うつくしき川は流れたり
そのほとりに我は住みぬ
春は春、なつはなつの
花つける堤に座りて
こまやけき本のなさけと愛とを知りぬ
いまもその川ながれ
美しき微風ととも
蒼き波たたへたり
詩集「抒情小曲集」
「犀川」
犀川の穏やかな流れに眼を向けた。川の向こうには料理屋がたくさん建ち並んでいる。川沿いを散歩する人、ウォーキングする人、河川敷に座って読書する人。それぞれが楽しい一時を過ごしているのがわかる。

犀川は男川という別名を持つ。これは増水して荒れ狂う様を形容したものだろうか。実際、大正11年の犀川大橋流失、昭和36年9月の第二室戸台風による堤防決壊などの大水害を周辺にもたらしている。
私は青い犀川大橋を目指して足を進めた。川面がきらきらと輝き眩しいほどだ。橋を渡った先が野町、千日町である。

