『種まく旅人 くにうみの郷』を観てきた。
第一印象としては「何故この地味なテーマの映画にこれだけの俳優陣が?」とちょっと失礼なことをば。。。
それと、今年は『摂氏100℃の微熱』といい、淡路島を舞台にした映画が多いな、とも。
テーマは第一次産業、農業と漁業。
そしてそこに流れる人間関係。
農林水産省から本意で無い視察にやってきた、地域調査官(?)が主人公。
でも、彼女自身は、あくまで観客の投影的な位置づけ。
本当の主人公は、野菜を育て、海苔を育てる、そんな人たち。
感情移入できたのは、タマネギ農家の兄。
一度東京に出て、失敗して戻ってきて、家を継ぎ、一所懸命にタマネギ農業をビジネスにしようとする。
でも、それも失敗してしまい、挫折に重ねた挫折。
一方で海に出た弟は、海苔の収穫で苦しいながらも結果もでて、直に結婚もすると言う。
兄の気持ちとすれば打ちひしがれても仕方がないかもしれない。
「優しさは心の武器」という表現があるけれど、本当にそうで、優しさは時に人を傷つける。
傷ついた心に、慰めは侮辱だ。
敗者に差し伸べられる勝者の手は、鋭い刃だ。
優しさは、情けは、安易に差し伸べるべきではない。
八つ当たりさせたいだけさせて、泣きたいだけ涙を流させて、不貞腐れるだけ不貞腐れさせて、逃げたいだけ逃げさせて。
そして、一人で立ち上がるのを待つ。
それが、武器でない優しさだと思う。
立ち上がるのは、結局負けた人間でしかない。
「かいぼり」という、ため池の掃除とそれに伴う海への栄養塩の供与と言う、一石二鳥の作業がある。
山の者と海の者の接点。
東京に行くはずだった兄はそこに現れる。どこか照れくさそうに。
彼はもう一度立った。時間はかかった。
誰も手を貸さなかった。ただ信じて待った。
掻き出し作業をしながら徐々に近づく兄弟。
「もうへばったんか?」
「遅れてきたくせに」
そこから兄弟は兄弟に戻る。
いや、兄弟として次のステップに入る。
これから先、この兄弟が農業・漁業でそれぞれやっていけるのか、それはわからない。
労多くして、実り少なし。
どんなに努力しても天候が悪ければ、もっと言えば運が悪ければ、努力は意味を失う。
ただ、努力をしなければ、絶対に実らない。それが農業だし漁業だと思う。
この兄弟はそれを身をもって知った。
だからきっと、大抵のことは乗り切っていくのだと思う。
第一印象としては「何故この地味なテーマの映画にこれだけの俳優陣が?」とちょっと失礼なことをば。。。
それと、今年は『摂氏100℃の微熱』といい、淡路島を舞台にした映画が多いな、とも。
テーマは第一次産業、農業と漁業。
そしてそこに流れる人間関係。
農林水産省から本意で無い視察にやってきた、地域調査官(?)が主人公。
でも、彼女自身は、あくまで観客の投影的な位置づけ。
本当の主人公は、野菜を育て、海苔を育てる、そんな人たち。
感情移入できたのは、タマネギ農家の兄。
一度東京に出て、失敗して戻ってきて、家を継ぎ、一所懸命にタマネギ農業をビジネスにしようとする。
でも、それも失敗してしまい、挫折に重ねた挫折。
一方で海に出た弟は、海苔の収穫で苦しいながらも結果もでて、直に結婚もすると言う。
兄の気持ちとすれば打ちひしがれても仕方がないかもしれない。
「優しさは心の武器」という表現があるけれど、本当にそうで、優しさは時に人を傷つける。
傷ついた心に、慰めは侮辱だ。
敗者に差し伸べられる勝者の手は、鋭い刃だ。
優しさは、情けは、安易に差し伸べるべきではない。
八つ当たりさせたいだけさせて、泣きたいだけ涙を流させて、不貞腐れるだけ不貞腐れさせて、逃げたいだけ逃げさせて。
そして、一人で立ち上がるのを待つ。
それが、武器でない優しさだと思う。
立ち上がるのは、結局負けた人間でしかない。
「かいぼり」という、ため池の掃除とそれに伴う海への栄養塩の供与と言う、一石二鳥の作業がある。
山の者と海の者の接点。
東京に行くはずだった兄はそこに現れる。どこか照れくさそうに。
彼はもう一度立った。時間はかかった。
誰も手を貸さなかった。ただ信じて待った。
掻き出し作業をしながら徐々に近づく兄弟。
「もうへばったんか?」
「遅れてきたくせに」
そこから兄弟は兄弟に戻る。
いや、兄弟として次のステップに入る。
これから先、この兄弟が農業・漁業でそれぞれやっていけるのか、それはわからない。
労多くして、実り少なし。
どんなに努力しても天候が悪ければ、もっと言えば運が悪ければ、努力は意味を失う。
ただ、努力をしなければ、絶対に実らない。それが農業だし漁業だと思う。
この兄弟はそれを身をもって知った。
だからきっと、大抵のことは乗り切っていくのだと思う。