岩切天平の甍

親愛なる友へ

放浪の旅2

2008年03月11日 | Weblog

中国残留モンゴル人の村に温泉があった。男湯と女湯の間で馬の鳴き声のような声をかけて会話している。
さすが騎馬民族と感心・・。

M君が絵描きだと知ったモンゴル人、床下から仏絵を出して来て、これを写してくれと言う。中国当局の弾圧を恐れて隠し持った仏絵、ぼろぼろになっている。

「僕、仏教徒じゃないですけど。」と言うも、「問題ないから。」と次々と村中の家から持ち込まれ、三日間かけて複写した。
もうすぐお坊さんの一行が来るからおはらいをしてもらって、この絵に魂をいれるのだと言う。
「来年には新しいお寺が出来るからそしたらそこに絵を描いてください。」


二十五歳のM君、絵の具をしょって世界放浪の旅。

「ちゃんと仕事につきなさい。」
家族は揃って反対する。
「絵の勉強をしたからこれが僕の仕事なんだ。」

その中で父さんだけが、
「人生っていうのは思っているよりずっと短いものなんだ。
だからやりたい事は出来る時にやっておくといい。」
って言ってくれたんだよ。