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誰が改憲・共謀罪を望んだのか 五輪悪用の詐欺政治と代償

2017-05-26 | いろいろ

より

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誰が改憲・共謀罪を望んだのか 五輪悪用の詐欺政治と代償

 安倍政権が推し進める国家改造の工程表が、またひとつ進もうとしている。23日、「共謀罪」法案があっさり衆院を通過。法案に対する懸念の声を無視して、政府・与党は今国会で強行成立させるつもりだ。

 安倍首相は「テロ防止には共謀罪が必要で、この法案が成立しないと2020年の東京五輪が開けない」と、まるで五輪を人質にするような理屈を振りかざして法案をゴリ押しする。国連の「国際組織犯罪防止条約」を締結するためには、共謀罪が必要不可欠だというのだ。当の国連から共謀罪法案に疑義を呈されているのに、それを一蹴して法案成立に突き進む独善ぶりには驚き、呆れるほかない。

 国連のプライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチ氏は、この共謀罪法案が「プライバシーや表現の自由を不当に制約する恐れがある」と懸念を示す書簡を18日付で安倍宛てに送った。その内容は国連人権高等弁務官事務所のホームページにも公開されているが、菅官房長官は22日の会見で「(書簡は)一方的に発出された。内容は明らかに不適切で強く抗議した」と切り捨てた。

 「抗議だなんて、どうかしています。国連決議に応じないどこぞの独裁国家じゃあるまいし、日本政府がやるべきは、まず報告者の疑義に答え、懸念を解消すべく努力することでしょう。そもそも、国連の報告者も指摘しているように、この法案は五輪と関係がない。五輪の前に急いで成立させる必要はまったくありません。五輪を錦の御旗にすれば国民も反対しづらいと足元を見ているのでしょうが、この際、なんでもかんでも五輪を名目にして進めてしまえという強引さは目に余る。

 原発事故の汚染水が『アンダーコントロール』などと言って、国際社会を騙して東京五輪を引っ張ってきたら、今度は五輪を使って国民をたぶらかす。憲法改正にまで五輪を利用するのは、あまりに悪辣です」(政治学者・五十嵐仁氏)

「機は熟した」の手前勝手

 安倍は3日の憲法記念日に開かれた改憲派集会で突然、憲法9条改正をブチ上げ、「五輪が開催される2020年に新憲法の施行を目指す」と言い出した。共謀罪以上に、憲法改正は五輪と何の関係もない。自分の総裁任期から逆算しただけの手前勝手な都合だ。「機は熟した」と安倍は言うが、国民からすれば「どこが?」である。

 朝日新聞が13、14日に行った世論調査で、「憲法改正は2020年の施行をめざすべきだと思いますか」の問いに対し、「時期にはこだわるべきではない」が52%と半数を超えた。「改正する必要はない」が26%、「2020年の施行をめざすべきだ」はわずか13%だった。

 産経新聞の同時期の調査でも、安倍が2020年に新憲法の施行を目指す意向を表明したことについて「この姿勢を評価しますか、しませんか」という質問には、「評価する」と「評価しない」が46.9%で並んだ。安倍応援団で改憲を後押しする産経でも、この結果なのだ。2020年までの憲法改正なんて、誰も望んでいない。安倍ひとりがシャカリキになり、既成事実化しようとしている。

国家改造の軌跡はヒトラーのベルリン五輪とそっくり

 安倍は21日、ニッポン放送の番組の収録で、憲法9条に自衛隊を明記するという自身の改憲案を「自民党として年内に公表することを目指す」と表明した。

 改憲スケジュールを勝手に決め、仲間内の集会や一部のメディアを使って、どんどん外堀を埋めていく。

 かろうじて石破茂前地方創生担当相は「正しいやり方とは思わない」など、自民党が12年に発表した憲法改正草案もガン無視する安倍の手法を批判しているが、二階幹事長は党の憲法改正推進本部の役員を増員して体制を強化し、安倍の意向に素早く応える姿勢を見せている。

 「首相に言われるまま唯々諾々と従う自民党も、暴走を止められない非力な野党も、あまりに情けない。安倍首相がやっていることは、権力者によるクーデターなのですよ。9条改憲で日本が誇る平和主義をかなぐり捨て、戦前の軍国主義国家に戻そうとしているのです。五輪の裏で進行する黒い企みを大メディアがしっかり報じないから、国民も深刻さに気づいていませんが、五輪のお祭り騒ぎに興じているうちに、気づいたら国がそっくりつくり変えられているという恐怖の事態が迫っています」(政治評論家・本澤二郎氏)

 フランス語のクーデター(coup d'Etat)は、「国家への一撃」を意味する。法秩序を無視し、国家を乗っ取って、政治システムを力ずくで変えようとしているのが今の安倍政権なのである。

 「この一撃は、民主主義への挑戦です。いま国民が“民主主義とは何なのか”を真剣に考えなければ、何も考えられない、物も言えない世の中になってしまいます。共謀罪が施行されれば、反対意見が言えない空気の中で国民投票が行われ、改憲で戦争国家に生まれ変わって五輪を迎えることになるのです」(五十嵐仁氏=前出)

「安倍晋三記念五輪」でいいのか

 安倍の狙い通りに行けば、東京五輪の2020年に国家改造が完成する。その軌跡は、五輪の政治利用という意味でも、ヒトラーのベルリン五輪とそっくりだ。いまの日本は、そういう危険な領域に来ている。

 上智大教授の中野晃一氏(政治学)もこう言う。

 「五輪へのアプローチも完全に独裁者のものです。安倍首相は国会をないがしろにし、党内議論も無視して、完全に国を私物化している。そういう中から出てきたのが森友学園や加計学園の問題です。さすがに多くの国民も、安倍首相による国家の私物化は行き過ぎだと感じ始めているのではないでしょうか。こんな政権が2020年まで続けば、それこそ『安倍首相記念オリンピック』になってしまいます。これ以上の専横を許せば、東京五輪後の日本に未来はない。1強独裁に対抗できない野党も自民党も頼りないですが、もはや『代わりがいない』などと言っている場合ではありません。次が誰になっても、安倍首相よりマシなことだけは間違いない。『この道しかない』などと強要するのも一種の脅しで、国民を洗脳しているのであり、ドメスティックバイオレンスみたいなものです。一刻も早く手を切る必要がある。平穏な生活を守りたければ、とにかく安倍首相を引きずり降ろすことです」

 五輪に合わせて、なし崩しで進められようとしている改憲は、「敬愛する祖父の悲願を果たす」という安倍の個人的な願望でしかないのだ。民主主義を引き換えにしてまで、安倍の悲願をかなえてやる義理などない。五輪詐欺政治に騙されないことだ。反知性のクーデター男に2020年まで首相を続けさせたら、国民は凄まじい代償を支払うことになる。
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