ギリギリ探偵白書・40


 ギリギリ探偵白書


 その日、私が調査を終え、事務所に戻ると
 あべちゃんがパソコンの前で爆睡していた。
 その横で田中も口を大きく開け寝ていた。

 (なんだ?眠い眠い病、大流行か?)

 とりあえず、田中の開いている口に、水を流しこんでみる。


田中   「コ、コッ、コホ!!ブホッげほっ!!・・っ!」  

サザビー 「おはよう、大丈夫か?」

田中   「大丈夫かじゃないでしょ!殺す気ですかぁ!」

サザビー 「気にするな、冗談だよ」

田中   「冗談じゃ済まないでしょっ!」

サザビー 「大袈裟だなぁ、お~い、あべちゃん起きろぉ」

阿部   「・・・はっ!もう、大丈夫ですよ・・・ぐぅ」

 (・・・・・何が?)

田中   「サザビーさん、僕にまかせてください」


 田中は、ニヤッと笑った。
 手にはミネラルウォーターを持っている。


サザビー 「ま、まさか・・」

田中   「仕事中に居眠りなんて、けしからんですよ」

 (え、自分は棚に上げっぱなし?)

 田中は音を立てないようにあべちゃんに近づいていった。
 そして、ペットボトルのフタを開け、いよいよ!
 と言うところで私の携帯がなった。 
 あべちゃんは、その音に目を開いた。固まる田中!

阿部   「貴様、何してる!!」

田中   「キャーーー」

 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
 
阿部   「じゃ、サザビー、俺は一旦帰るわ、あと頼むな」

サザビー 「オウ了解」

阿部   「それからブタ君、ちゃんと仕事しろよ」

田中   「はい、ばんばびばす・・・」


 あべちゃんは事務所を去った。


田中   「まったくエライ目に会いましたよ」

サザビー 「はは、災難だったな、桃鉄でもやるか?」

田中   「いや、用心した方が良いですよ、敵を侮っては
      いけません。出ていったフリをして、
      まだ、その辺にいるんですよ」

サザビー 「んなこたねぇだろ」

田中   「あ、サザビーさん、また僕を陥れようって気ですね?」

サザビー 「陥れるって、俺がそんな事すると思うか?」

田中   「思います!!」

 (即答!!キッパリ!!人望皆無) 

 それから、パタパタとお仕事をしていると、電話がなった。
 田中がヨソ行きの声で出る。

田中   「えっ!今からですか?」

田中   「ちょ、ちょっと、おち、落ち着きましょ」

田中   「わかります、わかりますです」

田中   「今、確認しますので・・・」


 田中は、紙に「今日これからOK?」と書いて私に見せる。
 私は、OKのポーズ。


田中   「では、これから伺いますので」


 田中は、相手の住所などを聞いている。
 住所は、山形県となっている。

 (ん・・・?これから?伺う?)


田中   「サザビーさん、行きましょう」

サザビー 「どこに?」

田中   「どこって、山形ですよ」

サザビー 「またぁ・・・マジで?」

田中   「オフコース!」


 電話は、娘を探してほしいとの事だった。
 依頼者の娘は、夏休みを利用し東京の友達のところへ遊びに行った。
 それが、一週間前。

 予定では、二泊し帰ってくる筈だった。
 しかし、娘からの電話で、もう少し滞在するとの事だった。

 それから、しばらくして娘のケータイが繋がらなくなった。
 おかしいと思い、友達のところへ連絡を取った。
 これが、2日前。

 東京の友達は、娘とは2日前に渋谷で別れたと言った。
 依頼者は次の日に警察に行った。
 
 依頼者の家に着いた我々は一通り話を聞いた後
 彼女の部屋を見せてもらう事にした。 


サザビー 「ま、何も無いか・・・」

田中   「計画的では無かったのかもしれませんね」

サザビー 「○○さん、娘さんの写真ありますか?」

依頼者  「はい、携帯で撮った奴ですが・・・」

サザビー 「構いません、ここに送ってもらえます?」

依頼者  「はあ」


 私は、あべちゃんに電話を入れ、事情を説明した。
 とりあえず、休日を返上させ働いてもらう。

 依頼者の「自分も週末には東京に行きますから」
 という言葉を背に我々は急いで東京に戻った。

 東京に戻った時には、わたぼんが渋谷の街に出ていた。
 さらに、あべちゃんは、いろんな所へ電話をかけていた。


阿部   「おう、ごくろうさん」

サザビー 「見つかった?」

阿部   「そんなすぐに見つかるかいっ!!」

サザビー 「ピシッと見つけてくれよ」

阿部   「まだ渋谷辺りにいるとすれば、近い内に見つかるかもな」

サザビー 「深夜にうろついてれば、警察が捕獲すんだろ」

阿部   「ああ、でも今まで、それが無いからな」

田中   「誰かの家に転がり込んでるんですかね?」

阿部   「お小遣いくれる奴は沢山いるからな」

田中   「でもケータイ繋がらないみたいですよ」

阿部   「いや、俺がかけたら繋がったよ、出なかったけど」

田中   「本当ですか?」

阿部   「1、2週間でひょっこり帰るんじゃないかな」


 それから、2日後、あるホテルの受付から、
 写真の娘に似た女の子を見たと連絡が入った。
 まだ、渋谷の街に居る様だ。

 私と田中は、渋谷で聞き込みを続けるわたぼんに合流した。


わたぼん 「こっちは収穫ゼロですわ」

サザビー 「そうか、これからは田中も手伝うから」

田中   「サザビーさんは?」

サザビー 「いいから、あのライオンみたいな頭の奴に聞いてみろよ」

田中   「イヤですよ、いきなり殴りかかってきそうじゃないですか」


 その時、あべちゃんから、電話が入った。


阿部   「おう、今、エクセル(コーヒー屋)にいるんだけど
      ○9(デパート)の前に似てるのがいるんよ、
      急行できるか?」

サザビー 「おう、すぐいくよ、動きあったら連絡くれ」

阿部   「ああ、じゃ、よろぴく」


 ○9の前に到着すると、娘らしき人物はサラリーマン風の男と
 話をしていた。そして、娘らしき人物を先頭に歩きだした。
 どうやら、ホテル街の方へ向かっているようだ。

 ホテル街に入ると人通りも少なくなる。
 ホテルに入る前に依頼者の娘かどうか確認しなければならない。
 と、その時、娘の携帯電話がなった。

 いつのまにか前方から、あべちゃんが歩いてくる。

 (さすが、ホテル街を知り尽くした男)

 あべちゃんは、煙草に火をつけた。
 これは、何かのサインに違いない。
 たぶん、娘の携帯を鳴らしたのは、あべちゃんだ。


サザビー 「田中、一気に行くぞ」

田中   「うす」


 田中が私を追い越し二人に近付く。


田中   「ちょーと待ったぁ!!」


 田中の声に、二人の足が止まる。


田中   「おじさん、なにやってんの?」

おじさん 「なんだアンタは?」

田中   「お前なんかに名乗る筋合いはない!田中だ」

 (名乗るのかよ!!)

おじさん 「なんなんだ、美人局か?ハメようってのか」

阿部   「ハメようとしたのは、アンタでしょ」

サザビー 「フッ、貴様の悪事は全てお見通しよ」

田中   「例え、石原都知事が許しても、この田中様が許さんぞ」


 あっけに取られている男は、ほうっておき、娘に確認する。


阿部   「○○さんですね」

娘    「・・・・・」

阿部   「大丈夫、警察でも悪い人でもないですから」

娘    「なんで私を知っているんですか?」

阿部   「お父さんも心配してますよ」


 その後、依頼者が駆け付け、娘を叱り付けた。
 説教は、何故か、あべちゃんも同席したまま、2時間続いたらしい。

 その時、私は、田中の2時間にもおよぶ男への説教に
 付き合わされていた。  



        完



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


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日本勢スベった!!

浅田真央、2連覇ならず フィギュアGP(共同通信) - goo ニュース

~引用 

 【サンクトペテルブルク(ロシア)16日共同】フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナル最終日は16日、ロシアのサンクトペテルブルクで行われ、女子の浅田真央(愛知・中京大中京高)は合計172・52点で2位に終わり、日本選手初の2連覇を逃した。ショートプログラム(SP)で首位に立った浅田真だが、フリーでは2度転倒するミスが響いて4位にとどまり、ライバルのキム・ヨナ(韓国)に逆転を許した。

村主章枝(avex)が4位、SP2位の安藤美姫(トヨタ自動車)は5位。SP3位のキム・ヨナがフリーでトップの得点を挙げ、合計点を184・20に伸ばした。

男子は高橋大輔(関大)が日本選手過去最高の2位。織田信成(関大)も3位に続き、大会史上初めて表彰台に日本男子2人が立った。

引用~



フィギュアスケートのグランプリファイナル。
最近は、日本人の活躍が目立ち、
表彰台も珍しくなくなっってきました。

このGPファイナルも女子は出場6人中3人が日本人。
男子も5人中2人。

とくに、女子の方は昨年の覇者、浅田真央を筆頭に表彰台独占も
あるのではないかと言われる強力メンバー。

最初のSPでは、浅田真央が1位で安藤美姫が2位。
これで、金メダルは、どちらかだな。とおもったものですが・・・。

結果は、浅田真央の銀が最高。

がっかりですね。
なんか日本人の勝負弱さを垣間見た気が・・・。

ただ、いろいろあったみたいですね。
SPでは、村主を含む3選手のバスが渋滞に巻き込まれて
会場に到着したのが、演技直前だったとか。

フリーでは、浅田・安藤共に体調不良だったとか。


ま、次の大会目指して、頑張って欲しいですね。


一方男子は、高橋・織田が2位3位でしょ。
まあ、最終的に4人しか出てなかったわけですが
素晴らしい成績ですよね。

最近のスポーツの世界は、女子選手の方が有名ですからね。
ここらで、男子にも頑張ってもらわんとね。
次は、どっちかがテッペンに立って欲しいですね。



(代表代理サザビー)

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