岩切天平の甍

親愛なる友へ

養護学校で

2007年02月06日 | Weblog

AABC(アロステリックアミノ酸・・・)と言う非常にケースの少ない、重度の障害者の取材に行きました。
七歳の女の子で、起きた姿勢を保つ事も、意思の表現をすることもできません。栄養はチューブを通して補給しています。今のところ対処法は発見されておらず、前例では、短い生涯を送る人が多いのだそうです。
今日は障害者のための養護学校で、リハビリを受けているところの撮影でした。
彼女は意識も意思もあり、声を発したり、目を動かしたり、涙を流したりする事はできます。(子供の涙ってなんてきれいなんでしょう。)先生達の真摯で粘り強い助けを借りて、イエス、ノーを伝えたり、少しづつ自分の体を自分で動かす訓練を続けています。
みんなでなんとか小さな命をともし続けようと、そしてまた周りの人々も彼女によって生かされている、といった印象を持ちました。

帰り道の車中で、撮影スタッフと「もし、自分に子供が出来て、羊水検査でダウン症だと分かったらどうする?」という話になった。「うちのカミさんは、生めないだろうって言ってたな。」「でも、おなかの中に命を感じたら、どうなるかわからないよね。」・・・もちろん結論など出ない。
何も出来ないけど、この仕事にかかわれた事にとても感謝した。
ただ、どうして別れる前に「君の悲しみと喜びが、少しわかったよ」と、彼女の手を握って伝える事をしなかったのかと後悔した。 
暖かい手が、どれほど大切な事だったか。             

(文と写真は関係ありません)

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