逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

絆団結…偽の希望はびこり 東日本大震災から5年

2016年03月11日 | 政治
韓国・セウォル号沈没事故、船員はなぜ乗客より先に逃げたのか 交信記録で明らかに』The Huffington Post2016年03月10日

2014年4月16日、韓国南西部で沈没し大型旅客船セウォル号は死者行方不明者304人を出したが、セウォル号の操舵室にいた船長や機関長、船員ら10人全員が無事に脱出した。
沈没当時のセウォル号の船内では、最後の最後まで『現在の位置で安全に待機して、これ以上外に出ないでください』という案内放送が流れていたため修学旅行中の高校生など多くの乗客が大きく傾いている船室に留まったために大部分が犠牲になっているが、今回明らかになった交信記録では、
済州運航管理室:セウォル号、セウォル号、海運済州。感度良好ですか?
セウォル号:はい、セウォル号です。
済州運航管理室:警備艇、P警備艇は到着しましたか?
セウォル号:はい、警備艇が1隻、到着しました。
済州運航管理室:はい、現在の進行状況を教えてください。
セウォル号:えっ、何ですか?
済州運航管理室:(別の担当者から電話を替わり)はい、○○様、現在の進行状況を教えてください。
セウォル号:はい、警備艇が1隻到着して、今、救助作業をしています。
済州運航管理室:はい、今、P艇は係留されていますか?
セウォル号:はい、今、警備艇の横に来ています。今、乗客が450人なので、警備艇がこれ1隻では足りないと思います。追加で救助に来てもらわないといけないと思います。
済州運航管理室:はい、よくわかりました。今、船体は傾いていないですよね?
セウォル号:(無回答)
最後の交信から、セウォル号の船員が、操舵室から乗客に退出命令を出さずに脱出した理由が明らかになった。
乗客に脱出を命じれば、船員の脱出は後にならざるを得ないが、事故現場に到着した100トン級の警備艇では、船員を合わせて「500人程度」を救出するのは不可能に見えた。救命いかだもふくらませておらず、操舵室の船員ら10人のうち、救命胴衣を着ているのは3人だけだった。
と、2016年03月10日The Huffington Postは決定付けている。

『毎日新聞 東日本大震災から5年「関西から㊦」絆団結…偽の希望はびこり 作家吉村萬壱』

毎日新聞3月10日夕刊(大阪本社版)の文化欄で2003年に第129回芥川龍之介賞を受賞した吉村 萬壱の作品紹介との体裁と取ってはいるが、記事が掲載されたのは原発4基が暴走する未曾有の核事故である3・11フクシマの前日の夜(夕刊)である。
毎日の記事では、『2014年に「ポラード病」という本を出した。
何か巨大な災厄がこの国を襲い、住民はその後遺症に苦しんでる。
しかし彼らは生きるために現実を捻じ曲げ、その災厄を無かったことして「結び合い」というスローガンの下、お互いに監視し合いながら極力普通にふるまっている。
しかし現実には彼らの町はひどく汚染されていて、子供たちを中心に次々と人が死んでいく、という小説である。』
と冒頭から過激な表現であるが、丸ごと『そのまんま福島』である。
5年前の東日本大震災後に、日本中で連呼された『がんばろうニッポン』、『絆』、『日本は一つ』といったスローガン(強い同調性バイアス)に対する強い違和感が作品を書いた動機であると、はっきりと吉村萬壱が語っている
この『ボラード病』というのは、71年前のアメリカによるヒロシマ・ナガサキへの原爆攻撃での放射能被害による全身の異様な倦怠感(ぶらぶら病)の暗喩であり到底架空の出来事(フィクション)とは思えない展開になっている。
ディストピア小説としては異例中の異例、フィクションと現実社会とか交互に錯綜する『現在進行形』なのですから怖ろしい。(5年前が日本国のカタストロフだったわけではなくて、本当のカタストロフィの『本番』は5年過ぎたこれからやってくる)

『3・11から5年目をむかえて、「風向き」が大きく変わる日本』

原発4基が暴走する未曾有の核事故である3・11フクシマの5年目の前日である2016年3月10日には稼働中の高浜原発が『危険性がある』として止まる前代未聞の珍事が発生した。(業務上過失致死、文書毀棄などの刑事罰の時効は5年)
ところが、今回、稼働中の原発を止めるとの前代未聞の歴史的な決定を下した大津地裁の裁判官ですが1年半ほど前(3014年)には逆に、『稼働していない』として、まったく同じ訴えを門前払いした悪しき過去がある。
27年前の昭和天皇の下血騒動ではマスコミが唐突に『敗戦の聖断』を言い出したが、もしも敗戦での戦争終結が出来る絶大な力が天皇にあったなら自動的に開戦したA級戦犯としての『戦争責任』が浮かび上がる。4年前のアメリカとの開戦前なら天皇はもっと簡単に戦争を止められた。だから下血騒動までは昭和天皇の『聖断』は日本国のタブーとして触れるものは誰一人もいなかった。
今回の大津地裁判決も同じで『原発が動いていない』2014年の方が遥かに止めるのが簡単だったのである。
一月ほど前(二月末ごろ)から、小児甲状腺がんの多発とか、3・11フクシマ核事故などで、次々と以前なら考えられないような驚愕的なトンデモない報道が相次いでいる。
今まで必死になって隠していた怖ろしすぎる『真実の断片』が、短期間で次々と明らかになるが、たぶん、間違いなく『風向き』が180度コペルニクス的に大きく変わっている。(新たな風が安倍政権を吹き飛ばすのか、それとも国民を吹き飛ばしてもっと苦難が増すかはまったく不明だが)

『最初から動いていなかった福島第一原発1号基の非常用冷却装置「復水器」(イソコン IC)』

3・11フクシマ核事故は想定外の15メートルの大津波だと東電や政府は言い張っている。ところが、国会事故調の田中三彦委員だけは12日に爆発した1号基は地震による配管断裂で半時間後の津波の襲来前に、すでに非常用冷却装置「復水器」(イソコン IC)が壊れていた可能性が高いと主張していた。
ところが今回、3・11直前の毎日新聞の特集記事3月10日付け『東日本大震災5年、汚染水対策の取り組み』は、1ページを丸々使ってフクシマの汚染水問題と取り上げているのですが、・・・とんでもないことを書いている。驚くやら腹が立つやら。
塩崎補佐官の『法的安定性は関係ない』ではないが、マスコミとしては今まで何回も断定的に報道していた事柄に対しては一定の責任がある。
今までと明らかに矛盾した内容の場合、『新しく分かった事実によれば』との但し書きというか、説明が絶対に必要になるが、これ等を一切無視して、(今まで、マスコミが一回も言わなかったことを)さらっと、さも(誰でも知っている)既定の事実であったかのごとく、さりげなく書いている。
毎日新聞の特集記事の上半分は、図形とか表なのですが、そこに大きな活字で『原子炉の冷却を空冷に切り替え汚染水の発生を抑止できるか?』と何の説明もなく書いてあるが、これに関連する文章が何処にもない。まるっきり唐突に出てくるのですから怖ろしい。事故時の首相だった管直人は半年前のキエフでの会議で『福島は沸騰水型だ。鉄棺を作るような態勢がとられていない。(安全のために)今はむしろ水を入れて冷やしている』と語る。
(5年たって、やっとマスコミも増え続ける高濃度汚染水が地下水由来ではなくて、原子炉の冷却水だったトンデモナイ事実を、しぶしぶだが今回認めた意味は大きい)
最も驚いたのは、新聞の『小見出し』には全くないのに、『1号機には冷却装置『非常用復水器』(IC)があったが作動せず、同12日午後3時36分に水素爆発した』。と何の脈絡もなく唐突に書いている。
なんと、『1号機には冷却装置『非常用復水器』(IC)があったが作動せず』に終わったために、早々と数時間でメルトダウンして仕舞ったのである。 

『メンバー全員が主張した最も悪質な「赤いニシン」(間違いに誘導する偽の手がかり)フクシマの核事故の原因「全電源喪失」(ブラックアウト)』

高温の原子炉の温度差を利用して動くIC(非常用冷却装置 イソコン)は電源など他の動力源を必要とせず、かつ自動的に起動するので原発操作の過失とか全電源喪失(ブラックアウト)とも『無関係』に動いて炉心を冷やす過酷事故時の最後の砦(切り札)である。
だから、『ICが動いた』か、それとも『動かなかった』かは、原発事故の原因調査では『最大の争点』であった。
ところが、今回の毎日新聞では事実関係を一切無視して、
『事故の経過や原因について政府、国会、東電、民間の四つの報告書がまとまったが、1号機のICが作動しなかった経過などについて見解が分かれた。』
と書いている。
国会事故調の田中三彦委員一人だけは『ICが動いていない』と主張した。ところが、他の全員はICが『動いていた』と主張して激しく対立していた。
余りにも腹が立つ破廉恥な『真っ赤な嘘』である。。
見解が分かれたのは、『作動しなかった経過』などではない。
その前提となる『作動した』か、それとも『作動しなかった』かの事実関係の認定段階で、見解が真っ二つに分かれて最終的な結論が出なかったのである。
そもそもフクシマのレベル7の核事故の原因は『全電源喪失(ブラックアウト)だ』と、マスコミとか政府とか東電とか日本中の全員が一致団結しているのですが、ICの進化形である隔離時冷却系が動いた2号基3号基では、1号基よりも2日もメルトダウンが遅い。
1号基のICが動かなかった疑いが濃厚なのです。
ところが、毎日新聞のように『IC作動せず』を認めると色々な矛盾が一気に噴き出して来て、収拾がつかなくなる。(ブラックアウト説と、最初の地震動での原発の冷却配管の損傷説とは真正面からバッティングしてしまうのである)
だから今まではどちらとも解釈できる様に曖昧にしたままで終わらしていたが、なんと、3月10日夜7時のNHKニュースでは『1号基のICが動かなかった』とさらりと報じていたのですから無茶苦茶。
最初の地震動でのIC配管の損傷との田中三彦委員説では、日本国では関係する全員が挙国一致で主張していた、そもそもの全電源喪失『ブラックアウト』原因説が土台から崩壊する可能性が極めて高い。



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マスコミの今更 (疑心暗鬼丸)
2016-03-12 07:13:37
最近のマスコミの変貌ぶりに驚いています。
福島の甲状腺がん、東京の放射能汚染等々。
今更、いまさら・・・という思いです。
マスコミの使命は何なのだと怒りを覚えます。
中央省庁の地方移転は確かにおかしい、やはりそういうことだったのですね。
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ああー。 (佐藤すみ子)
2016-03-13 05:15:01
今日、宮城県北部登米市でようやく原発反対グループがたちあがりました。あまりにもおそいのですが。。然し共産党はーこの地域では上から目線です、でした。私の友人がいくら声をあげても立ち入れませんでした、で、私は友人が意見を述べる度拍手だかしていたら、最後には皆が拍手。民衆の力です。ー
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国も認めた (ちくわ)
2016-03-13 14:52:50
ニュースステションで厚生労働省大臣が「福島の子供のガン」について聞かれ「環境省の管轄なので自分がお話しすることはない」と答えてました。
これはつまり原発事故の放射能による影響を認めたと言っていいでしょう。
なぜなら、普通のガンなら当然厚生労働省の管轄なのですから。環境省管轄だと断言した時点で確定。
で、まともなジャーナリストなら環境省に直撃インタビューするのでしょうが、それはしないというヘナチョコぶり。こうやってマスコミとの共同作業で少しずつ国民を慣らしていくんでしょうね。
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うぁあ (Y's)
2016-03-15 15:55:00
セウォル号沈没事故の最後の交信が怖いですね。
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とうとう解散・総選挙を決意した安倍晋三 (宗純)
2016-03-19 15:25:28
疑心暗鬼丸さん、佐藤すみ子さん、ちくわさん、Y'sさん、みなさんコメント有難う御座います。

コロンビア大学・スティグリッツ教授などノーベル経済学賞の受賞者を呼んで諸費税増税の是非を論じるなど、あれは選挙準備ですよ。3人目としてクルーグマンも呼んだそうですが、彼らは消費税の増税には大反対なのですから最初から結果が分かっている。
8%増税の結果が出てしまう2017年4月の増税ですが、これは基本的に無理なのです。
1997年の消費税の増税では税収が大きく落ち込んでいて未だに回復していないのですから、今回の増税でも同じ結果しか生まれません。
致命的だった2014年4月の消費税増税
2015年07月30日 | 経済
http://blog.goo.ne.jp/syokunin-2008/e/b9058e0ed93c02bf639e8c210ea50a39
なんと3月19日の共同通信では、
7月10日投開票とする衆参 同日選に踏み切る案が有力と書いている。
同じ日付の毎日新聞で自民党の二階総務会長が安倍首相が衆参同日選挙を行うかどうか日夜悩んでいると語ったと書いているが、TBS時事放談でも同じ意味の言葉を語っている。
諸費税増税の1年後の2015年の経済統計が出た後では、到底選挙が行えないのですが、
同じことが小児甲状腺がんにも言えて、フクシマから4年後の2015年の数字が悪すぎて、これが出てからでは選挙どころの話ではない。
日本丸の沈没までの時間がもう無いのです。絶体絶命の土壇場に追い込まれているのですが、解散総選挙の騒動で誤魔化そうとしているのでしょう。
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