作品#94 むき出しの配線

久しぶりに実家に帰って畳の上に寝転ぶと、
子どもの頃から変らない天井。
裸電球を吊るしていた時代からそのままの配線。
カメラにも寝っ転がってもらった。

三重県、勢和村にて。

作品#93 空の穴

光が降って落ちてくる穴。
雲の流れは早く、穴は形を変え、
そこかしこに光を降らす。

長野県、中央自動車道のサービスエリアにて。

作品#92 夏らしい夏が恋しい

沸き上がる白い雲。
最近こんな雲が出ることが少なくなった。
そういえば雷や驟雨も少なくなったような気がする。

三重県津市にて。

作品#91 変態は繭の中で起きている

半透明な膜が表面を覆いつくし、
中では蛹が成虫になるように何かが変りつつある。

三重県津市。

作品#90 木陰から

じりじり焼け付くような夏の陽射しの下、
グラウンドでは生徒がハードルの練習を繰り返している。
私は桜の葉影で風を感じてじっとしている。

三重県津市。

作品#89 どこかにある緑

こうやって切り取ると山の中だか川岸だかわからないが、
実はここは学校の校庭の緑なのだ。
校庭だ校庭だと思いながら見るのと、
川岸だ川岸だと思いながら見るのとでは、
切り取られた外側への想像力に違いが出るのが不思議。
そうやってじーっと画面を見ながら想像を巡らしていると
白い雲まで下から上に向かって流れていくような錯覚を覚える。

三重県津市にて。

作品#88 十和田湖西岸

雲間から抜け落ちる光が山肌の一部分を照らす。
何もない風景だが実に豊穣なシーンでもある。

十和田湖シリーズもこれで終わり。

作品#87 静の湖

広大な十和田湖の真ん中に出て、北の方角を望む。
海と湖では印象が全く違う。
波の打ち寄せるダイナミックな海岸もいいが、
うねりのないスタティックな水面にも
静謐な水のエネルギーを感じて気持ちいい。

作品#86 湖上へ

速度を上げて船は十和田湖上に進み出る。
進んだあとに条が残っていく。
船着き場はもう遠くなった。

作品#85 人跡は控え目に

雄大な自然の中の人工物はなるべく控えめにしてほしい。
送電線の鉄塔とか携帯電話の電波塔などが山の稜線より上に
出ているのは見苦しい。
しかしこれぐらいの建造物なら
遊覧船に乗って船着き場を離れて5分もすれば
もう何もかも森に埋もれてしまう。

十和田湖上にて。