岩切天平の甍

親愛なる友へ

フレッシュマン

2008年05月01日 | Weblog

おはよう日本の生中継コーナー、今日はトレンドの先端として注目を浴びているブルックリンのダンボ地区にあるギャラリーから。かつてのソーホーのように、アーティストがアトリエにする安いスペースを求めて倉庫街に集まっている。ソーホーは家賃の高騰ではるか昔に高級ブティック街と化してしまった。

このギャラリー、地下に十個余の部屋(一部屋二十畳位?)があって、作品のクオリティを認められたアーティストに一年間タダで使わせる。さらに認められると上階の素晴らしいギャラリーで個展も開けるという、若手にチャンスを開いている場所だ。

で、我々の中継チームも今日は若手、初のディレクター経験のSさんが船頭だ。「すいません、すいません」と連発しながら百戦錬磨のスタッフ相手に奮闘している。

演出家も技術者もベテランと呼ばれるようになって来ると一定以上のクオリティの安定した仕事をしてくれる安心感はあるが、ともするとクリシェに陥り易く、経験は浅くても情熱一杯の若手の方が良い結果を出す事も少なくない。その上ベテランとなると、意見してくれる人も自分で省みる事も難しくなって来るので、よほど気を付けないと程無く若手に取って代わられることになる。

けんけんがくがく、「そんなん無理じゃないのー?」と冷たいスタッフ(僕も含む)に「ハイ、すいません、でもあたしやりたいんです!」と食い下がるSさんに、思わず嬉しくなる。
本番二分前までコメントの手直しをして、なんとか無事終了。
Sさんは米つきバッタのように「ありがとうございます、ありがとうございます。」と皆に頭を下げて回っている。

初めてのディレクター。きっと彼女は今日の事は一生忘れないだろう。
そんな想い出に参加させてもらって、こっちこそありがとうだ。