逝きし世の面影

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日韓条約と同じプーチンの平和条約

2018年09月15日 | 軍事、外交
ロシア東部ウラジオストクで開催中の「東方経済フォーラム」に臨む、同国のウラジーミル・プーチン大統領(中央)、中国の習近平国家主席(右)、安倍晋三首相(2018年9月12日撮影)

『プーチン大統領、日ロ平和条約締結を提案 年末までに「前提条件なし」で』2018年9月12日 AFP

ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は12日、日本との間で長年の懸案となっている領土問題を解決すべく、「前提条件なし」での平和条約の年内締結を日本側に提案した。
プーチン大統領は、東部ウラジオストク(Vladivostok)で開催中の「東方経済フォーラム(Eastern Economic Forum)」で、安倍晋三(Shinzo Abe)首相をはじめとする各国首脳が出席する中、日本側に「年末までに前提条件なしで平和条約を締結しよう」と呼び掛けた。
プーチン氏による突然の提案は、2日前の日ロ首脳会談後の共同会見で、両国間の領土問題がすぐに解決する見込みはないと述べた発言からの方針転換といえる。
ロシアと日本は、第2次世界大戦(World War II)末期に旧ソ連が占領した北方四島の帰属をめぐって対立しており、これまで平和条約が結ばれていない。
プーチン氏はフォーラムの席で「われわれは70年間、領土問題を解決しようと試みてきた。70年間、協議を続けてきた」と述べた。さらにプーチン氏が「晋三(安倍首相)は『われわれのアプローチを変えよう』と言った。そうしよう。ぜひ平和条約を締結しよう。今すぐでなくても今年の終わりまでに、一切の前提条件なしで」と述べると、聴衆は拍手喝采した。
プーチン氏はまた、平和条約の締結によって「過去70年間、われわれが解決することができなかったすべての問題の解決が促されるように思う」と述べた。
(抜粋)
9月12日 AFP



『プーチン氏提案「方向同じ」=河野外相』2018/09/13 時事通信

河野太郎外相は13日、ロシアのプーチン大統領が年末までに前提条件なしで日ロ平和条約を締結するよう呼び掛けたことについて「なるべく早く平和条約を締結したいという思いがよく分かった」と述べた。「向いている方向は(日ロ両国で)同じだと確認した」とも語った。訪問先のハノイで記者団の質問に答えた。
河野氏は「北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するという方針に何ら変わりはない」とも強調した。
9月13日 ハノイ時事

安倍とプーチンの日露両首脳極秘会談!『“平和条約”提案後 日ロ首脳が意見交換 交渉進め方議論か』2018年9月15日 NHK

ロシアのプーチン大統領が日本との間で年末までに前提条件をつけずに平和条約を締結することを提案したあと、安倍総理大臣とプーチン大統領が通訳だけを交えて意見を交わしていたことがわかりました。内容は明らかになっていませんがプーチン大統領の提案も踏まえ、今後の交渉の進め方などを議論したものと見られます。
今月12日、ロシア極東で開催された国際会議で、安倍総理大臣が平和条約締結に向けた協力を呼びかけたのに対し、プーチン大統領は、年末までに前提条件をつけずに締結し、その後、係争中の問題の話し合いを続けようと提案しました。
このあと、安倍総理大臣とプーチン大統領は会場近くで開かれた柔道大会を観戦しましたが、この際、通訳だけを交えて意見を交わしていたことが関係者の話で新たにわかりました。
内容は明らかになっていませんがプーチン大統領の提案も踏まえ、双方の基本的な立場を確認し、今後の交渉の進め方などを議論したものと見られます。
プーチン大統領の提案は、北方四島の帰属の問題を解決したうえで、平和条約を締結するという日本政府の基本方針とは相いれないため、野党側からは、安倍総理大臣が反論しなかったことへの批判が出ています。
安倍総理大臣は、14日、自民党総裁選挙の討論会で「領土問題を解決して平和条約を締結するというのが日本の立場であり、それは、あの発言の前もあとも私はちゃんと述べており、プーチン大統領からの反応もある」と述べ、提案のあと意見を交わしたことを示唆していました。
9月15日 NHK

『北朝鮮問題と同じ、最後まで残された第二次世界大戦の戦後処理としての日露平和条約の締結』

1945年2月のヤルタ会談では日本降伏の切り札としてドイツ降伏(5月9日)後3ヶ月以内のソ連赤軍の対日参戦をソ連のスラーリンが、その褒賞として日本の千島列島のソ連への割譲をアメリカのルーズベルトが、(イギリスのチャーチル首相を含めた)連合国軍の3首脳会談で早々と決めていたのである。
1951年調印のサンフランシスコ講和条約では6年前のこの1945年2月のヤルタ会談の内容に沿った形で、日本全権の吉田茂首相は千島列島の放棄を正式に認めている。この事実はその後の国会答弁でもはっきりと確認されているのです。ところが、その後日本は(アメリカに言われるままに)1955年から『南千島の国後択捉は日本が放棄した千島列島ではないから返せ』と言い出して今に至っている。
まさに『白馬は馬に非ず』との露骨すぎる典型的な詭弁である。国後択捉が南千島(択捉海峡以北が北千島)であることは明らかで、日本側の言い分は国際的にはまったく通用しない。
★注、
もしも日本が南千島(国後択捉)の返還を言いたいなら、先ず順番として全千島を放棄したサンフランシスコ講和条約の破棄を言い出さないと辻褄が合わないが、これはアメリカが怖すぎて不可能なのです。(元々は第二次世界大戦の戦後処理だった。ところが、WWⅡ後に即座にアメリカが冷戦を始めると対米従属命の日本が従ったので解決不能に陥った)


第一次世界大戦の敗北でドイツがベルサイユ条約で失った領土。(西プロイセンを失った結果、東プロイセンが飛び地になった不自然なドイツの国境線)『WWⅡ後にオーデルナイセラインを認めて国際社会に復帰した西ドイツ』

『千島放棄(日本のオーデルナイセライン)を認める以外の選択肢は無い』


第一次世界大戦後のドイツ国民がナチス(ヒトラー)を熱烈に支持した理由とは、ドイツとって不当な国境線にあったが、その結果は第二次世界大戦の敗北でもっと国境線が不利に書き換えられているのです。今の日本の『北方領土は昔から日本の物だったから返せ』云々の言い分とは残念ながらヒトラーのドイツ第三帝国と五十歩百歩。ほぼ同じ水準だった。
1939年のポーランド侵攻を理由にして英仏がドイツに宣戦布告して第二次世界大戦が始まったが、そもそも現在のカリーニングラードやポーランドの西半分は千年前からドイツ人のホームランドだった。英仏(連合国)よりドイツ(ヒトラー)の言い分の方が歴史的に見て正しかった可能性があったのである。しかし『父祖伝来の領土返還』は決して成功することはなく、不幸な結末しか待っていなかった。WWⅡの敗戦後にドイツは今の国境線であるオーデルナイセラインを認める以外の選択肢は無かったのである。同じように日本のオーデルナイセラインである『ロシア領の北方領土』(千島放棄)を認めて平和解決する以外の選択肢は残されていない。
(新進気鋭の政治学者白井聡は安倍晋三などの靖国史観の歴史修正主義に対して『もう一度アメリカと戦争して、勝つか引き分けにするしかない』と指摘しているが、北方領土返還ではロシアともう一度戦争して勝つ以外の方法はないが、そんなことは誰一人も望んでいないのである)

『とうとう巨大な歴史の歯車が動き出した極東』

河野太郎外務大臣の祖父である河野一郎首相が1956年に結んだ日ソ共同宣言は実質的に平和条約の前段階の意味を持っていたが、東西冷戦が国是だったアメリカの恫喝で頓挫する。ダレス国務長官は、米軍統治の『沖縄返還』を北方領土とリンクさせたので、当時の日本側(河野一郎首相)としては平和条約を諦めるしか道が無かったのである。以後62年間も北方領土の帰属をめぐって日露両国の関係は不正常な状態が続いていた。
現在アメリカ海兵隊基地(辺野古)を最大の争点にして沖縄知事選の真っ最中だが、実は沖縄県の帰属と北方領土(日露平和条約)とは一つのコインの裏表のような一体不可分の摩訶不思議な関係にあったのである。
北方領土返還では、ロシアのプーチン大統領が何を言ったかとか日本の安倍晋三首相が何を思ったかではなくて、アメリカ(トランプ)こそが最大で唯一のキーワードだった。(ひょっとしたら7月16日の米露両首脳のヘルシンキ会談で今回のプーチン提案が決まっていた可能性がある)それなら、あの歴史的なシンガポールの米朝首脳会談(6月12日)のように急転直下、即座に決着する。
プーチン大統領が言ったように、今年中の日露平和条約締結で歯舞色丹の日本返還が実現することは、十分に有り得るでしょう。

『厳格な欧米一神教世界の世界基準とは対照的な極東のアジア的曖昧模糊(大人の判断)の平和構築路線』

9月14日の毎日新聞朝刊では、今回プーチンが言ったような国境線を画定しない(領土問題を棚上げにした)曖昧な平和条約の例として、1960年代からの中ソの40年来の争いを2001年の善隣友好条約締結で成功した例を上げているのです。(その後中露関係が大きく改善したので、長年の懸案だった領土問題も円満解決している)
実は、国境画定が平和条約の絶対条件のヨーロッパなどのグローバルスタンダード(世界基準)とは大きく違い、長い歴史がある複雑な日本と韓国(1965年)日本と中国(1978年)でも同じ手法が使われていて、紛争地の竹島や尖閣諸島を『棚上げ』(領土問題を先送り)にした結果、ようやく条約を結んでいた経緯がある。(はっきり帰属を書き込むと、それぞれの国民世論の反対で成功しないので仕方なく『大人の判断』で曖昧に誤魔化した)
今回のプーチンの提案は少しも唐突でもないし、不思議でもない。長くて複雑な歴史の極東アジアでは『それしかない』当然の提案だったのである。(今までのトランプ以前のアメリカが絶対反対だから実現しなかっただけで、)ヘルシンキでの初めてのトランプとプーチンの米露首脳会談以後、今まさに歴史の歯車が大きく動き出していて、日本や南北朝鮮、中国、ロシアなど極東アジアの大変革が起きようとしているのでしょう。

(おまけ)

アッと驚くメタモルフォーゼ『あの維新の足立康史が今までとは180度コペルニクス的に大転換』

(『二重国籍の容認』自体は世界的な流れだが、)国民栄誉賞と国籍を混同?した究極のポピュリズムなのか??それとも一部のエリートなどエスタブリッシュメントだけの特権を容認する貴族制度など階級社会を目指すのか???



『よりによって二重国籍狩りの急先鋒、維新・足立康史議員が、国籍をおもちゃにする?アッと驚く180度の大変身』

仕方なく日本国籍を放棄させられたトラウマがノーベル文学賞に繫がったデラシネ(ボヘミヤン?)小説家カズオ・イシグロ(石黒一雄)のような貴重な人材の海外流出を防ぐ為には世界基準では普通の二重国籍を認める方向に動くことは自然である。しかし、今回よりによって最も過激な二重国籍狩りの急先鋒、維新・足立康史議員が言い出したのは矢張り『驚きだ』としか言い様がない大変化だった。
日本国では二重国籍を排除しているが、現在のようなヒト、モノ、カネ、情報などすべてが自由に国境を超える国際化した世界では、日本生まれのカズオ・イシグロ氏のように日本人が外国に帰化して外国人になる例も、二つ以上の国にルーツを持つ人々も大勢産まれているので先進国では『二重国籍』は普通である。(トランプ大統領と共和党予備選を争ったマルコ・ルビオ、破壊王テッド・クルーズやカルフォルニア州知事だったアーノルド・シュワルツェネッガーも二重国籍者)
もしも、日本国が法律を整備して二重国籍を容認していれば、間違いなくノーベル文学賞のカズオ・イシグロ氏は英国籍と共に日本国籍も保持していたとおもわれる。
個人個人の持つアイデンティティ(Identity)とは最も大事な基本的人権なのですから、余程迫害しない限り、誰でも自分自身の生まれた時の国籍(自分の最も基礎的なルーツや歴史)を喜んで自分から捨てることは無いのである。(断腸の思いで泣きながら、仕方なく捨てていると思われる)
長くアメリカなど外国に留学するとか研究するためには、その国の国籍取得は生活の便宜上必要不可欠の要素なのである。
日本人でもノーベル物理学賞の南部さんや青色ダイオードの中村修二教授はアメリカ籍だが、日本人の二重国籍者は100万人以上も存在しているらしい。(40万人との説もあるが、何しろ政府自身が二重国籍者の統計を一度も取っていないのですから基本的に実数は不明である)
『生物と無生物のあいだ』や『動的平衡』の著者の福岡伸一が『世界は分けてもわからない』という本を書いている。簡単に分けれそうな『生物と無生物』さえ完全には分けれない。全ての物事には必ずファジーな部分が存在するので、『分けないと分からないが、分けても分から無い』のである。

『7年半前のプーチン大統領の驚きの提案』フクシマの放射能被害で強制疎開をする避難民をシベリアに全員受け入れる

2011年3月11日に起きたレベル7の未曾有のフクシマの核事故の発生でロシアのプーチン大統領は被災民を全員受け入れる(放射能被害での強制疎開の意味か?)と発表していたが、今後の成り行き次第では多くの日本人がロシアと日本の二重国籍となる事態も十分に考えられる。ロシア国籍を持ていれば極東やシベリアで1ヘクタール以上の広大な土地を無償で提供されるらしい。(日本人の御先祖様である縄文人は3万年前の氷河期にはシベリアのバイカル湖付近に住んでいたので、日本人にとってある種の先祖帰りというか、シベリヤこそ父祖伝来の土地だった)

(おまけのおまけ)



5月20日放送のNHKの大河ドラマ「西郷(せご)どん」の第19回「愛加那」では、西郷隆盛の流刑先の島娘のとぅま(愛加那、二階堂ふみ)の兄・富堅(高橋努さん)らが捕らえられてしまいとぅまは激怒。島民たちと一緒に代官所に押しかける。
NHK大河ドラマ『西郷どん』が革命家としての西郷を描くなら、 とぅまの代官所破りの回をもって『もうこれで最終回でいいくらい』の素晴らしい出来上がりになっていた。

『王政復古のクーデター』

安倍晋三や自民党政府が盛んに『明治維新150周年』と言っているのですが、・・・
9月16日に放送するNHKの大河ドラマ「西郷(せご)どん」を紹介する新聞のテレビ欄(番組案内)の内容を見て驚いた。なんと、不正確で怪しげた『維新』の言葉は何処にも無くて、その代わりに『王政復古のクーデター』と歴史的に正しい事実をはっきり書いてあったのである。(今月12日にの安倍とプーチンの日露両首脳極秘会談を3日後の15日にすっぱ抜いたNHKの『“平和条約”提案後 日ロ首脳が意見交換 交渉進め方議論か』2018年9月15日と同じ快挙である) 






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6 コメント

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Unknown (なか)
2018-09-15 14:13:37
アメリカのネオコン支配を断ち切れとプーチンは言っている
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習主席の前で平和条約提案 (ローレライ)
2018-09-15 16:52:36
習主席の前で平和条約の提案である、クリル開発のパートナーは中国だと言いたいプーチン大統領。
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プーチンの言うとおり (古田)
2018-09-16 07:54:57
平和条約締結すればいいじゃない
歯舞・色丹が返還されればさらによし
ポツダム宣言受諾国に領土問題などない
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板垣英憲とは (市井)
2018-09-16 09:04:35
あのRKブログと合い通じる文言が多い板垣英憲と言う者が自身のブログで力説している話に、安倍三期目を阻止する為に今上天皇が20日の選挙を待たずに安倍、麻生らに引導を渡すと言う。その板垣何某の側近とやらが吉備太秦と言う者で天皇家に近い者らしい。日本の秘密結社ヤタガラスに詳細だ。そのヤタガラスと言えば裏天皇と繋がる台湾客家勢力だから、あの日航ジャンボ機撃墜高天原事件演出勢力な訳だよな。と言うことは板垣何某は工作員かもだな。偉そうなことばかり書いててかなりの悪よのぅ。
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目には目を歯には歯を無知と不誠実にはジョークで (和泉)
2018-09-16 12:53:49
日本政府がこれまで平和条約締結への怠慢の理由(国民へであってけっしてロシアでない)にしてきた北方四島を今回はプーチンに利用されるという茶番劇になりました。

記事や社説で知らん振りの右派マスコミ読売はともかくとして朝日やサンデーモーニングのような左派系メディアが4島の主権を主張するように、日本社会の無知と恥知らずに対してプーチンは逆ねじをくらわした形になりました。

プーチンの発言に対して政府外務省は日ソ共同宣言を持ち出さざるを得なくなり(4島(正確には歯舞、色丹)の権利を主張できる根拠がこれしかない)無知な日本人に日本政府が「領土」問題への事実を突きつけざるを得ないという茶番に追い込まれました。

22回に及ぶ安部・プーチン会談の結果がこういうことになるのは日本人社会の知的水準からすれば必然なのでしょう。

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会議は踊るどころか、日本の「全面講和」会議は始まりすらしない (現田石です)
2018-09-23 20:43:19
多国間戦争の講和会議研究に手を出して火の中の栗を拾おうかと考えている現田石です。
たぶん日本国民のほとんどに対して、ソ連が1945年8月に日本に攻めて行き始めたということを無視させて、そのまま忘れ去らせようと考え、今でも考えていると、国際状況を把握すべきなのでしょう。
戦争が始まっていないならば、ソ連やロシアと講和会議を開く理由はぜーんぜんありませんなあ。もしかしたら会議を長く踊らせるよりも高等戦法かもしれません。
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