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『MX-1』“Dobu-Climber” その④

2020-05-06 07:15:00 | DearMonster開発記
『MX-1』の話、その④(ラスト)。
その①(“リールレス”という新スタイル)
その②(構造的特徴)
その③(“リールモード”の可能性)、の続き。

最終回の今日(その④)は、
完成までの8年間について。
この熱苦しさ(?)こそ、ディアモンがディアモンたる部分か?
お陰様で、昨日、一般発売開始後10分と持たずソールドアウト、
PR記事を書く必要はない中で、でも書きたい。書ききりたい!笑
長いは長いけど、おつきあいくださいませ~。

・・・とその前に。


(アマゾンのピラプタンガ。パクーなど、流れ藻や虫を食う系のカラシンにも
ちょうどいいかな。水槽の濾材を小さく切って、ノーシンカーでフライ的に。
アマゾンでもフロロ3号巻いておけば、直結でも色々できた)

質問&リクエストがあったので、
小塚(毛鉤はシロート)的
ラインセッティングをスバリ。


基本は3~4号フロロを20m、
その先端に0.8~1号フロロリーダーを1m。
以上。

状況にアジャストさせようとすればきりがない。
「自分なりの基準」を先達(後述)を参考に固定し、、
この制約の中でどれだけできるかを遊んでいるカンジ。


(すでに直営ECサイトでも徐々に入荷。
極論、近距離戦の『MX-1』なら手元にある透明フロロラインで充分だけど、
専用の色付きフロロライン(レベルライン)を使うと軌道が視覚化してより楽しい)

・・・ぶっちゃけ、僕が語るのを聞くより、
“テンカラ大王”こと石垣先生の著書を一冊読んだほうがいい。

僕の毛鉤釣りは、この本のスーパー拡大解釈だ(笑)

毛鉤に関しては、最初は既製品でいいと思う。
極論、スポンジの細切れや、ちぎれ難いエラストマーのワームクズを
ノーシンカーで針にかけるだけで、毛鉤釣り的に魚と遊べる。
『MX-1』はテンカラ専用ロッドではないし、、
意識高い系アングラーに邪道扱いされるくらいがお似合いだと思ってる(笑)



(「あえて自分ではネイティブのトラウトには試さない」と変にこだわったが、
知人にプロトをお貸ししたところ、ボサ川でサクッとヤマメ(笑)
僕個人としては、イワナもヤマメも童貞(シロート)のままリリース)


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


いよいよ本題。
着想から8年の開発ストーリー。



(2012年春。市販の竿で、奥多摩でテンカラ釣り。
まだ『LOVE ME TENGA』Tシャツを着てた若気の至りが激しき頃。
“リールモード”にまで至って、“初心”に還る、『MX-10』構想)

「必要の無いものが無くなった時が完成」

そのコトバを開発の軸に、2012年にディアモンの開発を始めた。
当然、その極地にあるのは延べ竿だ。
そして、竿と糸と毛鉤だけのテンカラ釣りは、
延べ竿での釣りの中でも、その極致だと思った。

“MX-10~”(えむえっくすてんから)なんて、
コトバ遊び含め、ディアモン開発のコンセプトを形に落とし込んだ竿、
テンカラ竿的な延べ竿を作りたいとは、8年前の最初期から考えた。

しかし、まずは参考にと市販のテンカラ竿を購入し、渓に向かったけれど、
魚種の多様性の薄い上流域での釣りは、個人的には物足り無かった。
同じ魚種が続くなかで、サイズアップに楽しみを見出すとなれば、
毛鉤より断然、ルアー(ヘビーシンキングミノー)の方が効率的・・・。

2012年当時の僕には、
延べ竿を作り、売る意味を見出せなかった。



(2018年秋、後のヨメと山奥へのの秘湯旅行。結局釣りはしなかった。
ワンを開発&テストしたここ数年は、個人的な人生の転機とも重なる。
ゼロの開発で装備も思想も断捨離し、踏み出した新しい一歩がワンだ)

ディアモンを作り始め、8年の時が流れ、
釣り人として僕自身も変化した。


10代、20代と世界中を飛び回り、確信したのは、
「自分は、釣りが好きというよりは、
魚が好きなんだなぁ」
ということだ。

“初めての一匹”の感動を追い求めること、
「多様性を釣る」、自分なりのアングルが固まっていく中で、
『MX-0』が生まれ、『MX-1』が閃いた。

8年経って、感慨深く思うのだ。
「『MX-1』と『MX-0』、
1と0のセットで、『MX-“10”』・・・到達“テン”に至ったゼィ!」
と。


(ゼロとワン。昔は、面白さがよくわからなかったテンカラ竿・・・
ゼロとワンに分解して、多魚種に対応、なくてはならない相棒に。
もちろん、ゼロで極近射程のテンカラ釣りもスリリング)


(北海道遠征。1.4mの『MX-0』に2m程度の糸と毛鉤でオショロコマ。
毛鉤までの距離近いのでヒットシーンもよく見えて、楽しかった・・・
でも渓魚にはさすがにもう少しだけ、間合いが欲しいと思った)

思い返す、8年前。

既に確立された釣り(テンカラ釣り)をイメージし、
そこに合わせた竿を作るということは、頭でっかちだったんだと思う。
そして少なからずあった「いざ作って売れるのか?」という部分。
“マーケットイン”ともいうべき考えが、自由なアイディアを阻害していた

アイディアは頭で考えるものじゃない、
フィールドから湧き上がってくるもの。
「もっとこういうことができたら楽しいな~」
純粋な発想から生まれた『MX-1』、
いざ必要十分な形になれば、自分で言うのもアレだけど、
一見、延べ竿にガイドをつけただけというチープ感(笑)

「なんで8年前、思いつかなかったんだろう?」
そう自問するけど、類似した竿が見つけられないのも、きっと同じ理由だ。
「どんな竿が売れるか?」からでは、至らない(笑)

ゼロをイチにする。
『MX-0』から『MX-1』を創り出す。


「“プロダクトアウト”こそがディアモンの価値。
誰もがまだ気づいていない“楽しい未来”を提案すること。
・・・それが自らのモチベーションにもなるんだ!」


『MX-1』の開発を通して、改めて立ち還った“初心”。
そして、ディアモンという旅が、到達“テン”まで来たと思った。

こだわりを強くした、というよりは、気負いが消えた。
「そろそろ“マーケットイン”、世間が期待するものを、
僕なりのフィルターを通して出す、そういう時期なのかな?」
と。

『MX-1』その名の通り、
新しい1歩を、踏み出そう!



(そんな心境変化もあって、“マーケットイン”シリーズ『HUNTERS』が胎動。
詳しくはこの投稿の後半部とこの投稿を。
廉価のディアモンを求める声は、ずっと前からありがたく思ってる。
でも、ディアモンを廉価化させるでなく、廉価のものを、1から作ろう。
『MX-10~』、僕なりのテンカラ竿は、HUNTERSで・・・)


(「小物竿」としてだけ特化するなら、ガイドはもっともっと小さくていい。
“ガイド付き延べ竿”という旅も、終わらない。また新たな素材へも・・・)


(『Dear Monster』もまた、新しい1歩を踏み出す。
到達点を意味する「Z」を冠し、新シリーズが始動)

いつだって、到達点は、始発点だ。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


『MX-1』の発売を間近に控えた2020年春。
コロナ・ショックが訪れた。



(某釣り漫画じゃないが、「幸せの青い魚は足元にいる」・・・!?)

何が釣れてくるかわからない、多様性の高い水域での優位性は、
シンプルな延べ竿を凌駕すると断言できる、『MX-1』。
“初めての一匹”、予期せぬゲストとの出会い(=怪魚・珍魚釣り)を楽しめる一方で、
単一魚種を狙い続け、サイズや数、ウデや道具を錬成する
“ゲームフィッシング”との相性も悪くない。

『MX-1』の開発と、コロナショックは、
一般的な“ゲームフィッシング”の楽しみを
個人的に再検討するキッカケになっている。



(自分で巻いた毛鉤で初めて釣ったカワムツ。
タナゴ仕掛けでは、1投目には浮子に食ってくるような愛すべきバカ魚だけど、
狙って、毛鉤で、水面で・・・となると難易度が上がって、釣れると嬉しい)

サイズや数を目標に、腕や道具を精錬する・・・
一般的な“ゲームフィッシング”のスタンスでは、
僕は怪魚や珍魚(巨大魚、希少魚)と向き合わないことにしている。
いわゆる普通種、身近に沢山いる魚が相手だ。

“初めての一匹”の感動には届かないかもしれないけれど、
“初めての釣り方での、お馴染みの一匹”も、
自身が成長して、旧友に再会したような、上手く言えない嬉しさ。
身近だからこその付加価値を持っている。



(仮に1mの魚を釣ったとして、「うち何センチまでを自分で釣ったのか?」
だからリールレス、だから毛鉤を巻く。道具を精査し、要らないものは削り…
“自分度”を高めていくことが、ゲーム性を深めていく)

遠路、車を走らせて行く渓流も清々しいが、
自転車で行く近所の用水や里川だって、多種多様な魚たちが生息し、
個人的にはむしろそんなドブ川の方が、釣り場としてワクワクする。

リールを使えるならなんて事のない相手でも、
リールを取り去れば、“ボーケン”へと変わる。
ロッドも、不利を承知で、ごくごく短いもので、アプローチを精錬する。
ただし、大きな魚がかかった時のラインブレイクを考えて、
ラインはガイドをつけ、ある程度出せるように準備・・・そんな思考回路。

殺傷は最小限にしつつ、最大限の充足を目指す試行錯誤。
“一匹における自分の割合”(自分度)を高めていく、
それが僕なりのゲームフィッシングだ。


図らずも、コロナで様々な移動制約を課される先数年、
時代に応援される釣り、楽しみ方だとも思っている。



(待ちきれない(?)ユーザーさんから、『MX-7S』でリールレス。
極論、これでいいんだよね。長い竿にガイドつければ、よりいろんな事できるし。
その上で「『MX-0』ベースのブランクでここまで可能」ってな部分を遊びたい。
「Z-1コンテスト」(MX-“Zero”とMX-1の限定フォトコン)など企画構想中!)


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(旅は続くよどこまでも。ついに20gアンダーに到達したリールモード、
「なにその小さなスライドリング!?」 これはまた、おいおいってことで!笑)

本当に長くなってしまったけど、
新作発表恒例の“私的サブネーム”を公開して、〆くくろう。


開発の道中で、もう少しおしゃれなネーミングが思いつくかと思ったけど、
着想時点で、『MX-1』という製品名とともに
パッと思いついたサブネームから、変わらず。

むしろ日を増すごとに、「これしかない」と思うようになった。

いい意味でのチープ感、右向け左のパンクスピリッツ・・・
自分に酔えない竿なんて、リリースしても仕方ない!

『MX-1』
“Dobu-Climber”
(ドブ・クライマー)

美しきドブを、
自分なりの楽しみを、遡る人へ☆



(みなさんの手元に届く6月中旬頃には、
地元での釣りぐらい、自由にできることを祈って。
どんな釣果写真が届くのか、心から楽しみにしてます!)

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2 コメント

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Unknown (I)
2020-05-13 08:35:44
小塚さんおはようございます。
Iです。
イニシャルでの紹介、お気遣いありがとうございます。

力の入った4部作拝読しました。
更新されるたび、①から改めて読み返していました。

「ディアモンチャレンジに小物用のルアーロッドをどう
しても持って行きたい。」という欲求から、試作のMX-1
https://blog.ap.teacup.com/bouken/700.html)を手
本に始めたMX-0の改造でしたが、本家MX-1の精錬に何か
少しでも寄与できたならうれしいです。
MX-1というガイド付きのMX-0があるらしいというところ
から始まり、まだ見ぬMX-1を求める多くの人にMX-0の改
造として発散、そしてまたMX-1に収束したのだと思う
と、熱くなるものがありますね。(オリジナルのアイデ
ィアと、洗練度=取捨選択のバランスは飛びぬけている
と思いますが)

いちユーザーの立場でできること、できないことがある
のはもちろんではあるものの、小塚さんの記事を読ん
で、いちユーザーの立場でもできるはずのことなのに自
分ではできなかったことや、自分でもできていたのにそ
れ自体に気付かなかったことがあったのがわかり、学び
が多かったのと同時に、自らの理解の程度に悔しさを覚
えました。
もはやいじる余地がないように思えるオリジナルのMX-1
が手に入る以上、竿本体をいじることはおそらくもうあ
りませんが、リング形状やあわせるリールは時間をかけ
ながらもう少し追求してみたいと思います。

ともあれ今はただ、MX-1が届くのが、そして実際に釣り
をするのが楽しみです。
1本だとついリールモードでばかり使ってしまいそうな
ので、基本の使い方でも使えるように2本予約しまし
た。(予約時に吉田さんに迷惑をかけてしまって申し訳
ありませんでしたが……)
ハゼ釣り(今思えばチョイ投げ)に始まり、その後はル
アーメインになってしまったために、延べ竿を使った釣
りや、毛針を使った釣りの経験がほとんどありませんの
で、僕にとっても新しい釣りへの第一歩になってくれる
ことでしょう。

以前に、5月末に金沢出張があるためその際にそちらに
も伺いたい旨を伝えていましたが、昨今の社会情勢から
出張は中止になってしまいました。
騒ぎが落ち着き、遠方に赴くことに、また遠方から来客
があることに対して抵抗がなくなったら、改めて伺いた
いと思います。
その際にはご対応くださると幸いです。
返信する
Unknown (拓矢)
2020-05-25 17:25:35
Iさん>
コメントありがとうございます!
色々懐かしい&こうしてカタチになって、
ますますあのアマゾン旅を思い出深く思ってます!
そして・・・「その⑤」もまた、続きますので(笑)

Iさん発案・試作の「MX-1用スライドリング」の耐久テストを重ねた上で、
オプションのグリップの納品が見えた時にでも、
書きたいなと思っています!
お借りしているリング、緊急事態宣言も解除されたことで、
様子を見ながらテストも進められそうです!

今後ともよろしくお願いいたします!!

小塚

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