本日のDiamondオンラインの更新記事に、山崎氏の日本政府による民間企業支援に対する反対と、辻広氏によるアメリカ政府による銀行支援に関するコラムが並んでいる。両方とも、政府による民間支援や介入の問題点を指摘している。百年に一度とも言われる現在の経済危機であるが、政府による介入は民間部門の自然な淘汰や資源分配を妨げる恐れがあるし、どの企業を救うかという判断に恣意性が入る心配もある。
大企業が倒産したら大変だからとか、銀行が経営難に陥ったら信用収縮に陥る危険性があると言うような主張はいつも行われる。しかし、救う対象を政府が決めることは恣意的であり、一部の企業を救うためにその資金を給付に回せば多くの失業者を救える状況において、特定の企業や産業を救済することは公平性の点から問題があるだろう。また、信用収縮などの理由で悪影響があると言うのであれば、そもそも無節操な経営によって経営難に陥らないように政府が監視しておく必要があっただろうし、また好況の時に膨れ上がった人員と待遇を維持したまま救済するのであれば無責任体質を肯定したことになるより大きな問題を引き起こすことになるだろう。
競争を促進することも、社会的な安定を実現することも政治的に重要な事項である。しかし、危機だ、危機だといって無計画に非効率的な資金注入を一部の企業や産業に対して行い、多くの失業者を見殺しにするのは効率的な政策の組み合わせとして失格だろう。先ごろの補正予算においても、非効率的な事業に多くの予算が投入されたが、それだけのお金があるのであれば本当に困窮している人を救うために使うことを考えれば相当なことが出来たはずだ。それを効率性を考えずに、一つの側面だけを見て偏った政策を押し通すのは社会的な損失が大きすぎるだろう。