逝きし世の面影

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市民置き去りで逃げる自衛隊と、半年後の意識的な朝日新聞の誤報

2011年09月15日 | 軍事、外交

9・11事件の10年目の2011年9月11日にウェッブサイトの朝日新聞デジタルと首都圏版の一部で流された、『「原発が爆発します」自衛官告げに来た 検証・住民避難』の記事の中には普通では有り得ない基本的間違いが多数含まれていて、わざと読者に誤解を与える構成になっていた。
朝日記事は、半年前の南相馬市の市役所に直接自衛隊が『原発が爆発する。避難して下さい。』と連絡して来た事実を報じたもの。

『半年も前のニュース、古すぎる報道』

1番最初の疑問は、新鮮さが命の新聞が何故半年も経ってから、『え!本当なの』と誰もが思う驚愕の事実を報じるのかであろう。
調べてみましたが、この報道は大手メディアではネット上の朝日新聞デジタルと首都圏版に限られた報道で、それ以外では全く無い。
普通ならある筈の報道後の後追い記事が、今回は何処にも見つけることが出来ない。
映像メディアで唯一取り上げた朝日系列でのテレビ報道は、出演していたコメンティーター達が口々に『迷彩服を着ていた人は本当に自衛官だったの』嘘でしょう的な不思議な内容で、暗に『朝日新聞記事は何かの間違いで、事実ではないだろう。』との印象操作を行っていた。
出演者達の『ニセ自衛官の悪戯』であるとの主張の根拠とは、朝日報道にある『自衛隊がなぜ動いたのか、いまも分かっていない』を、『自衛隊の存在が、いまも分かっていない』と故意か無意識かは不明だが、記事を間違って解釈して、『調べて、判らないはずが無い』ので、だから『この自衛隊の話はニセモノ』との姑息で悪質な印象操作を恥ずかしげも無く行う。
話は反対である。
この自衛隊が本物であれば、余計に報道機関が問い合わせても『判ら無い』との答えしか出てくる筈が無いのである。
自衛隊側が正直に、自分の破廉恥で非人道的な犯罪行為を明らかにするとでも思っているのだろうか。そんなことは天地が引っくり返っても起きない。
大人としての常識を疑う話である。
有識者どころか懐疑心の欠片も無い無知蒙昧なお人好し(を装う小悪党)でマスコミにでてくる公人として破廉恥である。
この、自衛隊の『原発が爆発する。避難して下さい。』を朝日新聞は半年間無視して報道しなかった。
しかし、他の報道機関は今でも完璧に無視して報道していないのです。
それなら、日本のマスコミはこの事実を知らないのか。
その可能性は低くて、正反対に新聞記者たちは事実を良く知っていただろう。
知らないから報道しなかった訳ではなくて、その反対で知っていたから報道しなかったらしい。
何故なら、マスコミ報道では既に3月の時点で夕刊ゲンダイが南相馬市の避難所の出来事として『原発が爆発する。避難して下さい』と言って自衛隊が逃亡した事実が報じられていた。
それなら当然、夕刊ゲンダイの記事の裏を取りに朝日など他の報道機関も、当該の南相馬市市役所に電話で問い合わせする位の事は誰でも思いつく。
9月11日付け朝日新聞記事にある南相馬市職員たちの証言は生々しい迫力がある。
この証言内容は9月の報道時点での取材情報ではなく、3月時点で得ていて当然でありその可能性のほうが遥かに高い。(記事の末尾に役職は3月時点との表記がある)
それなら記事にある具体的な日付け、氏名や役職は正確であると思われるので、南相馬市市役所職員の証言にある『原発が爆発する。避難して下さい。』の事実も正確であろうと判断される。

『素人でも間違わない程度の、恥ずかしい誤報(タイプミス?)の数々』

2番目の『謎』としては、朝日記事は普通なら絶対に犯す筈が無い重大なミス(誤報)を数々犯している、最低な記事である事実であろう。
朝日は大新聞として、『恥』以外の何ものでもない誤報をしているのです。
その結果、新聞記事を読んだ多くの読者は勘違いして、事実とは正反対の間違った判断に誘導するように出来ている。
この朝日記事の目的は、間違った方向に誘導することが隠された本当の目的ではなかったのかと、疑いたくなるような不思議な出来上がりなのです。
(朝日記事)
『25キロ南の東京電力福島第一原発では、12日午後3時36分に1号機で爆発が発生。
約3時間後、政府は半径20キロ圏内に避難を指示した。
南相馬市では1万4千人の避難が翌日までにほぼ終わったが、この日の午前11時1分、今度は3号機で爆発が起きていた。』、とある。
たった、これだけの短い文章の中に沢山の間違い(誤報)が含まれているのですから呆れ果てて開いた口が塞がらない。
これが本当の実力なら、今すぐ商売変えする以外に解決方法は無いであろうと思うほどの酷さである。
朝日新聞は到底報道機関と呼べる水準には無い。
何と最初の、『1号機で爆発。半径20キロ圏内に避難を指示』以外、全てが間違いなのです。
朝日記事では政府の避難指示で南相馬市から1万4千人の避難した風に読めるが、そもそも避難指示は原発から半径20キロ圏内である。
南相馬市は原発から25キロ離れているので、最初から対象外なのですよ。
南相馬市に有った避難所とは大震災対応の避難所である。
その南相馬市では原発での市民の自主避難以外の組織的避難は原則的に有る筈が無い。
事実は、南相馬市では1回も集団避難を行うことは無かったのです。
集団避難の実施どころか、その正反対で『原発が爆発する。避難して下さい。』と告げて退避した自衛隊を見た市民の自主避難さえ妨害していた可能性が高い。

『最悪の、有り得ない不思議な間違い』

有りもしない14000人の集団避難の後に、午後11時の3号機の爆発とは、いったい何時の時点だったのか。
朝日記事では最大の爆発事故だった福島第一原発3号基の大爆発が起きる日付が、有りもしない1万4千人の集団非難の翌日(13日)であるかのように読めるよう間違えて書いてあるが、事実は翌日の14日の出来事である。
14日のAM11時に3号基が数百メートルの巨大なキノコ雲を上げて大爆発。
翌々日の15日には2号4号基でも爆発音がしてPM9時には4号基が炎上する。
それで仕方なく、3号基の大爆発から24時間後の15日午前11時にやっと政府は20~30キロ圏の屋内退避を決めている。
朝日記事は不思議にも時間だけは正確で合っている。
資料を見て書いたからだろう。
ところがである、一番大事な日付の方が何日も間違っている。
この逆は起きても今回の朝日記事のような間違いは、普通なら絶対に起きない。(一人で書いている個人ブログではなく、校正等複数のチェックが入り訂正される)
そのため結果的に、南相馬市での自衛隊の『原発が爆発する。避難して下さい。』の持つ、とんでもなく大事な意味や事実が全く違って来るのです。
朝日の半年遅れの不真面目な誤報とは違う本当の14日夜の事実とは、果たして何であったのだろうか。?
朝日記事では、
>駐車場の自衛隊車両は赤色灯を回し、内陸方面に向かっていく。職員たちは色を失った。
7万人の市民をどうやって100キロ動かすのか。
高野真至主査(41)は『防災無線で流せばとんでもないことになる』と思った。<
とあるので、この後に南相馬市民に集団避難を呼びかける防災無線の放送を行うことは無かったと思われるのです。
一部情報を知った市役所職員や家族が避難した例があるかも知れないが、事実として集団避難は南相馬市では行っていない。
事実は、正反対なのである。
福島県当局の『原発は安全』との連絡を受けた南相馬市の桜井勝延市長の指示で『市職員が説明のために避難所を回った』のであるが、自衛隊の『原発が爆発する。避難して下さい。』を信じて避難していたら避けることが出来た無用な被曝を、市民に無理やり強制した南相馬市長や福島県知事の責任は免れまい。
時間が経過した後で発表された緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)によれば、3月15日は最大の放射能汚染物質が放出され、しかも飯館村や南相馬市のある北東方向に流れていた事実が明らかになっている。

『正しかった自衛隊の退避の判断』

南相馬市の当局の対応は、何とも情け無い、無知無責任無反省な典型的なお役所仕事である。
そして『原発が爆発する。避難して下さい』の翌日15日に福島第一原発2~4号機は連続して爆発音や炎上して、SPEEDIの解析では放射性汚染物質や希ガス類を大量に外部に放出して南相馬市民を含む多数の周辺住民が被曝している。
朝日新聞は白々しくも、
『自衛隊がなぜ動いたのか、いまも分かっていない。』と書いているが、自衛隊が動いた理由は明白である。
自衛隊は、事前に正確な原子炉の情報を得ていた。
2~4号機の爆発と放射能大量流出が判っていたので自分たちだけはいち早く逃げる事が出来て、最悪の被曝を免れることが出来た。
これ程分かり易い自衛隊の犯罪行為の事例も無いと思うのですが、この事実は矢張り報道したくない。
それで朝日新聞としては、意図的に日付を何日も間違えるという不思議な行動で、原因と結果の因果関係を誤魔化す必要性が生まれたのでしょう。
朝日記事では『一部の自衛隊が判断を間違えた』と読めるように白黒を正反対に事実を誤魔化し日付を間違える摩訶不思議な工夫がされているのです。
しかし、事実は正反対である。
時系列的に順を追って行けば誰にでも3号基爆発の後の2~4号基の危険性は刻一刻と高まっていた事が理解出来る。
『原発が爆発する。避難して下さい。』の自衛隊判断は全く正しかった。
逆に、逃げなかった南相馬市当局の怠慢は目に余るのです。
2~4号基爆発の正しい事前情報は南相馬の一部を除き、国民にはとうとう知らされることは無く、一般市民の集団避難は実現することは無かったが、米軍も自衛隊も東電も良く知っていた。
政府が30キロ圏屋内退避を勧告する十数時間以上前に東電は、政府に福島第一からの撤退(戦線離脱の敵前逃亡)を海江田経済産業大臣を通して清水社長が申し入れている。
清水は枝野にも事故原発からの撤収(逃亡)を言うが激高した官直人首相が直々に東電本社に乗り込んで事故原発の放置を撤回させているのですから官首相の功績は大きいと言わざるを得ない。

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4 コメント

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爆発の時系列 (suyap)
2011-09-14 18:49:42
遠くからハラハラしながら経過を見守っていた悪夢のような一週間を思い出します。ところで1、2、3、4号機の「爆発」または「火災」の順ですが、

1号機:12日午後
3号機:14日午前11時
2号機と4号機:15日早朝

ではなかったですか?15日の2号機と4号機の「爆発」の原因については、とくに怪しい気配がいわれてますね。
返信する
最悪の壊滅的損傷は2号基らしい (宗純)
2011-09-15 13:50:40
suyapさん、コメント有難うございます。

時間が経過した後で発表された少しも早くないスビーディ(SPEEDI)によれば、福島県の住民が最大被曝した最悪の日は15日らしいのですね。
それなら実は福島第一原発事故で、最大の放射能汚染物質を外部流出された日も、3号機が大爆発して巨大なキノコ雲が出来た14日ではなくて、1号基3号基のように建屋のビルが破壊されなかったが、矢張り爆発している2~4号基の方が遥かに悪い可能性が有りますね。
特に2号基は、他の原子炉とは違い、格納容器の破壊が早い段階で報道されていたのです。
そして、他は格納容器の損傷は未だに発表されていない。
ですから、それなら原子炉の破壊具合は2号基が最悪の状態だと判断出来ます。
私達は全員の関心が今まで、派手に大爆発した3号基にばかり目がいっていたのですよ。
その結果、保安院や東電の発表内容を点検していなかった(最悪であると発表している2号基をうっかりしていた)のです。
爆発した1号基は現在人が建屋内に入ることが出来るのですが、2号基はロボットさえ自由に動かせない状態であり大爆発した3号機よりも遥かに悪いのですね。
2号基の原子炉が矢張り最悪の破壊具合なのでしょう。
政府が3号基の爆発の後の24時間も時間が経過した時点で、30キロ圏の屋内退避を勧告しているのです。
1号機爆発では2時間49分後に、それまでの10キロを20キロからの退避に引き上げているのですから、この政府の決定の原因は、一号基爆発で間違いないでしょう。
しかし3号基の大爆発では24時間、丸1日も政府は何も動かなかったのですよ。
動いたのは2~4号基の爆発後4時間50分後。4号基の火災の1時間28分後です。
それならこの政府決定の原因とは、前日の3号基の目立つ大爆発ではなくて、目立たなかった2~4号基の爆発だっただろうと推測することが出来ます。
自衛隊ですが、怖気づいて闇雲に行動したのではなくて、その逆でこれ等の情報を事前に正確に得ていて、正しく行動(退避)していた可能性が高いのですね。
勿論米軍はもっと良く知っていたから250キロも離れた横須賀から大慌てで逃げ出した。
知らなかったのは、我々一般市民だけだったのです。
返信する
逃亡? (ふゆ)
2012-03-20 15:51:54
そもそも自衛隊が逃亡したという認識が間違っている。
あの時点で福島県民に情報を流さず避難拡大を否定したのは国や県。
マスコミもこっそり避難している。
パニックを恐れてスピーディー隠蔽したのは政府。
知らせにきた自衛隊員は良心からの行動だろう。
自衛隊が逃げたとする方が頭がおかしい。
返信する
一般市民は20キロで自衛隊は100キロ (宗純)
2012-03-21 13:59:16
ふゆさん、はじめまして。

不愉快な事実でも客観的に正しい事実は『事実である』として認める勇気を持つべきでしょう。
>『あの時点で福島県民に情報を流さず避難拡大を否定したのは国や県。
マスコミもこっそり避難している。
パニックを恐れてスピーディー隠蔽したのは政府。』<
この事実認識は正しい。
>『知らせにきた自衛隊員は良心からの行動だろう。』<
との認識も私と同一であり何の依存もありません。
意見の違いや現状認識には何の齟齬も無いのですよ。
多分南相馬市に駐屯していた自衛隊部隊の司令官なり隊員には、他のそれ以外の多くの部隊とは違い、人間としてのほんの少しの良心が残っていたのでしょう。あるいは僅かばかりの市民感覚が。
自分達と同じ日本人市民を見捨てるに忍びなかったと思われるのですね。
だから避難所の市民や南相馬市の市役所に本当の事実を知らせたのでしょう。
そして自衛隊という組織は基本的に各自が勝手に判断することはなく、上意下達の組織であり、それなら当然これは自衛隊上層部からの指示ですね。
同じ福島県ではサイレンを鳴らしながら我先に逃亡する自衛隊員の姿が市民により目撃されているのですよ。
地震大国日本の無謀原子力発電
2011年10月26日 | 放射能と情報操作
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/3681095b2591ca88770d99ee9509c7c5
宮城県警本部は『原発が爆発するから』と自衛隊が原発から半径100から撤退すると無線で絶叫している様子を把握しています。
この時警察を含む一般市民の避難は20キロですよ、20~30キロは屋内退避です。
もちろん一番問題なのは国や福島県当局ですが、自衛隊の最高司令官は管直人総理なのですが、管の命令を完全無視して100キロ圏から自分たちだけ避難した。
まあ、誰でも命は一つしかないので逃げたい気持ちは十分に判りますが、
自衛隊用語では避難というかも知れませんが、これを普通の日本語では、『逃亡』と呼びます。

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