バイデン氏「老化」否めず 隠し続けた側近たち
大統領上級顧問らは誰に対しても、バイデン氏は大丈夫だと請け合っていたが、
大統領の移動プランや会見、献金者との会合などを厳重に管理、高齢問題を最小化する戦略を進めた
ホワイトハウスの上級顧問らは1年以上前から、ジョー・バイデン大統領(81)のスケジュールや行動、個人的な交流などを積極的に管理し、米国史上最高齢の大統領に老化が影を落としている兆候を最小限にする「演出」を行ってきた。
彼らはバイデン氏の1日の移動プランを制限し、即席のやり取りから同氏を遮断した。また記者会見やメディアへの出演を減らし、米プロフットボールNFLの王者決定戦「スーパーボウル」のハーフタイムにインタビューを受ける機会を2度断った――数百万人の有権者に声を届けられるチャンスだったが。献金者との歓談は、事前に用意されたあいさつの範囲にとどめるように気を配った。
側近の幹部らはバイデン氏の体力への懸念から、長距離移動の提案を退けた。
バイデン氏の言い間違いが次第に目立ち始める中で、このような事態が展開していた。
先月開催された第1回テレビ討論会にバイデン氏が登壇した際、90分間のイベントで見せた精彩を欠くパフォーマンスに、民主党内では衝撃が走った。バイデン氏と一対一で話す機会がめったにないホワイトハウススタッフの一部も同様だった。
いまや献金者や米議会議員の多くが、討論会のかなり前に持ち上がった「バイデン氏は2期目に適任か」という懸念を抑える努力のせいで、だまされたと感じていると話す。民主党幹部の一部はバイデン氏に面と向かって撤退を勧告する勇気のある者がほぼいないと心配する。
バイデン氏は静かな声で語り、発話に長い間をとり、明確に論じるためにメモを読み上げ、時折目を閉じた(WSJ)
同氏の認知能力に関する報道が相次ぎ、これをホワイトハウスが非難したりバイデン氏の盟友パティ・マレー上院議員(民主、ワシントン州)とグレゴリー・ミークス下院議員(民主、ニューヨーク州)が否定したりする事態となっている。
マレー議員は4月にWSJに対し、バイデン氏と何年も仕事をしてきたが、同氏の認知機能に変化は見られないと語ったが今月8日には、バイデン氏は選挙戦を続けるかどうか、「バイデン氏がこの仕事を遂行できると有権者を納得させるためには、遊説先で近日中にはるかに力強くエネルギッシュな候補者の姿を見せる必要がある」自らのレガシー(遺産)を考慮すべきだと述べた(★注、暗にバイデン撤退を示唆した)
5日に行われたABCニュースとのインタビューで、バイデン氏は大統領の仕事を遂行できるかという質問を一笑に付し「全能の神」が求めた場合にのみ身を引くと述べた。さらにバイデン氏が選挙戦にとどまることへの党内の反対意見の影響は大きくないとした。8日にはバイデン氏自身が「民主党エリート層」の抵抗と呼ぶものを切って捨てた。
バイデン氏に近い人々は、高齢から来るさまざまな困難を最小化する戦略を進めたのは、ほんの一握りの側近の責任だと話している。
その中にはバイデン氏の大まかな構想を決めるブレーンたちがいる。ホワイトハウスの広報戦略を担当し、報道機関を軽視するバイデン氏の姿勢に同調するアニタ・ダン大統領上級顧問や、何十年間も政治の助言をしてきたスティーブ・リチェッティ大統領顧問、マイク・ドニロン大統領上級顧問など。ホワイトハウスの外にいる盟友からは、アニー・トマシーニ大統領首席補佐官代理やジル夫人の上級顧問を務めるアンソニー・バーナル氏など大統領の周囲を固めるあまり知られていない側近の名も上がっている。ホワイトハウスは、トマシーニ、バーナル、ダン、リチェッティ、ドニロン各氏への取材申し込みに応じなかった。
(バイデン政権を陰で仕切るスキンヘッドの怪人、ウォルトディズニー社アニメ責任者ジェフリー・カッツェンバーグ)
多くの大口献金者は、バイデン陣営の共同責任者を務めるハリウッドの大物プロデューサー、ジェフリー・カッツェンバーグ氏に不満の矛先を向ける。カッツェンバーグ氏はバイデン氏に年齢を財産に変えるように助言したほか、討論会前にロサンゼルスで開かれた昼食会では、バイデン氏を強く支持し、彼に定期的に会うが、頭が切れて統率力があると人々に語っていたという。バイデン氏とカッツェンバーグ氏の関係は数十年に及ぶ。
バイデン氏は公衆の面前や私的なやりとりで知的な瞬間がある、とそれを目にした関係者は語っているが一方で、忘れっぽく、言葉に詰まり、自分の考えをうまく伝えられないときもある。同氏に面会した人々によると、こうした失態が起きる頻度は増しており、ソーシャルメディアで広く共有されることも多い。
しばらくぶりにバイデン大統領と一緒の時間を過ごした人々の中には、同氏が鈍くなったことに驚いたと話す。昨夏、バイデン氏に面会した元上級顧問は、最後に会ったときと比べて目に見えて老化していたと語った。
討論会での精彩を欠くパフォーマンスは、バイデン氏の支持者の一部がこれまでの大統領とのやり取りを見直すきっかけになった。
また別の元顧問によると、討論会ではバイデンの認知能力について断片的にくすぶっていた懸念を多くの人々が明確に認識した。(抜粋)
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