2000円男と思考停止女

ネットで今、話題になっている岡田斗司夫に関するエッセイ漫画について。

岡田のやったことは本人が認めたことだけでも許せないのですが、件のエッセイ漫画を読んだら「う……うん」と若干、テンションが下がってしまいました。いや、岡田斗司夫のやったことはいかんし、擁護するつもりは一切！ないですよ。それを踏まえてのお話。

テンション下がったのはなんといっても「筆者に共感ができない」ことが理由でしょうね。だって将来が不安だったら、まずイラストレーターの夢は一旦置いておいて、安定した職に就くことを目指すでしょうに。なぜ不安定な状態で浮草稼業にこだわるのか。しかも病気のおばあちゃんまで抱えて……。おばあちゃん子の自分にはたまらんよ。

新聞の人生相談で「イラストレーターを目指しています。しかし現在病気の祖母を抱えており将来が見えません。どうしたら早く絵で食べていけるようになるでしょう」と質問したら、十中八九「まずは安定した仕事についてイラストレーターの夢は余裕ができてから考えた方がいいでしょう」と答えると思うんですよ。

そりゃ在宅介護のために家でできるイラストの仕事を……という考えだったかもしれないけど、そんな仕事自体、漫画に描かれていた時代にあったのかな。

この時点で私にとって筆者は「絵で表現されている程、気弱じゃないな」という印象。本人はもっとしたたか（まろやかな表現）な性格してるんじゃないかな。だって何の面識もない人にいきなり「絵で食べて行きたいからアドバイスを貰いたい！」なんて頼らないもん。しかも何の見返りもなしに。めちゃめちゃ肝っ玉座ってますぞ。昭和前期の言い方をすれば「心臓だねぇ」ですよ。

確かに、漫画の強みはビジュアルで読者に意図的に印象を付けられるという所だしね。自分をカッコよく描いて敵対する相手は醜く描くよしりんがいい見本だね。

で、筆者に関してちょっとズルいなと思う部分は自分にとって都合の悪い部分はぼかしているんですよね。岡田に「彼女＝セックスの関係だから」という前提込みで彼女（最初は友達としてからとしても！）として付き合うことを了承した時も、ホテルに一緒に入った時も『思考停止』という表現でぼかしてる。

本当に思考停止だったらメールでも何でも後で「そういう関係はいやです！」と突っぱねることもできたし、ホテルの件でも「気づいたらホテルの一室にいました」的な表現になるんじゃないかしら。ちゃんとホテルの入り口からロビーまで会話込みで描いているじゃないか。しっかり意識を保っているじゃあないか。会話の内容もしっかりと憶えているし。

さらに最終的に自分の欲しいもの（デビュー＆本の出版）は手に入れたけど、自分の体は許さずに済ませたという所ね。峰不二子とやっていることは変わらないぞ、こりゃ。たしかに枕営業前提の契約は公序良俗に反するから無効ですよ。でもそれって『闇金ウシジマくん』に出てきた「闇金は違法だから踏み倒してもＯＫ！」って言っていた連中と同じじゃないですか。それもどうかと思うよ？　別にセックスさせてやれとは言わないけど、自分みたいに「たしかに岡田は悪いけど、この人もさ」と考えちゃう人も出てくると思うんですよ。

筆者本人は自分は被害者ではない、これ以上被害者がでないために……という理由で漫画を描いたみたいだけど、実質的にやらずぶったぐりしているわけだからこれを読んで「そうか、こういうのもありなんだ」と閃く人が出てこないか心配になっちゃったぞ。私、ちょっと性悪説に傾きすぎているかな？

ただ、矯正下着と2000円のくだりはものすごく面白かったと最後に言って、今日のブログ終了いたします。