
(奥が『MX-6』、手前が『MX-6+』。
グリップを除いたブランク長は一切変わりません)
先に断らせて頂きますが、今日の記事は、
ディアモンユーザー以外を読者として意識していない
ので、既存モデル比較によるかなりマニアックな内容で、
竿に興味のない方は読み飛ばしてもらって構いません。ただ、
今年の年末年始にアマゾンに行こう!
と考えている方には、有益な情報が含まれるかと!(たぶん)。

(いよいよ出るぜ、『MX-6+』)
初夏にはには現在のプロトにまで行き着きつつも、
12月上旬デリバリ予定で逆算して、
気になる点がないかギリギリまで使い込んでましたが、ない(笑)
先月末、『MX-6+』という新番手を仕様確定&工場に発注しました。
5フィート10インチ、レギュラーファースト(60度検品で9kgリフト)の竿です。
開発の経緯ですが、
『MV–65』の40cmのグリップと、『MX-6』の50cm×3ピースのブランクを組み合わた、
5フィート10インチの通称『V6』が特にアマゾンの釣りと相性が良く、
2015年6月の怪魚マガジン4のDVD撮影行@ベネズエラでも多用してました。
以後、「その組み合わせで売ってほしい」という依頼を数多く頂き、
翌2016年2月に世界最高のピーコック釣り場とウワサされるカシキアレ水路への遠征が控えていた事で、
いっちょ、アマゾン“特化”で、プロトを作ってみたわけです。
あんまりラインナップは増やしたくないんですけど、作ってみて、
増やすに足るレベルまで到達すれば出そうと、そんなつもりで。
結果、季節柄、東京湾でのビックプラグのコノシロパターンで筆下ろし、
滝川クリステルさんとのパプアでの撮影行で海外テストデビュー、
その後のアマゾンでも大活躍してくれて、
「アマゾン“特化”の、ボートからのルアーゲームスペシャル」として、
完成&リリースしようとなりました。

(マグナムザラスプ~ク!!)
アマゾン“専用”ってほどじゃないけど、ある程度“特化”っていう理由が以下。

(『MX-6』(※2016年仕様2Pグリップ)が30cm、
『MX-6+』は40cm)
まずは“V6”では不可能だった、グリップ分割構造を導入。
65グリップ(分割不可)と、長さは全く同じ40cmです。
細かい部分で言うと、65のリールシートはTCSの17番(MX-7と一緒)
6+は、6と同じ、TCSの16番です。
これは、65が、武さんが好きなアンタレスとのバランスを考えセッティングしているのに対し、
6+は、メタニウム以下の、より小さいリールとの相性を考えてあります。
(自分は、アマゾンでは疲労度減少のためアルデバランを多用するため)
あと、6(2016年仕様グリップ分割構造入り)は、トリガー下のコルク部の形状に、
そこが短い分、Xシリーズとしては例外的に、小指の掛かりが良いエッジを効かせた形状にしました。
6+は、シンプルに、長め&徐々に細くなる、手の大きさに関わらず使いやすいベーシック形状です。
もっと言うと、65と55の“V”シリーズは、必要十分な長さまでナットを1cm弱カットしてありますが、
6と6+は、そのままです。見た目や、指の掛かりの、好みの問題として。

(ティップに関して、『MX-6』はSic5.5mm、『MX-6+』は6mmに大径化)
ディアモンは、55(チタン&トルザイトを導入)を唯一の例外とし、
すべてステンレスSicダブルフットガイド&ダブルラッピングで、
6+も例外ではありません。ただ、6や65がティップが5.5mmなのに対して、
6+は一回り大きく、6mmにしました。
個人的使用感であれば、5.5mmでもFGノットで70lbリーダーを使います。
ルアーキャスティングならそれ以上のリーダーは不要と思いますが、
超特大アスーや岩場でのタライロン、
時にピラルクー(自分はもう一生釣ることはありませんが)まででも考え、
100lbリーダーまで使える径にしました。
パプアに持っていった初期プロトでは5.5mmだったんですが、
そこでのテストを経て、パプアンバスへの適性も考慮しました。
画像で伝わるか分かりませんが、ブレを押さえるため、6よりほんの気持ちブランクは太くしてあります。
が、

(上『MX-6』、ぜんぶガイドリングは5.5mm、下『MX-6+』は6mm)
♯1のバット側の径は揃えてみました。というのも

(6も、6+も、♯2のティップ側端のガイドは6mmで同じ)
これで、何らかのトラブルの際にも、ティップを互換して、違和感なく使えます。
アクションは、6+がほんのすこーしハリがある程度で、大差は生まれませんが、
将来的に、換え穂をパーツ販売するときの利便性を見据えています。
で、バットは、

(6+のほうが太い)
写真でも分かる程に、6+の方が太いです。
そしてその分、硬く感じると思います。
ただし、重要なのが以下。
『MX-6』がレギュラーテーパーなのに対して、
『MX-6+』はレギュラーファーストテーパー。
60度の角度で破断強度を測定した時、
『MX-6』が10kgリフトなのに対して、
『MX-6+』は9kgリフト。
です。レギュラーテーパーで変曲点が滑らかな分、
『MX-6』の方が柔らかいけど、強いです。
一方で、『MX-6+』は、
必要充分以上の強度を備えた上で、ルアーの操作性最重視。
です。各ブランド、製造工場によって基準が異なるのですが、
だいたい、バスロッドでいうハードアクションとか、
エクストラハードアクションの「硬さ」の竿で、
リフト「強度」が6~7kgぐらい。
それと比較すると、6+ふくめディアモンはすべて「柔らかい割に強い」というブランク特性。
その中ではやや、6+は(比較的)シャキッとしている、と思っていただければ。
これは蛇足になりますが、店頭で触りづらい製品ゆえに参考までに。
破断強度に関しては、45度破断強度チェックのメーカーさんが多いので、
ウチはその角度では測定してないけれど、
角度を寝かせれば、『MX-6』で10キロ以上、『MX-6+』で9キロ以上、
どちらも10kgを大きく超えてくるかと。
そんな、6や6+との比較参考という意味でついでに書いておくと、
『MV-55』(60度破断強度測定時)で、7kg(6+と同じ、先調子なので数値低め)
『MX-65』(60度破断強度測定時)で、11kg。
『MX-7』(60度破断強度測定時)で、14kg。
『MX-∞』(60度破断強度測定時)で、25kg以上(測定機器が壊れるので20kgで測定やめた)、
となってます
その一方での重量として、
どーしても数グラム誤差は出ますが実際測ってみると
『MX-6』が135g
『MX-6+』が140g。
この機会なんでついでに書くと、
『MX-55』が115g。
『MV-65』が160gで、
『MX-7』が190g。
『MX-∞』ですら、260gです
で、そんな調子と重量感のカンジが、
アマゾン“特化”だと、僕は思う訳です。
200g以下のリールが主流となってきつつある現在(6+はメインで、175gのメタMGLを合わせてる)、
単純に軽いことだけじゃなくて、バランスという意味で、
必要な強度を保てる範囲で、竿は軽いければ軽いほうがいい。
速いテンポで、1日中動き続けるアマゾンが、その象徴。
“怪魚ブーム”の走りの時期(2010年前後)、
大手メーカーさんの思惑もあるのでしょう、
大きく強い道具=怪魚、という“ウリ”がされた時代は、
まだ誘導されるががままで、ユーザーさんも目が肥えていなかった。
(個人的に“怪魚”がビジネスチャンスとして、
浅い理解でミスリードされているなー悔しいなーと思っていました)
以後、かなり多くの人が海外に行くようになり、
判断基準が見え、皆さん目が肥えてこられたと感じています。
そしてお気づきになる。
「いつもバスやナマズに使う、軽いベイトリールでいい。
ラインは、それよりは太いといっても、70mも巻いておけば十分だから」
ということに。
ビッグベイトをしこたまボックスに詰めて海外に行く、そんな人も減りました。
アジアの釣り堀を卒業し、「できる限り元気にリリースするために、
どれぐらいの強度が必要だと考えるか」といった、より高い次元の質問も多く頂きます。
(釣り堀の魚と、野生魚は、道具だてという意味での別物だと思ってます。
釣り堀なら、相手がどんなにデカかろうと、極論僕は鱒レンジャーで釣る自信がある。
比較すれば命の価値も低い(と僕は思う)のわけで、“遊び”でやっても罪悪感も薄い。
一方、野生は、リリース前提なら、タックルのライト化はよく考えないといけないと思う。
「アジアの釣り堀文化を否定する意図はない」と、
毎度めんどくさいながら書き添えた上で、その先を目指す人に向け、僕は本気で作ってます)
話が脱線しましたが、6と6+の話に戻し、
ただ単にレングスが6フィート以下という事の、次のステージとして。
重量バランスと同時に、
ロッドがルアーのアクションを吸収し過ぎないコト(小さな力でキビキビ動かし続けられる事)を求めた。
“V6”でも、ザラやジョーペピーのぐらいまでのルアーなら、充分かと。
ただ、それ以上の大きなペンシルやミノーを動かしきり、
ビックスイッシャーを疲労度最小限で引き続ける時に、『6+』の性能が生きてくると考えています。
逆に『MX-6』は、こんなに取り回しが良く、かつ強い竿はないと思う訳で。
『MX-6+』がアマゾン“特化”の天才君なら、『MX-6』は、“非特化”スペシャル。
船でも岸でも、“短い竿”ならではの仕事を高次元でこす秀才君にセッティングしてあります。
(実際、365日トータルで見ると、自分は6+より6のほうが握ってる時間長いと思う)

(30cmと40cmのグリップから、
32.5cmのグリップと37.5cmのグリップが……もはや、収集つかない。笑)
どちらがいい、ではなく、お好みで。できれば、“兄弟”で。
1本追加していただく度に、1本以上ご購入いただいた価値を。
1本の単価としては決して安くない竿ですが、
長い目で見て、コスパ最強、選んでよかったと言っていただけるよう、
これからも頑張ります!

(おかげさまで、今月でモンキスも会社設立から5期目に突入できました。
僕&弊社スタッフYが、「世界最高のアマゾン竿だ!」と言い切れる一本です
一生に一度は、こんな体験を。それにちょっとでも助力できるなら、嬉しいです。
・・・『6+』の予約受付は、もう少しお待ちください)
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<PS>
もう1つ。実は『6+』の開発で、頭を悩ませた事。
それは、疲労度や、ルアーのアクションにも関与してくる問題として、
グリップエンドとの重量バランスでした。
結果、6や65とおなじ、「圧縮コルク15mm」のみで、
一番軽く、シンプルに仕上げる事にしました。
ラバーキャップふくめ、バランサー入りなど、お尻を重くする事もできたんですが、
フジ工業の製品特性上、強度が圧縮コルクより落ちる(もげやすくなる)。
取り回しが下がっても、太いのがお好みなら、「MX-7」のEVA付きエンドと入れ替えればいい。
そして、お尻を重くしたければ・・・
ディアモンの、グリップ分割構造だからこそできる事、
ケースバイケースで、「ブランクの中」にバランサーを仕込むのがスマート!
それが・・・

(ココ。仮に「インナーバランサー・システム」とでも横文字武装しておこう)
それも、
ただ質量を増やすだけの「オモリ」ではなく、
他にも機能を持たせた質量体でありたい!
最小限の荷物で、最大限の可能性を。
それが・・・

(抜刀!シャキーン!)
“インナーバランサー”こと、
『MX-0』な訳です☆

(パラシュートフライを結んだまま、そのまま収納)
考えに考えた「3ガイド」振り出し機構、
珍魚発見後、目を離さず10秒以内に振り込める、そんな“バランサー”を・・・
『MX-0』(オプションパーツ)の徹底解説は、また追々。
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PS2
そいや、「世界一周釣り旅」、
その心意気に6+のプロトをプレゼントした若者、
アフリカで、バイクに轢かれたそうな。
とはいえ、骨は折れても、心は折れてないようで。
・・・ガチで、アフリカの放浪は死んじゃう可能性があわけで、
その前に『MX-6+』が、
「死ぬなら、アマゾンに行ってから死のうゼ!」と作用したんだと
僕は思ってますw
ま、その後アフリカに還ればいいとおもうよww