
(「あの黒い竿は何?」・・・いよいよ、情報解禁開始!)
今日は『MZ-7』の話。
開発の萌芽は、ごくシンプルに、
「既存のディアモン(仕舞50cm統一)より、
より短く収納できる竿が欲しい!」だった。
なぜ、より短い仕舞寸のディアモンに必要を感じたか、
それだけで1記事になるので、またいずれまとめるけど、
伝えたい優先順位は、そこじゃない。

(単純に、機内持ち込み可能サイズ、キャスター含め長編55cm、
内寸で50cm以下になるスーツケースに、縦に綺麗に入れたかったのよね)
何より伝えたいのは、
「細かく繋いだ結果・・・
とんでもない竿ができたぞ!」
ってこと。
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(2019年春に上がってきたファーストプロト。
ガイドは、既存の「X」や「V」と比較できるよう、
まずはダブルラッピングで作ってみた。
ティップセクションからだんだん長くなる・・・
“段差レングス”は、「Z」の構想、その最初期からの構造)
ファーストプロトが届いた時、
繋いでみて、魚を釣るまでもなくビビッときた。
よりコンパクトに仕舞える方が、
持ち運びに便利というのは当たり前として、
語りたいのは“繋いだ後”の話。

(まずは身近なバスで、ひょい! 2019年春、まだ肌寒い時期のこと)

(能登島のベッコウゾイ、ライトテキサスで、ひょい!)
「極端に、操作系の釣りに相性がいい」
具体的に、ワームの操作性、
ロックフィッシュなんかの釣りに相当適性が高い。
「細かく継いで重く、ダルくなるかと思えば・・・逆だ。
既存のディアモンを超える・・・いや、
仕上げ方次第でワンピースロッド超えちゃうぞ!」
簡単に言っちゃえば、“ビックテーパー”の最終形態。
この個性を伸ばすためには・・・。
同時並行して『HUNTERS』(税込3万円代シリーズ)を作っていたことも、
決断を後押しした。
「値段には、死んでもらおう!笑」
代わりにこの個性を、限界まで伸ばしてやる!

(そして、2年の歳月をかけ、このように行き着いた。
従来のディアモンは、ティップはガイドを4つ乗せてたけど、
40cm以下で無理なく配置(特に第2セクション)すべく3つにしたため、
ティップ周辺ではブランクは40cmより更に短くなった。
「必ずティップ側端にガイドを配置する」という、
そんな“ディアモンルール”故の必然からスタートした“段差レングス”は、
結果的に、1本のロッドとして想像を超えた高性能を獲得するに至った。
必要のないものがなくなった時が完成……
最終的にバットセクションだけ、“ディアモンルール”限定解除でガイド無し。
12月中旬より受注開始予定。 詳細スペックはコチラで)
『MZ-7』
究極、終着点を意図する「Z」。
ブランクに関して、素材も製法も、
現時点のラインナップで「X」や「V」で最高の素材を最上の技術で仕上げている。
セクションによりカーボンシートの素材やレイヤー数、形状、重ね角度を
狙い所に応じて最適化しているのは、
何も今に始まった事で無く、2012年のディアモンデビュー時から。
「1つの究極は1ピースロッド。
ただ、1ピースロッドとは逆ベクトル、
マルチピースだからこそ作れる
究極のロッドを追求する!」
と言うことは、
やがて10年前から言い続け、世に送り出し続けてきたことだ。
ブランク製法に関しては、
ある意味、最初から終点にきている。
最適化のための「調整」はあっても、「修正」すべき部分は見当たらない。
既に完成の域にある製法で、
その「構成」だけ変えた。
“段差レングス”で作った。
結果、特にティップ付近の繊細さが際立ち、
低負荷時での使用感は先調子、“新しいディアモン”が顔を見せた一方、
魚とのファイトやキャストなど高負荷時は“いつものディアモン”。
ぶっ飛ばし、魚を浮かせ、バラさない……
長年ご愛顧いただく“らしさ”は、そのまま残っている。
いわゆる“パラボリック(可変)アクション”というやつだ。
先調子という“新しいディアモン”の表情、
「Z」個性を、より伸ばすために。
試行錯誤の余地がより多く残っているのは、ガイドセッティングだ。
総合力のステン&SiCガイドの「X」
操作性(感度)重視のチタン&トルザイトガイドの「V」・・・
ガイドの選択肢の追求は、行き着くところまで来ている。
やっていないことは“巻き方”の試行錯誤、
「シングルラッピング」の導入だった。
こだわり続けてきた「ダブルラッピング」(強度重視)の追求を、
一度クールダウンしてみること。
従来のダブルラッピングですらも
「ディアモンは、
“マルチピースロッドとしては”感度がいいね」
と評価いただいたことも多かった。
「ありがとうございます!」と口では言いつつ・・・
「いや、まだ全然“本気”出してないっすから!」と心では思っていた(笑)
一般的なバスロッドのように、シングルラッピング製法にすれば、
“既に持っていた”感度特性、
余力を残してなお評価いただいていた部分が、
鮮やかに浮かび上がってくる。
(なんならシングルフットガイドにすれば、もっと際立つが……まだやらない)
「“マルチピースロッドとしては”・・・なんて、ね(笑)
感度の本質は、そこじゃないんだけどな〜。
んなら、そろそろ“本気”(の片鱗)
見せちゃってもいいかな?」
と思った。
こんな長いブログを読んでくれている方だからこそ信頼して話しますが……
アジングロッドくらいにまでになれば別だけど、
1オンス投げるようなバスロッドクラスの肉厚のブランクに関して、
感度特性はブランクよりもガイドセッティングの影響が大きい。
しょーもないブランクでも、ガイドを小さく軽くするだけで、全然違う。
ネット記事なんかでよく見かける、過去の固定観念(マルチだからダルい)なんかは、
実際自分でガイドを交換して比較検討したうえででもない限り、
極論、この「Z」に触れないで物知り顔で話すのは、
事実ではない情報を発信することになるかと(笑)
シングルラッピンングへの検証は、
実は「Z」より前、2018年から色々やってるのだけど、
それもそれで1記事になってしまうので、またいずれ。

(ごく簡単に。数年前からチラ出ししてきた“黒いディアモン”全てが、
シングルラッピングのサンプル。「Z」とはまた別のテストモデルも混じる。
2018年夏のロシアあたりから旅に導入し、検証している)
「シングルラッピング」・・・今のところ3年耐久テストして、
現時点の結論を簡潔に言うと、
「ディアモンのブランクなら、
シングルラッピングでも必要十分」だった。
理論上、もちろんダブルラッピングの方がロッドに優しい。
弱いブランクだと、確かに、ダブルフットの方がもつだろう……が、知らね。
少なくとも、ディアモンなら、
シングルラッピングでも大丈夫。
一方で「ダブル“フット”は、やっぱり旅には重要」とも思った。
もちろん扱い方にもよるけれど、
シングルフットガイドでの破損トラブルは、ダブルフットの倍以上・・・
そんなわけで「Z」の2ndプロトは
「V」と同じチタントルザイトガイド
(全ダブルフット)を、
シングルラッピングで仕上げた。
“バスロッド”の範疇なら、
シングルフットガイドを使えばより軽く仕上がるのはわかった上で、
僕が思う“トラベルロッド”として、
“怪魚”相手にも一歩も引かない(と思う)最軽量セッティング。
“ダブルフット&ダブルラッピングで、ティップ側端に配置”
と言うディアモンルールは、2ndプロト時点では、
「ダブルラッピング」のみ限定解除。
そんな2ndプロトを手に、2019年夏、学生たちと一緒にモンゴルへ向かった。


至れり尽くせりの“ツアー”じゃ無い。
自分でポイントを探し、釣っていく“ディアモンチャレンジ”。

(ウィードレスチューンのモンキャで探し&カバーから誘い出して、
食わせのルアーで仕留めるといった感じ。海外でもそんな釣り、やるんです)



もちろん、年齢的な経験値もあるけれど、
基本、学生さん2名に先にいいポイントを譲ってなお、
魚を連れてきたのはおっさん(僕&タクト君)の「Z」だった。
そして、旅の最大魚も。


(学生さんたちも惜しいところまで行ったものの、
滞在した数日間ではふたりともボウズという状況)
正直な告白も。
やはり、チタンフットのガイドは、ステンに比べれば弱い。
未舗装の悪路では、タクト君の「Z」は第5セクション端
(一番手前のガイド)が曲がって、潰れた。

(「Z」だから、というわけではなく、「V」でも、
チタンガイドでは同じことが起こる。
やっぱり強度面では、ステンの「X」シリーズが最強だ。
以後、タクト君はこのガイドを取っ払って使っていた)

(自分は、大丈夫だった。この辺は、扱いによるだろう。
ただ、実際の使用感で、一番手前のガイドは要るのかは疑問が。
“ブランク端に配置する”というディアモンルールも、
使用感重視で限定解除して良いんじゃないか・・・そんなことを思いながら、
写真のように180度回し、ラインを通さずにテストした)
帰国後、気になった点を微修正したプロトを発注し、
それが仕上がってくるまでの間、
自分はリール竿を持たずにアフリカに行ったり、
『HUNTERS』や『MX-9S』のテストを兼ねたハネムーンで、アジアを放浪した。

(タクト君は日本で、「Z」をオフショアでも検証したり。
ちなみに「Z」ももちろん“ディアモン”なので、
グリップ互換構造は変わらず。イカパンチがわかる感度です)
年明けて2020年2月、
微修正されてきた3rdプロトを手に、
最終テストにアジアへ飛んだ。
また次回にまとめるけども「アジアの自由旅行」への最適化、
LCC時代の究極のロッドこそ、
『MZ-7』が目指した頂だから・・・。

(狙っていたトーマン・ブンガ)
まずはマレーシア、レア系スネークヘッドを狙う・・・
ブッシュを舐めるように小型スピナベを操作したり、
バックスライドワームをカバーに放り込んでいく釣りは、
まさに日本のバスフィッシング。
「Z」の感度と操作性が存分に発揮される釣りになった。

(一般種のトーマンも釣れる。ルアーはTKツイスター。
外道のため真剣に釣ってないが、この日確か、トーマンだけで4本釣れた)
ディアモンユーザーさんからも近年、
なかなか苦戦が聞かれるトーマンだけど、
ペラルアーの高速巻きや、稚魚ボール狙いだけでなく、
狙い方を進化(深化)させることで、まだまだ先がある・・・
遠征=パワーフィッシング、ショートレングス、
ことアジアに関しては、その時期を過ぎたように感じる。
6フィートアンダーの竿だけ、
ミノー&ペンシルのプラグの釣りだけじゃ厳しい、
そんな時「Z」があれば、釣りの選択肢が広がることは、間違いない。
アジアを代表するゲームフィッシュ、トーマン。
自分もそうだったように“怪魚”の入り口であり、
また世界を広く旅した後の回帰点(これまた「Z」だね)として、
“楽しい未来”を感じた1日だった。
そして、南インドへとハシゴ。

(基本はオカッパリからの開拓に)
観賞魚業界的にはライギョ(の多様性)の聖地にして、
釣り文化はまだまだ黎明期のインド南部。
“ツアー”は存在せず、
宗教上の理由だろうか、淡水域では漁師を見つけることも一苦労・・・
自らの足で開拓する、せざるを得ない、
“古き良きアジア”があった!
さてここまで「1本の竿」として、繋いだ状態での使用感や、
活躍状況だけを語ってきたけど、「分割時」の使用感もちょっとだけ。
「Z」は携行性と言う意味でも“究極”だ。
インドでは特に「Z」の変則7ピース構造の恩恵を感じた。
例えばそれは、以下のような状況。

(2ピースロッド的に分割するとこんな感じ。ちょっと狭い)
オフラインマップ(MAPS.ME)を表示したスマホ片手に、
トゥクトゥクを拾ってラン&ガンを繰り返していたのだが・・・

(3ピース的にはこんな感じ。トゥクトゥクならこっちがオススメ!
“段差レングス”により、一番弱いティップ部が一番短くなるのも、
破損防止の観点で言うと◎)
グリップ分割(“変則”と呼ぶ部分)を除けば、
事実上の6ピースロッドが「Z」。
「6」という数字は、
2でも、3でも割り切れる。
時に2ピースロッド的に、時に3ピースロッド的に、
釣り場に着いてから、
小移動での利便性も非常に高い。
6〜7フィート前後、
ベイトロッドとして最も汎用性が高いこのレングス、
近年のマルチピースロッドは、ウチのディアモン含め、
概ね5ピースが多いけど、5は2や3では割れない。
「2+3」と分割して、仕舞長が違う2ピースロッドとして、
多少の不満を感じつつ持ち運ぶのが常だったが、そこも“スッキリ”した。
その“スッキリ”感、美しさは強さでもあって、、
小移動時の破損防止にも繋がるのも間違いない。
最大分割(6分割)時、
大移動での利便性は言わずもがなだ。

(遂に、船を出してくれるオッさんを発見!
漁師少な過ぎ・・・まさかそこで苦労するとは思わなかった。
やはり、予定調和じゃない“旅”は楽しいね!)

(そして到達、目的の青いトーマン!)

(超大物はこの時代、誰かが先に着目し、確立し、商業化されている。
純度の高い“釣り旅”、自力開拓旅の面白さ、
アジアのバックパッキングには、「Z」は素晴らしく相性が良いぞ!)
チャンスが多くないレアフィッシュを、
確実に手にして帰ってこれたのは、「Z」のモノとしての能力、
「より釣れる竿」と言う部分が少なくない気がする。
・・・こうして、最終テスト旅を大満足で締めくくり、
帰国したのが2020年2月、
以後、コロナ、コロナの世界になってしまった。
「しばらく海外はいけないだろうな〜
まぁ、それならそれで・・・」
インドの旅を経て、もうひと磨き。
細かな部分に微修正を加えた最終4thプロト(確認用)を発注し、
「Z」と言う旅は、一息ついたのだった・・・。
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さてさて。開発という旅は終わったが、
地元での自粛生活の中、
身近なターゲットに癒しを提供してくれたのもまた「Z」だった

(犬の散歩ぐらいしか外出にひと目が気になる緊急事態宣言中。
「ふーっ、息が詰まるゼ」と携行し、近所の川で
BATRA-Xのアクションチェックをしていたら、良型バスが飛び出した)


越県移動が制限されている段階では、
わざわざSNSにアップするほどではない
地元野池のアベレージサイズのバス達、
地元富山で気軽に釣れる30cm以下のキジハタやカサゴに使い、癒された。
使用感が軽快だと、いつもの1匹でも、より満足度も高いと知った。

越県移動が可能になった後、
『HUNTERS』の取材で辻くんの地元・三重を訪れた際には・・・

ごめん、
辻くんが『HUNTERS』で1匹釣るまでに、
「Z」で4匹アカハタGET(笑)
竿の特性の問題で、感度に振った「Z」は、やっぱり無双した。
ロックフィッシュをやり切れるマルチピースロッドというのは、
過去になかったと思う。
もちろん、レングスやパワー感からMAXサイズの対象魚を狙うには
短くライトだが、漁港や堤防のキジハタやカサゴ、
磯のアカハタくらい、小型ロックフィッシュなら「最適」と言ってもいい。
そして大型狙いでも、ボートからなら・・・
それを裏付けるような報告が、つい1週間ほど前、
「ちょっと貸してよ!」ということで、
最終プロトを送った愛知のイトーさんから届いた。

(まじかー!キジハタ56!!初使用で自己記録タイ!)
すぐ返送してくださるかと思ったが、
「また次の週末も行くからしばらく使ってみたい!」と(笑)
使っちゃえば、手放せなくなる感・・・わかりますよw
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなわけで「Z」が「Z」たる所以、
魅力・特性がいくらかでも伝わったらこれ幸い。
極論、触ってみないと伝わらないとは思いつつ、
ただ「Z」は店頭には並ばない、並べられない原価になってしまったので、
ネット販売限定のロッドになります。
ハイエンドがハイエンドたる理由、思い入れ・・・
書きたいことはまだまだあるけど、
長くなりすぎる(過去最長、その点も「Z」になっちまいますゼ)、
とりあえず今日はこのくらいで。
〜続く〜

(仕舞寸40cmから結果として行き着いたレングスは、6フィート半。
最もバーサタイルな竿に着地したのは、運命的ですらあると思った。
そして変則「7」ピースというのも『MX-7』のネーミングに相応しい。
10kgリフトパワーという“怪魚”を想定しながらも、
135gという重量は、国内の釣りをも鮮やかに磨き上げる。
詳細スペックはコチラで。12月中旬、予約開始)