この世で、「奇跡はそうは起こらぬが、奇跡的な出来事はたびたび起こる」、誰が言ったか知らないが、私は結構この言葉が気に入っている。
昨日の、大相撲で横綱稀勢の里が大逆転の優勝劇を演じ多くの相撲ファンを興奮させた。
横綱白鳳が早々と休場し、他の2横綱も優勝争いから脱落し、12日目までほぼ完ぺきな横綱相撲で12連勝と白星を伸ばした、新横綱稀勢の里の優勝を殆んどのファンが確信していた。
ところが、13日目に優勝争いから脱落した横綱日馬富士の凄まじい反撃にあい、手痛い一敗を喫した。
その際、土俵から激しく転落した稀勢の里は左肩を強打し、激痛に顔を歪めた。誰もが翌日からの休場を予測した。しかし、大方の予測に反し出場した稀勢の里関は左腕をかばい、全く相撲にもならないほどの完敗を喫してしまったのである。
その瞬間、誰もが大関照ノ富士の優勝を確信した。稀勢の里が優勝するには、千秋楽には本割で照ノ富士を下し、更に優勝決定戦でも照ノ富士を下さなければならないが、怪我の状況を考えるとそれは、全くの不可能にしか思えなかった。
ところが、全ての相撲ファンの予想を覆し、稀勢の里は本割と優勝決定戦と立て続けに照ノ富士を下し二度目の優勝を飾ったのである。
翌日の新聞には、「涙の逆転優勝」とか、「奇跡の逆転優勝」と報道された。
優勝インタビューで本人は、「自分の力以上のものが、最後は出た」「何か、別の力が働いた15日間だった」と喜びを語った。
文字どうり、「奇跡的な出来事が、起きたのである」。
一方、今世間を騒がせている森友学園問題だが、政府自民党は早期の幕引きを画策するのみで、疑惑隠しに必死の状況である。言いつくろいをすればするほど、不自然な事実が出るばかりで一向に収束の気配は見えない。
疑惑のもう一方の当事者の、籠倉理事長が今回の大幅値下げでの国有地の払い下げや、急転直下の認可許可には「何かわからないが、何かの大きな力が働いた」とか、「神風が吹いた」と思ったと供述している。
梯子を外した張本人と名指しされた、松井大阪府知事は今回の件は、明かに「政府の親切なおもんばかり」、所謂「忖度」があったと明言している。
二人の証言をつなぎ合わせれば、官僚の親切な「忖度」が今回の強力な神風を呼び起こしたことになるのだろう。
そして、金銭授受の影がほとんど見えない今回の財務官僚と大阪府の親切なおもんばかりや忖度の出発点は、やはり純粋無垢な安倍総理大臣夫人の存在が大きくクローズアップされてくるのだろうか。
同じ、「なんか見えない大きな力」でも、稀勢の里が感じたそれと籠池理事長が感じた「なんか見えない大きな力」は全くの別物のような気がするのだが。