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総理夫人に「無邪気」な振る舞いは許されるのか  (抄)  Plus

2017-03-11 | いろいろ

ジャーナリスト田中良紹氏のヤフーニュースのコラムより

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総理夫人に「無邪気」な振る舞いは許されるのか

 安倍昭恵総理夫人が7日に都内で開かれたイベントに出席したニュースを見て、あまりの「無邪気」さに開いた口が塞がらなかった。

 「無邪気」とは「素直で悪気がないこと」と同時に「思慮が足りないこと」も意味する。フーテンの「開いた口が塞がらなかった」のは、日本の最高権力者夫人としてあまりに「思慮が足りない」と思ったからである。

 昭恵夫人は「森友問題」の渦中の人物であるにも関わらず、そのことには全く触れず「私個人では仕事ができる訳でも家事ができる訳でもないのに、こんなに注目を集めすごく戸惑っている。首相夫人になったことで活動の幅が広がり、人と人とをつなぐことが自分の役割と思っている」と無邪気に語った。しかしその立場は「無邪気だから良い」とはならないのである。

 総理夫人に公務支援の職員が配置されたのは第一次安倍政権の時である。それまでの総理夫人にそうした制度はなかった。それが安倍政権で初めて税金を使って職員が配置され、外務省OBの現在テレビでおなじみの宮家邦彦氏が「総理公邸連絡調整官」というポストに就任した。

 おそらくあまりに「無邪気」な夫人を見て外務省がファースト・レディ外交に支障が出ては困ると配慮したからではないかと当時のフーテンは推察したが、そこで初めて税金が使われることになったのだから、森友学園が問題になった現在、その経緯は改めて検証される必要がある。

 宮家氏は安倍総理が政権を投げ出すまで「調整官」を務め、次の福田康夫総理はその制度を廃止した。それを見ると昭恵夫人のための一時的な制度だったようにも見える。ところがその次の麻生総理がこれを復活させ、それが現在まで継続されることになり、現在では昭恵夫人に外交以外の場でも経済産業省の職員2名が配置されているという。

 その職員が昭恵夫人の塚本幼稚園での2014年と2015年の計3回の講演に同行したことが明らかとなり、8日の国会では政府が「公務」として同行したことを認めた。政府は昭恵夫人と塚本幼稚園の関係や講演内容をすべて把握していたことになる。

 フーテンは税金を使って職員が配置された以上、総理夫人には公的な役割と責任が付与されたと思うし、そうであるならば総理夫人の「無邪気」さが問題を引き起こせば行政府にも責任の一端はあると思う。

 ところがフーテンは第一次安倍政権の頃にこんな経験をした。ある中国人が「日本の総理夫人は誰にでも電話番号入りの名刺をくれる」とフーテンに驚いた表情で言ってきたのである。その中国人は中国大使館のパーティに訪れていた昭恵夫人から名刺をもらったが、名刺には個人の電話番号やメールアドレスが記されていたという。

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別Webより   Plus

 「こんな不用心なファースト・レディは他にいない」と中国人は驚いていたが、フーテンは返す言葉がなかった。

 第一次安倍政権は小泉総理の靖国参拝でぎくしゃくした日中関係を修復するところから始まったので、昭恵夫人は中国と友好関係を強めることが自分の役目と思っていたかもしれないが、しかし見ず知らずの外国人に個人の連絡先が分かる名刺を渡すのはあまりにも危ない。宮家調整官は一体どういう「ファースト・レディ教育」を施しているのかと思った。昭恵夫人の個人的な連絡先が分かったとしても政権中枢の情報を持っているわけではないので実害はないと思ったのかも知れない。

 しかし問題はそうした行為を許している日本政府の脇の甘さを外国にあけすけに見せれば、日本政府攻略の意欲を掻き立てさせることにならないかとフーテンは危惧したのである。

 第一次安倍政権時代に外交の場で昭恵夫人を支援する必要から初めて税金を使い職員が配置された。しかし昭恵夫人は知らない外国人にも個人の連絡先を教える無邪気な総理夫人であった。

 日本が国際的に大きなプレイヤーでなくなったことが世界の謀略組織から狙われる危険性を小さくさせているのかも知れないが、無邪気な総理夫人が国家に実害をもたらさなかったのは幸運だったとフーテンは思う。

 そして第二次安倍政権では外交面での支援だけでなく経済産業省からも職員が配置された。

 なぜ経済産業省からなのか。もとより第二次安倍政権を支えているのは経済産業省で、政務担当の今井尚哉総理秘書官がすべてを取り仕切っている。

 日ロ外交に見られるように今では外交分野でも外務省は脇役となり経済産業省が主導している。総理夫人を巡る職員配置にそうした霞が関の力学が影響していないかも調べる必要がある。税金の使途に関わる話だから調査は立法府が行うのが民主主義の基本原理である。

 今やトランプ政権と連邦議会との関係を日本人も興味を持つようになったので、それを参考にしてわが国の政権と立法府との関係も見直す機会である。

 経済産業省の職員は公務として昭恵夫人に同行していた。夫人と森友学園の関係や講演内容は逐一上司に報告されていたはずである。経済産業省が無能な役所でなければ森友学園という学校法人のことや籠池理事長の人物像についても調査したはずだ。そのうえで日本政府は「無邪気」にふるまう総理夫人の動向を容認していたことになる。

 昭恵夫人から名刺をもらった中国人は警戒心のなさに驚いていたが、外国から見れば森友問題は日本政府の危機管理能力の程度を示す一方、政府みんなが知っていて丸ごと関わった事件に見えるのではないか。

 「ロン・ヤス関係」が強調されていた時代、中曽根総理がレーガン大統領を日の出山荘に招いてお茶で接待した時、米国民はレーガン大統領が接待を受けたことに批判的だった。接待を受ければ相手に借りを作り米国民の利益にならないと考えるからである。

 誰も「ウィン・ウィン」などと甘いことは言わない。それが先月、トランプ大統領の安倍総理に対するゴルフ接待を日本人は「蜜月」だの「満額回答」と言って喜んんだ。それにフーテンは言いようのない違和感を覚えた。甘いを通り越し腑抜けたとしか思えなかったからである。

 そして総理夫人の「無邪気」さを見せつけられるとまた言いようのない腑抜けた日本を感じてしまうのである。
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