
(“炎の朱雀”フォーゴ:炎の意。ブラジル/サンベネジット川)
2008年の8月から、僕は3カ月間アマゾン河を旅した。
ハッキリ識別できるだけで71種類の魚を手にしたけれど、
最も「美しい」と感じた魚が、この「ツクナレ・フォーゴ」だった。
「ツクナレ」とは、一般にピーコック・バスと呼ばれる魚の現地名で、
「フォーゴ(Fogo)」とは、現地ポルトガル語で「炎」を意味する。
学名は、一応、
Cichla mirianae とされている(
参考HP)。
さてさて、このフォーゴ。生息域はごく限られるものの、
タイマスーロッジなど整備された釣り宿のおかげで、
手にすること自体は難しい魚ではない。
僕は知人の紹介で、4日間釣りをさせてもらえることになったのだ――。
「パカーン!!」
炸裂音を轟かせ、ルアーが水中に沈んだ。
まるでいきなり、水に火がついたように見えた。
ガソリンに、マッチを放り投げたかのように。
鳥や動物が鳴き声がこだまし、かつ、限りなく静か。
……そんな矛盾した“静”の空間に、突如生まれた“動”。
緑の森、空の青、それとは明らかに異質の、赤いエネルギー。
飛び散るしぶき1粒ひと粒までが、赤く見えるほど……。
……ある旅人が、いつかこんなことを言っていたのを思い出す。
「バス釣りが人気なのは、比較と自慢ができるからでしょ?」、と。
分かる気がする。技術と経験を駆使し、対象魚を征服する感覚。
やっぱり闘争心と向上心が、人間の原点だと思うから。
だからきっと、僕は海外釣行すらも自力開拓にこだわるんだろう。
一方で、
比較を通してではない、瞬発的な価値観の存在。
タイマスーロッジでの日々、フォーゴに感じた、
釣れば釣るほど、自分がちっぽけなものに感じていく感覚。
圧倒的なものに対して、あきらめるという気持ちよさ。
釣った瞬間「負けた」という感覚、「許された」という感覚―――。
それもまた、とても貴重な経験だと思った。
僕がこうしてブログを書いたところで、
現実的に、みんながみんな海外に行けるわけじゃないのは承知。
ただ、こういう世界があり、同じ時間軸に存在している。
それを意識できるかどうかで、何かが変わってくると思うから。
……計算してみると現段階で海外22カ国、総滞在日時は442日。
膨大すぎてWEB上ではまとめ切れる自信がないので、
こうやって、1種1種に絞って綴っていこうと思います。

(写真右下、群がってくる小魚こそが、アマゾンなのかもね)
Terget&Tackle Deta:
フォーゴに関しては、中型種のツクナレなので大きさというより、
発色がいい魚(産卵が絡んでるんだと思う)狙いでした。
日本のプリスポーンのバスをイメージした場所と釣り。つまり止水。
止水でのツクナレ釣りの印象は、アスー種の時に詳しく語ってみます。
Rod/Lure:F7-76RDti WhitePython/XPOD (
Megabass)
Reel:SPEED MASTER (Shimano)
Line/Ring:Avani MaxPowerGT 70lb&90lb/Power Ring 80lb~150lb(
Morris)
Hook:Cultiva STINGER TREBLE ST-66 (OWNER)
Other:SuperSnap♯4(WaterLand)+Wylon♯37ss43kg(TAIYO)
<備考>アマゾンのルアー釣りでは、このセッティングのみで通しました。
初めてのアマゾン、膨大な対象魚、持って行ける荷物に限りがある中で、
「これがいいよ」ではなく「これならまず大丈夫でしょ」という考え方。
竿は長くて固ければいい、糸は太ければいい、リールは早ければいい、
リンキンパーツは強ければいい、という究極の“大は小を兼ねる”思想。
あとは手首、ヒジ、ヒザと、自分の関節で“落として”いけばいいじゃん?
「物理的に歯が立ちませんでした~」ってのが一番嫌だもの(笑)