にし茶屋街の喫茶店の脇道は緩やかな傾斜の下りになっている。坂から平地に変わる辺りに「いしさか2のはし」がある。「泉用水」を跨ぐ小さくて短い橋で、これを渡った所が石坂遊廓跡になる。石坂の地元での読み方は「いっさか」だ。

スナックやスタンドの看板が出ている界隈は増泉町*丁目にあたり、昼間でも不気味だ。よどんだ空気にドロドロとした情念のようなものを感じる。金沢は戦災を受けていないのでここには遊廓・赤線時代の建物が残っている。その数は富山、高岡両市とは比較にならないほど多い。

開発から取り残された一角で風俗営業小料理店というプレートを発見した。赤線廃業後は民家として使用しているのがほとんどであろう。こういう曖昧な表現をしたのは、この町の一部で昔と同じ商売が行われているからである。

