つぶつぶタンタン 臼村さおりの物語

身体の健康と無意識のパワーへ 癒しの旅~Have a Beautiful Day.~

【読書】 ドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」、小説の濃縮原液

2020-08-28 02:53:30 | 本の感想/読書日記

ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を読みました。

昨年暮れから世界史を学び直したとき、予備校講師の青木裕司先生が「人類がカラマーゾフの兄弟を超える小説を書くことはない」というようなことをおっしゃっていました。(記憶違いだったらごめんなさい。)
世界史の学び直し― トークで攻略でながら学習 時間たっぷり

いつか読みたいなとおもって、でも長編だし、難しいし、翻訳も古いだろうし、読みたい本はいっぱいあるし、いつ読むかわからないなとおもっていました。

すると今年7月に久しぶりにお会いする形で開催した読書交換会に「カラマーゾフの兄弟」全4冊を持ってきてくださった方がいて、喜んでお持ち帰りさせていただきました。
どうもありがとうございました。
東京読書交換会、久しぶりに皆様にお会いして開催しました

 

いただいたのは岩波新書版でした。今はもう少し現代的な翻訳があるらしいです。ただ個人的にはこの岩波新書版も楽しんで読めました。

そして、うん青木先生のおっしゃるとおり、すばらしかった。人間がとてもよく描かれている。

ひとつひとつの動きや心の現れ方が誇張して描かれていて、それゆえ人間がよく引き立っている。書き方によってはしつこいなとなってしまうのかもだけど、なんというかこの「カラマーゾフの兄弟」についてはそんなことはまったくなかった。

人の心情を表す言葉はシンブルなのだけど、その感情ゆえにとる一挙手一投足や極端な行動の描写が細かく、人物がいきいきとしてくる。


「カラマーゾフの兄弟」は、ロシアを舞台にした物語で、主人公はカラマーゾフ兄弟です。内容は割愛します。なんかどういう書き方をすればネタバレにならず、かつ面白いとおもってもらえるのかわかりません。

岩波新書版だと全4冊で、最後の1冊に山場が来て、でもいま振り返るとその前の3冊の細部もすばらしく、ひょっとしたら読むタイミングや人によって、この4冊のなかでどこに惹かれるかは異なるんだろうなとおもいました。

実際、あたしが赦しついて考えたのは、1冊目か2冊目だった気がします。
「ごめんなさい」の反対について考えてみた ゆるされていること


すばらしい小説でした。なんというか現代の小説すべての濃縮原液のような小説で、ギュッと何物語分も結晶がある感じがしました。本を読むことができる時間は無限ではなく、だからひょっとしたらこういう濃い小説を読むことに焦点を当てたほうがよいのかもしれないとさえおもわせられました。

とはいえとっかかりにくい小説でした。まず歴史の授業でかつて習った小説は、とても貧しい感性だとは自分でもおもうのですが、お勉強だからつまらないという意識が染みついてしまっていました。だから自由な時間にエンタメとして読むという発想がなかった。

「カラマーゾフの兄弟」をエンタメとして読みたくなったのは、本を譲ってもらったという直接的な意味だけではなく、「カラマーゾフの兄弟」を読もうとおもえるほど読書をするようになったという意味においても、東京読書交換会のおかげです。

東京読書交換会のおかげで昔のように本を読むようになったなあとおもっていたけれど、気づけばその段階を通り越して、今人生において一番読書好きな気がします。
あ、でも子どもの頃はもっと本好きだったかなあ。あの何を読んでもワクワクする感じ。

現在銀座で絵を展示させてもらっているTo Victory展にお運びくださる方が、同じくドストエフスキーの「罪と罰」をプレゼントしてくれるとのことで、楽しみにしています。
銀座「To Victory」、新作を含む5点を展示しております

次は、読みたい本がいっぱいあるからすぐにじゃないかもだけど、「罪と罰」を読むのだ。

どうもありがとうございました。


東京読書交換会を開催しています。池袋で本を持ち寄ってお互いの本を交換したり、オンラインで読書経験を交換したりする会です。
東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は2020年9月4日(金)夜・オンライン、9月29日(土)夜・池袋です。

臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。


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