
■特集オレ:「薩南乃風」
狙いの魚に「食って来るな」と願ったのは人生で初めてだった。
ルアーの下で渦を巻いた巨体に、戦う前から敗北を悟る。
「貴重な経験だ」と強がりながらも心はすでに決まっていた。
次回はもっと強くなって挑もう。心も身体もタックルもすべて。
釣り場に通うという努力ができない以上は、
鍛えるという努力で補うしかない。
日々のトレーニングや食事、睡眠を含めれば
24時間を釣りに使っていることになる・・。
清々しく刻み込まれた恐怖心への克服には、
小さくても積み重ねる努力が必要だった。
そして、鍛えれば鍛えるほどにこの魚だけは
「運がよかった」で済ませたくはないと感じるようになった。
風が湿度を帯びて夏を感じるようになったとき、
リベンジの切符が回ってきた。
2泊3日のうち2日間は強風の予報。勝負は実質、初日のみ。
船長の計らいですぐに船を出してもらえることになった。

ポイントは馬の背に黒潮が絡むシャローエリア。
国内でも最難関と呼ばれる場所で、
浅いところでは水深10m以下での攻防になる。
複雑な地形の変化と黒潮の激流が豊かな食物連鎖を育む分、
魚は出ればデカいらしい。
海況は凪、潮も早すぎず遅すぎず。ベストなタイミングを引き寄せた。
ルアーを投げ続けて約1時間、体に疲労を感じる頃。
まずは友人のルアーに出た。
続いて間髪入れずにぼくのルアーにバイト。
一呼吸置いての凄まじい引きが思考を奪う。
興奮と冷静の狭間、一瞬のせめぎ合いに呼吸の仕方を忘れそうになる。
ずっと待ち望んでいたいつかを今に・・・。
ファーストランを凌ぎ切ってから、ドラグを強く締めこんだ。

隙をつかれたセカンドラン、体が浮く。受け止める前腕が悲鳴を上げる。
ギシギシと背骨の軋む音がする。これまでの努力が・・・なんて思い出す暇もない。
全身全霊でリールを巻いた。気が付くと水中に銀色の魚体が姿を表した。


最初にやってきたのは安堵感だった。ファーストGTは36kg。
これまで釣った魚の中でもっとも重い1匹だった。
釣り旅とは対極にある世界。
最高峰のスポーツフィッシングであるGTキャスティング。
薩南の離島に海の大物釣りの底知れぬ浪漫の一端を垣間見た気がする。
この一匹は終わりではなく始まり。
世界の広さではなく自分の小ささを知ることとなった。
オトナになったからこそできる釣りもある。
その事実を受け入れられれば、世界はもっと面白くなった。
■今月の散財
金額:47,400円

ルアーや夏ものウェアなど
信頼できるルアーは生涯の友に等しい・・ということで買い増し
■今月の釣行
日数:2日 金額:4,000円
緊急事態宣言により近場のみのため写真はなし
■今月の釣りガール

(出典:https://gamp.ameblo.jp/rinka-rinrinblog/entry-12515589261.html)
明日ツララ 第2弾。
やさしさを捨てズバリと斬ることの難しさ。
「ときには傷つけることもやさしさなんだよ」
とどこかのヤリチンが言っていた気がする。
「あの人はちゃんと叱ってくれるから好き」
と昔好きだった子が言っていた気がする。
うるせぇ、くだらねぇ。
釣りガールの最終形態とも言えるこの子がいつか受け入れられる日が来ますように。
ツララの明日が辛くなくなりますように。
(全文はこちら↓
https://ameblo.jp/monsterfish334/entry-12694411136.html )
Photo & Text by Furuta Atsushi
Edit by Kozuka Takuya
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