大府市議会議員 たかばとくこ の日々

2007年、政治の素人が議会に飛び込んでみました。

総務委員会視察レポート 岩手県遠野市・沿岸部後方支援活動について その1

2012-07-26 22:35:53 | 議会
【メモ】
●想定外でなく想定内だった津波被害
本田敏秋市長が、前職であった県職員時代に過去の三陸沿岸津波被害について今後の危険性を想定し、三陸沿岸部をご自身の足で回りご自身の目で確かめていたとお聞きしている。その当時から、今回の東日本大震災級の津波被害は個人的に想定しておられた。
●遠野市と沿岸部との立地条件と交流の歴史
25日に遠野市博物館を見学させていただいた。遠野市は内陸部の盛岡や平泉などと沿岸部を結ぶ交通の要衝で、遠野から馬で1日で沿岸部に行くことができたことから、海産物と農産物の交易を行う人々が必ず通るルートであり、歴史的にそれぞれの人の交流があった。現代も平時から親戚関係など緊密な行き来があり、遠野市を中心として見ると内陸へ3本、沿岸部へ3本の幹線路があり遠野市を中心に放射状のルートが確保されている。
●想定内の被害に備えた2回の訓練
H19 岩手県総合防災訓練の持ち回りが遠野市の担当となった。本田市長のかねてからの構想により、通常は実施自治体と県の合同訓練の体裁のところ、沿岸部への出場・搬送を盛りこみ、後方支援を想定した初の実地訓練を行った。
H20 自衛隊東北方面隊の4年に1度の大規模訓練を遠野市で実施。総合運動公園を基点とした沿岸地区の救助・救命・救急・捜索訓練を行った。
●三陸地域地震災害後方支援拠点施設整備推進協議会設立
運動公園隣接地に多目的体育館整備を計画。有事には後方支援拠点施設として活用する目的も兼ねて計画し、協議会を設立。他自治体には負担を求めない、国費補助の充実を目指していた。
●発災…市本庁舎は全壊したが民家は一部損壊、人的被害なし・市内被害総額32億円
即時庁舎立ち入り禁止、テント設営し対策本部に。市内の情報収集をし人的被害なしの確認とれたのは夕方。市内対応はマニュアルどおり分担で対応できていた。
市内は合併旧庁舎ごとを拠点とし責任を持たせる運営。市内50箇所に避難所、約2000名が避難(ライフラインが止まったため)
総合運動公園は冬季閉鎖中で、直ちに開門し投光機・発電機を搬入するなど訓練どおり対応。
通信の断絶により沿岸部の被害は知らず。訓練どおり総合運動公園を開門し体制は整えた。
●12日未明から…沿岸部の被災状況が徐々に判明。官民を超えた後方支援活動本格始動
大槌町から助けを求めてきた被災者が遠野市へ。遠野市職員を現地へ向かわせ、沿岸部の被害状況の報告を受ける。後方支援活動本格化。「支援の希望はとにかく断らず受け入れる」方針により、物資、支援隊が次々遠野市へ。官民を超えた連携で、自衛隊、他府県援助隊、民間事業者、各地からのボランティア受け入れ、遠野市民もボランティア協力など。
人力も物資もここまで集まるとは想定外。提供可能施設の場所、設備、受け入れ可能人数をリストアップして、受け入れ割り振り対応した。
●ボランティアとの連携
社会福祉協議会と市が情報を共有。ボランティア拠点に144箇所を提供した。(遠野まごころネットが社協に机をひとつ置いて活動開始。)
●県との連携
遠野市の後方支援は当初72時間を想定していた。その先は県がサポートしてくれると考えていたが、県は盛岡から動かない、物資も県から届かない。支援する側も、硬直した県に対し、遠野が受け入れると聞いて遠野に送り込んでくる。初期対応からそのまま遠野市が後方支援活動を継続していった。県はあてにならないという課題が残った。
●初期からこれまで、今後
初期はまず生命維持が第一。救助活動や炊き出し支援など。次に生活支援。避難所の環境整備から、仮設住宅や長期避難者対応など。現在は被災自治体の歴史記録の確保や文化の保存振興、被災者のメンタルケアと自立に向けた産業振興へとシフトして、広域の活動は続いている「縁がつなぐ後方支援プロジェクト~6つのネットワーク」。
現在も支援拠点を遠野市において活動する民間団体も。
情報化の時代であっても、人・モノが実際に動くことはどうしても必要で、長年要望してきた高規格道路が復興支援道路として国費で整備されることになった。
●遠野市総合防災センター
遠野市消防本部でもある。消防は平成の合併前は広域消防であったが、そのままエリアが合併し新遠野市となったため、現在は市単独消防となっている。最新の指令設備、訓練棟を設備し、後方支援活動の自衛隊設営拠点となった総合運動公園隣接に位置する。市本庁舎がない現在、当センター会議室が有事の災害対策本部室となる予定。震災の記録展示コーナーもある。

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【リンク】
遠野市の後方支援について(遠野市HP・沿岸被災地後方支援室のページ)
縁がつなぐ後方支援プロジェクト(遠野市HP、PDF

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