旅するはらっぱ~日々旅日記

from HP 「旅するはらっぱ」


各地の各智を旅する、

はらみづほの旅日記です。

●生き延びるために ⑤ 恋をする。 <後編>

2011年12月03日 | ほっかいどう旅
●1週間ペースだったのに遅くなっちゃった~スミマセン!

 恋をする。の、後半イキます♪


●まずは質問。

みなさんにとって、“恋” とは、どんなものですか?


私にとって “恋” とは、

・自分でも思いもよらないパワーをあふれさせてくれるもの。

・自分では思いもよらなかった自分に気づかせてくれるもの。

・想像力と創造力を、ムクムク活性化してくれるもの。

・リクツを飛び越え、感覚や感情が怒涛のようにあふれ出すもの。


……かなぁ~(笑)


●この秋私は、そんな、
 恋のチカラが幸せに廻り合って “愛” に結実している!
 と感じた ワンダフルカップルに出会ったのです。

 それは、富良野で 「エゾアムプリン製造所」 を営む、
 カトちゃん と アムちゃん夫妻。

実はダンナさんのカトちゃんと私はもと仕事仲間で、
このたび互いに18年間(?!)の音信不通を超え、
突如、この北の大地で奇跡の再会を果たすこととなったのでした。


●コトのはじまりは、図書館で何気なく借りたエッセイ本、
料理研究家&エッセイスト、高山なおみさんの 「たべる しゃべる」

その第一章目に、
私が花の銀座でバブリーな広告代理店のコピーライターだった頃
ともに広告づくりをしていたカトちゃんが、
ババーンと登場していたのです!


東京で一緒に仕事をしていたころの彼は
広告のグラフィックデザイナーだったのですが、

その本の中の彼はまったく別の仕事をしていて、
しかも 東京から移住し、今、富良野在住
とのことで、ビックリ仰天。

初恋の人の名をラジオで聴いた時も驚きましたが(笑)、

図書館で借りた本を開いたら、いきなり昔の仕事仲間が載っていて、
しかも当時の住まいから遠く離れた同じエリアに
今、お互いが住んでいると知ったその時も、
思わず 「うっそ~!」 と声が出るほどビックリしました。


おまけに、
その本に描かれている彼らの暮らしぶりときたら、
私の理想そのもの!


さらには、なんとその数日後、
まるで仕組まれたかのようなタイミングで、
富良野から講演仕事のご依頼が……!


もう、これは 「彼らに逢いなさい」 と
運命に導かれていること間違いなし!(笑)

……というわけで、思い切ってコンタクトを取り、
めでたく ご対面!とあいなったのでした。


●今や、高山さんの本を皮切りに、雑誌はもちろん、
NHKのTV番組にまで取り上げられる、
絵本の舞台のようにステキな 「エゾアムプリン製造所」


東京在住の年季の入った大工さんである
カトちゃんのお父さんを棟梁に迎え、

+ カトちゃん、アムちゃん の3人で、
このプリン工房&少し離れたところにある自宅を、自力制作。

不ぞろいな板切れをオシャレに活用し、
ミノムシ方式で重ねることによって、
雨や雪を除けつつ個性的なデザインを実現。

う~ん、アーティスティック!


周りの風景は、こんな感じで……


中の様子は、こんな感じ♪

●こちらの女性は、カトちゃんのお友達の奥さん。

 なんと彼らも、カトちゃんカップルの影響で、
 東京から移住して来たとのこと。

 「ここでの暮らしはどうですか?」 と尋ねたら、
 「楽しくて、快適で、最高です♪」 と、い~い笑顔!


●ちなみに、彼女の横に立っている白い筒はストーブの煙突。
 こんなキッチュな花柄入りは初めて見たけど、
 なんと、廃屋の納屋にあった古物だそう! カワイイ~!!!
 田舎の古い納屋からは、こういうお宝がザックザックと出てくるそうな。


●煙突の隣、ブロックの上に載っているのが、
 プリンを焼いているオーブン。

 1日に18個しか焼けないという、アムプリン。
 富良野産の新鮮原料で、じっくりじっくり焼き上げているのです。

●その内容は……

・毎朝近所の牧場にこの容器で買いに行く絞りたて牛乳
富良野オムカレーでも使われている大西養鶏所さんの元気な卵
・ご近所産の てん菜糖(さとう大根から作るお砂糖です)
・北海道の酪農家の会社、「よつ葉乳業」の生クリーム
・近所の山々の恵みの、湧き水

 ……のみ。というシンプルさ!
 でもってコレらの自然の味わいと豊かなエネルギーが、
 幸せのアムプリンに結実するワケなのです!
 
なるほど、焼き上がったら、こうして冷ますのね。



(上記写真は、アムプリンのHPから拝借しました~)

アムプリンは、
直径20センチ×深さ6センチの素焼きの器入り。

でっかくて食べ応えタップリ!
パーティーやお祝いにもピッタリ!





私はお土産に買って帰って、
「お茶を楽しむ会」 のお仲間といただきました♪

みなさん、 
「おいし~!」 「濃厚~!!!」 「チーズケーキみたい~!」
と、大喜び!
 
●容器の内側はツルンとしていて、
食べ終わったら使い道いろいろ。

直火にかけて土鍋感覚でごはんや煮物を作ったり、
ケーキやグラタンの容器にしたり……。

2個以上になったら、重ねて保管できるそうな。
スグレモノだね~! 特注品だそうです。


それにしてもカトちゃん、

東京のグラフィックデザイナーから、
一気に富良野のプリン屋さんに転身なんて、
思い切ったね~!

でも、知れば知るほど、
これぞデザイン!という感じの仕事ぶり&暮らしぶり。
ぜんぶがARTだな~! って思えたよ。


●この車は、アムプリンの最初のお店。

最初はアムちゃんが東京の自宅で作ったプリンを
カトちゃんがこの車に乗せ、都会の町々で移動販売していたそうな。


●そんな彼らが、
縁も ゆかりも なかった富良野に移住することに決めたのは、

自然が少ない東京暮らしに耐えられず、
アムちゃんが病気になってしまったから。


「アムちゃんが東京だと苦しくて もう暮せないって言うから、
 苦しくないところで暮すためにココに来たんだ。

 前から何となく富良野っていいな、と思ってて、
 試しに遊びに来てみたら、ホントにすごく良くてね。

 アムちゃんは東京がダメで、
 オレは別にどこでも暮らせると思ったし、
 新しい暮らしもおもしろそうだな、と思って、

 自然と じゃあここで暮そう ってことになったんだよね」



つるん、とそう言ったカトちゃんの口調は
とても自然で、さりげなかったけれど、
私の心の内側には、静かな衝撃と感動が広がっていきました。


◆一緒にいる大切な人が辛い想いをしているから、
 その人が辛くならずにすむ場所に移動し、
 辛くならずにすむ暮らしを始めてみる。

◆その変化に身を委ね、訪れる展開を楽しんでみる。



それはとても自然で、大らかな決意。
優しく、しなやかな、明るい選択。



シンプルなことだけど、
実際、それができない人は、とても多い。

会社とか、人間関係とか、慣れ とか、
便利さとか、人の目とかに囚われて、

体や心の悲鳴に気づかぬふりをして、
自分を騙しながら 「不変」 を続けていく人は、ほんとうに多い。


移住したいのにできず苦しんでいた
福島の人たちの声を思い出しながら、
 
アムちゃんに対する カトちゃんの 自然な愛情 が、
私の心の中にまで、優しい雨のようにしみわたっていきました。


「愛」 = 「合」

「愛する」 とは、 「合おうとする」 こと。


相手と一つになりたくて、自分が自然に変化すること。


そう再確認できた気がして、胸がいっぱいになりました。


●彼らのご自宅は、こんな感じ。
薪ストーブが静かに燃えて、窓の外は、草、山、空……。
(今はきっと、雪景色ですね)


手作りのぬくもりに満ちていて、
子どものころ読んだ絵本の世界みたいに心地よく、
初めて来たのに、泣きたくなるほど懐かしくて。


ステキな彼らの手作りハウスでイロイロ話をしていたら、
みるみる夜が降りてきて、晩ごはん支度の時間到来。


カトちゃんとアムちゃんは、どちらからともなく
自然に一緒にキッチンに立ち、

ふるさとの台所のようにあたたかい雰囲気の中、
穴場レストランの厨房のようにテキパキと、
でも それぞれに楽しげに、
絶妙なコンビネーションの別料理をクッキング。


アムちゃんが刻むニンジンのオレンジと、
リズミカルな包丁の音にウットリし、


カトちゃんが作る “牛乳豆腐” の湯気と
美味しそうな匂いにワクワクし、

二人の手元から生み出されるものたちに
目を見開いてしばし見入っていた私は、



「今のうちにお風呂入るといいよ~」
 と促され、
お言葉に甘えて ひとっ風呂。

しあわせ気分でお風呂から上がって来たら、
ステキなディナーテーブルが、準備万端!


北欧みたいにキャンドルの灯りで地元のワインを乾杯し、


香ばしいガーリックトーストやら、
トウモロコシのソテーやら、
豆と野菜のスープやら、


新鮮な牛乳に酢を入れて作った感動絶品の “牛乳豆腐” やら、



コーフンしまくりの五つ星料理をモリモリ味わい、
「おいしいね~!!!」 を、みんなで連発。

昔話から宇宙話まで 話の花も咲きまくり、
夢のような夜は、キラキラと更けていったのでした。


●その夜は、2Fのお客さん用のベッドサイドにいた
カトアムファミリーに見守られつつ爆睡し、


翌朝、2Fから降りていくと……


ふたりの愛息子、コロちゃんがお出迎え。 おはよう!


カトちゃん作の朝ごはんも いい匂いを放っていて……


上げ膳、据え膳、いただきます♪


「アンタってば、食べてばっかだワン」
「か…かたじけない……」


●食後は、駅近くの郵便局に出勤する
お友達の車に乗せてもらうべく、バタバタと出発。


●送ってくれたお友達にお礼を言って帰路の列車に乗り、
窓際の席で動き出した車窓の景色を眺めながらホッと一息ついたとき、

別れ際にアムちゃんが話してくれた言葉が、
あらためて胸の中によみがえってきました。

出発前、私と二人きりになったとき、
彼女は突然、思い切ったように、こう話してくれたのです。


「アムちゃんね、小さいころ、

 口がとんがってるとか、足が短いとか、
 変わってるとか言われて、
 よくみんなにバカにされてたの。

 大人になってからも病気になったりして、
 苦しくて、全然自信なくて、
 私なんか全然ダメだって思ってた。


 だけどね、こんな いいだんなさんに出逢えて、
 こんな いいとこに住めて、好きなことして暮せてて、
 こんなに幸せになれたんだ。


 だからね、今 辛くてたまらなかったり、
 自分に自信がなくて苦しい人たちに言いたいの。

 だいじょうぶだよ って。


 そのまんまの自分でも
 ちゃんと幸せになれるから、だいじょうぶだよ

 
 って、伝えたいの」



列車のガタンゴトンに合わせ 胸の中で温かい泉が揺れて、
湯気のように立ち昇った想いが、
私の中で 少しずつ言葉になってゆきました。


には、
恋をしている人の魅力を目覚めさせ、磨き上げるチカラがあり、

には、その人の魅力を育み、成熟させ、
周りに分け与えてゆくチカラがあるんだ……!


恋愛というのは、
当事者たちの中だけで収まっているものではなく、

当事者たちから核分裂して四方八方に放射される、
安らぎと喜びのエネルギーなんだなぁ……!
 と。


●そして、「たべる しゃべる」 の中に書かれていた
カトちゃんの言葉を思い出しました。


「アムちゃんは “夢部” で、オレは “叶え部” なんだ」


互いの性質の違いを理解し、楽しく組み合わさることで、
新しいくらしを生み出している2人。

プリンも、彼らの生活空間も、
その幸せエネルギーから生まれたタマモノだから、
それに触れた人たちを、幸せにしてゆくのでしょう。


つまり、彼らが仲良く愛し合っている限り、
私たちは美味しいプリンを食べ続けることができ、
私は富良野に心のふるさとを持ち続けることができる、ということ(笑)


「ありのままの自分」 を楽しみ活かし合える恋と愛 は、
この世に安らぎと喜びを増殖させる核 なんですね。


●そういえばアムちゃんが、こんな話も聞かせてくれました。


大西養鶏所の大西さん (アムプリンの卵の作者で、
養鶏のエキスパートじいちゃん) は、

鶏たちが卵を産む数が減る日が不定期で訪れるため、
何年もデータを取り続け、原因を調査・研究した結果、

卵を産む数が減る日=自分が夫婦喧嘩した日であることを発見。

夫婦喧嘩した日はイライラした状態でエサやりをするため、
鶏たちはそれを敏感に察知してストレスを感じ、
卵を産まなくなっていたのだと判明したそうなのです!

その結果 大西さんは、
商売繁盛のためにも夫婦円満がイチバン
という結論に達したそうですが、
なんとも感慨深い話だと思いませんか?

やっぱり 人の心の状態 や 人間関係のあり方 は、
周囲のものごと全てに影響を及ぼすのですね~!



●……というわけで、

いい恋愛は、世界平和の始まり。

私はまず、
ありのままの自分と円満になるところから
準備運動を始めようかな(笑)。

カトちゃん・アムちゃん、
ステキな自然エネルギーを見せてくれて、
ほんとうにほんとうに、ありがとう……!(涙)




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4 コメント

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ありがとうございます (yuuko)
2013-03-14 21:01:06
私はエゾアムプリンの大ファン
あちこちに送っていただいて みんなから驚きと喜びの声を聞かせてもらってます

カトちゃんとアムちゃんのこんな素敵な物語を読ませていただいて感謝です
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Unknown ()
2013-11-14 10:30:59
ひそやかにアムカトにあこがれているものです。ああほんとうにすてきな二人。あこがれます。アムちゃんのことばの深さにじーん。涙でました。
返信する
ありがとうございます! (旅するはらっぱ)
2013-11-19 00:04:56
コメントをありがとうございました~!

ふたりの暮らしぶりは私の憧れでもあります。
アムプリン、しばらく食べていないので、
年末注文しようかな~♪
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アムとカト (うらうら)
2019-02-24 20:43:54
わたしも「たべるしゃべる」や「クウネル」で高山なおみさんのエゾアムプリンを読んで、エゾアムプリンのお二人が大好きになりました。

こんなに素敵な二人のお話をアップしてくださってありがとうございます。

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