切られた失望感や、解決策の見いだせない焦燥感が急速に広がっている。3市町教委による8日の臨時会議の結果について中川正春文科相が「協議は整っていない」と判断したのは、石垣、与那国両教育長から異議申し立てがあったからだ。しかし、3市町の教育委員長は、臨時会議における協議結果の有効性を訴える文書を連名で文科省と県教育庁に送った。

臨時会議での全教育委員による協議で、同一教科書の採択が行われた、というのが県教育庁の見解だ。3市町の教育委員長が連名で有効性を主張したことは、この方向での解決以外に道がないとの姿勢を示したものである。その場合に問題になるのは、2教育長による異議申し立ての法的組織的な性格だ。果たして彼らはどのような議を経て、異議申し立てに及んだのだろうか。石垣市教育長らが文科省に提出した異議申し立ての文書について3教育委員長は「教育委員会の議を経ておらず、公務文書としての機能を有していない」と指摘している。

繰り返すが、教科書の採択権限は教育委員会にある。教育委員会を代表するのは、教育長ではなく教育委員長である。石垣、竹富、与那国3教育委員長の、連名による要請は極めて重い。これを無視してはどのような解決も不可能だ。 

県教委「全員協議は有効」 文科省と相違

八重山地区の中学校公民教科書の採択問題で、県教育庁の大城浩教育長は16日、県庁で会見し、石垣市、竹富町、与那国町の3教育委員会に対し、同一教科書が採択されるよう引き続き助言を続ける考えを明らかにした。一方、大城教育長は同地区全教育委員による協議と、同協議で採択した内容は「有効」だとする県教委の見解をあらためて表明。協議が「整っていない」とする中川正春文部科学相ら文科省見解との相違が鮮明となった。同地区3教委は依然一本化に向けて歩み寄る姿勢を見せておらず、公民教科書の採択をめぐる問題は混迷を極めている。

大城教育長は8日の全13教育委員協議について「オブザーバーとして参加した職員から協議の場として成立したと聞いている。採択は有効だと捉えている」と明言した。

一方で、文科省から「協議は整っていない」とする疑問が出たため、3市町教委に対し「同一の教科書を速やかに報告してほしい」との文書を15日付で送付したと述べた。同地区協議会の答申重視を示唆した文科省の通知と異なり、教科書採択の一本化を求める内容となっている。

一本化に向けた具体策については「県は教科書無償措置法と地方教育行政法を両立させ、文科省と調整しながら助言する」としたが、助言の具体的な内容については明らかにしなかった。ただ、「8日の協議が有効か無効かについては、3市町の教育委員会が判断すること」と、3教委の役割を重視する考えを示した。

他方、石垣市と与那国町の両教育長が文科省宛ての文書で「協議は無効」と訴えたことについて、同席した狩俣智義務教育課長は「文科省の見解に大きく影響した」との認識を示した上で、「教科書に関することは教育委員会の専決事項なので不適切だ」と指摘。大城教育長も「教育委員会の一義的責任は教育委員長にある」と述べ、両教育長の訴えを疑問視した。

9月17日 琉球新報
県教育庁、3教委に一本化指導 八重山教科書   

八重山地区における公民教科書採択をめぐる問題で県教育庁の大城浩教育長は16日、県庁で会見し、15日の文部科学省の通知を受けて同日、石垣市、竹富町、与那国町の教育委員会に対して同一教科書を採択するよう指導したことを明らかにした。大城県教育長は「3市町で協議して採択されるよう引き続き助言していく」と述べ、再協議の可能性を示唆した。大城県教育長は、8日の八重山3市町の教育委員による全員協議について「協議の場としては成立している」との認識もあらためて示した。
 
県教育庁義務教育課は、今回の指導の意図について「8日の協議が有効かどうかを3市町の教育委員会で検証してほしい」と説明し、当該3教委での解決を求めている。しかし、3教委の教育長は「何をしていいのか分からない」と困惑しており、一本化への道筋は不透明なままだ。
 
8日の全員協議の有効性について県教育庁義務教育課の狩俣智課長は「当事者の3教委が判断すべきであるという認識を持っている」と強調。石垣市の玉津博克教育長と与那国町の崎原用能教育長が同協議を無効だと訴えた文書について「教科書に関することは教育委員会事項。不適切と理解している」との認識を示した。

文科省への教科書必要冊数の報告期限である16日を前に県教育庁は15日、八重山地区の公民教科書を除いた全県の必要冊数を文科省に報告した。

社説 文科省通知 越権行為も甚だしい/沖縄の自治力を示そう 
 
地方教育行政への国による介入であり、重大な問題をはらむ。八重山教科書問題をめぐる文部科学省の15日の通知のことである。
 
通知は事実上、竹富町教育委員会に採択教科書の変更を求めているとも受け取れる。判断変更を求めるのなら、国による介入以外の何物でもない。この介入が許されるのならば、地方教育行政法は無きに等しい。自治の精神に真っ向から対立する行為だ。文科省には、事の重大性をよく認識してもらいたい。

翻った態度
 
経過を振り返る。石垣・竹富・与那国3市町の教育委員会の諮問機関・八重山採択地区協議会(玉津博克会長)は8月23日、公民の教科書に「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版を選び、3市町教委に答申した。玉津会長が選定手法を大幅変更した上での選定だった。その一つ「順位付け廃止」は、「『1種絞り込み』を禁じた県教委の通知に違反している」というのが廃止の理由だったが、協議会で、従来も1種絞り込みは行われていないと反論が出ると、玉津氏は「ノーコメント」と説明を避けた。教科書を読み込んで推薦する調査員は、協議会の規定で「役員会で選任」となっていたが、役員会を経ず玉津氏が独断で選定した。その後、石垣・与那国両市町教委は答申通り採択したが、竹富町教委は育鵬社版を不採択とし東京書籍版を選んだ。このため、3市町教委は9月8日に地区内全教育委員による協議を行い、育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した。
 
この間、県教育庁は文科省の助言を基に協議の進め方などを3市町教委に助言してきた。だが13日になって文科省が態度を翻す。中川正春大臣は8日の採択について「協議が整っていない」との認識を示し、森裕子副大臣は「文科省が認めているのは8月23日の答申」と述べた。文科省はさらに、県教育庁に対し、採択地区協議会の「結果に基づき」、同一の教科書を採択するよう3市町への指導を求めた。8日の結果は認めず、23日の結果を有効として一本化を求めるのだから、事実上、育鵬社版採択を求めるに等しい。
 
地方教育行政法は教科書採択権が市町村教委にあると定める。竹富町教委の決定はそれに基づく。一方、地区内の教科書一本化を求める教科書無償措置法はあくまで国の財政措置の要件を定める法だ。それを基に、国が竹富町教委に判断を変えろと求めるのは、越権も甚だしい。そもそも、教科書に関する「執行権」を法が明記している市町村教委の判断より、「答申」する諮問機関にすぎない採択地区協の判断を優先すべきだという根拠は何なのか。理解に苦しむ。

国と地方は対等
 
2000年の地方自治法改正で、国と地方自治体の関係は対等ということになった。国の通知などは、単なる技術的助言という位置付けだ。市町村教委が採択する教科書をめぐり、国が、特定の教科書を選定しなければ補助負担金を支出しない、というのであれば、改正地方自治法の精神に反する。県教育庁は、国地方係争処理委員会に持ち込んで争っていい。
 
文科省がこうした論点を把握していないとは思えない。通知が県教育庁の「指導を求める」内容で、自ら「指導」していないのはそのためだ。8日の採択について「整っていない」との表現にとどめ、「無効」としていないのも、市町村教委の判断の重さを知るからだろう。今後、自治を阻害しない判断をするよう期待したい。
 
県教育庁は16日、あらためて3市町教委に一本化を求めた。8日の協議は有効という認識だが、文科省の通知を受け、もう一度、3市町教育委員による協議が行われる見通しだ。文科省の不当とも思える通知にめげず、あくまで合議で一本化を目指す姿勢は高く評価したい。
 
現在、3市町教委の間はもとより、石垣、与那国両市町教委の内部でも意見が割れている。一連の問題は、地方教育行政法と教科書無償措置法の矛盾を明るみに出した。県教育庁も3市町教委も、法の不備を乗り越えて粘り強い議論、「熟議」を展開し、一本化を成し遂げ、沖縄の自治能力の高さを示してほしい。

9月16日 琉球新報

八重山教科書 県、3市町教委に同一教科書採択を助言      
 
八重山地区における公民教科書採択をめぐる問題で県教育庁は16日、県庁で記者会見を行った。大城浩教育長は15日の文科省の通知を受けて同日、石垣市、竹富町、与那国町の教育委員会に対して同一教科書が採択されるよう助言したことを明らかにし「3市町で協議して採択されるよう引き続き助言していく」と述べた。

八重山教科書 中川文科相、「協議会ルールで結論を」    

中川正春文科大臣は16日午前の閣議後会見で、八重山地区教科書採択問題で、文科省が昨日県教育委員会に指導通知を出したことについて「協議会のルールに基づき早く結論を出してほしいということだ」と述べた。
 
県内など一部で育鵬社版採択への圧力との見方が出ていることについて中川氏は「そういうことではない」と否定した。中川氏は同一採択を定めた無償措置法と教育委員会の採択権利を定めた地教行法の矛盾について「それが今回の混乱のひとつの原因だ」との認識を示し、採択のあり方の改革を検討する考えを示した。

「つくる会」系の採択指導 文科省、県教委に通知      

八重山教科書採択問題で文部科学省は15日、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づき、3市町教育委員会が同一の教科書を採択するよう指導を求める通知を県教育委員会に出した。

教科書の必要冊数の報告期限である16日までに結論を出すよう求めている。同協議会は先月23日、「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社公民教科書を選定・答申しており、文科省の通知は事実上、竹富町教育委員会に育鵬社版の採択を求める内容だ。
 

15日に会見した森裕子文科副大臣は「現時点で文科省が認めているのは8月23日の答申だ」と述べ、育鵬社版の採択を求めた。併せて今回の教科書問題を通じ関連法の不備も指摘されていることから、今後の教科書採択の在り方を検証する考えも示した。
 
県教育庁は、育鵬社版を不採択とし、東京書籍版を採択した今月8日の八重山3市町教育委員による全体協議は有効との立場を保っており、文科省とは見解を異にしている。同庁は16日に会見し、文科省通知に対する見解を明らかにする。
 
全員協議による東京書籍の採択について、中川正春文科相は13日の会見で「残念だが協議は整っていないと考えざるを得ない」と述べ、全員協議は不成立との認識を示している。森副大臣も15日の会見で「全員協議はどこにも規約がない協議会だ。3教育委員会の合意の上で設置されたとは確認できない」と述べ、8日の採択結果は無効との認識を表明した。

文科省指導 公正中立疑わせる異様さ      
生かじりの対応で、文部科学省は話をこじらせたいのか。
 
八重山地域の公民教科書採択をめぐる問題で、文科省は事実上「新しい歴史教科書をつくる会」系の育鵬社版で一本化するよう、県教育委員会を指導した。同地区の教育委員全員が参加した協議で決めた東京書籍版ではなく、下部組織の八重山採択地区協議会の答申を支持する内容だ。
 
混乱の発端は、同地区協議会の玉津博克会長が、これまでの採択方法を次々と変更したことにある。
地区協議会を非公開とし、選定は無記名投票。公民教科書は、実質協議なしで調査員から推薦のなかった「つくる会」系に決めた。
 
果たして公正中立といえるだろうか。民主主義を装いながら、都合のいい結論を導くためにルールを勝手に変えるやり方ではないか。民主主義をなし崩しにしかねない選定方法が、地域に混乱をもたらした。事態収拾のため、県は文科省と調整しながら、一本化作業を進めてきた。
 
問題がもつれた背景に、教科書採択の根拠となる法令の不明確さが指摘されている。教科書無償措置法は「同じ採択地区では協議の上、種目ごとに同一の教科書を採択しなければならない」と定めるが、同一にならない事態を想定せず、一本化の方法に触れていない。
 
一方、地方教育行政法は、教科書の採択権は教育委員会にあると定めている。どちらの法が優先か示されていないから混乱する。法の不備を放置してきた文科省の責任は重い。不作為の果てに、最終期限を持ち出し、教科書無償措置法を盾に「つくる会」系で一本化するよう迫っている。一本化の過程で「つくる会」系の教科書を推す国会議員グループの動きが表面化した。教科書選定は特定の政治勢力に左右されず中立を貫くのが原則だ。
 
琉球新報が石垣、竹富、与那国3市町の住民を対象に実施した世論調査によると、「つくる会」系教科書の採択に反対する人は61・3%。賛成の22%を大きく上回っている。異例づくめの地区協議会の選定を不問に付した文科省の指導は公正中立とは言い難く、民意の支持を得られるとは思えない。子どもの教育を第一に考えるなら、問題含みの決定を追認するのではなく、公正中立な決定方法による選定でなければ禍根を残す

9月16日 沖縄タイムス
八重山教科書:文科省、教科書一本化指導

八重山地区の中学公民教科書の採択問題をめぐり、文部科学省は15日、県教育委員会に対し、八重山採択地区協議会の規約に従ってまとめられた結果に基づき3地区教育委員会で同一の教科書を採択するよう指導し、必要な教科書数を16日までに同省に報告するよう通知した。県教委は同日午後に対応方針を明らかにする予定だが、決着は見通せない状況だ。

森裕子文科副大臣は15日、通知について記者会見し、「現時点で協議会の規約に基づいて正式に決定された答申は一つ」と述べ、通知の「協議会の規約に従ってまとめられた結果」とは、現時点で8月23日に同協議会が育鵬社版を選んだ答申を指す、との見解を示した。通知の理由について森副大臣は、同省が教科書発行者に発注する手続きの中で、各都道府県教委による教科書数の報告期限が、臨時措置法で16日と定められているためだと説明した。

これに対し、県教委側は「(3市町教委の全教育委員でまとめた協議結果が)われわれの採択であると認識している」との見解を示している。全教育委員は8日に東京書籍版を採択した。森副大臣の見解と県教委側の現状認識には隔たりがある。県教委は16日、文科省に通知の解釈について問い合わせる考えだ。大城浩教育長は15日、報道陣に対し「さまざまな対応が迫られている。会見で報告したい」と答えるにとどめた。

同省政務三役の1人は「期限前日に文科省として報告するよう伝えた。それ以上でも以下でもない」とし、県教委に対する法的強制力や、通知に応じなかった場合の罰則はないとの見方を示した。また同省は県の報告が16日を過ぎても、教科書の無償給付は可能としている。

育鵬社はかつて「新しい歴史教科書をつくる会」と協力した扶桑社(東京)の教科書を継承する子会社。同社の公民教科書をめぐっては、沖縄の米軍基地負担に関する記述が少ないなどとして地元教員から懸念する声が出ていた。

八重山教科書:3教育委員長「協議有効」

八重山地区の中学校公民教科書の採択問題で、育鵬社版を不採択とした3市町の教育委員による協議を国が無効視していることを受け、同地区の3教育委員長が連名で16日、協議の有効性を訴える要請文を文部科学省と県教委に送付する。

石垣市の仲本英立、竹富町の竹盛洋一、与那国町の入慶田本朝政の3委員長が15日までに決定した。仲本委員長は「協議が有効だったということをアピールしたい」と述べた。

要請文では8日の同協議を「臨時教育委員会」と位置付け、公民教科書は採決の結果、東京書籍版を採択したと明記。3市町の統一教科書であることを認めるよう要望している。

一方、同市の玉津博克、与那国町の崎原用能両教育長がそれぞれ9日までに国と県へ送付した、協議の無効を訴える文書は「教育委員会の議を経ておらず、公務文書としての機能を有しない」と指摘している。要請文は竹富町教委から送付される。宛先は文部科学省教科書課課長と県の大城浩教育長。

八重山教科書:文科省通知 あいまい表現に混乱

“結果”とは、何を指すのか―。八重山地区の中学公民教科書採択問題で、15日に文部科学省から届いた「通知」の意図をめぐり、県教育委員会や八重山の関係者に困惑が広がっている。。約3時間も県教委の一室にこもった担当者らは、「(文科省の)真意が分からない」と首をかしげる。地元八重山も「採択権は委員会にあるのに」と同省の真意を測りかねている。

県教委の大城浩教育長と担当者らは通知を受けた同日午後3時ごろから会議室で協議に入った。夕方近くまで慌ただしく職員らが出入りした。廊下で報道陣に囲まれた県の大城教育長は「さまざまな対応が迫られている。対応は16日の会見を持って皆さんに伝えたい。すべてを報告します」と硬い表情で話した。

竹富町の竹盛洋一教育委員長は「八重山採択地区協議会には教科書を読んでいない委員もいた。(通知は)何が言いたいのか、よく分からない」。石垣市の仲本英立教育委員長は「採択権は委員会にある。国は中立・公平といいながら越権だ」と懸念した。他方、育鵬社版を採択した与那国町の崎原用能教育長は「当然の話。文科省は正しい指導をした」と喜ぶ。協議会会長の玉津博克石垣市教育長はコメントを避けた。

国会では県選出、出身議員が正午から初の会合を持った。特定の教科書を後押しする政治介入との指摘を警戒し、会合の名目は「情報交換」。出欠も取らず、県東京事務所の職員の入室も認めなかった。会合では「13人全員による協議が無効とする文部科学省の根拠について確認すべきだ」との意見が上がった。

瑞慶覧長敏衆院議員(民主)は会合終了後に同省に直行し、森裕子副大臣と面会。「石垣、与那国の両教育長は協議無効を主張するが、両市町の教育委員長は協議を認めている」と指摘、森氏は「分かりました」と述べるにとどめた。
国会議員8人中、下地幹郎衆院議員(国民新)は別日程、島尻安伊子参院議員(自民)は本会議出席を理由に参加していない。

9月15日 沖


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