ギリギリ探偵白書・35


 ギリギリ探偵白書


それは、情報元へ接触する日からちょうど1ヶ月前の事だ。
同業(調査業)の代表W氏と企業の部長さんのような紳士が
T.I.U.へ、アポなしでやってきた。

その日は、休暇日であり、調査員のほとんどが休みを取っていた。
私(阿部)は事務所の掃除をするため、午前中から事務所へ来ていた。

W氏   「あべちゃん!!いたよ。助かるわ」

阿部   「おおう!!何?厄介事はやらないよ」

W氏   「や、厄介事・・・・そんなんじゃないよ」

紳士風  「あべさん。でよろしいか?」

阿部   「はぁ、私が阿部ですが?なにか?」

W氏   「○○さん。私から話しますよ」


同業のWは、よく厄介事を持ってくる人間で、彼の紹介する案件は
あまりやりたくないのだが・・・。

紳士風の依頼者は、行方不明の娘さんを探していた。
というより、娘さん夫妻を探していた。

まるで、事件に巻き込まれたかのように忽然と姿を消してしまった。
そのため、手掛かりはほぼゼロであった。

通常の情報ルートや調査方法では見つからなかったのだろう。
「難解」と聞いただけで、やる気が出てしまう私は、きっと何かある
と思いつつも、二つ返事で、調査を引き受けてしまった。

これが悪かった・・・。

W氏の調査会社(探偵社)は、真面目なのだが
調査力がとびきり優れているとは言えない。
そのため、私の目算としては、もう一度、通常の調査をやり直すことで
何らかの手掛かりが見つかるのではないかと考えていた。

ところが、結果は同じであった。何も出ない・・・。

こうなると、あとは特殊調査へと移行する。

そして、近所の道路工事の警備員が目撃していた情報が
足掛かりとなり、ある車が浮上した。

その車を調べているうちに、ヤバイ連中の影が見え隠れしていった。

田中   「代表。これって・・・」

阿部   「だな・・・。マイッタなぁ・・。どうするか・・・」

私は考えに考え抜き、ある情報元と接触を試みて
彼らの居場所を突き止めようと決めた。


接触の日、私は朝から妙に落ち着いていた。
・・・・事務所を総勢15名の精鋭で出発し、約3時間。

私は1枚のメモを手にしていた。

そこには、行方不明となった夫婦の居場所がメモしてあった。

2時間後、事務所から所在確認のために待機していた調査チームが
行方不明夫婦の所在を確認し、メールで写真を送ってきた。

私は、その写真を手に紳士風の依頼者に報告した。

その帰り道、私は一人、車内でタバコに火をつけた。

手が震えている・・・。そして安堵感からか突然の睡魔が襲ってきた。
なかば、倒れるように車のシートへ吸い込まれていく。

その時である。
着信音(ダースベイダー登場ミュージック)が車内に流れた。

(うっ、田中だ・・・。)

阿部    「はい、どうした?」

田中    「おっす!!田中です。応援って来れません?」

阿部    「来れません」

田中    「お疲れなのはわかりますが、そこを何とか・・・」

阿部    「何の調査?」

田中    「ストーカーです」

阿部    「どこ?」

田中    「世○谷ですよ」

阿部    「大丈夫だろ。その件のストーカーはモヤシだろ?」

田中    「ええ、モヤシっ子ですよ。僕一人で余裕です!!」

阿部    「あっ、そう。じゃあ、ガンバレよ」

田中    「ちょっと、マッタァ!!!!!」

阿部    「ん、だよ」

田中    「ヤロウはミリタリーオタクで。
       何かいろいろと武器モッテンスよ」

阿部    「ふ~ん。で?」

田中    「夏目さんは、あの後、北陸。
       他の腕自慢は、みーんな帰ちゃったでしょ?
       で、代表しかいないって事ですよ」

(言うようになったな・・・。コイツは・・・。)

阿部    「わかったよ、現地か?」

田中    「はい。ファンタレモン、買っておきますよ」

(そんなのいいから、仕事しなさい!!)

というわけで、私は調査主任となっていた田中担当のストーカー調査の
応援に行く事になってしまった。

(多分、日本の社長の中でハードな生活をしている方に
 入るんじゃないだろうか・・・・オレは・・・)

現地に着くと、身長150センチ、推定体重40キロのモヤシの
ようなストーカーが依頼者自宅の玄関前に立っていた。

何やらゴッツイナイフを手にしている・・・。

(あっちゃー、これはヤバイ・・・。)

私は、マンションの階段を上りながら、武器はないか探していた。

(消火器ぐらいしかないよな・・・・)

廊下に着くと、ストーカーは新聞受けから部屋の中を覗いていた。

そして、田中とサザビーが颯爽と現れた。

ちょうどモヤシストーカーを挟むような形となった。
(私が非常階段側、田中・サザビーがエレベーター側)


田中   「こらっ、○×!!何してるんだ!!」

モヤシ  「んんんんんーーー」

田中   「お前、自分のしてる事がわかってるのか!!」

モヤシ  「んんんん、だっだれだよ」

この時、私は決定的なことに気がついた。
田中とサザビーはモヤシストーカーが
手にしているゴッツイナイフに気がついていない。

しかし、田中はモヤシストーカーに向かっていった。

(マズイ・・・)

阿部   「田中、ナイフだ!!」

田中   「え?うわっ、ヤバッ」

田中は一目散に引き返した。

サザビー 「お前の輝きは一瞬か!!」

モヤシストーカーは、田中の方へ向かっていく。
その時、私の所に「○△ホール」と書かれたパチンコ玉が飛んできた。

廊下には、パチンコ玉が大量に転がっている。

そして、いくつかのパチンコ玉が私の方へも飛んできた。

(チッ、いてぇな・・・なんだこれは・・)

そして、気がつくと、モヤシストーカーがうずくまっていた。

私はサザビーの方を見た。
サザビーは、どこからか持ってきたパチンコ屋さんの
パチンコ玉をモヤシストーカーに投げつけていた。

サザビー 「これがオレの輝きじゃ!!
      お前のせいで、フィーバー逃したんだぞ!!」

モヤシストーカーは、すでにナイフを離していた。

私は、そのナイフを蹴って、遠くへやった。

サザビー 「ざっと、5800円分って所だな」

阿部   「何がだよ!!」

サザビー 「換金したらだよ」

(そんなに投げたのかよ・・・)


その後、モヤシストーカーと一瞬の輝きを放った田中は泣きながら
パチンコ玉を拾っていたそうだ・・。

今でも思い出すと、大変な一日だったなぁと思う、そんな1日だった。



        完



 メールマガジン「ギリギリ探偵白書」の復刻版です。

 ギリギリ探偵白書は、過去に行った調査を本人了承のもと掲載しています。
 尚、調査時期や調査対象者・ご依頼者様の個人情報は本人様の請求以外は開示いたしません。
 また、同作品に登場する人物名は全て仮名です。


 ギリギリ探偵白書の登録はコチラ 
 http://www.mag2.com/m/0000121372.html 

 T.I.U.総合探偵社 

 ランキングです。
 応援お願いします。  → 人気blogランキング
              → にほんブログ村
              → ブログランキングranQ
              → FC2 Blog Ranking
              → ブログの殿堂
              → 日記@BlogRanking
              → ニンキブログ
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )

痴漢事件初公判

「無罪を確信」と植草被告 女子高生への痴漢事件初公判(朝日新聞) - goo ニュース

~引用 

 電車内で女子高校生に痴漢をしたとして、東京都迷惑防止条例違反の罪に問われた元名古屋商科大学大学院教授で経済評論家の植草一秀被告(45)の初公判が6日、東京地裁(神坂尚(しょう)裁判長)であった。植草被告は罪状認否で「天に誓ってそのような行為をしていません。無罪を確信しております」と述べた。

引用~



無罪を確信していると語る植草元教授ですが
確信しているからには、何か証拠でもあるんですかね?

そもそも、本当にやっていないのか?
痴漢は冤罪事件も多いようですからね。

警察官のでっち上げというのもあるようですし
自白するまで家に帰さないとか、
早く帰りたければ、罪を認めろとか。。。

まあ、痴漢をした本人と、痴漢をされた人にしかわからないですし
証拠とかもないでしょうからね。

ただ、植草元教授は、前がありますからね。

天に誓われたぐらいじゃ・・・。


少し探偵と関連付けて言うと
浮気や不倫でも証拠がモノを言うのです。

浮気していないと天に誓っても無駄ですし
メールを見た。と言っても浮気の証拠にはなりませんよ。


さてさて、植草元教授はどうなりますかね?
まあ、有罪でも無罪でも、もう電車には乗らないほうが良いですね。


(代表代理サザビー)

ランキングです。
クリックお願いします。 → 人気blogランキング
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )