車輪を再発見する人のブログ

反左翼系リベラルのブログ

アメリカに消費者金融があったら

2009年04月17日 | 論理

昨日の貸金法改正の話の続きだ。消費者金融の問題でグレーゾーン金利や過払い金利返還の話になると、後からルールを変更するのはおかしい、法治主義で行くべきだという主張がよく聞かれる。そのような主張が本当に妥当かどうか考えてみる。

突然だが、もし消費者金融各社が営業しているのが日本ではなくてアメリカだったとしたらどんなことが起こっていたか考えてみよう。アメリカは訴訟大国だ。特に大企業が不正なやり方で広大な被害を与えたら、集団訴訟において多額の賠償金だけでなく、懲罰的な賠償金も含めてものすごい額の負担を被ることになる。だから、逆にアメリカでは訴訟による懲罰的な賠償という現実が違法行為や差別的な行為を抑止することに貢献している。

そんなアメリカだから、日本の消費者金融がやってたようなことをしていたら、違法な取立てをしたら数千万、家族関係や友人関係を破壊されたら数億、自殺に追い込まれたら十億といったような額の損害賠償訴訟が山のように起こされていただろう。消費者金融にとってはそのような犯罪行為に対して甘い日本でよかったと言えるだろう。

つまり、日本の消費者金融がやっていたことは他の国なら一瞬で会社が消えてなくなるようなことだったのだ。法治主義で過払い金訴訟に反対するというが、実は法律を守っていなかったのは消費者金融の方だ。法律を守らずに暴力によって借り手の人間関係を現金化し濡れ手に粟で儲けてきたのである。それで法律を守って消費者金融を保護しようというのは、暴力で強制した約束を、約束は約束だからといって守ることを求めるようなものだ。つまり、そもそも消費者金融の権利を守ること事態が法律的に正しいかどうかさえ怪しいものでしかないのだ。法治主義というものをちゃんと理解した上で議論していく必要がある。

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