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セナが残したもの

2006-05-01 23:50:18 | セナ部
(昨日の続きです。セナの事故について具体的に書きました。目を通したくない方は読まないでくださいね)

そんな思いから、私自身、事故の真相そのものについては避けてきたところがあったのですが、長いような短いような、でもそれでも確実に年月が経ち、やっと事故原因等に目を通すことができました。

その中に、セナのマシンから発せられ残っていたデータがありました。
走行中のマシンは、全データが無線で常に記録されており、セナのマシンも同様にそのテレメトリーのデータが残っていました。(マシンの時速をはじめ、いつブレーキをかけてアクセルを踏んで・・・など、いろんなことがコンピューターに残っています)

事故の原因は、ステアリング(=ハンドル)シャフトの破損ではないかと言われています。テレメトリーデータにも明白にステアリングの異常が示されていました。そしてデータの数本の折れ線グラフは、セナの最後の行動の真実も物語っていたのです。

最期になってしまったタンブレロコーナーに入ったとき、セナの車は6速、310km/h出ていました。
その0.3秒後、異常を示唆する最初のデータがステアリングホイールの油圧から発せられており、その瞬間セナはこの油圧異常に対してとっさにアクセルを半分戻しています。(高速でイッキに全部戻すと、スピンを起こしてしまうため)
けれど、その0.2秒後に尋常でない異常に気付いたセナは、アクセルから完全に足を離し、フルブレーキングをかけ、コンクリートウォールへの激突を避けるため、効かないハンドルを切ったのです。
けれど、コントロールが効かなくなったマシンは、セナを乗せたままコンクリートウォールへ。コーナーに入って1.8秒後に、時速210kmでコーナーの壁に激突したのです。

当時、ニュースで繰り返し流れていたセナ最後の映像。あれ以来一度も見ることはできていませんが、私の脳裏に焼きついています。抗しがたい力で悪魔の手にすくわれるようにタンブレロに消えてしまったセナ。

けれどセナは最後まであきらめていなかったのです。
事故原因は推定であり(裁判では決定的な事故原因が認められず、事故原因そのものがわからないままとなっています)、他にもいろんな要因が重なり悲劇が起こってしまったのだろうけど、大事なことは。。

決してセナ自身が引き起こしたミスではなかったこと。そしてセナはあきらめてなんかいなかったこと。

眼前に迫り来る壁を前に、セナは最後の手段としてさらにブレーキをかけ、コンクリートウォールの数メートル手前でギヤのシフトダウンも試みていたのです。
コーナーに進入し、異常を感じてから激突までのわずか1.8秒の間に、100km/hも減速していたセナ。

この事実は、まさしく、熱い情熱と魂と人生をレースに捧げたセナが、最後の1.8秒の間に残した、生への証ではないかと思うのです。

 “Racing is in my blood.
  It’s part of me,part of my life.
  I’ve been doing it all my life.
  Each rase in past is more than anything else.”

            ~Ayrton Senna da Silva