岩切天平の甍

親愛なる友へ

spoonfulriver

2008年05月02日 | Weblog

イースト・ビレッジのアンソロジー・フイルム・アーカイヴスで、写真旅人トヨダヒトシによるスライドショーの初日。

新作のタイトルは“spoonfulriver”

“From the sky, we can see many rivers flow winding through the landscape.
It seems easier if they ran straight. However, I've heard that
if the river did run straight, both the life of the rivers and the land around them
would be damaged.
There is a reason for them to run that way.

上空から見ると、どの河も曲がりくねって流れていた。
まっすぐに流れた方がすみやかに流れられそうなものなのに。
しかし流れを正すと、河も土地も死んでしまうと聞いた。
河の蛇行には理由があった。” <spoonfulriverより>

写真は旅人がホオズキの種を蒔くところから始まる。
旅先で出会う、旧友に再会する、愛する家族を思う・・。
遠回りのようにも見えるひとの生き方を川の流れに重ねるように描く。
まっすぐに生きようとすると人も街も死んでしまう・・。

そして一年が経ち、花開き、実ったホオズキの種を手のひらに取ると、そこに紛れたいびつな種を見つめてトヨダはつぶやく。

「even if a wish can not be fullfilled . . .
たとえ、想いを成し遂げられなかったとしても・・・」





フレッシュマン

2008年05月01日 | Weblog

おはよう日本の生中継コーナー、今日はトレンドの先端として注目を浴びているブルックリンのダンボ地区にあるギャラリーから。かつてのソーホーのように、アーティストがアトリエにする安いスペースを求めて倉庫街に集まっている。ソーホーは家賃の高騰ではるか昔に高級ブティック街と化してしまった。

このギャラリー、地下に十個余の部屋(一部屋二十畳位?)があって、作品のクオリティを認められたアーティストに一年間タダで使わせる。さらに認められると上階の素晴らしいギャラリーで個展も開けるという、若手にチャンスを開いている場所だ。

で、我々の中継チームも今日は若手、初のディレクター経験のSさんが船頭だ。「すいません、すいません」と連発しながら百戦錬磨のスタッフ相手に奮闘している。

演出家も技術者もベテランと呼ばれるようになって来ると一定以上のクオリティの安定した仕事をしてくれる安心感はあるが、ともするとクリシェに陥り易く、経験は浅くても情熱一杯の若手の方が良い結果を出す事も少なくない。その上ベテランとなると、意見してくれる人も自分で省みる事も難しくなって来るので、よほど気を付けないと程無く若手に取って代わられることになる。

けんけんがくがく、「そんなん無理じゃないのー?」と冷たいスタッフ(僕も含む)に「ハイ、すいません、でもあたしやりたいんです!」と食い下がるSさんに、思わず嬉しくなる。
本番二分前までコメントの手直しをして、なんとか無事終了。
Sさんは米つきバッタのように「ありがとうございます、ありがとうございます。」と皆に頭を下げて回っている。

初めてのディレクター。きっと彼女は今日の事は一生忘れないだろう。
そんな想い出に参加させてもらって、こっちこそありがとうだ。